『ガルパン』で威風堂々たる姿を見せた黒森峰女学園のドイツ戦車を『World of Tanks』でチェック！【めざせ！ 戦車道免許皆伝 第19回】

文：田中尚道

■優秀な駆逐戦車に仕上がった【Jagdpanther】（Tier VII）

　【Panther】の開発がひと段落したところで、ドイツ陸軍兵器局から【Panther】の車体に【Tiger II】の8.0cm砲を積んだ駆逐戦車の開発が打診され、クルップ社からダイムラー・ベンツ社、そしてMIAG社へと開発会社を変えながら、1943年11月に【Jagdpanther】の試作車が完成しました。

　当初は変速機などの製造が遅延し、さらにMIAG社の労働力不足に空襲の被害も重なって、毎月10両弱という細々とした生産体制でした。後にMNH社とMBA社が合流して生産量は増大しましたが、1944年1月から1945年4月までの間に415両という数しか作られないまま、終戦を迎えました。

　なお、ドイツ軍が開発した重駆逐戦車としては信頼性が高く、【Jagdpanther】はバランスの取れた優秀な車両だったようです。攻撃力の面では【Tiger II】と同じ主砲を積んでいるわけですから、【IS-2】の正面装甲を2,300m先から抜くことができました。それ以外の連合国の主力戦車は、大概3,000mの距離で抜くことができたそうです。

　防御面においてもすばらしく、正面装甲に限って言えば【IS-2】の122mm砲で100mの距離まで近づいてようやく貫通可能となり、他の主力戦車の砲では貫通不可能というすさまじさです。ちなみに、運よくペリスコープに命中させれば撃破が期待できたとのことですが、そんな神業を狙うのは『WoT』の中でしかできないと思います。

▲撃破は困難なため、大洗女子学園も【Jagdpanther】の履帯を切って足止めするくらいの対策しかできませんでした。

　ちなみに【Jagdpanther】の投入時点では戦争も末期になり、組織的な運用は不可能となっていました。そのため、生産が完了したところから逐次的に手近な戦線に投入されたようで、薄く広く配備されたことが原因で、壊れても他の車両からパーツを取ることもできずに打ち捨てられることがほとんどという悲惨さでした。他にも、燃料が足りなかったり、パーツを交換できないので故障が頻発したりするなど、戦闘とは関係ないトラブルで、ほとんどの車両がドイツ軍自身の手で破壊されたと言います。なまじ優秀な車両だっただけに、負け戦のもの悲しさが際立つ、悲劇の車両となりました。

▲どんな強い戦車でも履帯は弱点。ましてや【Pz. 38（t）】なら、そこしか狙うとこないよね。とはいえ何度も切られたら、修理するほうとしてはたまらない……。

●『WoT』での【Jagdpanther】

　史実ではその性能が高く評価されているものの、正面80mmで側面50mm、背面40mmという装甲は【Panther】と同じ。Tier VIIの車両としては、少々心もとない状態です。搭載砲は10.5cmが最終砲となりますが、貫徹力は8.8cm砲のほうが若干高く、ダメージは10.5cm砲のほうが25％ほど高くなっています。

　また、装填時間は10.5cm砲のほうが2秒ほど長いので、どちらを使うかはお好みで。なお、8.8cm砲でも【Panther】の最終砲よりダメージがおよそ2倍になっているので、【Panther】で味わうかもしれない無力感は払しょくできます。走行性能も悪くありませんので、陣地転換も容易に行うことが可能。さすがの名車だけあって、使い勝手は良好です。

▲8.8cm砲だと、アメリカの【T21】に50％弱のダメージを与えることができます。【T21】は装甲は薄いものの耐久力が高いので、悪くない威力ともいえますが、回転砲塔がないので敵に後ろへ回り込まれると、なかなか厄介です。

■次回は第二次世界大戦での最強戦車とも言われる【Tiger】などを紹介！

　今回は、黒森峰女学園の脇を固めるバイプレイヤー的な戦車を紹介しました。次回は、隊長の西住まほ殿が乗り込むフラッグ車【Tiger】や、大洗女子学年のメンバーを震え上がらせた【Maus】など、華のある戦車たちを中心に解説します！

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