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2014年5月19日(月)

GB初のRPG『魔界塔士 サ・ガ』の思い出を振り返る!【サガ25周年記念連載】

文:MAC佐藤

GB版『魔界塔士 サ・ガ』パッケージ画像

 2014年12月で25周年を迎えるスクウェア(※現スクウェア・エニックス)の名作RPG『サガ』シリーズ。電撃オンラインでは、このお祭りイヤーを盛り上げるべく、シリーズ全作品を振り返る“サガ25周年記念連載”を展開中だ。

 連載第2回となる今回は、1989年12月15日に発売された記念すべきシリーズ第1作、ゲームボーイ用RPG『魔界塔士 Sa・Ga』の編集部座談会をお届けしよう!

 

【座談会参加者】

きっしー:『サガ』シリーズはGB3作とSFC3作をプレイ。地元・種子島で『魔界塔士 サ・ガ』を広めたのはオレだ! と勝手に思い込んでいる。『サガ』のおかげで友だちが増えた。最大の敵は玩具屋の孫。

そみん:初代『魔界塔士 サ・ガ』以来、シリーズを遊び続けてきた電撃オンラインのスタッフ。5年前の『サガ』20周年記念の際は、雑誌『電撃ゲームス』で連載コーナーを担当していた。

Mac佐藤:『電撃Nintendo』で活躍している『サガ』好きライター。初代『サガ』から『ロマンシング サ・ガ3』、そして『サガフロ2』の知識が豊富で、シリーズの中では『ロマサガ1』がもっとも好き。

【『魔界塔士 サ・ガ』が発売された1989年はどんな年?】
<主な出来事>
・新元号が“平成”に改元
・消費税が施行。税率は3%
・ゲームボーイが発売
・天安門事件
・ベルリンの壁が崩壊
・マルタ会談が行われ、米ソが冷戦終結を宣言

<主なゲームソフト>
・1月4日:『がんばれゴエモン2』(コナミ/ファミコン)
・3月21日:『ファンタシースターII 還らざる時の終わりに』(セガ/メガドライブ)
・5月23日:『ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女』(任天堂/ファミコンディスクシステム)
・6月14日:『テトリス』(任天堂/ゲームボーイ)
・6月30日:『天外魔境 ZIRIA』(ハドソン/PCエンジン CD-ROM2
・7月27日:『MOTHER』(任天堂/ファミコン)
・11月30日:『スクウェアのトム・ソーヤ』(スクウェア/ファミコン)
・12月15日:『スウィートホーム』(カプコン/ファミコン)
・12月21日:『イースI・II』(ハドソン/PCエンジン CD-ROM2
・12月28日:『SELECTION 選ばれし者』(ケムコ/ゲームボーイ)

<主なTVアニメ>
・『おぼっちゃまくん』
・『機動警察パトレイバー』
・『天空戦記シュラト』
・『ドラゴンボールZ』
・『魔動王グランゾート』
・『らんま1/2』

■ゲームボーイと『魔界塔士 サ・ガ』との出会い

『魔界塔士 サ・ガ』座談会参加メンバー 左からきっしー、Mac佐藤、そみん

きっしー:僕が『魔界塔士 サ・ガ』に出会ったのは高校1年生くらいの時だったと思うんですが、皆さんは何歳の時でした? ちなみに、初めてプレイした『サガ』が『魔界塔士 サ・ガ』でした。

そみん:自分も『魔界塔士 サ・ガ』が初めてで、中学1年生の冬でした。

Mac佐藤:僕も『魔界塔士 サ・ガ』で、確か中学2年生でしたね。

きっしー:『魔界搭士 サ・ガ』を手に入れるのは本当に苦労しました。というのも、僕は種子島の出身なんですけど、ド田舎なのでゲームボーイ発売当時はゲーム機やゲームカセットを扱っているお店が近所に1軒しかなかったんです。

 しかも玩具屋の片隅に置いてあるような状況で、店主のおばあちゃんがパッケージのデザインとかでテキトーに入荷するタイトルを決めていたという。おばあちゃんに「『魔界塔士 サ・ガ』は絶対売れるから入荷したほうがいいよ! 俺、予約1番ね」と全力でうったえました。なのに、発売日の1週間後に入荷して……。毎日通ってパッケージを手にした時は、お宝を手にしたようなうれしさでしたね(笑)。

Mac佐藤:ユニークな出会いですね(笑)。当時、『魔界搭士 サ・ガ』のどの辺りに惹かれたんですか?

きっしー:たぶんゲーム誌に掲載されていたイラストだったかと。それとスクウェア作品だったことも大きい。1年前くらいに『FFII』(1988年12月17日発売)が出て、そこからスクウェア作品にはまっていきましたね。

 ちなみに、当時はゲームで遊んでいる人が珍しかったので、周囲から情報が入ってくることがほとんどありませんでした。頑張って貯めたお小遣いで買うわけですから、唯一の情報源であるゲーム雑誌をすみずみまで読みつくして、買うソフトを決めるんです。『魔界塔士 サ・ガ』は期待以上におもしろかったので、本当にうれしかったですね。

そみん:周りの友だちもプレイしていたんですか?

きっしー:GB本体を持っている人が周りにいなくて、自分1人で遊んでいました。クリアして「これおもしれー!」と思って、みんなに広めるためにどんどん貸していきました。仲のいい友だちには本体ごと貸しましたよ(笑)。本体が島に普及してからは借りる人が増えて、知らない人からも貸してほしいと言われたり。いろいろな人に貸していたら、返ってきたのは1年後でしたが。でも『サガ』のおかげで友だちが増えました(笑)。種子島トークが長くなってしまいましたが、そみんさんはどんな出会いでした?

そみん:当時はインターネットなんてなかったので、基本的にゲーム雑誌でしか情報は手に入らず、主に『ファミマガ』を見ていたと思います。その別冊で『ゲームボーイマガジン』という小さめの判型の雑誌が出ていたんですけど、確かそのVol.1かVol.2の記事として『魔界塔士 サ・ガ』が取り上げられていました。スクウェアの新しいRPGということで、かなり期待していましたね。当時は、出ているRPGはなんでもやる勢いだったので、必然的に出会った感じです。

Mac佐藤:僕の場合は、確かソフトは弟が買ったんだと思います。それで弟がプレイしているのを見て、なんかおもしろそうだなと。

そみん:弟のものを兄が奪い取って遊ぶ典型的パターンだ(笑)。

Mac佐藤:兄の特権というやつです(笑)。

そみん:僕も3兄弟の長男なので、共同購入をしておきながら、必ず最初に遊ぶという特権を使っていました(笑)。

きっしー:携帯ゲーム機とはいえ、なかなか一家に2台というのは難しいですからね。ちなみに、ゲームボーイって皆さんの周りではどんなハードでした?

そみん:なんだかんだで、周りの友だちは結構持っていたと思います。

きっしー:僕の場合は持っていたらヒーローになれるというか、外でプレイしていると注目を集める感じでしたね。住んでいたのが種子島だったからゲームボーイ自体が手に入りにくい状況で、大阪にいる親戚に頼んで、なんとか買ってもらった覚えがあります(笑)。

Mac佐藤:やっぱり、いつでもどこでもゲームを遊べるというのは、当時としてはとても画期的でしたね。

そみん:自分の部屋で夜遅くにこっそりファミコンをプレイしていると、仕切りがふすまなので、テレビの光が外にもれて、親にばれて怒られたりするんですけど……。

きっしー:ああ、同じことやってる(笑)。

そみん:ゲームボーイだと、ふとんにもぐって明かりをつけてプレイしていれば、ばれにくいんです(笑)。朝も、学校へ行く前にちょっとだけ遊ぶということもできましたし。

きっしー:そんな時までプレイしてたの!?

『魔界塔士 サ・ガ』バトル画面 『魔界塔士 サ・ガ』バトル画面
▲明かりがないと画面が見えないので、布団の中にライトを持ちこんでGBのゲームをプレイする……当時の子どもなら誰もが経験している思い出かもしれない。

※ゲーム画面はすべてスーパーゲームボーイでキャプチャーしたものを使用。

■独特の世界観とタイトルの謎

そみん:『魔界塔士 サ・ガ』といえば、世界観もかなり独特でおもしろかったですよね。最初は剣、盾、鎧のファンタジーの世界で、次の世界はほとんど海だけの浮島。次が雲の上の世界で、最後が“アキバ”とか“シンジュク”とかの地名がつけられた都市世界という。いろんなものが混ざった、ごった煮感がすごかった(笑)。

きっしー:サブマシンガンとかミサイルとか、近代的な武器が出てくるところも斬新でしたね。

そみん:パッケージに書かれているイラストからして、すでに“にんげん・おとこ”がバズーカやチェーンソーを持っていますし。

きっしー:チェーンソーといえば、やっぱり最終ボスの“かみ”ですよね。

そみん:かみは バラバラになった。

きっしー:それと、戦う前の「これも いきものの サガ か……」っていうセリフも感動しました。タイトルの『サガ』ってそういうことだったのかと!

Mac佐藤:河津さんのインタビューで聞いた話だと、“性(さが)”を意識していたわけではなかったみたいですけど。

そみん:『エンペラーズ サガ』の“エンサガクロペディア 皇帝全書”によると、タイトルの『サ・ガ』は実は“サーガ”(中世の散文物語)でもなく、ゲームを他のものから区別するために作られた新しい言葉らしいです。

きっしー:そうなんだ。じゃあ『魔界塔士』はどこからきたんだろう?

Mac佐藤:冷静に考えると、なぜ魔界なのかっていう(笑)。

きっしー:最初は魔界を冒険するのかと思ったけど、そうでもないし。

そみん:ゲーム中に魔界という言葉が出てきた記憶もないんですよね。いろいろな世界があるごった煮感を“魔界”と表現しているのか、もともと構想として存在していた塔を下って魔王になるシナリオの名残なのか……いつか河津さんに聞いてみたいです(笑)。

■成長システムやハートなど、斬新なシステムが満載

きっしー:成長システムが斬新すぎましたね。肉を食べて変身していくモンスターの“食肉”はもちろんだけど、人間の場合も成長用のアイテムをお店で買って能力値を上げていくという。金の力でドーピングかよ! って当時思いました(笑)。

『魔界塔士 サ・ガ』さんしょううおの肉をゲット 『魔界塔士 サ・ガ』さんしょううおの肉を食べてゴブリンに変化

Mac佐藤:エスパーも、戦闘後にランダムで特殊能力を覚えたり、能力値がアップしたり。

きっしー:そうそう、人間と比べると能力値がなかなか上がらなくてさー。

Mac佐藤:あと、同時に覚えられる特殊能力は最大4つまでなので、それ以降は新しいものを覚えると、今覚えている中のどれかと入れ替わって……。

きっしー:新しい特殊能力を覚えて「やった!」と思ったら、「あれ、なんか変わってる? オレの“ケアル”を返せ!」みたいな。

そみん:個人的には、“×ほのお”などのマイナスの能力もあるのが納得できない(笑)。

きっしー:なんで弱点を覚えるんだという(笑)。突然変異だからしかたがないのかな。

そみん:まあ、それも含めて成長システムが独特なところは、大きな特徴ではあると思います。

Mac佐藤:経験値やレベルがないのは、かなり衝撃的だったような……。

そみん:PCではそういうゲームがあった気がしますし、当時の家庭用ゲームでも『FFII』とか『スクウェアのトム・ソーヤ』とかがあったけど。とはいえ、かなりマニアックなシステムだったと思います。あと、武器の使用回数が決まっているのは、これが初めてじゃなかった気がするけど、“ガラスのつるぎ”や“かくばくだん”といった1回しか使えない武器はインパクトが強かったです。

Mac佐藤:武器の耐久度といえば、『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』(1987年6月12日発売)を思い出します(笑)。

きっしー:モンスターを主人公にできたり、仲間として選べたり、当時としてはかなりめずらしくないですか?

そみん:あの当時でモンスターが主人公というのは、PCのRPGの『ラストハルマゲドン』くらいしか思い浮かばない(笑)。あとは『レッドアリーマー 魔界村外伝』も好きだったけど、あれは1990年発売だから、もっと後ですね。ちなみに『ドラゴンクエスト』でモンスターを仲間にできるのは、『DQV』からだったっけ?

Mac佐藤:『DQIV』では一応ホイミンがいましたけど。

そみん:ああ、そうでしたね。確かけっこう驚いたような気が。ホイミンが仲間になることですごいと思っていたということは、モンスターが仲間になるRPGはかなり少ない時期だったはずです。

きっしー:モンスターの他にも、各キャラクターにある“ハート”も特徴的でしたよね。ハートがゼロになると復活できなくなるという。

『魔界塔士 サ・ガ』復活の館でキャラを蘇生 『魔界塔士 サ・ガ』ならびかえ画面で残りのハートを確認
▲ハートの最大値は3。バトルでHPがゼロになった後、“復活の館”で蘇生させるとハートが1つ減る。ゼロになると蘇生不能になるが、キャラクターがいなくなるわけではない。

そみん:のちのLP(ライフポイント)につながるシステムですね。『サガ2』から『ロマサガ』まではなくなっていて、『ロマサガ2』で復活し、以降のシリーズではすべて採用されています。

Mac佐藤:ハートはアイテムでしか回復できなくて、しかもかなり高額なんですよね。

きっしー:他のRPGと比べるとずいぶんとシビアなので、ちょっと驚きました。ハートが残り1個になってからの緊張感がよかった(笑)。

Mac佐藤:僕は、バトルで誰かがHPゼロになったら、即リセットしていたような気がします(笑)。

■最強? 最弱? “かみ”との最終決戦! やり込みプレイの思い出も

きっしー:かみは、まともに戦おうとするとかなり強いですよね。チェーンソーで倒す方法を知らなくて、何度も負けてようやく倒せました。

そみん:自分も最初は普通に戦って、結構苦戦しました。最上階に入ると、下の階へ歩いて戻れなくなるんですけど、たまたま“テレポート”を覚えているモンスターがいて、1階まで戻って体勢を立て直しましたね。

Mac佐藤:僕は、どこで知ったのかよく覚えていないけど、いきなりチェーンソーでぶった斬りました。というか、まともに戦ったことが1回もない(笑)。

そみん:チェーンソーで倒す方法って何で知ったんだろう……。そうだ、僕の場合は自分で見つけたんですよ。

きっしー:それはすごいじゃないですか。どうやって見つけたんですか?

そみん:モンスター4人パーティでやっていた時に、とりあえずいろいろな特殊能力を使って、どれが一番ダメージを与えられるか試していたんです。そんな時、たまたま“のこぎり”(チェーンソーと同じ効果を持つ技)を使ったら一撃で倒しちゃって。それで、もしかしたらチェーンソーでも同じことができるんじゃないか? と思って試してみたら、見事バラバラに(笑)。

きっしー:そういう仕様の抜け道はいろいろありましたよね。アイテム増殖とか、ワープとか……。僕も『魔界塔士 サ・ガ』はかなりやり込みましたが、そみんさんもかなりやり込んでいるんですよね。

そみん:『魔界塔士 サ・ガ』って、RPGとはいっても意外と短時間でクリアできるので、タイムアタックで遊ぶくらいにはやり込みましたね。

きっしー:どのくらいのタイムでクリアできました?

そみん:最終的には2~3時間くらいだったはず。パーティをモンスター4人にしておけば、比較的何も考えずに肉を食わせてもどんどん強くなるんですよ。武器や防具を装備できないから、宝箱もがんがんスルーできますし(笑)。

 戦力的には“とかす”や“サイコブラスト”を使えるスーパースライムや、“のこぎり”を使えるのこぎりビーストに変身すれば、もうそれだけで最後までクリアできますから。『サガ2』になると全員モンスタープレイの難易度が上がりましたけど、『魔界塔士 サ・ガ』の時は割と楽だった気がします。

 一番つらかったのは、エスパー4人プレイですね。能力値がアップするのも、特殊能力を覚えるのも、全部運次第でなかなか成長しない(笑)。

Mac佐藤:人間4人だとどんな感じですか?

そみん:それはもう、お金が足りない(笑)。エスパー4人よりはマシだけど、人間4人もかなりつらかったですね。

『魔界塔士 サ・ガ』主人公選択画面
▲種族は人間、エスパー、モンスターの3種類。人間とエスパーは男女の性別があるが、能力的にはほとんど差はない。モンスターは4種類から選択できる。ちなみに、そみんのような同種族4人プレイはあまりオススメできません。よいこはマネしないように。

■『サガ』らしさ全開! 印象に残っているセリフやイベント

きっしー:さっきの「これも いきものの サガ か……」もそうですけど、『魔界塔士 サ・ガ』ってキャラクターのセリフも印象的ですよね。

そみん:「ガルガルやろうと いいおんなと どっちがすきだ?」「きくまでも なかろうよ!」。このへんは今でも割とネタにされていますね。基本的にぶっきらぼうなんですよ。

Mac佐藤:店で買い物をしようと話しかけたら、「なんの ようだ!」ですからね。それが客に対する態度かっていう(笑)。

きっしー:あと、仲間のセリフは、ぜんぶ男の口調になっているんですよね。女の子のキャラクターでも「おれは いやだぜ」とか言い出す。

そみん:ゲーム序盤だと「むら1ばんの びじんだよ」と言われて期待して会いに行ったら、スライムだったなんてことも。

きっしー:美人とか、そういう次元じゃないだろ!

『魔界塔士 サ・ガ』の名台詞「おれは いやだぜ」 『魔界塔士 サ・ガ』ぶっきらぼうな口調の店員
▲このぶっきらぼうな口調が『サガ』の魅力の1つだ。
『魔界塔士 サ・ガ』“むら1ばんの びじん”との出会い 『魔界塔士 サ・ガ』“むら1ばんの びじん”はスライムだった!
▲“むら1ばんの びじん”はゲーム序盤で『魔界塔士 サ・ガ』の世界観をバッチリつかめる良イベントだ。

そみん:あとは、「あめが ふってきたよーん!」も印象に残ってます。

きっしー:どんなイベントだっけ?

そみん:タコみたいなモンスターがいっぱいいて、雨が降ってこないとか言っているんですけど、上の階へ行くと湖の水かさが増えているんです。湖の底の穴にごみが詰まっていたせいなんですけど、そのごみを取り除いて下の階へ戻ると地面が水びたしになっていて、さっきのモンスターが「あめが ふってきたよーん!」と。でも、それだけで何もないし、アイテムがもらえるわけでもない(笑)。

Mac佐藤:いったいなんの意味があるイベントなんだ。

そみん:あとは、都市世界でゾクの総長から“ゾクのはちまき”を託されるイベントもなかなか。あの世界に入って適当に歩いていると、普通に四天王の朱雀(すざく)とエンカウントするんですよね。もちろん勝てないんで、逃げるしかないんですけど。

きっしー:ありましたね。普通にエンカウントしたと思ったら、いきなりボス戦の音楽が流れて何事かと(笑)。

そみん:最初は対立していた総長が“さつじんバリア”に突っ込んでいって、身を挺して道を切り開いてくれるというのも、熱い展開でした。

Mac佐藤:“かくばくだん”を入手する時のイベントは、かなり暗い感じで印象に残っています。シェルターのような階で、入るといきなり子どもの死体があって、奥にはその父親らしき人物も死んでいて、メモが残されている。そこには、「自分はもう限界だ、神よ、この命と引き換えに子どもたちをお守りください」と書かれているんですけど……。

きっしー:悲しいですよねえ。

Mac佐藤:そのあと、なんのメッセージも出ないんですが、アイテム欄を見るといきなり“かくばくだん”を持っているんですよ。いろいろ意味深なイベントなんですが、一番の疑問はなんでシェルターに核爆弾があるんだという。というか、ここで入手していることに気付いていない人も多いと思うんですけど。

そみん:エクスカリバーの入手イベントも切なかったです。塔から来た者にこの剣を渡せと神に言われて、50年間待ち続けてようやく主人公たちが来て剣を渡した後、これで安らかに眠れるとつぶやいて逝ってしまう。エクスカリバーがこんな手段で手に入ってしまうのかと、結構衝撃を受けましたね。

Mac佐藤:エクスカリバーはグループ攻撃ができて、使用回数が無限というところも印象に残っています。

■シー ユー アゲイン!

Mac佐藤:音楽はどうですか? 正直に言うと、『魔界塔士 サ・ガ』の音楽はあまり覚えていないんですよね。シリーズ共通のオープニングとバトル勝利後の曲は別として、印象に残っている音楽のほとんどが『サガ2』という。

そみん:『サガ2』のイトケン(伊藤賢治氏)節はインパクトが強いですからね。自分は『魔界塔士 サ・ガ』の音楽も好きで、四天王とかボス戦の音楽が好きです。やっぱり植松伸夫さんが作るバトル系の曲は熱いって!

きっしー:ゲームボーイの中では、他と比べると『魔界塔士 サ・ガ』の音楽はかなりよかったと思います。

そみん:ゲームボーイはイヤホンをつけて遊ぶことが多かったので、ステレオ音源がすごかった印象があります。左右から違う音が出ると、こんなにカッコいいんだと。

きっしー:音が左右に移動したりするんですよね。

そみん:オープニングとかフィールドとか、割とそういう曲が多かったと思います。

GB版『魔界塔士 サ・ガ』タイトル画面
▲タイトル画面で流れるオープニングテーマは、GB版の各シリーズで共通。ゲームを始める時に真っ先に聴く音楽なので、印象に残っている人は多いはず。ちなみに各シリーズの作曲者は『魔界塔士 サ・ガ』が植松伸夫氏、『サガ2』が伊藤賢治氏、『サガ3』が笹井隆司氏とそれぞれ違っている。

Mac佐藤:では最後のシメとして、『サガ』シリーズに期待したいことなど、今後の展望をひと言ずつ話しましょう。僕は、DSで『サガ2』と『サガ3』がリメイクされたので、同じように『魔界塔士 サ・ガ』もぜひリメイクしてほしいですね。

そみん:『魔界塔士 サ・ガ』をリメイクするにはボリュームが全然足りないということを、どこかで聞いた気がします。

きっしー:確かに、システムとかシナリオとかをいろいろ追加したら、結局新作を作るのと同じくらいの手間がかかりそう。追加要素は入れずに、ワンダースワンカラー版かアプリ版を移植するなら、すぐにできそうですけど。

そみん:個人的には、ぜひ『魔界塔士 サ・ガ』の『2』を出してほしいですね。『サ・ガ2 秘宝伝説』ではなく、“魔界塔士”の『2』。

Mac佐藤:『魔界塔士 サ・ガ2』ですか? また無茶なことを(笑)。

きっしー:ぜひプレイしたいです!

そみん:かみを倒した後の主人公たちを描く物語ですね。まあ25周年ということで、何かしらのサプライズがあると期待して(笑)。それじゃあ皆さん、行きますか!

一同:「おれたちのせかいへ!!」

そして3人のオッサンたちは、まだまだ語り足りないとばかりに、夜の街へと消えていった……。

【サガ25周年記念連載 バックナンバー】

→第1回:『サガ』シリーズ全体を振り返る座談会プレリュード

→第2回:GB初のRPG『魔界塔士 サ・ガ』の思い出を振り返る【本記事】

→第3回:『Sa・Ga』×佐賀スペシャル対談

→第4回:名作RPG『サガフロ2』を15年ごしに再評価!

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※ゲーム画面はすべてスーパーゲームボーイでキャプチャーしたもの。

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