2014年8月27日(水)
NBCユニバーサル・エンターテイメントは、Blu-ray BOX『灼眼のシャナ III -FINAL-』とBlu-ray BOX『灼眼のシャナ S』が本日8月27日にそれぞれ発売された。それを記念して、原作者の高橋弥七郎先生とイラストを担当したいとうのいぢ先生のコメントが到着したので紹介する。
『灼眼のシャナ III-FINAL- Blu-ray BOX』は、TVアニメ『灼眼のシャナ』最終章全24話を新規オーサリングして、Blu-ray4枚に収録。全84ページのブックレットが付属する。また、映像特典として“灼眼のシャナたん”、音声特典としてオーディオコメンタリーも収録している。価格は24,000円+税。
▲『灼眼のシャナ III-FINAL- Blu-ray BOX』ボックスアート | ▲同梱物の展開写真 |
▲DVD SET版も同時発売される。DVD SET1(左)、DVD SET2(右)ともに12話分が収録され、価格は各6,800円+税。 |
『灼眼のシャナ S Blu-ray BOX』は、アニメ本編で描かれなかった原作人気エピソードをアニメ化したOVA『S』シリーズ4話“リシャッフル”、“ドミサイル”、“オーバーチュア前編・後編”を収録。全12ページのブックレットが付属する。また、映像特典として“灼眼のシャナたん”(G、2dos、3tri-、FRONTIER)、音声特典としてオーディオコメンタリーも収録している。価格は8,000円+税。
▲『灼眼のシャナ S Blu-ray BOX』ボックスアート | ▲同梱物の展開写真 | ▲DVD SETも同時発売。価格は4,500円+税。 |
それでは両先生からのコメントをお届けする。お2人からは、『灼眼のシャナ』だけでなく8月9日に発売された新作小説『カナエの星』についてもコメントしていただいたので、ぜひご覧いただきたい。
まず、アニメの放送終了から2年半も経っていることに驚きました。原作完結編である22巻の後に、短編集のS3、解説本の全テ完、いとうのいぢさん画集の書き下ろし番外編と、自分なりに続けて書いていたつもりだったので、「えっ、もう?」と思ったのが正直なところです。実のところ『III』は久しぶりと言うほどでもなく、今でも度々見直しているのですが……またまた、見直してみようかと思います。
言葉で表すのは難しいのですが、敢えて言うなら「10年という時間そのもの」でしょうか。書き続けた10年の間にあった喜怒哀楽に収まらない諸々が、ここに詰まっています。完結後の外伝や番外編を、その全てにケジメを付ける形で書き終えたので、『灼眼のシャナ』という10年も、ようやく自分の中で過去になりました。作家として悔いのない完結作を持てたのは、とても幸せなことだと思います。
月並みながら、シャナと悠二、2人の主人公です。2人の成長を軸に物語を作っていたので、思い入れもその分たくさんあります。まっさらな形から始まったシャナ、元からあるものが昇華してゆく悠二、という別個の成長を描いたつもりです。他に挙げるとすれば、敵サイドの三柱臣でしょうか。役割から個性を導き出した彼らは、上の二人とは逆に、終始ぶれることなく役割に沿って、物語を駆け抜けてくれました。
16巻以降、終盤は全てお気に入りで、個別に挙げると厳選しても文字数が尽きてしまいます。他、長編の外伝である10巻の大戦編と15巻の革正団編も、物語に必要な事柄を山ほど組み込んだこと、1冊で派手に盛り上げるつもりで描いたことから、どちらもお気に入りです。短編の外伝では「ジャグル」、番外編では「さんじゅうし」というところですが、これは訊かれた日によって変わると思います(笑)。
主人公である2人の心情の変化、大暴れするアクションシーン、双方の主題を上手く連携させることでしょうか。成長物語として描いていたので、一方がもう一方に反映されなければなりません。途中からは、大きな覚悟を決め、目指すものの重さに苦悩し足掻く悠二、そんな彼の行いを受け止め、自分の答えを模索してゆくシャナ、という主題ではなく人間、双方の連携と反映に注意して物語を動かしていきました。
シャナを書き始めた当時は、アニメ化というのはごく一部に許された特権だったので、お話をいただいた時は、にわかには信じることができませんでした。勝手も分からず暗中模索の日々でした。それが、『III』の終わるころには、アニメを介したメディアミックスも一般的になっており、まさに隔世の感がありました。個人的にもアニメの作業に慣れた、その結果としての『III』だったので、感慨もひとしおとなりました。
まだ始まったばかりの作品について、ことさらに解説を加えるのも恥ずかしい話ですが……敢えて言うなら、運命と戦う少年少女、というところでしょうか。これは「作劇としての苦難に立ち向かう」だけでなく、より直接的に、そのままの意味で「運命という敵と戦う」意味合いも含んでいます。それが具体的にどのような形で描かれているのか、拙著にて確かめていただければ幸いです。
そよぎさんは非常に動かしやすくて助かっています。お調子者というのは話を転がす上で大事なのだな、と今さらの痛感をしていたり。いとうのいぢさんの描かれた彼女も、実に快活な雰囲気で、かつ美しい。となればお気に入りとならざるを得ないでしょう。カナエと摩芙も、イラストをいただくことでイメージがより明確になりました。特に摩芙は、この子に苦難を与えるのは躊躇われるほどに可憐です。まあ、与えるのですが。
『III』は、スタッフの皆さんのご厚意に際限なく甘えて、原作者としての思い入れと熱意の赴くまま、参加させて貰った作品です。手前味噌ながら、当時持っていた力の全てを振り絞って作った珠玉の逸品とも思っています。それをこうして新たな形でお届けできるのは、本当に有り難いことです。アニメーション『灼眼のシャナ』の末尾を結ぶ、スタッフの皆さんによる奮闘の成果を、どうぞ御覧下さい。
またシャナや悠二、吉田さん……といったたくさんの大切な子たちに会える! と思いました。そのことがとても嬉しいです。
私のイラストレーターとしての仕事の中でも、初めて「ノベルの挿絵」としてやらせてもらった、とてもかけがえのない作品です。
やっぱりシャナが一番です! 彼女に関しては本当に様々な表情を描いてきたので、思い入れが特別です。
過去編、原作でいう5巻です。『天道宮』に住む、メイドさんのヴィルヘルミナと白骨の剣士シロ、そしてまだ未契約だった炎の化身アラストール。彼らとシャナが一緒に過ごす日々が、切なく美しくて、大好きです。
やっぱり一番気を遣ったポイントとしては、高橋さんの書く、『シャナ』としての文章のイメージを壊さぬよう、ということでした。そして、そのイメージを崩さない部分で、ビジュアル化した時に魅力をより出せるよう頑張りました。
アニメは、ありがたいことに原作小説の最後までを描いてくれました。アニメは当然映像で表現されますので、挿絵で描かれなかったものが、細かな部分も含めしっかり描写されていて、とても感激しました。
今回、再びご一緒できるということで、また気持ちを新たに、初心で絵を描かせてもらいました。読者の皆様にも、また新鮮な気持ちで楽しんでいただきたいです!!
そうですね……今のところですと、一条摩芙(※主人公・カナエの妹的存在のキャラ)が可愛いです。うん、とにかくかわいい。
アニメ『灼眼のシャナIII -FINAL-』終了からずいぶん時間が流れました。でも、またこのBlu-ray BOXでシャナたちに会ってあげてほしいです。
(C)高橋弥七郎/いとうのいぢ/アスキー・メディアワークス/『灼眼のシャナF』製作委員会
(C)高橋弥七郎/いとうのいぢ/アスキー・メディアワークス/『灼眼のシャナS』製作委員会
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