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2014年2月14日(金)

『ガルパン』で威風堂々たる姿を見せた黒森峰女学園のドイツ戦車を『World of Tanks』でチェック!【めざせ! 戦車道免許皆伝 第19回】

文:田中尚道

■史実ではなぜか戦車の扱いに……【Jagdpanzer IV】(Tier VI)

 戦中のドイツでは、あらゆる戦車が駆逐戦車に改装されました。もちろん、IV号戦車こと【Pz.Kpfw. IV】もその例にもれず、派生型として【Jagdpanzer IV】が開発されます。これは【Pz.Kpfw. IV】の車体に、【Pz.Kpfw. V Panther】の主砲である7.5cm砲を搭載したもの。【Pz.Kpfw. IV】にはない傾斜装甲を有していて、避弾能力はそれなりに良好でした。砲も、前面装甲に直接接合したので車内が広くなり、生産性もアップしました。

『World of Tanks』
▲大洗女子学園のポルシェティーガー【Tiger (P)】に戦線を突破された黒森女学園の【Jagdpanzer IV】。

 ところが、このせいで車体バランスはノーズヘビーになり、操縦性は低下します。何ごとも、あちらを立てればこちらが立たず……。この不具合のせいで、“グデーリアンのアヒル”という、あまりありがたくないの異名をもらってしまいました。多分、ヨタヨタしてたんでしょうね。

 初期型は、70口径の長砲身砲の生産が【Pz.Kpfw. V Panther】向けに優先されたため、48口径の7.5cm砲を搭載していました。しかし、後に本来のプランである70口径砲が装備されます。そして、なぜかコレ以降はIV号戦車/70という名前に改称されました。なぜ?

 さらによくわからないのが、短砲身の48口径IV号駆逐戦車と同時に生産が進められていたこと。短砲身型は文字通りの駆逐戦車として、長砲身型は火力支援戦車として戦車隊に配属されたそうです。なお、黒森峰女学園の【Jagdpanzer IV】はⅣ号戦車/70(V)ですが、/70の後にある(V)とか(A)は生産工場の違いを表しています。(V)がフォマーク社製、(A)がアルケット社製。アルケット社製の車両のほうが車内が広く、装弾数が多かったそうです。

 余談ですが、【Jagdpanzer IV】の他にも【Pz.Kpfw. IV】ベースの突撃砲が作られていました。これはIV号突撃砲と言いますが、【Jagdpanzer IV】の生産までのつなぎとして、【Stug III】のG型の上部構造を【Pz.Kpfw. IV】に移植したものです。既にあるものをただ流用しただけなので、即座に生産できました。攻撃力は短砲身の【Jagdpanzer IV】と同等で、防御力の面では劣るものの、【Jagdpanzer IV】のようにノーズヘビーということもなく、操縦性と機動性はこちらのほうが良好だったそうです。なお、IV号突撃砲は『WoT』には登場しません。

『World of Tanks』
▲『ガールズ&パンツァー』の劇中では、大洗女子学園が待ち伏せした丘の争奪戦で、その姿を見ることができます。駆逐戦車が機動防御以外に使われることはあまりないのですが、まぁ戦車の扱いだし、いいか。

●『WoT』での【Jagdpanzer IV】

 【Jagdpanzer IV】の初期砲は、なんとTier IVの【Hezter】の最終砲と同じ。それはあんまりだ。とはいえ、【Stug III】で最終砲まで開発していれば、【7.5cm Pak42 L/70】をいきなり搭載できます。その後は、8.8cm砲が最終砲になります。火力的にはTier VIIの【Jagdpanther】と同等になるわけです。

 装甲は【Stug III】とほぼ同じ。ただし、避弾能力が向上しているおかげで、思ったよりも弾きます。また、耐久力はさすがに倍ぐらいあります。視界も【Stug III】より優秀です。機動性もおおよそ申し分なし。ただ、期待するほど強いわけではありません。例によって例のごとく、“撃ったら逃げる!”を忘れずに。

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■輝かしき次世代戦車【Panther】(Tier VII)

 ソビエトの【T-34】との遭遇にショックを受けたグデーリアンが、調査団を派遣して【T-34】を徹底的に調査した結果、傾斜装甲が防御力の向上に有効で、幅の広い履帯が軟地形でも機動性を発揮、そして搭載されている76.2mm砲が同規模の戦車の砲としては強力であるとの報告を受けました。

 これらの報告をふまえて開発に取り組んだ新型戦車が、V号戦車パンターこと【Pz.Kpfw. V Panther】です。ちなみにティーガーこと【Tiger】はVI号戦車に当たるのですが、その開発は【Pz.Kpfw. V Panther】より前に始まっています。なんでじゃろ?

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▲ちょこまかと動き回る大洗女子学園の【Hetzer】にもてあそばれる、黒森峰女学園の【Panther】。

 はてさて、【Tiger】がVI号戦車とは呼ばれないのと同様に、【Panther】も制式名称では数字が消えてパンターとだけ呼ばれます。そんなエポックメイキングなこの戦車は、ドイツ陸軍の期待を一身に受け、それまでの【Pz.Kpfw. III】の生産はすべて【Panther】に振り替えられました(【Stug III】のみ生産を継続)。比較的導入コストが安価だった【Pz.Kpfw. V Panther】ですが、それでも【Pz.Kpfw. III】と比較して3割ほど、【Pz.Kpfw. IV】よりも2割ほど高かったので、【Pz.Kpfw. IV】は終戦まで【Panther】と並行して生産が続けられました。

 なお、ほぼ設計が終了した段階で車体装甲強化の命令が出され、車重が45tと重戦車クラスにまでアップ。そのせいで、【Panther】は足回りにさまざまな不具合を抱えたまま、史上最大の戦車戦であるクルスク会戦に投入されます。不具合を直していないため、戦車戦で撃破される前に、多くが前線にたどり着けないという体たらく。おかげでパッとしないデビューとなりましたが、以降は車体の改良や組織の再編などで、押しも押されぬドイツ軍主力戦車の地位を確固たるものとします。

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 もともと【T-34】に対抗するために作られた【Panther】ですから、戦場では【T-34】を圧倒。これを見たソビエトはあわてて、85mm砲を搭載した【T-34-85】を開発します。ところが、【T-34-85】で【Panther】の正面装甲を抜くには距離500mまで近づかねばならず、反対に【Panther】は距離2,000mで【IS-2】以外のあらゆる戦車の装甲を抜けたとのこと。これによってドイツはかろうじて連合国と戦えるようになったものの、不利な状況は変わらなかったようです。この高い性能はソビエトでも高く評価され、大戦末期には鹵獲した【Pz.Kpfw. V Panther】で戦車隊を編成したり、ロシア語の操作マニュアルも作られたとか。

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▲『ガールズ&パンツァー』の劇中に登場するのはG型。【Panther】の最終生産型で、弱点だった側面装甲が若干強化されています。

●『WoT』での【Panther】

 【Pz.Kpfw. V Panther】は優秀な戦車で戦後も各国で使われていたのですが、『WoT』では登場するのがTier VIIと、やや遅いのが残念。【T-34】に対抗する戦車なんだからTier VIでいいじゃないかと思いますが、それを言ってもしかたない。前面装甲はまだましですが、弱点となる側面装甲はTier VIIでは紙に等しいので、敵に側面へ回り込まれないようにしてください。砲も貫徹力は十分ながら、ダメージがTier VIIにしては少なく、敵を破壊するには手数を必要とします。命中精度はさすがのドイツ砲なので、遠距離からの精密射撃でなんとか!

『World of Tanks』
▲最終砲である【7.5cm Kw.K. L/100】は、砲身長が7.5mです。長すぎでしょ! そして長いがゆえに、敵に寄られると弱い……。

→活躍の機会が与えられなかった悲劇の戦車?
【Jagdpanther】とは?(3ページ目へ)

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データ

▼『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』
■メーカー:ウォーゲーミングジャパン
■対応機種:PC
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年9月5日
■価格:無料(アイテム課金)

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