2014年2月14日(金)
いよいよ本格的に情報解禁が始まったエクスペリエンスの最新ダンジョンRPG『剣の街の異邦人』。まずXbox 360版が6月5日に発売され、その後8月22日にPC版が発売。また、2014年度内にPS Vita版の発売も発表された。
ダンジョンRPG作りに定評のあるエクスペリエンス(開発チーム名:Team Muramasa)が、ダンジョンRPGのコアユーザー向けに制作した本作。本作を制作するに至った経緯やその狙いなどについて、同社代表取締役でありプロデューサーの千頭 元さん、ディレクターの安宅元也さんのお2人にお話を伺った。
なお、本日公開された『剣の街の異邦人 ~白の王宮~/~黒の宮殿~』の情報については、こちらの記事を参照してほしい。
――まず、『剣の街の異邦人』の企画が始まった経緯について教えてください。
▲エクスペリエンス代表取締役社長であり、『剣の街の異邦人』プロデューサーの千頭 元さん。 |
千頭 元さん(以下、千頭):本作の企画が立ち上がったのは、Xbox 360版の『円卓の生徒』が発売されて、その反省会を行った後ですね。社内全員で数日間をかけて企画会議をしました。そこで最終的に企画として残ったのがプランナーさんの作った『終点魔界八王子』です。ただ、そのままゲームにしていくとちょっと変なものになってしまうので、色々と整えて行く中で『剣の街の異邦人』が形になってきたというわけです。
安宅元也さん(以下、安宅):一番最初の企画書では、中央線に乗っていたら終点が魔界になっていて、その世界で女子高生が大暴れをするみたいな感じでした。
千頭:今回は、ダンジョンRPGのコアユーザーをターゲットに絞っています。そういった方たちが楽しめるように、という作りを目指しています。ここ何年かはエクスペリエンスという会社を知ってもらったり、ダンジョンRPGを知ってもらったりといった、比較的ライトな層に向けたソフトを作っていました。そういったソフトを新規の方に受け入れてもらっていた一方で、“Team Muramasa”という名前を元々知っていたユーザーさんからは、「ヌルい」という声をいただいていたのも事実です。
また、世界観についても現代ではなく、ファンタジーを求める声が多くありました。おかげさまで会社が順調にまわってきたので、『剣の街の異邦人』のような“採算度外視”みたいなファンタジー作品を作れるようになりました。
安宅:これは、ダンジョンRPGのコアユーザーに向けたエクスペリエンスの恩返しのようなものと言えるかもしれません。
千頭:社長として「儲からなくてもよい」とは思っていませんが、本作で得たいものはお金ではないため、基本的な売るための要素に縛られない作りをしています。例えば、ビジネスとして考えたら、ゲームにはまず興味を持ってもらうため、プロモーションとしての幅広い層にかかるための“フック”となる部分を考えますよね。
“萌え”といった部分は、最もわかりやすいフックと言えるでしょう。そういったフックの要素を前提としていないのが、本作なんです。逆に言えば、そういった要素のないクラシックな作品に興味を持ってくれるユーザーさんがどれだけいるのか、それを見てみたいというところもあります。
安宅:そういった層がいてくれること自体はうれしいですね。とはいえ、確実にいるとは思うのですが、どれくらいの人数がいるかがわからないんです。
千頭:そういった意味でも本作は挑戦的なソフトであると思います。エクスペリエンスのソフト制作というのは、まず「損益分岐点」の設定をさまざまなデータから算出し、それよりさらに低い売上目標数を設定します。そこから開発費やプロモーション費用を算定して、極端にリスクの少ない作り方をしていました。ただし、予算をかけないのではなく、効率よく開発できる内容の検討に時間を割いています。
――確かに昔からお話を聞いているとエクスペリエンスのゲーム制作は「手堅い」というのが正直な感想です。
千頭:そうですね、エクスペリエンスはこれまでに一度も赤字のゲームタイトルを出したことがありません。しかし、今回は黒字化を全然考えていません。会社的にはそこが挑戦です。
安宅:限られたユーザーに向けた珍味的なゲームは、それだけで挑戦的とも言えますね。
千頭:物を売るための順序が今回はまったくの逆なんです。先ほどもお伝えした通り、普段は売れると想定した本数があって、それにたどり着くための設計図を作るのですが、今回は答えがあって、その答えを実現するためにどうするかという形になっています。
安宅:完全にエクスペリエンスの道楽ですね。
――では、エクスペリエンスにおける『剣の街の異邦人』の立ち位置はどこでしょうか?
千頭:一言で言えば「原点回帰」ですね。これまでのうちの作品は、エクスペリエンスという名前を広めるためだったり、ダンジョンRPGというジャンルを広めるためだったりの作品になっていました。しかし、この『剣の街の異邦人』はうちのファンに向けた、初の“広めることを考えない”作品なわけです。
――広めることを意識していないということですか?
千頭:会社ができて7年間勉強してきて、その結果をファンに向けているといった感じです。仕切り直しとも言えるかもしれません。実は本作はエクスペリエンス初となるXbox 360を軸としたソフトなんです。これまではPCからの移植でしたので。
――これまでの“Team Muramasa”作品を遊んできた人には逆に変わったタイトルに思われるかもしれません。
千頭:“Team Muramasa”としてもこういったタイトルを出すのは初めてかもしれません。『ウィザードリィ エクス』の時から多くのユーザーを取り込もうとした作りをしてきましたが、本作はこれまで推し進めていた方向性から反対側に走っているタイトルです。
安宅:全力でバックしてしまっている(笑)。
千頭:おもしろさの方向性としてはこれまで通りだとは思うんですけどね。
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――物語の舞台となるエスカリオなど、本作の世界観についてお聞かせください。
▲本作の開発ディレクターを務める安宅元也さん。 |
安宅:本作は『円卓の生徒』の世界観をベースにした純ファンタジー作品となります。『デモンゲイズ』は『円卓の生徒』からはるか未来の話ということでしたが、『デモンゲイズ』よりかは『円卓の生徒』に寄った話になりますね。
『円卓の生徒』の舞台となった大陸とは違う大陸、違う時代なのですが、世界観的な繋がりがあるといった感じですね。
――『円卓の生徒』の後という設定になりますか?
安宅:そうですね、時代的には『円卓の生徒』の後になります。ただ、『円卓の生徒』を知らなくても特に問題はありません。とはいえ、知っていると「ニヤッ」とできるようなものはもちろんあります。また、『円卓の生徒』はどちらかというと王道ストーリーでしたが、今作は結構ダークかつハードですよ。
千頭:本作は二転三転して最初に考えていたものとはだいぶ変わったものになりました。ハードにしよう、という方向性こそはずれていないですが、当初は街の生活感を出そう、みたいな話もあったんですよ。
安宅:街中の娼館みたいな大人のピンクな部分も入れようという話もありましたが、ほぼなくなりましたね。
千頭:ほぼ、というかゼロですよ。
安宅:外では戦いの日々、街では飲む、打つ、買うをやらせようかと思っていたのですが、気づいたらなくなっていました。
▲エスカリオの街中をイメージしたイラスト。 |
千頭:企画を立ち上げてから時間が経っているので、時代の流れとともに色々な要素が消えたり追加されたりしました。ただ、そうやってそぎ落として残ったものについては深く深く掘り下げていますよ。
これまで、『円卓の生徒』のトラップエンカウントや『デモンゲイズ』のトレジャーハンティングサークルといったハック&スラッシュのための要素がありましたが、本作にもこういった要素を搭載しています。ただ、また違うシステムを入れていまして、ハクスラの先っぽの部分である「どうやってアイテムを取ってくるのか」という部分を新しくしています。
▲アイテムを取得するために必要な鑑定など。 |
安宅:これまでは“取る”方がメインでしたが、本作では“狙う&奪う”が重要、という感じですね。『デモンゲイズ』からその部分にはメスを入れてきているのですが、アイテムは運だけで取るものではなくて、ある程度リスクを冒して報酬を得られるものということに工夫しています。
――登場するキャラクターたちについてお聞きします。まず主人公たちはどういう設定になっているのでしょうか?
▲登場キャラクターの1人、主人公と同じく異邦人としてこの世界に生きるリウ。 |
安宅:本作の世界には、現代からやってきた異邦人と最初からその世界に住んでいる人たちの2軸がいます。現代から来た人たちは、その世界の人たちとは違う存在ということで、一目置かれているんですよ。
――異世界に来た主人公たちは何を目的に冒険するのですか? 異世界にたどり着いてから、彼らは何をするのか。
安宅:まず明らかな目的は、自分たちの世界へと帰る手段を見つけるということです。そのために、異邦人にしか手に入れることのできない、ある物を集めることになります。それにより、帰れる手段が見つかるかもしれない、というのが話の骨子です。
エスカリオの街を拠点として、そのある物を探しにさまざまな迷宮へと冒険していきます。
――それでは、ともに冒険していく仲間のキャラクターメイキングについて教えてください。
安宅:まだあまり多くは言えないのですが、いつも通りの自由なキャラメイキングができると思っていただければと。また、ボーナスパラメータの割り振りで、頭を長時間悩ませてください。
千頭:クラスについては『円卓の生徒』や『デモンゲイズ』などと同じような系統になっています。詳細は今後明らかにしていきますが、公開されたキャラクターのイラストでちょっと想像はできるかもしれません。これまでの作品にはあまりなかったようなクラスも今回ありますよ。
▲ダンジョンRPGに付き物なのがキャラクターメイキング。このステータス画面写真から色々と読み取れる部分もあるだろう。 |
――パーティを組むメンバーも皆異邦人なのでしょうか?
安宅:主人公が異邦人なのは決まっていますが、パーティメンバーについては想像していただくという形になっています。特に主人公とパーティメンバーが会話することはないので、そこはプレイヤーの自由ということですね。
安宅:主人公はもちろん、パーティメンバーのアバターにさまざまなグラフィックを当てはめることができますが、いつも以上におっさんが多いですね。女の子だらけのパーティを作る人もいると思いますが、本作ではちょっと苦労するかもしれません。
▲イラストレーターの塚本陽子さんの手によるアバターイラスト。このイラストからもある程度のクラスが想像できる? |
千頭:また、パーティについて、通常のダンジョンRPGでは1パーティを駆使して攻略をするのが主流ですが、本作では控えのパーティメンバーも積極的に運用していくような仕組みにしています。昔のダンジョンRPGではメインパーティを救出するための2軍パーティを育成していたようなことがありましたが、それに近いものと思ってもらえればと。パーティメンバーを育てる意味があります。
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――本作は“Team Muramasa”作品における最高難易度ということですが、どういったイメージでの最高難易度ということでしょうか?
安宅:まだ調整中ではあるので、確実なことは言えないのですが、方向性としては『迷宮クロスブラッド』や『デモンゲイズ』のまるこげ(ゲーム中最高難易度)以上のものを目指しています。
千頭:でも『デモンゲイズ』のまるこげは、「まるこげのほうが楽だ」と言うユーザーさんが非常に多くいたんですよ。プレイヤースキルが高い人にはまるこげの方がサクサク進むのかもしれません。レベルも上がりやすくなりますからね。
安宅:でも決して、理不尽な高難易度にはしません。また、難易度と理不尽を一緒だとは考えておりません。本作は『迷宮クロスブラッド』のようにレベルキャップ(これ以上レベルが上がらないというライン)はないので、レベリングさえすれば力押しもできなくはないかな……? という感じですね。
千頭:キャラクターの未来予想図をどう作るかという感じですね。こちらのスキルを上げるともう片方のスキルが上がらない、となりますし、後戻りもできない部分もあります。
――難易度を高める要素とも思えるキャラクターの“消滅”についてですが、ゲームの中でこの消滅はどういう位置づけになるのでしょうか?
安宅:消滅は、ストーリー的にもシステム的にも絡んできます。キャラクターには命の回数券のようなものがあって、それがなくなると消滅するという形になっています。
――それではいきなり消滅するというわけではないのですね。
安宅:そうですね、だんだんと消滅していくというイメージです。年齢が高いと経験があるのでパラメ―タは高くなるのですが、逆に命の回数券は少ないです。ファンタジーの世界というのは便宜上死んでも魔法で生き返ったりして終わりがあるわけではないので、消滅という概念でシステムでもストーリーでも、死を表現しようと思ったんです。
千頭:消滅は世界の1つのシステムということですね。
――情報が明らかになり始めたばかりで、少々話が早いかとも思いますが、本作のやり込み要素はどのようなものを予定していますか?
安宅:要素として特に新しいわけではないのですが、本作にも武具に“+○”をつけて性能を変化させていくジェネレーターを搭載しています。ただ、本作ではよりやり込みが楽しくなるような仕組みにはしています。例えば、弱いアイテムでも序盤以降も使えるような感じですね。
物語の中盤くらいまで進んだスタッフのキャラクターを見ると、「汚れたパンツ+○」みたいなものを装備していたりするんですよ。それでそのスタッフに聞いてみたら「色々考えてこれが今は一番強かった」みたいなことを言っていたりする。防御力だけでなくて、色々と付くので序盤のアイテムでも結構強くなります。とはいえ、この部分についてはまだまだ調整中です。
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――続いて、今回発表となったPS Vita版発売についての経緯を教えてください。
千頭:エクスペリエンスとしては家庭用ゲーム参入後は、据え置き機はXbox 360で、移植は携帯機で行ってきました。最初の発表の段階で言えなかったのは、当時はエクスペリエンスのみでは携帯機へソフトを発売できる体制ではありませんでしたし、企画スタート時は『デモンゲイズ』も開発していませんでしたので、PS Vitaへの移植は考えておりませんでした。
安宅:会社的にPS Vita版も出せるような体制になったということもありますが、携帯機への移植要望や問い合わせが非常に多く寄せられました。
千頭:そのため、今年に入って移植を決めて、つい先日ソニーさんに相談に行ってきたばかりです。ウチの営業とも相談した結果、Xbox 360/PC版とPS Vita版で内容の違いを最初にしっかり告知して、ユーザーさんには好きなハードを選定していただく方針をとることにしました。
――それでは、PS Vita版での特徴というのはどのようなものでしょうか?
千頭:PS Vita版の特徴は、本日発表させていただきましたが、Xbox 360/PC版とは本質的な遊びの部分での変わりはありません。データ的な総数やイベント数が変わるということもありません。
変わる点といえば、一部のアイテムやモンスターが異なる点、エンディングを含むクリア後のダンジョンの違いなどです。本作が持つテーマの解釈を変えたバージョンにする予定ですので、ユーザーさん側からはお持ちのハードで遊べるものを選んでいただければと思います。プラットフォームの特徴部分としては、ネットワークを使ったランキング機能などを搭載する予定ですが、その分Xbox 360/PC版に付属する2枚組サウンドトラックは付きません。
また、Xbox 360版の『円卓の生徒』であった問題ですが、PC版をベースにXbox 360へ移植したため、文字が小さくて見えにくいという意見を多数いただきました。今回はXbox 360版に最適化されているため、据え置き機で見た場合は情報量のわりに見やすくなっていると思いますが、それをPS Vita向けに再レイアウトはされると思います。
――『剣の街の異邦人』はここがすごい! というポイントを強いて1つ挙げるとしたらどこになりますか?
千頭:エクスペリエンスのゲームにしては見た目が豪華、ということですね。好みはあると思いますが、キャラクター&モンスターのデザインをしていただいた塚本さんの絵力が圧倒的にすごいんです。
▲物語の中心に絡んでくる登場キャラクター。左からリウ、マリリス、アルム。 |
安宅:重厚という意味では抜群ですね。
千頭:あと、キャラクターとモンスターをどちらも同じ人が描いているということですね。これ、ゲームとしてはそんなに多くないんですよ。
――今回、ほぼすべてのデザインを塚本さんにお願いすることになった経緯を教えていただけますか?
千頭:もともとはモンスターのデザインをお願いしたいという話でした。でも塚本さんの絵で1つのゲームを作りたいという思いもありました。同じ方にキャラクターとモンスターをデザインしてもらうほうが、全体的なクォリティーは確実に高くなりますし。なんとか塚本さんを口説き落として、キャラクターとモンスターの両方のデザインをしていただきました。また、開発自体が止まっている期間も長くありましたので絵の制作に時間を使うことができました。
▲異邦人のみ倒せるモンスター“血統種”。通常のモンスターとは迫力が段違い。 |
安宅:開発者のほうが驚くかもしれませんね。「こんなに多くのイラストを1人で担当していたの!?」って。
――本作は企画の立ち上げから現在まで3年と、エクスペリエンスの作品としては長い開発期間になっていますが、開発を行っていく上で苦労した点はありますでしょうか?
千頭:まず真っ先に言えるのは、開発がよく止まったということですね。震災もあったことで先にXbox 360版の『迷宮クロスブラッド』を作ることになりましたし、その後にPS Vitaで『デモンゲイズ』を作ることにもなりました。実質は1年ほどの開発期間でしょうか。
ゲームデザインという面で言えば、本作は完全新作なのでシステムを一から作り上げる必要があり、しかもマニア向けということで組み上げるのに時間がかかりましたね。企画が苦労すると、そこからプログラムだったりデザインだったりといった部分まで苦労が波及していくので、そこから組み上げるのはさらに苦労しました。
安宅:開発チームとしてはこれからが正念場といったところですね。組み上げたものがきちんと歩けるのか、そういった部分の調整をずっと行っていく感じです。
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――現在のエクスペリエンスを取り巻く状況についてお聞きします。以前お話をお伺いした時と比べて、会社の規模が大きくなったように思われますが、いかがでしょうか?
千頭:これまで、ある程度長期的なプランでもって会社を経営し、その時の状況に合わせてやってきましたが、おかげ様で他社さんやコアなゲームユーザーさんからの認知度は7年前とは比べ物にならないほどになりました。とはいえ、一般のユーザーさんからの認知度はまだまだという状態なので、これからもがんばりたいところです。
また、社内のメンバーも『デモンゲイズ』を始める前に比べると2倍以上になりました。オフィスが手狭になりましたので、以前はビルの3階だけを借りていましたが2階も借り、そして次に4階も借りることになりました。
あと、これまでオフィス内から放送していた生放送のEXPチャンネルについても、次回からは秋葉原のスタジオを借りて行うことになりました。臨時のUstreamなどは社内から行うこともあるかもしれませんが。
――秋葉原で生放送を行うことにした理由は何でしょうか?
千頭:理由は2つありまして、1つはゲストさんを呼びやすくなる、ということです。今はゲストさんに八王子まで来てもらっているのですが、これを近場にできると。もう1つは自分たちでできる宣伝をしっかりとやっていこうということです。今年から『剣の街の異邦人』をはじめとしたさまざまなプロジェクトが動いていきますので、パブリッシングもしっかりとやっていこうと考えています。
――エクスペリエンスの今後の展開について教えてください。
千頭:今年はまず『剣の街の異邦人』があって、それからパブリッシャーを選定中の『オペレーションアビス』、『オペレーションアビス2』が予定されています。
『オペレーション・アビス』については、流通だったり発売時期だったりと条件が色々とありますので、まだまだ選定している段階といったところです。『オペレーションアビス2』については、ゲーム内容などを見た方はちょっとあらぬ方向に向かっていると思われる方もいるかもしれません。 『ジェネレーション エクス』をプレイされていて、『オペレーションアビス』をプレイされた方は、「こういうリメイクにしたのか」という感想を持たれるかと思いますが、その流れで『2』も同様の方向性かと思っていたら、別の方向に進んでいるんです。
安宅:とはいえ、ガッカリさせるような感じではないですよ。
――『オペレーションアビス』は『ジェネレーション エクス コードハザード』と『コードブレイカー』のリメイクにあたるわけですよね。『2』は『コードリアライズ』のリメイクと思ってよろしいですか?
千頭:そうです。『オペレーションアビス』はライトユーザー向けに『ジェネレーション エクス』のイメージを変えていくという作品なのですが、『2』は外側をそのままに中身を変えているような感じです。『1』を遊んだ方が『2』を遊んで損をした気分にしないようにとしています。
安宅:『1』もただリメイクしただけではないのですが、『2』はより踏み込んだリメイクになっていると思います。
千頭:今回は特殊なケースになるのですが、『1』と『2』の発売時期がそれほど変わらないという状況になってしまうんです。そこで『1』で出てきたモンスターと、そのまま『2』でも同じように戦っていると新しいタイトルを遊んでいる気がしないんじゃないかと思いまして……。
――では『オペレーションアビス』は『2』が発売されてとりあえず完結といった形でしょうか?
千頭:そうですね。『ジェネレーション エクス』シリーズは当分ないと思います。世界観としては残しておいていいと思いますけどね。
安宅:『ジェネレーション エクス』シリーズについてはやりきった感がありますね。
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――その後の展開としてはどのようなものを考えておられますか?
千頭:まだ時期も何も言えないのですが、エクスペリエンスとして大きいプロジェクトが2本あります。なお、そのうちの1本はダンジョンRPGではありません。
――『剣の街の異邦人』、『オペレーションアビス』&『2』と来て、さらに新規プロジェクトが2本とすると開発メンバーも全然足りないのではないですか?
千頭:現在、一緒にゲームの開発をしてくれるメンバーを鋭意募集中です。特にプランナーさんとデザイナーさんを募集しています。
安宅:できれば現場経験のあるプランナーさんとサブディレクターさんを猛烈に募集中です。
千頭:特にプランナーさんですね。プランニングは開発の中核ですし、各パートとの折衝も行わないといけないので、内部スタッフが必要なんです。基本的には2人ずつくらいで採用を想定していますが、いい出会いがあればバンバン採用したいと思っています。
うちは「定年までゲーム開発を行えること」を目標に、健康に気を遣って運営しているため、スケジュールをキッチリとこなして定時で帰るほど、高い評価を得られる会社です。基本的に残業も認めていません。とはいえ、社長は例外ですが……(笑)。
――それでは最後に『剣の町の異邦人』を期待しているユーザーおよび読者に対してコメントをお願いいたします。
千頭:本当に長いことお待たせしておりましたが、やっと詳細な情報をお伝えすることができました。本作はダンジョンRPGの上級者に向けて作られている作品になっておりますが、円卓の生徒から始まった同世界観の3タイトルの最後の作品になります。シリーズ集大成として繋がりのあるタイトルを遊ばれたユーザーの皆様にも楽しめる作品となっております。
安宅:今回の『剣の街の異邦人』について、会社として7年間の集大成という話があったと思いますが、個人的にはゲームデザイナーとして約13年、タイトル数としてもちょうど13本目のダンジョンRPG作品にあたるのが、このタイトルです。
テーブルトークRPGの『D&D(Dungeons&Dragons)』を教科書に、これまでダンジョンRPGを作り続けて来た者として、やはり本作に流れる“原点回帰”というコンセプトは、とても感慨深いものがあります。同時に、これまでダンジョンRPGを愛し、また我々を応援いただいた皆様への感謝として、ようやく直球の恩返しができる気がします。
とはいえ高難易度が特徴のこのゲーム、恩返しは恩返しでも「火傷するほど痛い恩返し」です! 開発スタッフ一同も、倍返し、あるいは10倍返し(笑)で恩を返せるよう、完成に向け努力を重ねております。『剣の町の異邦人』を楽しみにしていただいている皆様、どうぞプレイする日を心してお待ち下さい。
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