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2014年6月11日(水)

SCEプレスカンファレンスについて吉田修平氏にインタビュー。これからのゲーム業界はインディーを積極サポートすることが重要【E3 2014】

文:電撃オンライン

 現地時間6月10日からアメリカ・ロサンゼルスにて開幕した世界最大規模のゲーム見本市“E3 2014”。開幕に先駆けて行われたSCEのプレスカンファレンスの発表内容について、SCEワールドワイド・スタジオのプレジデントを務める吉田修平氏を直撃した。このインタビューの模様をお伝えしよう。

E3 2014 SCE吉田修平氏インタビュー

■インディーはこの先、なくてはならない存在

――“PlayStation E3 2014 Press Conference”、タイトルの発表が次々とされて非常に濃厚な時間でした。今回のカンファレンスは、吉田さんが以前に言っていた「ゲーム専用ハードは今後もなくならない」というのが存分に感じられるほど、充実したラインナップでしたね。

 どれだけの予算をかけて制作しているんだろうと思えるほどのビッグタイトルから、Hello Gamesさんの『NO MAN’S SKY』のような少人数制作なのに凄いクオリティを持ったインディータイトルまで、非常に充実していたと思います。twitterなどを見ていても「欧米のコンソール(据え置き型ゲーム機)はこれからも大丈夫だ」というコメントがありましたし。日本もこれからもっと頑張っていかなければと強く実感しましたね。

――もちろん日本に関しても期待していていいんですよね?

 カンファレンスで発表させていただいたPS4タイトルの『Bloodborne』に期待してください。もちろん『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』といったタイトルもありますし。

――カンファレンスで『Bloodborne』の発表の際、宮崎英高ディレクターの名前が出てきた時に凄い歓声が上がったのが、とてもうれしく思いました。宮崎さんが手がけるタイトルに対しての欧米のファンの信頼感や期待感は非常に高いですよね。

 私自身楽しみにしているタイトルで、言いたくて言いたくて仕方なかったのですが、ようやく発表することができました。

――吉田さんの登場時もスタンディングオベーションかのような拍手が起こりましたね。

 いえいえ。でもPlayStation 4のゲームシェアのビデオ(2月のPS4ローンチ時に公開)が好評だったのでファンができたのかな(笑)。

――シェアというと、カンファレンスではPlayStation 4のネットワーク接続率が95%で、シェア機能の利用も非常にあるというお話でしたが、この結果に関しては想定されていましたか?

 想定以上です。我々としても非常におもしろい機能だという確信はありましたが、ここまで受け入れられるとは思っていませんでした。これまでゲームのシェアというのはPCを使ってだったりで、一部のコアなユーザーがやったるするものだという感じでしたから。PlayStation Cameraにしても、当初は抑えめに生産していたんですが、いざ発売してみたらものすごい反響があってすぐに生産が間に合わなくなってしまいました。やはりおもしろいんだなと、自分たちで仕込んでおきながらその反響の大きさにビックリしています。

――『プレイルーム』を使ってブロードキャストしているプレイヤーが多いですね。

 『プレイルーム』は、自分がパーティをしながら盛り上がっている様子を配信するのも楽しいですし、それを観ているのも楽しいですよね。『プレイルーム』のダウンロードコンテンツは、画面が反転表示されないようにできたり、人物に名前を表示できるような機能を準備しています。観ているユーザーさんに質問を投げかけて投票してもらえるような仕掛けや、好きな音楽をバックグラウンドでかけられるようになったり、カスタマイズできるツールを提供していきますので、楽しみにしてください。

――タイトルについて言うとPlayStation 4はサードパーティを含め、マルチプレイのタイトルが多くなっているという印象ですね。

 それは今の流れなのかなと思います。オープンワールドタイプのゲームもそうですが、これまでのゲーム機はメモリなどの問題で実現するのが大変だったことが次世代機ではできるようになってきました。そういったところで、いろんなデベロッパーさんたちが次世代機でできることを模索している段階なのかなと思います。

――PlayStation 4ですとインディータイトルも非常に注目されています。SCEとしては早くからインディータイトルへの協力を表明していましたが、今はどういった印象をお持ちですか?

 我々はインディーはこれから先、なくてはならない存在だと考えています。大手のパブリッシャーさんですと大きな市場、ユーザー層がいると分かっているところに向けてタイトルを作らないとリスクが高すぎるので、ジャンルの枠に収まってしまいがちですよね。ですので、新しいモノやそれほど大きなジャンルではないモノの登場はインディーに期待するところが大きい。もちろん『コール オブ デューティ』シリーズのようなAAAタイトルだけがあればいい、というユーザーさんがいることも理解しているのですが、現在のゲーム業界や全体のユーザーのことを考えると、インディーがいろいろな新しい試みをしないとゲームの将来性が開けていかないだろうなと感じています。

――インディータイトルには私たちメディアも、新しい発見やおもしろさを発信できるという点で非常に注目しています。インディーは日本のPlayStation、ひいてはゲーム業界そのものが活性化する1つのポイントのような気さえします。

 私もそう思います。日本国内のゲームが元気がないというのはPlayStationだけの問題ではなくゲーム業界全体の問題なので、インディーをサポートしていかないと先が非常に心配です。先日発表となった東京ゲームショウでの支援(※)についてもその一環で、PlayStationでなくてもPCでもモバイルでも構わないので来てくださいとインディーメーカーさんに呼びかけているのです。そこで注目されたり、ヒット作が出るのが一番だと思っています。最終的にはPlayStationに来ていただけると信じつつ、まずはそうした試みをやっていかなくてはと思いますね。

※TGS2014の“インディーゲームコーナー”と“SENSE OF WONDER NIGHT 2014(センス・オブ・ワンダー ナイト 2014)”のスペシャルスポンサーになり、インディーゲームコーナーの出展料金を全額サポート。

――これまでゲームを作ったことのないようなところから、新しいクリエイターが登場する可能性もありますよね。

 UNITYをはじめ、最近はツールがとても使いやすいので、そこまでプログラミングを深く学んでいない方でもアート的な作品を作り出せるようになりました。そういった方にもぜひ取り組んでいただけたらと思います。

――カンファレンスでフィーチャーされていた『NO MAN’S SKY』などはインディーですが、スケール感もビジュアル面も驚くほどでした。

 素晴らしいですよね。私もリハーサルの時に大画面のスクリーンで観て非常に驚きました。興味深かったのがカンファレンス後のtwitterや日本人のユーザーさんのコメントで「日本のゲーム開発者はこれを見て反省してほしい」と書いてあったことです。日本は欧米ほど市場が大きくないという側面はありますが、(開発会社のHello Gamesの)4人でも知恵さえあればこんなにすごいモノを作れる。特殊なツールを使っている訳でもないと思うんですよ。PCで作ってPlayStation 4の開発機を追加しているだけだと思うので、アイデアと野心さえあれば誰でもできるはず。ですので、こういった作品を見て刺激を受けてほしいなと思います。

――インディータイトルって、昔の、脳内でゲームを想像していたころに戻っているという印象も受けます。

E3 2014 SCE吉田修平氏インタビュー

 戻ってますよね。そこがインディーの強さなのだと思います。資金が潤沢にはないからもっと抽象化してユーザーに想像してもらおう、そしてゲーム性で勝負しようという感じですよね。ゲームの強みって言葉があまりなくてもインタラクティブでさえあればいい、ということだと思うんですよ。

 極端な例を挙げると、2年前くらいに出た『Thomas Was Alone』というゲーム。これは主人公が正方形だったり仲間が長方形だったりと、キャラクターが全部四角形なんです。背の高いヤツ、小さいヤツといろいろあるので、自分の上に仲間を載せたり重石にして沈めたりと、キャラを入れ替えながらクリアしていく。そして、四角形なのにそれぞれのキャラに名前があってコメンタリーもある。お金がないからムービーなどは作れないけれど、いい声優さんは雇えるので、それでしゃべってもらえば非常にコストパフォーマンスが高い、という発想です。抽象的な四角形のアクションゲームに対してムードのある音楽と語りで大ヒットしたという作品で私のお気に入りです。

 残念ながら日本では出ていないのですが、語りの部分はあるにしてもアクションゲームとしては四角形だけですから。そしてすごいのは、このゲームはたった1人で作っていて、100万本売れたということです。これを作ったMike Bithellさんは、仕事をしたあとの夜とか週末に作って完成させて、成功して今は独立されています。それが1人でできてしまう。カルチャーの違いはもちろんあるかと思いますが、日本の方も挑戦してほしいですね。

――インディータイトルは、少人数で作っているからこその作品性の高さもありますよね。欧州の作品などは特にそう思います。

 私はその点が1番好きなところです。小島秀夫監督のように、大きなチームを率いていても作品性がバーンと出てくるタイトルもありますが、大手のパブリッシャーさんになればなるほど何百人体制で作っているから作品性が見えにくくなってしまう。インディータイトルは少人数だからこそ、こだわりをダイレクトに作品に反映できる。彼らは、自分の上司やマーケティング担当者の承認を得ることなく作りたいものを作れるし、メディアに対しても言いたいことを言える。オピニオンリーダーのようになっている人もいますよ。

――そこが新しいところだと思いますよね。ゲームタイトルだけでなくて、新しいゲームのカルチャーが形成されている。

 すでにオピニオンリーダーとして大きな会社のポリシーを動かしたりもしています。我々も非常に刺激を受けています。我々はパブリッシャーとしてお金をファンディングしてデベロッパーさんにゲームを作っていただくので、クリエイターの方々を大事にしつつも、最終的には我々がお金を出している、という関係でもあります。でもインディーはそういった関係がないので対等ですよね。プラットフォームとして、なぜPlayStationで出すのがいいのかを真摯になって伝えていかなきゃいけない。そういう意味でも刺激のあるいい関係が築けていると思います。

――まだまだE3は続きますが、E3 2014のPlayStationブースの見どころをお願いします。

 PS Vitaなど、カンファレンスで発表していないタイトルもたくさんあります。インディーなどもたくさんあるので、こんなのが出てるんだ、という発見をしていただきたいです。あとは、Project Morpheus。新しいデモも2つ用意していますし、GDCで出展した作品も新しくしていますので、ご期待ください。

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