2013年12月27日(金)
安藤:今の『マジック&カノン』の潤沢なスピンオフのやり方は、マネタイズがうまくいって売り上げがしっかり上がってないと厳しいじゃないですか。今までのDeNAさんに対する、あくまで僕の主観的なイメージですが、儲かっていなければどれだけ盛り上がっていてもゲームの配信を停止すると思っていたんです。『マジック&カノン』はどういう状態なんですか?
馬場:会社として未来を見せるためのチャレンジングタイトルだと思うので、社長の守安以下「これを育てていかなきゃ」という話になっていますね。
安藤:なかなかしびれる話ですね。
馬場:守安はちゃんと、1プレイヤーとしてゲームをプレイして、クリアしていますからね。すごいと思います。「クリアしたんだけど、ここってこうじゃない?」というメールが来たりするんです。
安藤:今までのWebサービス系企業の考え方だと、売り上げランキングが上がらないと「やめよう」ってなると思うんです。『マジック&カノン』と『栄冠へのキセキ』に関して言うと、ゲーム屋なら売り上げやランキングに関係なく続けるんですね。なぜなら理屈抜きにおもしろいから。おもしろいゲームをじっくり育てていくという方向に向いているのは、そうしないとお客様に根付かないと理解しての決断だと思うし、大きな進歩ですよね。
馬場:大前提として、やっぱり優良なサービス、GOODコンテンツ、おもしろいものを出していかないとお客様にも振り向いてもらえないですし、支持を受けるために我々は全力で努力しています。おもしろくする努力をして納得のいった形で出す。結局ユーザーさんにしてみれば、遊び方や喜びはあまり変わらなくて、それこそブラウザもネイティヴアプリも、コンソールも関係ないんですよね。手触り感と、遊んでおもしろいかどうかなんだと思うんです。
安藤:ワクワクするおもしろさや、未体験のものがどれだけあるかは、モバイル業界では今まであまり論じられてこなかったじゃないですか。我々ゲーム屋はやって当たり前なんですが、それがDeNAさんから浸透し始めているのは、僕らからすると心強いとともに脅威でもありますね。
馬場:チャレンジしなきゃダメ、という土壌がうちにはあるんですが、そこはすごいと思います。この下期には約60本のゲームを出す予定ですが、それもすごいメガチャレンジですね。
安藤:“千三つ”という言葉があるように、歴史的なゲームって千本作って3本出るかどうかですよね。そこで千本作って3本しか出ないと思うか、本当に千本作ってみるのか。僕らは後者だと思っていて、全部ホームランを狙って千回打席に立てばいいと。でもそこに本気で取り組んでいる会社ってなかなかない。そういう意味では、本能的にもロジカルにもヒットに近づくにはどうしたらいいかを、DeNAさんは徐々に体得していっているんじゃないかと思うんです。エンタメ企業としての底知れぬ恐ろしさやミステリアスさが、最近すごくにじみ出ているような気がします。
馬場:だからバットを振りきった時ですよね。打席にすら立っていないじゃん、とならないように我々はやらなければいけないですね。
安藤:空前絶後な試みだと思いますし、チャレンジをしていくのは健全ですよね。DeNAさんは、今じゃなくてこれから何が流行るかを考えて数多くの手を打たれている。僕は『栄冠へのキセキ』と『マジック&カノン』を遊んだ時に、今後いい意味でヤバく育つと感じたんですが、本当にそうなるかもですね。これから出てくる60本のゲームと、『栄冠へのキセキ』『マジック&カノン』のアップデートを楽しみにしています!
DeNAという総合企業の中では、馬場さんのようなゲーム屋はまだ少数派だと思うし、相当タフでないとおもしろいゲームは作れないですよね。Web畑の人たちに突っ張っていかないといけないから。馬場さんのそんな意思や姿勢を『栄冠へのキセキ』や『マジック&カノン』から、今日のお話からもすごく感じます。この2作品はやり方次第で多くのお客さんに愛されると思うし停止されてしまうと僕も困るので(笑)、応援していきます! 今のアプリ市場は出せば売れる状態ではなく、おもしろくても売れないものが出てきている。そこに60本を投下すると公言するDeNAさんもすごいと思いますし、底知れぬ恐ろしさを感じます。これからが本当に楽しみです!(安藤武博)
(C)DeNA Co.,Ltd. 2013. Developed by Media. Vision Inc.
データ