2013年11月15日(金)
――『MGSV GZ』は『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER(以下MGS PW)』から数カ月後の物語ということですが、その間の物語(チコが囚われた経緯など)は語られるのでしょうか?
そのあたりは、情報の断片がいたるところにありまして、ゲームを進めて行くごとにわかっていくようになっています。ゲームのミッションのなかにいろいろな情報があるので、それを繋げていくとよりキャラクターへの感情移入ができるようになっています。
チコは『MGS PW』をやった人にはどんなキャラクターがわかるじゃないですか。だから助けに行かないと、という気持ちになると思うんですが、『MGS PW』をプレイしたことがない人は、子どもを助けに行くんだくらいにしか思わないと思うんです。パスもそうですね。やったことがない人には、男の子と女の子という差ぐらいにしか思わないと思います。
でも、助けに行く間のミッションでいろいろな情報が断片的に入ってきて、なんとなくこのキャラクターがどんな存在だったのかが、わかるようにもしています。だから『MGS PW』をやっていたほうがいいとは思いますが、やっていなくても楽しめるようにはしています。
『MGSV GZ』から9年後となる本編の『MGSV TPP』をいきなり遊んでも、わかるようにはしています。でも、いきなりとんでもない始まり方をしますよ。ちなみに、チコを助けるときにもけっこうあっさり助けます。これは知っている人には感動的なシーンになるわけですが、知らない人には「誰だこいつ?」ってなりますから。
――これまでのシリーズ作品と比べて、今回はストーリーの語り方、語られ方というのが変わられたようにも感じますが。
そうですね。やはりオープンワールドですし。演出をハデにしようとするなら、人が死ぬときとかですが、そういったことをハデにするとオープンワールドの世界と齟齬がでるので、なるべくそういったことはしないようにしています。わりとリアルというか、ゲームならではの話を紡ぐという手法に変えていますね。だからユーザーの力量というとヘンですが、構成力という面で見え方も変わってくるとは思います。
今回、スネークはすごく大きなことが起きて感情を隠すというか、閉じこもった人になってしまうので、あまりジョークを言ったり女性を口説いたりはしなくなるんです。でも、そういった状況のなかでも感情が顔に出るように、キーファーに表情のモーションをお願いして演じてもらいました。そういったところで、声ではない感情の表現は高まっています。それを見て「この人はいったい何を考えているんだろう」とユーザーに考えてもらえれば。そのための材料が、いろいろなところに落ちているんです。それを集めている人と、集めていない人では、登場人物をとらえる気持ちも変わると思います。
――『MGS GZ』と『MGS TPP』、それぞれのサブタイトルが意味するものや、その名に込めた想いを差し支えない範囲でお聞かせください。
日本でいうと広島や長崎がそうですが、歴史上、世界中に人間の過ちというか、報復の発端となるアイコンとしての『GROUND ZERO(グラウンド・ゼロ)』がいっぱいあります。あと、スネークが英雄からビッグボスに変わるという大きな事件がここで起こるんです。キャラクター自体が変わってしまうような。スネークだけではなく一緒に行動をしていたカズも含め、ほとんどの人がこの事件で人間性を失うというか、大きく変わってしまいます。
彼らにとっての『GROUND ZERO』がここにたくさんあるんです。そいうった意味で“s”を付けて、『GROUND ZEROES』にしました。そういうことを起こした敵も変わっていくので、ここがすべての爆心地という意味でもあります。
――これまでのシリーズは、戦争とは、平和とはということを題材にしていましたが。
今回もそうですよ。戦争とか紛争の根元はどこかというと、自分と違うものですよね。異物の排除というのが対立だと思いますので。もっとわかりやすいことでいうと、髪の毛の色が違うとか、宗教が違うとか、思想が違うということなので。それは何かというと“民族”じゃないですか。
それが発端になって争いが始まり、やったらやりかえすという負の連鎖があって、それが何世紀にもわたって紛争を続けている国も宗教もあるわけですよね。こういった深い部分はこれまでのシリーズでは避けていた部分でもあるんですが。そのダークな世界を描いていますが、人によってはそういった部分をポジティブにとらえる方もいると思います。いろいろな人種の方々がいるニューヨークやLAスタジオもそうですし。
――今回の作品は従来のユーザーからすると、抵抗があると思いますか?
そんなことはないと思います。納得はしてくれると思いますね。人がこういった状況でこうなったらこうなるかもしれないと。自分ならどうするかなぁと考えてくれると思います。
――最後に、本作はスマートフォンなどのセカンドデバイスにも対応されているとのことですが、『MGS GZ』でも対応しているのでしょうか。また、具体的にどのようなことができるのでしょうか?
『MGS GZ』にも対応しています。レーダーとかマップを画面の外に出したかったんです。まぁ画面内のものも、通常は表示されず、必要なときにスッと出てくるようにもしていますが。こういったものをセカンドスクリーンで出しっぱなしにできるようにしています。あと、ランキングとかも出ます。これがあるとかなり便利なので、あるとないとではゲーム感覚がかなり変わると思います。
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