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2013年8月20日(火)

『ドラッグ オン ドラグーン3』小説をレビュー。読めば読むほど意味深な問題作を考察(ややネタバレあり) 【電撃DOD3】

文:タダツグ

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■フォウ 家族の肖像

『ドラッグ オン ドラグーン3』

 品行方正な態度や見た目に反して、心の中に苛烈な劣等感を抱え込んでいるフォウ。その“歪み”がモロに見えるのが、こちらのエピソードです。ゼロを除くウタウタイたちが続々と登場するので、彼女たちの人となりがなんとなーく垣間見えるのも、妄想を掻き立てられていい感じ。

 表向きは優等生だけど、裏では……なんて設定は、ぶっちゃけさほど珍しいものではないですが、このフォウはかなりネジがぶっ飛んでいて、こう……。現段階では“一番『DOD』っぽいキャラ”になっているんですよね、僕の中で。ハンチやフリアエに通じる卑屈さとか、性的な鬱屈感とかが、隠しきれずに匂い立っています。とりあえず、“唯一の処女である”という設定には、妙に納得できました。このあたりは、女性ファンが読まれると少し印象が異なるかも?

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲フォウの物語の時間軸は、非常に抽象的なのも気になるところ。しかし、ウタウタイは誰1人例外なく、心になんらかの闇を抱えていますね。ゲーム中では、フォウがどんな感じに激しく乱れるのか、今から気になります。はよ10月31日になれ!


■スリイ ワタシの人形は良い人形

『ドラッグ オン ドラグーン3』

 読んでいて一番心がザワザワしたのが、このスリイのサイドストーリー。公式で“不思議ちゃん”設定されているスリイですが、それってずいぶんカワイイ表現ですよ。だって、ここで描かれている人形って、これ……。

 描写のほとんどがひらがなであるところとかも、地味にキます。読みづらいとかそういう意味じゃなくて、時にひらがなは漢字やカタカタに比べて、精神的に刺激が強くなるんだなぁと、身をもって体験した気分。ぶっちゃけ、ビジュアル的にすごく好みのタイプだったスリイですが、この物語を読んでより一層好きになりましたね。いい、すごくいい。藤坂公彦さんがデザインしたスリイのハサミ、グッズ化してくれないかなぁ(チラッ)。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲ハサミでオクタのいろいろなところを切ろうとするという描写。最初はぷぷっと噴出して、その後ゾゾッとしました。スリイちゃん、恐ろしい子……。


 今後は、まだ公開されていないワンや、小説中で名前だけでてきているトウのサイドストーリーも、順次公開されていくかと思います。電撃オンラインの情報や、公式サイトの告知をお見逃しなく。

 少なからず、ネタバレや伏線は含まれているであろうこれらの物語。ファンの中には、ゲームを遊ぶまでは読みたくないという方も少なくないことでしょう。実際、ゲーム発売の3カ月近くも前から、登場人物たちのサイドストーリーを読めるというのは、なかなかに珍しい展開です。

 ただ、柴プロデューサーいわく、このサイドストーリーを事前に読み、ウタウタイたちの人物像について理解を深めておくことで、ゲーム中で彼女たちが登場した時、よりスムーズに感情移入できるとのこと。これはすごく革新的な試みではないですかね。

 それぞれの物語もあまり長くないので、空き時間にスッと読み切ることができちゃいます。興味を抱いた方は、ぜひ読んでみてくださいませ。

『ドラッグ オン ドラグーン3』

(C)2013 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
Character Design : Kimihiko Fujisaka.

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