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2015年3月4日(水)

『頭文字D ARCADE STAGE』と『湾岸マキシ』のプロデューサーが語るドライブゲームの展望は!?

文:電撃ARCADE編集部

 長年アーケードドライブゲームをけん引してきた『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズと『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』シリーズ。その両プロデューサーが相まみえ、初の対談が実現!

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 対談を行ったのは、互いにタイトルの全国大会決勝をひかえた2月上旬。『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズプロデューサーの新井健二氏と、『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』シリーズプロデューサーの前田和宏氏。アーケードドライブゲームを作るうえでのこだわりから、両プロデューサーの個人的な趣味、さらにはこれからの展望まで、対談の内容をあますことなくお届けします!

新井健二氏前田和宏氏
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▲ドライブゲーム開発には『セガラリー』から携わり、『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズのプロデューサーとして、本作を支え続けている。好きな車は“三菱 ランサ―エボリューションVI”。▲『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』にアートディレクターとして参加し、現在はシリーズの3代目プロデューサーとして第一線を走り続けている。好きな車は“日産 レパード(F31)”。

■ドライブゲーム開発の歴史や携わったタイトルについて

新井健二氏(以下、敬称略):僕はデザイナーとして、1991年にセガに入社しました。ドライブゲーム開発にかかわることになったのは、『セガラリー』の開発チームに入ったのがキッカケですね。デザイナーとして、当時は最新鋭のポリゴンを使って、コースを作っていました。

前田和宏氏(以下、敬称略):僕がナムコ(現:バンダイナムコゲームス)に入社したのは1994年で、まさにプレイステーションが発売された年ですね。最初はデザイナーとして、EM(※1)開発部に配属されて、『ジャンボゴジラ』という乗り物をデザインをしていました。デザイナーとしての最後の仕事は『ウンジャマ・ラミーNOW!』と『ビックスウィートランド』の筐体デザインでした。それで、元々企画が好きだったので、ずっとゲリラ的に行っていた社内の企画コンペに企画を出していたんですよ。そうしたら目をかけられて、企画に異動することになりました。当初はプライズゲームを担当する予定だったんですが、その頃、小山(※2)と小林(※3)が作っていたドライブゲームが新井さんのゲームに勝てなくてですね。

(※1)EM:エレメカ。アーケードゲームのなかで、画面表示をメインとせず、物理的にゲームを行うマシンをを指す。例として、クレーンゲームなどが挙げられる。

(※2)小山順一郎氏:『湾岸』シリーズ初代プロデューサー。代表作に『機動戦士ガンダム 戦場の絆』など多数。

(※3)小林景氏:『湾岸マキシ』シリーズ2代目プロデューサー。本シリーズのほかに『マリオカート アーケード グランプリ デラックス』など代表作多数。

新井:でしょうね(笑)。

前田:はい(笑)。それで、社内の車好きのメンバーを集めて新チームを作ることになったんです。それがドライブゲーム開発に携わるキッカケですね。ビジュアル周りを含めて、すべてをディレクションするところから始めました。それが『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』、通称、『湾岸マキシ1』ですね。

新井:僕は『セガラリー』『セガラリー2』などを経て、『頭文字D ARCADE STAGE』に関しては初代から現在までプロデューサーを務めています。

■ドライブゲームを作る原動力は車好きという自身の性格が重要!?

新井:自分は昔から車好きなんですが、2000年代序盤の自分の車に対する興味と、今現在の興味は違いますね。最近はひねくれちゃってます(笑)。昔はやはりスピードに興味があったんですけど、今はトヨタの“MIRAI”のような水素を使う車とか、ハイブリッドについてだとか、技術的なところに目がいっちゃいますね。

前田:僕は学生時代に自動車デザイン科にいたのもあって、車はずっと大好きです。これまで全部で8台ほど買っていますね。いろんな車をいじってきましたけど、基本的に平べったくて速い車が好きなんです。ただ、最近は子供が小さくて、昔のように飛ばせないですね(笑)。

新井:僕はこれまで6台買っています。当時は給料が上がると、あの車買えるじゃん! と言って買い替えていた感じでした。僕は一度、見栄とかじゃなくて、BMW製の直6エンジンを味わいたいという理由で、“BMW”を買っているんです。周りには、天狗になったから“BMW”を買ったんだなって思われているんですけど、違うんだよって言いたかったですね。ただ、第三京浜道路を3往復くらいしたら飽きちゃいました(笑)。

前田:何百万円もするけど、駆動方式が違う車に乗ってみたいという思いはありましたね。今の若者にはない、すべてをそこに突っ込むみたいな(笑)。

新井:もし今年ボーナスがでなかったら終わっちゃう、そういう人生を歩んできました(笑)。“BMW”とか買ったらアクセサリーみたいに乗ってるって思われるんですけど、そうじゃなくて運転するのが楽しいんですよ。ロータリーエンジンにもメーカーごとにストーリーがあって、そういうのをゲームを通じてちょっとでも知ってもらい、車好きを増やせられればうれしいですね。

前田:そうですね! そうそう、車の楽しさってこんな感じだよね! というのをわかる人がドライブゲームを作らないとダメなんですよ。

■ドライブゲームを作るうえでの苦労

新井:僕が作るのに苦労したのは『頭文字D4』ですね。技術的に大変でした。初代『頭文字D』は、単純にドライブゲームを初めから作るという“わかっていた苦労”だったんです。だけど、店舗間通信対戦を初めてやった『頭文字D4』は筐体も新規ですし、通信対戦も新しい試みと苦労が予想できないんですよ。とくにラグに関しては苦労しましたね。ラグが発生するのは技術的に絶対避けられないもので、ある程度はしかたないのですが、それでも緩和する努力をしていかなければなりません。自分のPCなら回線を太くするとかいろいろなやり方があると思うのですが、アーケードゲームではそれこそゲームセンターの問題や混む時間帯、その地域の問題まであります。オフィス街なら夜が空くけど、住宅街に近い場所だと混むとかね。ラグの調査のために実際に青森までいって調べたこともあります。

前田:僕も新井さんの苦労はよくわかります。『頭文字D4』のときは自分たちも全国各地に開発メンバーを送って、携帯電話片手に「今からやるよ!」とか連絡をとりながら、ラグの調査をしました。自分たちの苦労といえば、『頭文字D』シリーズやタイトーさんの筐体が新しくなって画面が液晶に変わっていくなか、うちだけはブラウン管だったんですよ。今ある筐体をできるだけ大事に使っていこうというのが会社の方針だったんです。ただ、あの液晶軍団と闘わなければいけないのか、みたいな(笑)。あのときは苦労しましたね。ゲームセンターのモニターも、『湾岸マキシ1』からのものなので、ブラウン管が黄ばんでいたり、解像度も640×480ですからね。最近のスマホのほうが遥かに細かいです。

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■現在稼働している最新作について

前田:最新作の『湾岸マキシ5』では、日本版と海外版の仕様の一部を変える試みをしています。前作『湾岸マキシ4』の反省点として、海外版は日本版の後追いで、バージョンアップで次にどの車種が追加されるのかが海外のプレイヤーにわかってしまっていたんです。そこで、今作ではわざと日本とは違う車種の実装をして、海外版だけに“BMW M1”や“メルセデス・ベンツ SLS AMG”を導入しています。本当は世界同時に稼働できるのがベストなのですが、発売時期がずれてしまう事情がありまして……。国内のプレイヤーからは「BMW M1は追加されないのですか?」とか質問されるんですが、「いつ実装するかは内緒です(笑)。」という感じで、今後どの車種を実装するかわからないような楽しみを持たせました。

新井:最新作の『頭文字D8』では、“Dコイン”というシステムを新たに導入しました。お金を使っていただければ、愛車を素早くチューニングできるシステムです。仕事が忙しいなどの理由で、あまりプレイ時間を確保できないプレイヤーでも、車の性能では差をつけられずに遊べるようにしました。また、新要素のなかで年齢が若いプレイヤーに好評なのが、“頭文字D.NET”への入会を筐体からもできるようにしたことです。これまでは利用料金の支払いがキャリア決済だけだったのですが、筐体にお金を投入することでも支払えるようにしました。それらの効果もあってか、今作は中学生や高校生のプレイヤーがチームを組んで遊んでくれていたりと、評判は上々です。全国各地にイベントで足を運んでいますが、年齢層がお子さんからお父さん世代までと幅広く、とくにティーンエイジのプレイヤーにたくさん遊んでもらっている印象です。

前田:2世代にわたってゲームを楽しんでくれている方々も多いですよね。

■地方や海外の盛り上がりについて

前田:地方の盛り上がりは都内を越えているかもしれませんね。地方にはゲームセンターを中心としたコミュニティが存在していて、みんなでゲームセンターに集まってワイワイとプレイをするんです。そこではリーダーや古株がコミュニティーをきちんとまとめていて、10年もたつとそのコミュニティの年齢層が大きく広がっていきます。そして、幅広い年齢層で組まれたチームで、地方大会に参加するといったことが見られるんです。

新井:都内は設置店舗・プレイ人口ともに多いのですが、地方のような絆を作るのは難しいのかもしれません。地方は設置店舗がそれほど多くないので、何度も同じプレイヤーに顔を合わせることになります。そうなると、いつかは知り合いになることもありますよね。

前田:海外にもコミュニティはあって、FacebookとかLINEのグループなどでやりとりをしているようです。お国柄や教育方針の違いなのかもしれませんが、ゲームセンターにいるみんなが知り合いで仲よしといった感じがありますね。

新井:海外のゲームセンターって、ビックリするくらいカップルがいるんですよ。そんなゲームセンターにドライブゲームが置いてあって、彼女にカッコいいところを見せるためにプレイをしてみたらゲームとしておもしろい。だったら本格的にやってみよう、といった流れでドライブゲームが人気になっているんじゃないでしょうか。

前田:海外でもゲームセンターはみんなでワイワイできる楽しい場所というカテゴリーに入っていますよね。新井さんもおっしゃっていたように、デートで遊びに来るカップルは多いですね。

■全国大会を開催する意義

前田:久しぶりに『日本最速王座決定戦2015』という全国大会を開催させていただいたのですが、開催をお知らせする前は何度も「全国大会を開催しないんですか?」とプレイヤーに言われました。中級者以上の人たちは全国大会が1つの目標になっていて、一瞬の勝負強さや精神力などを含め、「一番速いのは誰だ!?」というようなものを決める大会が待ち遠しかったんだと思います。人生のなかで、オリンピックのようなお祭りの場で戦ってヒーローになれる瞬間はあまりないので、そういう場があればモチベーションアップにつながりますよね。それは海外のプレイヤーにも同様で、相乗効果でゲームの盛り上がりにつながっていくと思います。

新井:『頭文字D』では、3月22日に『銀河最強決定戦』という全国大会を行います。もちろんドライビング技術の高い日本一のプレイヤーを決めるという目的はありますが、僕の真の目的は大会を通してプレイヤー同士の交流を促すことにあります。最近は集まって遊ぶとなると、携帯ゲーム機を持ち寄って遊んだりすることが多いらしいのですが、ゲームセンターでの交流はまた違ったものだと思います。大会やイベントのために遠征して来たプレイヤーが、その地域のプレイヤーと仲よくなって、そのプレイヤーの家に泊まったり、一緒にご飯を食べた、などというのを聞くととてもうれしいですね。そんなゲームセンターならではの、直接的な人と人の付き合いを広めたいというのが僕の本当の目的なんです。もちろん地域代表として勝ち上がってきた人たちのなかで、誰が一番速いのか! というのを決定する場を提供したいという思いもあります。3月22日は熱い大会にしたいですね。

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■原作の話やその影響の大きさについて

新井:『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズを作ったばかりの頃は、世界観の元になった漫画の『頭文字D』から本作に興味を持ってプレイをしてくれる人がいました。ただ、現在では逆で、ゲームからアニメに、アニメから漫画へと興味を持つプレイヤーが多いようです。

前田:『湾岸マキシ』シリーズの原作は、ドライビング技術より精神面に関する話が多いので、どちらかというと大人向けなのかもしれません。

新井:住み分けはできてますよね。『頭文字D』は若い年齢層にうける内容だと思います。

前田:『湾岸ミッドナイト』は「お前はこの声が聞こえるか?」みたいな精神世界の話が多いですからね。香港では漫画の出版がなく、『湾岸ミッドナイト』といえばゲームタイトルの印象が強いようです。そして、あとでネットなどで調べて、原作があることを知るようですよ。

新井:『頭文字D』は、いろいろな地域で出版されており、アジアでは映画も上映されています。高校生ぐらいのプレイヤーが共感するような恋愛話などもあり、グッとくる話が多いようですね。両方の漫画の魅力は、ゲームを通じてしっかり伝わっていると思います。

■ドライブゲームの魅力や開発でこだわっているところ

新井:ドライブゲームの魅力は、現実的にはできない走りを疑似体験できる部分もあるのかなと。実際の車で峠やサーキットを気持ちよく走り回れる機会はあまりないですし。それをゲーム中だったら、自由にスピードを出して走れますからね。

前田:車を飛ばすこと自体に爽快感があるんだと思います。そこに魅力が詰まっているんでしょうね。

前田:開発していくうえで一番こだわっている部分は、“走っていておもしろいかどうか”。これに尽きますね。この部分が崩れたら、どんなにゲームを飾り立ててもおもしろいものにはなりません。

新井:自分も同感ですね。ただ、お互いのゲームは、目指しているおもしろさの内容に多少の違いがあると思うんです。高速道路を針の穴を通すような運転で走るのと、コーナーでキレイに弧を描くおもしろさは全然違いますよね。しかし、両方のゲームの真の部分にあるコンセプトは一緒で、それは“とにかく走っていておもしろい”ということなんです。

前田:これは口で言うのは簡単なのですが、いざ作るとなると難しいんですよね。

新井:本当にそうですね。

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■お互いのゲームで意識している部分や秀逸だと思う部分について

新井:僕は変な意識はしていなくて、お互いのゲームは住み分けはできていると思っています。過去にはかぶってるんじゃないかと思っていたこともありました。『湾岸マキシ』シリーズの新作がでたら『湾岸マキシ』をやって、『頭文字D』の新作がでたら『頭文字D』をやるみたいなプレイヤーがいると思っていたんです。でも実際はきれいに分かれてますね。

前田:お互いのプレイヤーが行き来することは、じつはよいことだと思っています。長年続くシリーズなので、やはりそこは飽きがきてしまうこともあります。そんなときは『頭文字D』や『マリオカート』をやってもらいたいんです。そして、『湾岸マキシ』が新しくなったらまた戻ってきてもらう。逆もしかりですよね。それはゲームセンター人口が減っていると言われている今、ドライブゲームから離れないでほしいという想いからです。「ちょっと飽きちゃったから、家に帰ってスマホゲーをやるか」ってなられたら、ゲームセンターから人が減ってしまいます。そうならないためにも、いい意味で支えあっていきたいと思います。

新井:『湾岸マキシ』シリーズに「やられた!」と思うところは、4人対戦の勝ち残り方式です。『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズは最大で2人までしかプレイできないので、あの方式は素晴らしいと思いました。ただ、勝ち残り方式を始めたときに懐疑心があって、負けた人が怒らないのかな、とも危惧をしていました。しかし、その心配の必要はなく、あのシステムのおかげでリベンジするときにコミュニケーションが生まれ、結果的に、ゲームセンターの盛り上がりに一役買ってくれていますね。

前田:『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズの秀逸なところは、先駆けて全国通信対戦を導入したり、モニターをフラットモニターのものに変えるなどという先見性や行動力ですね。

新井:筐体を新しくしたことについては、会社から多少苦情を言われています(笑)。

前田:そうでしたか(笑)。システムの部分については、“Dコイン”の導入ですね。少なからず、プレイヤーから不満が上がりそうな部分ですので。それにもかかわらず導入したのは、さすが! と言わざるをえません。

新井:僕はどうにも我慢しきれずに、いろいろなことに挑戦してしまうクセがあるんです(笑)。

■ヘッドマウントディスプレイについて

前田:ヘッドマウントディスプレイは要研究対象ですね。ただ、それを使ったときに、隣の人とのコミュニケーションが生まれなくなるのは避けたいです。1人で完結するものではなく、ゲームセンターのよさを残す必要がありますね。コミュニケーションをとれるところが、ゲームセンターのよさですから。

新井:現状では映画鑑賞などに使うほうが効果が高そうですよね。それをどう使っていくのかが、僕らの腕の見せどころといったところでしょうか。

■これからのアーケードレースゲームの展望

新井:アーケードゲーム全般に言えるかもしれませんが、これからは料金体制が変わっていくと思います。ソーシャルゲームが行っているような課金システムは無視できなくなるかもしれません。

前田:楽しさの対価としてお金払っていただく部分は変わりませんが、その形態は変わるかもしれません。これからはゲームセンターならではの付加価値を付けて、ゲームセンターでしかできないようなことをしなければダメだと思います。業界全体の話になりますが、僕が一番怖いのはゲームセンターが“古い遊び”と思われてしまうことなんです。ゲームセンターには常に最新の遊びを提供していきたいですね。

新井:僕のこれからのアーケードレースゲームに必要な要素は“ライブ感”だと思っています。ゲームセンターでのプレイは、多人数でゲームをプレイする、まるでライブのような感覚があります。そのような、人が集まったとき特有の楽しさをこれからも追求していきたいですね。

■『頭文字D』と『湾岸』のコラボレーションは実現する!?

新井:せっかくこういう対談の場を設けてもらっているので、ぜひやらせてもらいたいですね。『湾岸マキシ』プレイヤーに『頭文字D』の魅力を伝えてみたり、逆に『頭文字D』のプレイヤーに『湾岸マキシ』の魅力を伝えてみる、といったものもおもしろそうですね。そういうことをぜひやってみたいですね。

前田:ドライブゲームの楽しさを伝えていく、発信していくようなことは一緒にやっていきたいですね。

新井:初代『頭文字D』を作ったときの話なのですが、そのころから小山さんと仲がよかったんです。当時、SEGAには小さいハンドルしかなかったのですが、『頭文字D』では実在の車みたいに、大きなハンドルを回させたいという願望が強くあったんですよね。逆に、大きなハンドルさえあれば、シフトレバーなんかはオートマチックでもいいぐらいの気持ちだったんです。ただ、それを実現するにはいろいろな課題もあって。それでどうすることもできなくなって、ダメもとで仲のよかった小山さんに頼んでみたら、「売ってもいいよ!」って言ってくれたんです。本当に助かりましたね。ただ、欲しい数は伝えておらず、小山さんから「何本ぐらい欲しい? 5本くらい? 10本くらい?」って尋ねられたときに「3000本です。」って答えたんです。そうしたら、さすがの小山さんも「3000本!? ちょっとそれは待ってください。生産部門のほうに問い合わせてみるんで」ってあせっていましたね(笑)

前田:在庫じゃまかなえない数ですね(笑)。

新井:在庫じゃ足りないからと、生産部門のほうに話が行って。当時は2001年とかですけど、そのときからゲーム業界が発展するならという思いで、会社間の垣根とかはなかったですね。初代『頭文字D』のハンドルは、『リッジレーサー』のハンドルなんですよ。……あれ? これって話しちゃダメなんだっけ(笑)。

前田:ちゃんと会社間同士で取引が行われたので、大丈夫だと思いますよ。

新井:そうです、そうです(笑)。会社間でキチンと取引が行われました。

前田:そうだ。我々はハンドルの本数で『頭文字D』の出荷台数がわかって便利でしたよ。

新井:さすがですね! それにしても小山さんにはお世話になりました。正直、小山さんからしてみれば、面倒な話だと思うんですよ。それを快く引き受けてくれたんです。あれはうれしかったですね。それもあって『湾岸マキシ』シリーズには変なライバル心みたいなものはないですね。

■ドライブゲームのプレイヤー、そして本記事読者へのメッセージ

新井:長い間『頭文字D』を遊んでいただいてありがとうございます。ドライブゲームだけでなく、アーケードゲーム業界も盛り上げていきたいので、今後ともよろしくお願いします。

前田:これからも『湾岸マキシ』もアーケードゲームも盛り上げていきたいと思っているので、引き続きよろしくお願いします。ドライブゲームの楽しさをもう一度みなさんに認識してもらえるように頑張ります!

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データ

▼『頭文字D ARCADE STAGE 8 インフィニティ』
■メーカー:セガ
■対応機種:AC
■ジャンル:RCG
■稼動開始日:2014年7月17日
▼『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 5』
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:AC
■ジャンル:RCG
■稼動開始日:2014年3月12日

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