2013年12月27日(金)
――英語版の音声を聞いていると、日本語版と声質やアクセントが似ている方が多く、イメージ通りの方が多くてビックリしました。これは、あえてそういった方を選んだのでしょうか?
ティム:英語版音声の声優は、プロデューサーやサウンドチーム、私など、複数の人物が参加するオーディションで決めていきました。その際、私はあえて日本語音声を聞かずに、英語の演技だけを聞いて選んでいきました。
逆にプロデューサーは、日本語の音声イメージを加味したうえで選考を行い、キャスティングを決めていった形です。
――あえて声が似ている人を使っているのかと思っていましたが、そうではなかったんですね。
高橋:あえてというわけではありませんが、選考段階では我々も1人1人聴き比べていきましたので、こちらから「この方の声がイメージに近い」などと意見を戻すことはありました。
浅野:そもそも我々のほうから、日本語版でのキャスティングの意図を伝えていたので、そのキャラクター性から外れない形で選んでいただけたと思っています。イデア役の人の声は、相沢 舞さんと似ていてビックリしましたが。『ブレイブリーデフォルト』はアニメを意識したキャスティングだったので、その部分もうまく伝わったんだと思います。
ティム:あとは、実際に収録する時には日本語がわかるスタッフが間に入って演技指導をしたり、現場のディレクターが非常に熱心にニュアンスを伝えていたりしたので、そういった部分がうまく出たんだと思います。
――逆に、日本語版と聞き比べてみるとおもしろいキャスティングになった部分はありますか?
ティム:リングアベルは聞き比べてみるとおもしろいと思います。日本語版は少し渋めのかっこいい声ですが、英語版は少し軽めで、もっとプレイボーイな感じが出ています。
高橋:ティズも、日本語版は女性の声優である斎賀みつきさんに演じていただいたんですが、英語版では男性の方が担当しているので、ちょっと男前になっていておもしろいです。
――関西弁でしゃべるボリトリィ会長のように、しゃべり方に特徴があるキャラクターについては、どのようなローカライズをしたのでしょうか?
ティム:別の言語のテイストを入れたりすることで、オリジナル版のような演出効果を考えました。例えばジャイロムービーに登場し、『ブレイブリーセカンド』の新ヒロインとなるマグノリアは、オリジナル版では日本語と英語が混ざったようなしゃべり方をしますよね。英語版では英語にフランス語を交えてしゃべるような形にして、その雰囲気を再現しました。
浅野:意外と気づかれていないんですが、『フォーザ・シークウェル』に収録されたジャイロムービーは他の言語でも楽しめます。すでに日本語で見たことがある方も、ぜひ英語でもう一度見てもらえると、新しい発見があるかもしれませんね。
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▲『フォーザ・シークウェル』クリア後のジャイロムービーは、英語音声・各言語のテキストでも見ることができる。日本語音声でマグノリアを見た時のイメージと、英語音声で見た時のイメージは、ほぼ変わらないはずだ。ここでも、マルチリンガルでのイメージの統一化がしっかりと実現されている。 |
――そういった各国の文化に合わせたローカライズを行う一方で、イデアの名ゼリフである“むぐぐ”は英語音声でも“Mugugu”としているようですが、その狙いや大変だった部分を教えてください。
浅野:“むぐぐ”は『ブレイブリーデフォルト』を代表する大事なキャッチフレーズの1つなので、我々オリジナル版の開発チームから、できれば英語でも同じ言葉でローカライズしてほしいとお願いしました。
ティム:基本的には日本語でしか意味が通らない言葉なので、特に音声収録の際は大変でした。“Mugugu”という言葉をローマ字読みで発音すると、“ムググ”のように不自然になってしまって、イメージが変わってしまうんですよ。いろいろと試行錯誤した結果、“Mrgrgr”と“R”の発音を取り入れることで、英語でも違和感がなく再現することができました。
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▲英語版では「Mrgrgr」。 | ▲フランス語は音声がないので「Raaaah!」となっている。 |
――まさか、英語での“むぐぐ”がそんなに苦労したとは。でも、そのおかげで英語版の“むぐぐ”は、日本人である我々にとってもいい感じで聞けるレべルで再現されていると感じました。
ティム:“むぐぐ”が“ムググ”になってしまうと、まったく違うキャラクターになってしまいます。キャラクターのオリジナリティをキープするためにも、力を入れた部分ですね。
結果的には、日本語以外の言語で見たり聞いたりしても、“むぐぐ”が持つ、言葉に詰まった感じは、ちゃんと伝わるようになったと思います。
――そういったローカライズに対して、現地での反響はいかがですか?
ティム:現地のプレイヤーによる品質チェックの際にも、かなり評判がよかったです。それに、つい先日、海外でのレビュー記事が掲載されましたが、全般的にプラスの評価をいただいていてうれしいですね。
今回、海外版についてもマルチリンガル対応となっており、例えば英語版を買っても日本語での文章やボイスを楽しめるようになっています。その部分も高く評価していただけているようですね。
――たしかに編集部でも、『フライングフェアリー』の際に日本語でプレイしているので、今回の『フォーザ・シークェル』を遊ぶ時には英語音声にして日本語テキストにしたり、逆に日本語音声で英語テキストにしたりと、日本語以外の言語で遊んでいる人がいました。
ティム:映画やDVDを見る時に近い感じですよね。日本のユーザーさんとしても、遊びなれたゲームを英語で聞いたり、英語で読んだりするのは、おもしろい経験になると思いますし、勉強にもなると思います。
――勉強は苦手ですが(笑)。でも実際のところ、たまに知っている単語が出てくるだけでも、テキスト読解やヒアリングはグンと楽になりますからね。
浅野:今回はテキストの自動送り機能を入れているので、より他の言語でも楽しみやすいと思いますよ。英語のテキストが画面いっぱいに並ぶと、ちょっと読み疲れることがあるんですけど、自動送りにしていると、ほどよいタイミングで先に進んでいくので便利です。オススメは英語のテキストで日本語音声にすることですね。
――日本語音声で意味を聞きながら英語テキストを見ると、たまに知っている単語が見つかるのがうれしいんですよね。
ティム:RPGと別言語の勉強は、意外と相性がよい部分が多いと思うんですよね。イベントシーンは映画を見ているような感じなので、どんな場面でどんなセリフが言われているのか想像しやすいですし、バトルやショップでのコマンドは基本的に日本語で使い慣れているものなので、言語を変えてもなんとなく意味を想像できると思います。
基本的には“たたかう”のコマンドはいつも一番上にあるわけですし、“ブレイブ”や“デフォルト”という言葉を知っていれば、日本語以外でもコマンドを選択できるはずです。
浅野:海外の人が「日本のアニメを見て日本語を覚えました」と言っていることもあるじゃないですか。だから、「『ブレイブリー』を遊んで日本語を覚えました!」という人も出てきてほしいですね(笑)。
一番苦労したのは……ソードマスターのアビリティ?(3ページ目)
(C)2012,2013 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
MAIN CHARACTER DESIGN:Akihiko Yoshida.
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