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2013年6月28日(金)

【ほぼ毎日特集】マーベラスAQLの爆乳プロデューサー・高木謙一郎さんのお宅訪問! 宝物に囲まれながら開発やこれまでを語ってもらった(第9回)

文:kbj

■入った直後に複数タイトルを掛け持ち!?

――マーベラスに入社する前は何をやっていたのでしょうか?

 一番最初に入ったのは、『勇者30』を作ったオーパスという開発会社です。オーパスで企画をやって、PS2『紅忍 血河の舞(レッドニンジャ けっかのまい)』を作りました。その後、いろいろあって、マーベラスインタラクティブ (現マーベラスAQL)に入りました。

――いろいろ?

 そこは、あまりふくらまないので置いておきましょう(笑)。マーベラスでの最初の仕事は、DSの『ネギま!?』シリーズの2本目『ネギま!? 超 麻帆良大戦チュウ チェックイ~ン 全員集合! やっぱり温泉来ちゃいましたぁ』でした。

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▲ネギのお風呂嫌いを直すため、温泉旅行へ向かう3-Aの生徒たち。しかし、突如現れた魔物に生徒たちがさらわれてしまう! 魔力を封じられたネギは生徒たちとともに敵に戦いを挑むことに。

――ソフト担当というのは、「自分はこのタイトルをやりたい!」という挙手制なんでしょうか? それともタイトルを持っていない人に、振られていくという形なのでしょうか?

 後者でしたね。開発にいたことはあったんですが、メーカーの仕事がどういうものかわからなかった。それにもかかわらず、入社した直後に前任者が外れたのもあって「高木君は『ネギま!?』とコレとコレね」と言われて、「え!? そんなにできるものなの?」と驚きました(笑)。

 自分で手を上げてやったのは、PS2『一騎当千 Shining Dragon』です。いろいろなタイトルの候補リストがあったので見ていたら、『一騎当千』があったんです。ただ、ゲーム化を迷っている部分もあったので、「いや、(迷わないで)やりましょうよ!」と言ってタイトルを編成しました。

――言いにくいかもしれませんが、なぜ迷われている状態だったのでしょうか?

 当時の弊社はアドベンチャーゲームが多かったんですが、『一騎当千』という題材ならばアドベンチャーよりもアクションのほうがいいじゃないですか? ただ、アクションゲームを動かせる人が少なかったんです。

――それで高木さんが担当することになったと。

 やりたいと言ったんですが、まだ知識がなかった(笑)。そこで上に相談したり、開発会社をアテンドしてもらったりしました。内容に100%満足したわけではありませんが、あの作品があったからこそ、今があると思っています。

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▲オリジナルキャラクター・貂蝉が登場し、闘士たちのバトルが展開する『一騎当千 Shining Dragon』。高木プロデューサーは当時のインタビューで「いかにプルプルやチラチラをさせるかにこだわって表現した」とコメントしていた。

――『Shining Dragon』を出す時から、2作目、3作目の構想はあったのですか?

 特に決まってなかったんですが、僕は『一騎当千』が好きだったので、3作くらいやりたかったんですよ。なので、当時の営業に「3作は出すのでちゃんと売っていこう」と、話していました。

――『一騎当千』シリーズは作品を出すたびに、生まれ変わっておもしろくなっていったという印象でしたね。特にPSP『一騎当千 XROSS IMPACT』はよかったです。

 PSPでああいうタイプのゲームはなかったですしね。予算が潤沢にあったわけではないのですが、毎回できることをやって、黒字にして次につなげ、もっとよくしていく。そういう流れは意識していました。

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▲2008年に発売されたPSP『一騎当千 Eloquent Fist』。横スクロールのアクションゲームに生まれ変わっている。
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▲『一騎当千 XROSS IMPACT』は、『Eloquent Fist』の流れを組みつつ、さらに爽快感が増した作品に。オリジナル闘士の阿斗に加えて、『Shining Dragon』から貂蝉、『Eloquent Fist』から関平が登場する。

――最近では爆乳プロデューサーもすっかり板についてきましたが、なぜ始めたのですか?

 普通のことをやってもおもしろくないじゃないですか? 『一騎当千』って版権ものなので、一定層のファンがいるのは確実。いやらしい話かもしれませんが、その人気に乗っかれば頑張ろうが頑張らまいが、ある程度の数は出るんですよ。ただ、それでいいのかと!

――いや、よくないと!

 企画者として、エンタメできるところはあるんじゃないかと思ったんですよ。それに……普通にプロデューサーとして出てもつまらないじゃないですか?(笑) せっかく“爆乳ハイパーバトル”という言葉を作ったので、徹底してやろうと考えました。“爆乳プロデューサー”って文字を見たら、皆二度見するじゃないですか?

――男の爆乳プロデューサーですしね。

 そうそう(笑)。シリーズファン以外の人たちにも、興味を持ってもらえるようなきっかけ、しかけをなるべく用意したいと思ったのがきっかけですね。

――原作があることについて、どんなメリット、デメリットがあるのでしょうか?

 先ほどとかぶるんですが、すでにコンテンツとして認知されているので、売れるパイを予測しやすいのが最大のメリットです。デメリットとしては人様の作品なので、自分がやりたいと思ったことでも、作品にそぐわなかったらできない。当たり前ですが。

 あとは、何をするにしても段階を踏む必要があるので、審査やチェックに時間がかかります。いい面もありますし、一方で扱いにくい面もあるのが版権ものですね。

――なるほど。これまで作品を生み出すにあたり、困難はどうやって乗り越えてきましたか?

 僕は、予期せぬ困難にぶちあたったらまず乗り越えられないと思っています。なので、プランニングや企画書の段階からいろいろなケースを想定して、こういう場合はこうするとか、どうするべきというのを考え準備しておきます。

 あとはコンセプトや方向性を見据えておくのが重要です。『閃乱カグラ』だと“おっぱい”という核がないまま、企画がスタートした場合、中心にあるべきものがないので「このタイトルは響かないね」ってなる。逆に言うと、核を用意して走り出せば、なんとかなるんですよね。

――高木さんがクリエイターを目指した時には何をしていましたか?

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 実はあんまりないんですが、昔からたくさんのゲームにふれようと思っていました。これは後ろにあるソフトが物語っていると思うんですが(笑)。さらに言うと、ゲームだけでなく自分が興味を持ったものを、自分で選んで自分でさわるようにしています。

 ……こういう質問は難しいですね(笑)。1つ言えるのは、クリエイターを目指してゲームを作ろうとしているのであれば、作り始めたら意地でも完成させることが重要だと思います。多くのアイデアは完成させられずに終わっている。完成していないので成長しないし、得るものもない。とにかく短くてもいいので、エンディングまで最初から通して作ることができるか、できないかが重要なんじゃないでしょうか。

――簡単じゃないからこそ、作ってみなよと。

 簡単には作れないからこそ、作れる気になってしまわないようにする。あと、出来あがっているものを批判だけしてわかった気になることは、避けるべきだろうと思います。

――ゲームを開発するうえで意識していることがあれば、教えてください。

 仕事をしていると、マーケティングについての話題ってよく出るんですね。あれって、今の市場状態を整理しているだけで、次の予測がないことが多い。現状については見ればわかるので、マーケティング自体をあまり信用していません。

 あとは、業界を俯瞰(ふかん)して見るのではなく、コアユーザーとして見たいと思っています。業界の中から、全体の流れを見る。それによって、新ハードが発表された時に「こういうゲームが欲しいよね?」というのを1人のユーザーとして想像できる自分でありたい。

――開発者でもあり、ゲームユーザーでもあると。

 例えば3DSだったら「おっぱいを立体視で見たい!」となりますし、PS Vitaがアナウンスされたら「綺麗な絵の美少女キャラのゲームを欲しいよね?」となる。他社が移植やリメイクを出している中で、オリジナルで魅力的なソフトがリリースされたら、ゲーマーは心を惹かれるはず。その感覚はユーザーと近くあり、失わないようにしたいと思います。

――クリエイターになってうれしかったことは?

 やはり自分が企画したゲームが、ゲームショップの棚に並んでいるのを見るのは何本発売してきても代え難い喜びです。

――業界あるあるを言える範囲で暴露してください!

 過去の名作を俺が作ったと主張するプロデューサーやディレクターがいつの間にか増えてる、とかですかね(笑)。

オリジナルコンテンツへのこだわりが4ページ目で爆発!

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