2013年11月16日(土)
スクウェア・エニックスが11月21日に発売するPS3/Xbox 360用RPG『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』。その開発スタッフへの連続インタビュー企画の第5回をお届けする。
本作は、『ファイナルファンタジーXIII』の主人公・ライトニングをプレイアブルキャラクターとして復活させた、ライトニングシリーズの最終章となるタイトル。世界の終末までに残された“13日間”という制限の中で、プレイヤーは自身の選択によって冒険を進めていく。ライトニング1人を操作するバトルはコマンド制ながら、スピーディかつ駆け引きが重要となる、アクションゲームのようなシステムになっている。
今回お話をお聞きしたのは、『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』のアートセクションを担当した3人のキーマン。アートディレクターの上国料勇氏は本作の世界観を作り上げ、リードアートデザイナーの松田俊孝氏はアートセクション全体を統括。そしてキャラクターデザイナーの板鼻利幸氏は、ルミナのデザインの他、ライトニングの衣装を多数手掛けている(インタビュー中は敬称略)。
→第4回・フィールド編(ウィルダネス/デッド・デューン)はこちら!
→第3回・フィールド編(ルクセリオ/ユスナーン)はこちら!
→第2回・バトル編はこちら!
→第1回・ゲームデザイン編はこちら!
▲左からから、キャラクターデザイナーの板鼻利幸氏、アートディレクターの上国料勇氏、リードアートデザイナーの松田俊孝氏。 |
――まずは皆さんそれぞれの実務内容を具体的に教えてください。
上国料:『FFXIII』『FFXIII-2』、そして本作と、3作続けてアートディレクターを務めました。ノウス=パルトゥスの世界観&デザインを考えたり、グラフィック全体のコンセプトアートなど、指針になるような部分を考え、まとめました。
松田:私はアートリーダーを担当しました。イメージ周りやコスチューム、全体のマネジメントを中心に作業を行っていました。上国料の役職との違いですが、アートディレクターはアートに限らずすべて、作品としてのクオリティもコントロールするディレクションですね。自分はアートの実務周りをメインに行うといった形です。あとは、スケジュールや仕事のアサインなどをまとめて見ていました。
板鼻:自分は今作の新キャラクターであるルミナのデザインや、ライトニングのウェアのデザイン、武器や盾、アクセサリのデザインなどを担当しています。
――『ライトニング リターンズ FFXIII』は、これまでの2作とはアートの部分でどういった点が異なるのでしょうか?
上国料:本作は、これまでの2作品と比べるとダークでシリアスな世界観となっています。3部作のラストということで、シナリオの雰囲気などを見つつ、どういった方向性、世界観にしようかと考えた時、重厚なイメージにしようと。最後の結末を迎えるまでにライトニングをはじめ、メインキャラクターがたくさん出てくるのですが、それぞれが運命を背負っている中、彼らとライトニングがどのように絡んで、どういった結末を迎えるのかという重くシリアスな点がストーリーのキモとなる部分だと考え、デザイン的には現実世界寄りでリアルな雰囲気の世界観で、1つの世界が終焉を迎える際の壊れ方、非常に不安定な部分を意識して作っていきました。
――そこはディレクターの鳥山求氏と一緒に考えていったのでしょうか?
上国料:鳥山は今回、かなり自分たちにまかせてくれましたね。『ライトニング リターンズ FFXIII』では大きく分けて4つのロケーションが登場するのですが、それぞれ大陸ごとにユニットを作り、そのメンバーと連携を取りつつ、大陸ごとの特色を出して、おもしろい世界にしてくれと言われました。そこで、ユニットごとにディスカッションしながら作りました。
――3部作の中では、一番自由な作り方といった感じでしょうか?
上国料:そうですね。4つの世界のユニットごとに、ある程度の決定権と創作のハンドリングを与えて、おもしろい企画にしようというコンセプトがあったので。これまでとはだいぶ違った雰囲気で作れたと思います。
松田:上国料や鳥山がコンセンサスを取りつつも、結果それぞれのアーティストの色を出すことができたので、本当に個性豊かなロケーションができたんじゃないかと思います。逆にいつもと同じような作り方ができなかったのですが、上国料がノウス=パルトゥスを最初に仕上げてくれたことで、この世界にどういった要素があるのかを確認することができ、そこから大きく外れた作り方になることはなかったです。
あまりに突拍子のないものができないようにはコントロールしつつ、それ以外は自由にという感じで作っていきました。ゼロからは意外性が生まれ、それがメリットをもたらすこともあるのですが、今回に限っては統一された世界観が大事ですので、そこはしっかりと注意しました。
――タイムリミットのある世界を表現するにあたって、これまでとデザイン的な表現の違いはありましたか?
上国料:『ライトニング リターンズ FFXIII』には異なる4つの大陸があって、そこをユーザーさんは自由に行き来できます。すごくたくさんのアプローチで自由にゲームを攻略できるので、自然にその世界のマッピングを頭の中にイメージしながら遊べるようデザインしていきました。
→ライトニングのコスチュームでそれぞれが意識した点とは?(2ページ目へ)
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