2014年6月24日(火)

『クロスチャンネル』のネタバレあり! 田中ロミオ氏を心の師と仰ぐ3人がありったけの想いで神ゲーを語り尽くす!!

文:カワチ

 MAGES.のゲーム&音楽ブランド5pb.から6月26日に発売されるPS3/PS Vita用ADV『CROSS†CHANNEL ~For all people~(クロスチャンネル フォー・オール・ピープル)』。その特集企画第2弾として、シナリオライター・田中ロミオ氏を心の師と仰ぐ編集&ライター3人による座談会をお届けします。

『CROSS†CHANNEL』

■時は来た! 10年経った今こそ『CROSS†CHANNEL』を思う存分に語り尽くす!!

 ここは平和な電撃オンライン編集部。しかし、その静寂を破る1人のライターがいた。

カワチ:座談会の時間だ! コラァ!!(グァシァァ)

 !?

ごえモン:なっ……。

カワチ:よくもあんなフラストレーションのたまる記事を書かせてくれましたね! もうボクは辛抱たまらないんですよ!! 今すぐ『CROSS†CHANNEL』の話をしましょう! さぁ! さぁ!! ねぇ、なんで返事をしてくれないの? ごえモン? お願い。お願いだから、ボクと話をしてよぉ。ごえモォン……。お願いだからぁ……。

 説明しよう! カワチは前回、ネタバレ禁止の紹介記事を書いたため、『CROSS†CHANNEL』を誰かと語りたくて4.35光年の彼方から時空を超え、空間両断跳躍を果たしてきたのだ。

ごえモン:僕も『CROSS†CHANNEL』は大好きですから、編集部で座談会をするのは構わないですけど、2人で語るんですか? 言っておきますけど、僕に友だちはいませんよ。なんたって“適応係数”は80オーバーですから。

カワチ:ごえモンさんの交友関係なんか最初から期待していませんよ! ボクがちゃんと座談会に相応しい男を連れてきました。

???:久しぶりだなぁ、ごえモンちゃん。

ごえモンほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!

表六玉:うるさーい!! 昔の話だよ、昔の話なんだよ!!

ごえモン:は、はぁ。ところで表六玉さんは『CROSS†CHANNEL』に詳しいですか?

表六玉:ごえモン以上、カワチくん以下って感じー?

カワチ:表六玉さんはかつて『電撃姫』でレビューを書いていましたからね。ボクらよりよっぽど詳しいですよ。

ごえモン:それは頼もしい! では、この3人で語っちゃいましょう!! 10年も経っているし、何度も移植されていますからね。ループADVの王道として有名なので、未だにプレイしていない人は今後もプレイしない可能性が高いだろうから、ある程度のネタバレは入れちゃいましょう! むしろネタバレを見たことがプレイのきっかけになるかもしれません。でも、ここで初めて『CROSS†CHANNEL』の名前を知った人は、自己責任で読んでもらうということで。

 と、いうわけでここではオリジナル版発売から10年が経ち、6月26日にはPS3版とPS Vita版が発売される『CROSS†CHANNEL』の座談会をお届けしましょう。

『CROSS†CHANNEL』

【座談会参加者】

カワチ:美少女ゲームが大好きなフリーライターで、かつては『電撃姫』のレビュアーも務めていた男。最近では編集のごえモンに“『ナースにおまかせ』10周年うりうり座談会”を企画するも、一蹴されてしまった。『CROSS†CHANNEL』を心のゲームとしており、今回の座談会でも(一応の)進行を務める。しかし、暴走して他の2人を置いていってしまうこともしばしば。

ごえモン:自称“ループ系ゲームの申し子”。ループと聞けばとりあえずプレイするようになってしまった理由の1つとして、確実に『CROSS†CHANNEL』での体験が影響している。最近は良質なループものが少ないと嘆いているが、『ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1-』に出会って若干救われた。しかし、2014年6月現在、再び良質なループシナリオに飢え始めているという。

表六玉:2003年当時、『電撃姫』で仕事をしていたミスター根なし草。「心のゲームは『水月』と『家族計画』なり」と真面目ぶるが、パスパス●けるお手軽モノも好むなど言動不一致が多い。『電撃姫』を離れた後は、某ホアーで騒ぎを起こしたりしつつも別部署に潜伏中。社外に出たり、別媒体の編集長になったりしたことはなかったのである。

■ハマる時はハマッてしまう美少女ゲームの世界

カワチ:ではさっそく語っていきましょうか。皆さんはオリジナル版が発売された2003年はPCゲームをバリバリにプレイしていましたか? あ、もちろん18歳は超えていましたよね?

ごえモン:はい。どちらにしろ僕は●学生から美少女ゲームを嗜んでいたエリートですので!

表六玉:もちろん、●の中には大が入るんだよな! な!!

カワチ:“この座談会に登場するお兄ちゃんは全員が18歳以上です”っていう注釈を入れないと! えーと、では微妙に言葉を変えて“PCゲームとの出会い”にしましょうか。ちなみに僕は『月姫』に感銘を受けてから、『君が望む永遠』や『sense off』にハマり、シナリオメインのゲームを多くプレイするようになりました。

表六玉:最初からシナリオゲーを中心にプレイしていたの?

カワチ:もともとコンシューマのサウンドノベル『かまいたちの夜』などが好きでしたからねー。でも最初に買ったPCゲームはやっぱりエ●がメインのものでしたよ。秋葉原ソフマップの地下でドキドキしながら買いました(笑)。レジで「こちらWindowsのソフトになりますが、お間違いないでしょうか?」と言われ、「は、は、はいぃぃ~」となりながら答えました! ちなみにWindowsの意味はまだよくわかっていませんでした。

表六玉:なるほどな(笑)。あたしはもともと格闘ゲームやシューティングが大好きで、美少女ゲームには見向きもしていなかったんだよね。

ごえモン:それがどうしてこんな……。

表六玉:こんなって言うな! PSの『季節を抱きしめて』をプレイして「エエ話やないか」と目から汗がオホンオホーン。それから考えを改めていろいろプレイするようになったんだ。PCゲームで最初にハマったのは『ONE ~輝く季節へ~』かな。心のゲームというと『水月』と『家族計画』になるね。

ごえモン:『家族計画』大好きです! “節穴eye”とか“家族の味方”とか、今でも強く印象に残っていますもん。

カワチ:そういえば『家族計画』のシナリオを執筆した山田一さんが田中ロミオさんと同一人物だということは、いつの間にかオフィシャルでオープンな話題になりましたよね(笑)。ところで、ごえモンさんの思い出は?

ごえモン:僕も最初は軟派なジャンルだと思って毛嫌いしていたのですが、『Piaキャロットへようこそ!!2』をプレイして、美少女ゲームにもしっかりとドラマ性があることに驚きました。むしろ、ドラマ部分は他のジャンルよりも優れていると思いましたね。その後、『こみっくパーティ』をプレイした時に「これはコンシューマと比べてもそん色ないわ」と。

カワチ:ボクは『こみパ』をプレイした後、あふれるリビドーが抑えられずに主人公の和樹と玲子ちゃんがラブラブする二次小説を書きましたよ。もちろん、後書きにはボクと玲子ちゃんの漫才が入っていました!(笑) しかし、確かに当時は美少女ゲームに対して「女の子と仲よくなるだけでしょ?」とか「エ●いことをするだけでしょ?」という誤解は持たれていましたね。ただ、実際にプレイしてみると、●ロ部分以外の表現の幅も広くて思わずのめり込んでしまうものが多いんですよね。

表六玉:コンシューマは規制が大変だから。

ごえモン:なんでこの主人公はこの場面であの行動をとらないの? おかしいじゃん! と感じるような部分は、規制でそうなっている場合もありますからね。

カワチ:その点で言うと『CROSS†CHANNEL』は普通にキャラクターが「処女でございます~」とかしゃべりますからね(笑)。

表六玉:“群青学院”の設定もコンシューマでは表現できないぐらい重いんだよね。

カワチ:普通に会話が成立する人間は1クラスに10人なんですよね。

ごえモン:今思うと、田中ロミオさんらしい設定だったなと思います。

表六玉:話を戻すけど、ごえモンは『こみっくパーティ』にハマってから他の美少女ゲームに手を出すようになったの?

ごえモン:はい。その後は“葉鍵”と基本の有名どころをおさえつつ、自分好みの作品を追っていました。ちなみに僕は大学生の時に引っ越し屋のアルバイトをしていたのですが、その日当で毎日美少女ゲームを1本買っていました。2003年当時にバイト代で買ったゲームは『BALDR FORCE EXE』、『幻燐の姫将軍2』、『永遠のアセリア』、『沙耶の唄』、『斬魔大聖デモンベイン』、『大番長』、『こなたよりかなたまで』、『ショコラ』、『Routes』、『FOLKLORE JAM』、『てのひらを、たいように』、『Ricotte』、『マブラヴ』、『天使のいない12月』、『ALMA』、『河原崎家の一族2』、『星空☆ぷらねっと ~夢箱~』、『木漏れ日の並木道』でしょ。それからまだまだあって……。

カワチ:(遮って)ところで、『CROSS†CHANNEL』が発売された2003年って他にもPCゲームが豊作だったんですよ。そんな中で皆さんがこの作品をプレイしてみようと思ったきっかけって何だったんですか?

表六玉:あたしはその時すでに『電撃姫』で仕事をしていたんだけど、本作のスタッフを見て「この作品は絶対におもしろくなる」という確信があったんだよね。

ごえモン:僕はまだ一般人だったのですが、自分と趣味趣向が合う人が運営しているレビューサイトでの評価が高かったので買いました。カワチさんは?

カワチ:本人の前で言うのは恥ずかしいのですが……『電撃姫』に掲載された表六玉さんのレビューを読んで購入を決意しました(笑)。

表六玉:うれしいことを言ってくれるじゃないの。それじゃ、とことん喜ばせてやるからな。

カワチ:(無視して)ネタバレを前提とした文章だったのですが、読んですぐにプレイしました。やっぱり田中ロミオさんの作り出した設定に惹かれたんでしょうね。あとは表六玉さんの類いまれなき文章力!

表六玉:黙れ! 黙らんか、この表六玉!

ごえモン:それはあなたです。

『CROSS†CHANNEL』
▲これが当時『電撃姫』に掲載されたレビューの一部。本作の魅力がしっかり伝わる素晴らしい文章だ。

■ループもの初体験の感想は「バッドエンドかと思った」

カワチ:では最初に本作をプレイした時の感想はいかがですか? 実はボク、『CROSS†CHANNEL』で“ループ童貞”を捨てたんですよね。映画やアニメも含めて1つも体験していなかったハズ。まぁ、曖昧な記憶ですけど。

ごえモン:お、それは貴重な体験ですね。『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』とかOVA版『神秘の世界エルハザード』とか見ていなかったんですか? まあ、『エルハザード』は厳密に言うと『CROSS†CHANNEL』タイプのループものではないですけど。

カワチ:『エルハザード』はTVアニメ版をリアルタイムで見ていましたが、OVA版をDVDで見たのはかなり後になってからなんですよ。当時は『七回死んだ男』も読んでいなかったし映画の『恋はデジャ・ブ』も見ていなくて、うまいことループをすり抜けて生きてきたんですよね(笑)。

表六玉:で、カワチくんは初めてループものをプレイしてみてどうだった?

カワチ:最初は理解できませんでしたよ。単純に選択肢を間違えたせいで最初のシーンに戻ってきちゃったと思った(笑)。「お、2周目はテキストが追加されるのかー」と。

表六玉:なるほどね(笑)。

カワチ:ポカーンとしましたけど、後半はとにかくシナリオ構造の妙に感動しましたね。“序盤のこんななんでもないシーンが伏線になっていただなんて!”と。

ごえモン:美少女ゲームのヒロインを攻略するのって、プレイヤーがループしていることと同義なんですよね。1人を攻略したら世界をリセットして別の可能性へ……っていう誰も傷ついていない免罪符を与えられているようなズルさがある。でも主人公が記憶を引き継ぐループものの場合、プレイヤーの心に切なさと一緒に何かが残るんですよ。

表六玉:ヒロイン攻略系ADVの構造自体をシナリオに落とし込んでいるところも魅力の1つだよな。主人公とプレイヤーの立場が重なり合うから、より感情移入できる。

カワチ:その力が欲しいですよね。時を止めるA●男優の能力と同じぐらい欲しい。ところで皆さんはPS3&PS Vita版の初回に付いてくる初期プロットってご覧になりました?

ごえモン:いや、まだ見ていないです。

表六玉:あたしもまだ見てないよ。

カワチ:それではネタバレを伏せますが、ラストがかなり違っていて興味深いですよ。すごく教科書的というか……いや、これはこれで素晴らしい内容なのですが、物語が完結してしまっているんですよね。このまま発売していたら、今のように社会現象になっていなかったんじゃないかと思いますね。

ごえモン:なるほど。確かに、あのエンディングは最後に「……えっ? どういうことなの!?」ってなるから、みんなと語り合いたい作品になった気がします。初期プロット、気になりますね……。ちなみにカワチさんはPS3&PS Vita版の実機も触ったんですか?

カワチ:触りました! 追加シナリオがあるんですけど、最初は“完璧に練られた世界観を壊してしまうのではないか”と心配だったんですよ。でも、全然そんなことはなかったです! 間違いなく、『CROSS†CHANNEL』本編に連なる物語でした。自信を持ってオススメできます!

ごえモン:そこまで言われちゃうと気になりますね。騙されたと思って、買ってみようかな……。

『CROSS†CHANNEL』
▲初回限定版に付属する初期プロット集。『CROSS†CHANNEL』を語るうえで外せない必読の書だ。

■冬子のハラキリと美希のセクハラシーンには神が宿っている!

カワチ:皆さんは『CROSS†CHANNEL』という作品の魅力はどこにあると思いますか? 本作を熱く語るとどうしても作品のテーマや世界観に行き着くと思うんですけど、ボクは何気にギャグシーンが重要だと思うんですよ。

ごえモン:田中ロミオさんといえばギャグ、流ちょうなテキストですもんね。ホント、このゲームの日常シーンは笑えます。

カワチ:日常シーンがおもしろくない美少女ゲームって多いじゃないですか。ボクはアレがちょっとニガテで……。それに比べて田中ロミオさんの文章はエッヂが効いていて、今プレイしてもまったく古臭さがないんですよ。

表六玉:『CROSS†CHANNEL』には奇抜な言葉使いの女の子がいないよね。それもプレイの敷居を下げていると思う。ちなみにあたしがこのゲームを神ゲーと認識したのは冬子のハラキリシーンだね! 普通に青春ものかと思っていたところをあのシーンで一気に叩き落とされた。

カワチ:でもボクはあのシーンを見て、冬子はかわいいなぁと思いましたけどね。面倒くさい女、最高!

ごえモン:僕は美希ルートをプレイした時に、腑に落ちなかった会話などの伏線がすべて繋がって驚きました。

表六玉:太一のセクハラをかわすところまで伏線になっていたなんてなぁ……。

カワチ:美希ルートは核心に近いのでどこまでネタバレをしていいのかわからないですが、“ちっぱいの成長”があれほど重くて泣ける設定だったとは……と思います。

『CROSS†CHANNEL』
▲美希という存在は物語の謎に大きくかかわっている。

ごえモン:あと、背筋がゾワッとなったシーンといえば太一の「なあ、ひとつ質問なんだけど……どうして今すぐにでも死なないんだ?」というセリフですね。

カワチ:ああ、あの人に言うセリフですね。それがトリガーになって彼は●●してしまうという……。

ごえモン:ある程度はわかっていましたけど、太一はここまで壊れていたのか……と驚きましたよ。

表六玉:でも、彼が過去にやっていたことを考えれば仕方のないセリフだと思うけどね。

■男はみんな冬子みたいな面倒くさい女が好き!?

カワチ:暗くなっちゃったので、明るい話をしましょうか! 皆さんがPC版で好きなエッ●シーンはどこですか? ボクはドMなので曜子ちゃんに監●されるシーン!

ごえモン:いや、僕はこのゲームで一度もアレしていないです(笑)。

カワチ:え!? 美少女ゲームを買ったら1回はアレをしないともったいなくないですか? あと、制作陣に失礼じゃないですか?

ごえモン:そんなことないですよ(笑)。というか、僕はNTR以外には食指(?)が動かない体質なので……。

表六玉:あたしは霧がスカートをたくしあげているシーンかな!

カワチ:パンツでアレができるってどんだけピュアなんですか! そういえばPCゲームのキャラクターって、どんなに好きになってもアレをしてしまうと興味が薄くなったりしません? でも『CROSS†CHANNEL』のキャタクターは何故かアレをした後も心からまったく消えないんですよね。これは本作のキャラクターが性欲という縛りを超えたということではないでしょうか。

ごえモン:アレアレうるさいです!(笑) でもまあ深い発言ですね。いや、深いのか? 浅いぞ。

表六玉:っていうか、アレをしたらキャラクターのことを忘れちゃうのはカワチくんだけだよ! 淡泊だな!! ん? 蛋白だけに?

カワチ:(無視して)ちなみに皆さんが好きなキャラクターは誰ですか? 表六玉さんはやっぱりオ●ズにした霧ですか?

表六玉:一番好きなのは冬子だね。オカ●は別腹だなや。

ごえモン:僕も冬子ですよ。

カワチ:ボクも冬子が……。

表六玉:完全に流れに乗っかってきただろ! っていうかカワチくんは美希が好きじゃないのか? 恥ずかしがらずに素直になりなよ。

カワチ:もちろん美希は大好きですよ。彼女はユーザーの人気も一番高いですしね。でも最近特集記事のために『CROSS†CHANNEL』をやり直したら、冬子がカワイイなって。太一とのやり取りが最高じゃないですか。ボケに対してハイテンションでツッコむ女に悪いヤツはいない!

ごえモン:デレる前とデレた後のギャップもいいですよね。

カワチ:ボクは基本的にツンデレキャラはデレる前が好きですけど(笑)。

『CROSS†CHANNEL』

表六玉:そういえば冬子の「お慈悲!」っていうセリフは『神聖モテモテ王国』でファーザーがヤクザに襲われた時に言ってたっけ。パロディなのかな?

カワチ:うーん、ボクも『モモ王』は好きですけど、判断が難しいですね。単純に時代劇っぽいセリフを言っているだけかもしれませんし。

ごえモン:『CROSS†CHANNEL』はパロディが多いですよね。パロディではないですけど、太一がエ●画像を脳内HDDの数学課題フォルダにしまったシーンはめちゃくちゃ笑いました。

カワチ:ボクは『CROSS†CHANNEL』をプレイしてからというもの、PC内にある●ロ画像は数学課題フォルダにしまっていますよ。一応、念を入れて数学課題→二次関数→例題→エ●画像と奥のほうに入れていますけど(笑)。

表六玉:話がずれたけど、好きなキャラクターは3人それぞれで分けたほうがいいと思うんだ。ケンカになるから。というわけで冬子はあたしの嫁だからお前らは別のキャラクターを選べ!

カワチ:お慈悲!

ごえモン:冬子以外だと僕は曜子も好きですよ。

表六玉:曜子は太一の一番の味方でありながら敵でもある。複雑なキャラクターだよね。

カワチ:じゃ、じゃあボクは桜庭で!

表六玉:男キャラじゃねーか! ん? カワチくんは男が好きなの?

カワチ:いや、そういうわけではないですけど、桜庭って『CROSS†CHANNEL』では重要な立ち位置にいるキャラクターだと思うんですよね。

ごえモン:何気に彼は名言が多いですよね。 「男でもいい! 避妊するから!」 とか(笑)。それに対して太一が「お慈悲!」と言って、しっかり天丼になっているという。

表六玉:男相手だったら避妊する必要ないけどな!

ごえモン:したほうが安全ですよ!(笑)

カワチ:出演声優陣に関してはいかがでしょう? ボクはXbox 360版の追加シナリオをプレイした時、まったく皆さんの声色が変わってなくて改めて「声優さんってすごいなー」と思いましたよ。

表六玉:男性声優もめちゃくちゃ豪華だよね。

カワチ:あとPC版の時に印象深かったのが、美希役の榎津まおさんがネットラジオなどに積極的に出演して作品を盛り上げてくれていたことですね。「作品を愛してくれているんだなぁ」と思ってうれしかったです。

■『CROSS†CHANNEL』は上流階級向けのゲーム?

カワチ:皆さんは本作をクリアした後に布教活動って行いましたか?

表六玉:人を選ぶゲームなのであまり薦めていないかな。ただ、カワチくんがあたしのレビューを読んで作品をプレイしてくれたことを知った時はうれしかった(笑)。

カワチ:確かに下ネタが全開のゲームなので誰にでも薦めるわけにはいきませんね(笑)。逆に薦めるとしたらどんなタイプの人がいいと思いますか?

ごえモン:ゲームだと『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』『スマガ』『Ever17』『ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1-』『シャドウ オブ メモリーズ』とかが好きな人とか? シナリオ構造的にオススメできそうです。

カワチ:『YU-NO』とか『スマガ』をプレイしている人は『CROSS†CHANNEL』も知っていそうな気がしますけどね(笑)。

ごえモン:じゃあゲーム以外で考えてみよう。うーん……漫画だったら『地球の放課後』で、小説なら『紫色のクオリア』『タイム リープ あしたはきのう』『空ろの箱と零のマリア』『俺が生きる意味(レゾンデートル)』の2巻以降、あとは『Re:ゼロから始める異世界生活』ですかね。実写映画なら『バタフライ・エフェクト』……は当たり前すぎるから『トライアングル』で。ループが関係なくてもいいなら、歪んだ青春もの、または世界を取り巻く人間関係が近い点で『ユメミルクスリ』『最果てのイマ』、あとは瀬戸口廉也さんの作品全般でしょうか。

カワチ:自分は大槻ケンヂさんの『グミ・チョコレート・パイン』や滝本竜彦さんの『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』などが好きな人にオススメしたいかな。

ごえモン:『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』は素晴らしい! あれが好きなら絶対ハマりそう。もちろん原作小説で。

表六玉:結局、“美少女ゲーム上流階級向け”なんだよね。TVアニメ化でもしてくれれば少しは変わったんだろうけどなぁ。

ごえモン:アニメ化すると表現も変わってしまうだろうし、難しいですよ。

カワチ:でも本当に上流階級向けなのは『AIR』とか、そういうゲームになると思いますよ。あれこそ同志だけがわかってくれればいいと思っているので、ボクは人に薦めませんでしたもん。

■『CROSS†CHANNEL』の世界=『カイジ』の電流鉄骨渡りの世界!

『CROSS†CHANNEL』

カワチ:『CROSS†CHANNEL』がユーザーに伝えたかったものとは何だったのでしょうか?

表六玉:また難しい質問を……。そもそもプレイヤーの数だけ受け取り方があるところが『CROSS†CHANNEL』の魅力だと思うしなぁ。

ごえモン:そうですね……さっきもなんとなく言いましたけど、僕はクリアした後に爽快感と一緒にモヤッとしたものを感じたんですよ。

表六玉:清々しいようなそうでないような不思議な感覚になるね。うまいモヤモヤのさせ方だと思う。

カワチ:そこはぜひPS3&PS Vita版の特典である初期プロットと比べてみていただきたいですね。ボクは本作をプレイして“現代における人間関係の在り方”について伝えているのかなと思いました。

表六玉:確かに『CROSS†CHANNEL』の根本にあるテーマって“人の交流”なんだよね。

カワチ:『賭博黙示録カイジ』の電流鉄骨渡りで、カイジと佐原が名前を呼び合ってお互いの存在を確認するシーンがあるじゃないですか。

表六玉:名シーンだね。あたしが『カイジ』で一番好きなシーンだ。

カワチ:あのシーンが『CROSS†CHANNEL』のテーマと同じだと思うんですよ。他人同士はわかり合えるはずなんてないのに理解や愛情を求めてしまう。人間は結局、孤独が一番怖いということを描いている。

ごえモン:ハリウッド映画の『クラッシュ』もそういうテーマでしたね。容易に手に入れられないものだとわかっているし、信じられるものではないけど、それでもとあがき手を伸ばす姿に心を打たれるんですよね。高屋敷司しかり、黒須太一しかり……あ、カワチさんが用意してきたレジュメ(資料)に“まとめ:LINEなんてなくたって人はつながれる!”って書いてありますけど(笑)。

カワチ:先に読まないで! うまいことそのまとめに持っていこうとしていたのに!

表六玉:でもその意見には賛成だな。あたし、LINEもTwitterも苦手でしてエヘヘ。冬子ならいいけど、リアルではあんま束縛されたくない!

カワチ:既読スルーとかわずらわしいですよね。見返りを求めたらおしまいですよ。友情は見返りを……。

ごえモン表六玉:求めない!

カワチ:ありがとうございます(笑)。

ごえモン:でも僕はわりと1人で生きていく自信がありますよ。今年のお正月も誰ともしゃべらなかったし。会社で年を越しましたし。誕生日はE3の仕事をしていましたし。3連休とかあると、会社で3日ぶりに人間と会話した……なんてのもいつものことだし。

表六玉:いや、コンビニに行って店員と話したりインターネットで他人の書き込みを見たり……意外と気づかないところで人と人はつながっているものだよ。

カワチ:犯罪者を独房に入れるとすぐに恐怖でおかしくなってしまうと聞きますよね。現代の日本では本当の意味での孤独はなかなか味わえないのかもしれません。

ごえモン:いや、僕は大丈夫ですよ。自分にも他人にも興味ないですし(笑)。

カワチ:“適応係数”高すぎだよ! 群青学院に通ったほうがいい!!

■『CROSS†CHANNEL』はハーレムものへのアンチテーゼ!?

『CROSS†CHANNEL』

ごえモン:僕が感銘を受けたのは田中ロミオさんが書いた小説『灼熱の小早川さん』(※)の最後にあった解説ですね。荒川工さんが寄稿していたのですが、「ロミオさんの作品の世界はノーマルモードだからおもしろい」というようなことが書かれていたんです。

 細部までは覚えていませんが、“多くの美少女ゲームの主人公が住む世界はイージーモードだが、ロミオさんはノーマルモードかハードモードを描くのがうまい”と分析されていて「なるほど」と思いました。

 現実の世界にギャルゲーのヒロインたちが来てしまう『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!』という小説があるのですが、そこで描かれているように、あんな変な人たち、普通は受け入れられません。でも、美少女ゲームではそれが当たり前のようにスルーされる。ロミオさんのゲームでは、世界の厳しさというか歪みというか、人間の闇というか、そういった部分が当たり前にあるものとして描かれていて、身近に感じられるんです。だからこそ、主人公がやろうとしていること、その行動に説得力が生まれるんだと思います。

※正しくは、荒川工氏の小説『ワールズエンドガールフレンド』での田中ロミオ氏の寄稿文でした。読者の皆様ならびに関係各位にご迷惑をお掛けしましたことをお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。

カワチ:人間なんて一生を使ってもせいぜい1人か2人しか救うことはできませんからね……。

ごえモン:なんなの? その真面目なキャラクター(笑)。それに他人を救うなんておこがましいよ! 自分を救うだけでギリギリだよ!! 「ひとり、すごい」「ひとり、大事」(笑)。

カワチ:いやいや、ホントに。そういえば昔『Kanon』を題材にそういう問題を考えるサイトがありました。ルートに入っていないヒロインはどうなってしまうのかという話ですが、理論上は一週間ぐらい寝ないで行動すれば全員を救えるようでしたよ(笑)。

表六玉:『カーニバルファンタズム』にもそういうメタ的な話があったなぁ。そう考えると『CROSS†CHANNEL』は従来のハーレムものに真っ向から異議を呈しているような気がする。

カワチ:ボクはハーレムものの世界観も大好きですけどね!

ごえモン:うん、僕も好きです(笑)。

カワチ:ハーレムものって日本の倫理で考えるからダメなだけで、美少女ゲームの世界で考えると全員が幸せなんですよ。

表六玉:確かに誰も傷つかないよね。主人公もヒロイン全員を平等に愛しているし。何も問題ないと思う。

カワチ:そういう意味では現実よりも一歩上のフィールドなんですよね。

ごえモン:それはどうなんだろう(笑)。でも、ハーレムエンドがトゥルールートの『DUEL SAVIOR JUSTICE』とかよかったですね。

カワチ:あの圧倒的な楽園にいるキャラクターたちは人類の進化した形だとボクは思っています。『CROSS†CHANNEL』はそこから一歩下のフィールドで“人間らしいあがき方”を教えてくれているんじゃないかと思うんですよ!

ごえモン:なんか急に熱く語りだした(笑)。

表六玉:ホラ、カワチくんって頭いいじゃない? だからきっとあたしたちに見えない何かが見えているんだよ。

カワチ:バカにしてんのっ!? バカにしているのよね! バカにしてーーーーーっ!!

ごえモン:こわいですわ~。

表六玉:そうエクスクラメーションマークを2つセットでばかり使うなよ。

カワチ:○×△□$♯%&○×△□$♯%&ッッッッッ!!

ばちーん!!

ごえモン表六玉:ぐふっ。

■最後はみんなで『NANACA†CRASH!!』をプレイ! しかし表六玉が……。

ごえモン:ちょっとちょっと! こんだけ長々と語っておいて最後がカワチさんによる冬子の逆ギレオチって酷すぎますよ(笑)。

表六玉:インパクトが足りないな……カワチくん、腹も切れ!

カワチ:(無視して)あ、そういえば! ブラウザゲームで流行した『NANACA†CRASH!!』がアプリとして配信されているのは知っていますか? せっかくだからみんなで点数を競ってみましょうよ。

表六玉:うわー! 懐かしいなぁ!! 当時は2万メートルぐらいいったよ。

『CROSS†CHANNEL』
▲これが表六玉の最高記録。ここまでの点数を取るとは化け物である。もしくは相当のヒマ人である。

ごえモン:マジですか(笑)。自分も最近プレイし直していますが、昔みたいな点数は取れませんね。ちょっとやってみます……あ、5,799メートルだ。難しいなぁ。

カワチ:ボクもやってみますね。うーん。ダメだ。2,197メートル。桜庭が地味にウザいな(笑)。

表六玉:どれどれ、あたしに貸してごらん。このゲームにはコツがあってな……。ドヤァ!!

カワチ:って、速攻で失敗しているじゃないですか! 3メートルって。赤ちゃんでも取れますよ。

表六玉:ごめん、もう年寄りだから細かい画面が見えないんだよ……。

ごえモン:オリジナルの『CROSS†CHANNEL』が発売されてから10年ですもんね。そりゃ我々もトシを取りますよ……。

表六玉:なんか、最後に盛り下げちゃってごめん。

カワチ:いいんですよ。帰りましょうか……。

表六玉:うん……。なぁ、カワチくん、ごえモン。

ごえモン:はい。

カワチ:なんでしょう?

表六玉:~♪(突然、『CROSS†CHANNEL』のEDテーマ『CROSSING』を歌い出す)

ごえモン:EDテーマも流れてきたし、そろそろ帰って寝ましょうか。

カワチ:『CROSSING』を聴くと当時を思い出しますね~。そういえば、皆さんはオリジナル版が発売された2003年はPCゲームをバリバリにプレイしていましたか?

ごえモン:はい。どちらにしろ僕は●学生から美少女ゲームを嗜んでいた……って、また始めからっ!?

~劇終~

【クロスチャンネル特集 バックナンバー】

→第1回:神ゲー『CROSS†CHANNEL』を知らない人、いますか?(紹介記事)

→第2回:田中ロミオ氏を心の師と仰ぐ3人による座談会【本記事】

→第3回:シナリオライター・田中ロミオ氏にインタビュー

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