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2014年10月7日(火)

TVアニメ『アイマス』で話題となった『無尽合体キサラギ』が『ボイノベ』に! 下田麻美さんが語る“いつもの亜美・真美”との違いとは?

文:さくたろう

 バンダイナムコゲームスが提供するiOS/Android向けの音声付き小説アプリ『ボイノベ』。その新たなコンテンツとなる『無尽合体キサラギ』に出演した下田麻美さんにお話を伺った。

『無尽合体キサラギ』
▲『ボイノベ』は、声だけでなく、BGMやイラストも楽しめる新しい形の小説。これまでにない読書体験を味わえるコンテンツだ。

 TVアニメ『アイドルマスター』第15話の劇中劇として描かれた『無尽合体キサラギ』は、如月千早そっくり(?)な巨大ロボットを、双海亜美(アミ)・双海真美(マミ)が操縦し、敵と戦う“ロボットもの”。それがついに単独作品として『ボイノベ』に登場する!

■ボイノベ『無尽合体キサラギ』プロローグ

 その日、月が泣いた。

 直径数メートルもあろうかという黒い怪球が、月の裏側より何百も地球に降り注いだ。

 正体不明。地上のいたるところに落下したそれらは人類にはまったく解析不能。

 当初の、地球崩壊の序曲かとの世界的な騒動も結局つかのまのことだった。

 人類はすぐにまた次の興味と享楽に視線を移す。

 怪球は黒々とした姿で黙したまま地上に放置され続けた。そして、一年。

 平穏な学生生活、賑やかなお昼休み。

 アミとマミは、自称『学園の正義のアイドル』。今日も番長の乱暴に痛快なオシオキを与え、担任のアズサ先生からのお説教。だがそれも平和の象徴であった。

 アズサ先生が彼女らに「そういえば、あなたたちに手紙が届いてたの」と伝えるまでは……。

 TVアニメ・劇場版『アイドルマスター』で脚本を担当した髙橋龍也さんが構成・監修を、そして数多くのロボットアニメに携わってきた兵頭一歩さんが執筆を務めるなど、ただのネタではなく、“大人が本気を出して”作られている『無尽合体キサラギ』。そんな本作で亜美・真美を演じた下田麻美さんに、収録を終えた直後の感想などを伺った。

■TVアニメから生まれた奇跡の作品! それが『無尽合体キサラギ』

――『無尽合体キサラギ』は、TVアニメ『アイドルマスター』の第15話で出てきたネタのひとつでしたが、『キサラギ』を初めてご覧になった時の感想は?

『無尽合体キサラギ』
▲下田麻美さん

下田さんとにかく豪華な映像でしたので、ネタの2文字で済ませていいものなのかと思いました(笑)。確かにネタ的なものではあるのですが、「大人が本気を出したらこんなにスゴいものができるんだ!」と衝撃を受けました。

 『キサラギ』での2人は、ロボットであるキサラギとともに戦う主人公になります。双子であることも相まって、パロディでありながら、数あるロボット作品の中でもかなり個性的なタイトルになっています。「これは、このまま終わらせるにはもったいないネタだぞ……」と思っていました(笑)。

――2012年4月1日には、アニメ『アイドルマスター』の公式サイトで『キサラギ』が紹介されましたし、“アニメコンテンツエキスポ2012”ではグッズが販売されましたよね。

下田さんまさかの展開ですよね。せっかくですから、『劇場版 無尽合体キサラギ』と同時上映だった『ハム蔵のなつやすみ』もなんとかしていただきたいなと(笑)。

――『ボイノベ』に『キサラギ』が登場すると聞いた時の心境は?

下田さんもっと深く『キサラギ』の世界を知りたいとアニメのアフレコ当初から思っていましたが、このお話を伺った時には『ボイノベ』に携わったことがありませんでしたので、うれしく思いつつ、「どういうものになるんだろう?」と興味津々でした。

 その後、収録の話になりまして、「今回の亜美・真美は主人公でいっぱいしゃべるし、双子だし戦うし、大変だよ」と聞かされていたんです。実際に台本を読んでみると、本当に大変で……(笑)。でも、読み物としては文句なしにおもしろいです。もともと、このストーリーや設定があったうえで、第15話の『キサラギ』が生まれたのかなと思ってしまうくらい練り込まれています。

 収録を終えてみて、小説を1本読み終えたというか、映画を見終わったような気分になりました。『ボイノベ』の『キサラギ』自体、今後の展開に期待を感じられるような物語ですので、収録前から楽しみだったんです。でも、収録を終えた今では、さらに大きく期待してしまうような、そんな気持ちです(笑)。子どものころに小説やマンガのセリフを読んで録音して……ということをよくやっていたんですけど、小説を読みながら収録していくのは、とても新鮮で楽しかったです。

――『キサラギ』での亜美・真美について、改めて教えていただけますか?

下田さん物語の最初のほうでは、亜美・真美は学園生活を楽しんでいます。雰囲気としては、『アイドルマスター』とキャラクターが違う部分はありません。“学園の人気者”という感じです。誰からもあこがれを向けられていて、かつ親しみやすい。そんな学園全体のムードメーカーという存在です。双子で見た目もそっくりですから、戦いのシーンでは2人の息を合わせて戦っていくところもあります。それが普通のロボット作品とは違うのかなって。パワーが2倍にも3倍にもなるような、力強くて元気でかわいらしい主人公だと思いました。

『無尽合体キサラギ』

――『アイドルマスター』の亜美・真美と比べると、ここが違うという部分はありますか?

下田さん『キサラギ』では、人類を守るという使命を2人が背負わされてしまうんですが、最初は2人とも、少し調子に乗っている部分があったんです。決して“ヒーローごっこ”をしているわけではないですけど、シリアスではない。そんな2人がだんだんと命や平和というものを実感していく描写があるんですよ。そういうシーンは、普段の『アイドルマスター』にはない部分です。

 重い責任を認識して、押しつぶされそうになる。でも、やってみようと思う自分もいる――。そんな心の葛藤も、『アイドルマスター』の亜美・真美であれば、決してふまじめではないものの、もっと楽観的に捉えてしまうのかもしれません。でも、『キサラギ』の亜美・真美は、とても真剣に向き合います。こういった2人の描写は、この作品ならではのポイントですね。

 「こんなに重い責任は背負いきれないよ……」と言ってしまいたくなる絶望感に近い挫折が描かれていて、そうした描写を見ることで、『キサラギ』はシリアスかつ正統派なロボット作品なんだと認識を改めていきました。これはあくまで“亜美・真美が演じている”という設定ではあるんですけど、私自身こうした役どころを担当することはなかなかない機会ですので、思いっきり演じさせていただきました。

――『キサラギ』には多くキャラクターが登場しますが、その中でも下田さんのお気に入りキャラクターは?

下田さん美希ですね。これは『ボイノベ』を実際にお読みになった皆さんもそう感じるんじゃないかと思います。『キサラギ』の美希もグータラしているところはありつつも、才能で乗り切ることができる女の子です。

『無尽合体キサラギ』

 でもそれだけじゃなくて、芯の強さがあるんですよ。『キサラギ』の美希は、亜美・真美に“絶対にあきらめないこと”を見せてくれる大切な存在です。亜美・真美を演じていることもあってか、そんな美希がとてもカッコよく見えました。言っているセリフに独特の説得力があるんですよ。亜美・真美はもちろん、読んでいる私の心にガツンとくるセリフもあって、すぐに好きになってしまいました(笑)。

――もし下田さんが『キサラギ』の亜美・真美のようにロボットに乗ることができるとしたら、どんなロボットに乗ってみたいですか?

下田さん私は頭が悪く、身体能力も低いので(笑)、「行けっ!!」と言うだけで動いてくれるロボットがいいです。特殊な操作が必要だったり、パイロットの肉体にも痛みが出るようなのは遠慮させていただきます! 亜美・真美はキサラギの肩に乗っていますけど、それも怖いので無理ですね(笑)。

――『ボイノベ』だからこそ楽しんでほしいというところは?

下田さん例えば文字だけで「キャァァァァ!」というセリフがあったとして、それを読んだ人が悲痛な叫びだと感じたとします。そこに演技が加わることで、さらに悲痛感を出すことができるんじゃないかと思います。それと、キサラギは千早さんがモチーフになっているロボットでもありますので、あるシーンで曲が流れるんですね。これは『アイドルマスター』ならではのシーンで、すごく感動していただけると思います。

――小説ということで難しいかもしれませんが、『ボイノベ』の収録ではアドリブなどは入っているのでしょうか?

下田さんそうですね、アドリブとは違いますが、アフレコの際に心がけた点はあります。もしもこれがボイス付きの小説でなかったとしたら、読み手の皆さんは「亜美・真美だったらこうしゃべるだろうな」と予想して読んでくださると思うんですよ。そんな皆さんの想像を上回ろう! という意気込みで収録させていただきました。どんな声になっているのかは、実際に聞いて確かめてみてくださいね(笑)。

■大人たちが本気を出して作った作品です

――「ここは聞き逃してほしくない!」というシーンは?

下田さんそれがですねぇ、全部なんですよ(笑)。アニメ本編の中で、なんちゃって劇場版CMが『キサラギ』の始まりですが、まずはそちらをご覧になってから、『ボイノベ』を楽しんでいただけるとうれしいですね。「あ、これはあのシーンみたいだ!」と思うところも出てくるでしょうし、より『ボイノベ』を楽しんでいただけるのではないかと思います。そして全部読み、聞き終えてから、もう一度アニメ15話のシーンを見ていただけると、また違った見え方がするかもしれませんね。そういうアニメと『ボイノベ』で互いに高め合うような楽しみ方もおもしろいかもしれません。

 亜美・真美にフォーカスすると、2人が戦いに赴くシーンの1つですね。その時に2人が「ご指名、かかっちゃったね」、「キサラギさんキサラギさん、5番テーブル~」なんて、軽いノリでキサラギを呼び出すシーンがあるんですよ。

――実に亜美・真美らしいというか、似合うセリフですね。

 そうなんです! そういうことが言える亜美・真美にあこがれるし、彼女たちには似合っちゃうんですよね。『キサラギ』は、『アイドルマスター』の番外編に位置する作品で、亜美・真美が演じている“別の亜美・真美”ではあるんですけど、やっぱり彼女たちだからこそしっくりくるところがあるんです。

 それと先ほど、美希をイチオシに挙げましたけど、美希のセリフもとってもカッコイイんです。こんなことを言ってくれる子が近くにいたら、どんなに素敵だろうと。それと、セリフの話で言うなら、やよいも聞き逃せませんよ。普段であれば絶対に言わないようなセリフがあるんです。聞いた人はびっくりすること間違いなしなので、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。

――最後に、『無尽合体キサラギ』をこれから読む兄(C)、姉(C)たちにむけて、メッセージをお願いします。

下田さん『無尽合体キサラギ』をもっと深く知りたいと思っていた人は、多分私たちだけじゃないと思います。今回、『ボイノベ』として、アニメの時と同じく大人が本気を出して作ったものとして帰ってきました。小説がホントにスゴいんですよ。パロディ的な部分で笑わせたかと思えば、燃えるようなシチュエーションあり、思わず感動してしまうような展開ありと、読んだ人の心をつかんで離さない作品になっていると思います。

 そこに私たち声優陣も本気で乗っかって演じさせていただきました。これを『無尽合体キサラギ』という1つの作品として、皆さんに楽しんでいただけると自信を持ってオススメできます。これが好評だったら、まだ解き明かされていない謎に迫る展開が……あるかもしれませんし、『ハム蔵のなつやすみ』がついに実現するかもしれません(笑)。ぜひぜひ応援をよろしくお願いいたします!


『無尽合体キサラギ』

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(C)BNGI/PROJECT iM@S

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