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2015年4月10日(金)

「泣ける!」と話題の『プラスティック・メモリーズ』原作・脚本の林直孝氏&鳥羽Pに聞く作品コンセプトや今後の展開

文:電撃オンライン

 愛らしいキャラクターと切ない物語が大反響を呼び、今後の展開が楽しみなTVアニメ『プラスティック・メモリーズ』。原作・脚本を担当した林直孝氏とプロデューサーの鳥羽洋典氏を直撃取材し、4月11日に放送される#02の魅力や今後の気になる展開についてお聞きした。

『プラスティックメモリーズ』

●林 直孝(はやし なおたか)

 MAGES.所属のシナリオライター。代表作は科学ADVシリーズなど。かねてから温めていた企画をブラッシュアップし、初のTVアニメ全話脚本に挑んだ。

●鳥羽 洋典(とば ようすけ)

 『Angel Beats!』、『アイドルマスター』、『恋愛ラボ』、『キルラキル』など、数々の作品を手がけてきたアニプレックス所属のプロデューサー。


【あらすじ】

 舞台は現代より少し科学が進んだ世界――。

 心を持った人型のアンドロイド、通称『ギフティア』を製造・管理する企業に就職した18歳の少年・水柿ツカサが配属されたのは、寿命を迎えたギフティアを回収する部署“ターミナルサービス”。

 新人のツカサはお茶係のギフティアの少女・アイラとパートナーを組んで、仕事をすることになったのだが……。


『プラスティックメモリーズ』

――ついにTVアニメ『プラスティック・メモリーズ』の#01が放送されました。オリジナル作品のお披露目ということで、特別な緊張感があったと思いますが、今の心境を教えてください。

鳥羽:本当に長かったですね! 2012年の年明けぐらいから企画をスタートさせて、放送まで約3年以上かかっていますから。#01が無事放送されてホッとしました。それと同時に、観ていただいた方から予想以上に反響をいただいて、びっくりしています。

:僕は「ついに流れてしまった……」というのが素直な感想です。シナリオ作業は最終話まで終わっているので、もっと心穏やかに観てもいいと思うんですがドキドキが止まりませんでした。「面白かった」という感想もいただけて、僕達がやろうと思っていたことが伝わったんだな、という手ごたえを感じました。これも藤原監督の力が大きいと思いますね。

――本作は『STEINS;GATE』、『CHAOS;HEAD』など科学ADVシリーズを手掛けた林さんが脚本を担当するということで、楽しみにしていたファンも多いと思います。ラブコメ要素たっぷりの物語に、驚いた方も多かったのではないでしょうか?

:今回はド直球ですからね(笑)。ハードSFの凝った設定も好きですが、僕は本来、直球の物語しか書けない人間ですから。#02以降もわかりやすいお話になっていると思います。もちろん、寿命を迎える人型のアンドロイド“ギフティア”を回収していく物語なので、楽しいだけじゃなくシリアスなエピソードもあるのですが、僕らが一番やりたかったのは“ボーイ・ミーツ・ガール”。その中にいろいろなドラマを散りばめている感じです。

鳥羽:“出会いと別れ”をテーマにした作品だと、ついつい物語を重たくしがちなんですよね。僕たちは視聴者を悲しませたいわけじゃなくて、エンターテインメントとして大勢の人に楽しんでもらえる作品にしたかったんです。

:#01はターミナルサービスという仕事の説明と世界観紹介、キャラ見せ、ドラマ見せと、作品全体をぎゅっと凝縮したお話でした。ハードSFとして観ようとしてくださる視聴者の方も多いみたいですが、メインはラブストーリーです。SF的な設定は、もちろんちゃんと作っているのですが、この作品ではそれをくわしく解説するより、ドラマの方に比重を置いています。

――声優陣が声を吹き込み、画面を動き回るキャラクターを観ていかがでしたか?

:完成したフィルムを観て、キャラクターの愛らしさに藤原監督の執念みたいなものを感じましたね。視聴者の方にもキャラクターを観てもらえるのがとてもうれしかったです。僕が個人的に一番うれしいのは「アイラがかわいかった」という感想ですね。

鳥羽:あと、ドラマに共感してもらえる事も嬉しいですし、キャラクターの魅力を感じてもらえるということは、作品の中で彼女たちが生き生きと自分の人生を生きているということだと思うんです。

:僕は脚本を上げた時と、#01の絵コンテが上がってきた時と、完成したフィルムを観た時と、キャラクターの印象がそれぞれ違っていて。コンテを初めて見た時、「アイラがかわいい!」と思ったんです。藤原監督のフェチ的な演出がムンムンと漂ってきて、いいなと。完成したフィルムを観た時は、感動部分もより強調されていて、自分で書いた脚本なのに、思わずホロリときてしまいました。

鳥羽:表情の豊かさや愛らしさには、藤原監督や総作画監督の中島(千明)さんなど作画陣の強いこだわりを感じます。

『プラスティックメモリーズ』
▲ツカサとペアを組んで業務にあたるギフティアの少女・アイラ。口数は少なくクールに見えるけれど、けっこうドジ……。

――今後はどのような物語が展開していくのでしょうか?

:一貫したテーマとして“出会いと別れ”というのがあって、それを仕事にした主人公のツカサ君がどのように成長していくか、という部分が一番のドラマですね。ツカサ君には、僕がやりたくてもできなかった理想の生き様をさせたつもりです。

鳥羽:林さんも藤原さんも、作り手の本音がどこかしら作品とキャラクターに出ちゃうというのはありますよね(笑)。

――メインヒロインのアイラの過去も気になります。

:#01ではアイラはベテランといわれつつ、どこかぎこちないところがあったじゃないですか。#02と#03のあたりから、彼女の重要な過去が明らかになっていきますね。アイラはなにも考えていないようで、すごく考えている子なんです。ギフティア自体、心を持っているので。ベースの人格にその個体の経験が反映され、その個体が置かれた環境によって人格が形成されていくんです。その部分は、人間とまったく同じです。

鳥羽:だから、まったく同じ性格のギフティアはいません。トラウマがあると、それをちゃんと引きずってしまいますし……。

――アイラがハーブを育てていますが、あれは深読みすべきところですか?

:いい着眼点ですね! ぜひ深読みしてください。なにかあるかもしれないし、ないかもしれない(笑)。でも、ギフティアの彼女が植物を育てるというのは象徴的ですよね。

鳥羽:もう1人のメインヒロインであるミチルは、仕事の先輩として頼りない新人のツカサにキツイ言葉をかける半面、自分の脆い一面を隠しているようなキャラクターなんです。物語が進んでいくにつけ、彼女の発言や行動に影響を与えている過去も明らかになっていきます。アイラとミチル、正反対の魅力を放つ2人のヒロインは掘り下げて描いていきますので、そのあたりも注目してしていただければと思いますね。ミチルとザックの物語は、祐佑さんの描くコミック版でも補足されていきますので、そちらもお楽しみに!

『プラスティックメモリーズ』
▲年齢的にはツカサの年下だが、仕事上は先輩の絹島ミチル。勝気で表情豊かなところがかわいいと評判です!

――ギフティアの少女・アイラやミチルなど、愛らしい美少女がたくさん登場する本作。電撃的にはこれだけの人材がそろっていると、水着やドレスなどキュートな姿が見られるのではないかと期待してしまいます。

鳥羽:もちろん、それはぜひ期待してください! 特にアイラはみんなのマスコット的なキャラクターなので、そういうシーンも多いかと。

:かわいい私服を着て出かけるエピソードも用意してますし、水着になるエピソードもあります。誰かに無理やり着させられたり……。

――まさか脱がされたりも!? もしや「ドキッ♪ ギフティアだらけのゆけむり温泉社員旅行」なんかも……。

:残念ながら、温泉のお話はありません。企画段階では候補に挙がっていたのですが……(笑)。でも、お風呂にはバッチリ入りますよ。

鳥羽:お風呂に限らず、色々なシチュエーションを見せていこうと思います。アイラがどういうことを考えて、なにを好んでいる女の子なのか。序盤はそこにカメラが寄るので、仕事以外の彼女の姿も観ていただいて、その内面を知ってもらいたいですね。

――今の時代にはめずらしく、真正面から人と向き会っていく人々を描いた作品だと思います。

鳥羽:僕も林さんも藤原監督も30代の人間なので、心の奥底では「ダイレクトにやり取りをするほうがいい」と思っているんじゃないかな? 『プラメモ』ってSFなんですけど、必要以上にSNSみたいなことをやってないんです。基本的には相手に会って話すというコミュニケーションが中心で。

:そうそう。実はすごくアナログですね。例えばターミナルサービスの仕事も、効率を優先すればメールや電話でパパッと済ませられるものなんですよ。でも、あえて所有者に会いに行き、直接話をして、書類にサインをしてもらう作業をしているんです。藤原監督もちゃんと心の交流を描きたいと言っていましたしね。

鳥羽:藤原監督がモダンで省エネな感じの職場ではなく、人との距離が近い雑多な昭和の雰囲気を出したいと言っていました。

――「大事なことは、面と向かっていうぞ!」みたいな……。

:そうですね(笑)。人と触れ合うことで、いろいろなドラマが生まれていくのは現実でも作品の中でも一緒なんだと思います。

鳥羽:作り手の僕達がそうやって育ってきた世代ということもあり、特に意識しなくても、そういう感覚が作品に反映されているのかもしれません。

『プラスティックメモリーズ』
▲ツカサたちが所属する部署“ターミナルサービス”。昭和の雰囲気漂うオフィスが印象的だ。人とギフティアがペアを組んで、寿命を迎えるギフティアを回収しに出かけます!

――アートディレクターのカイシトモヤ氏が手がけた作品ロゴが魅力的です。少し気は早いですが、DVD&BD第1巻のパッケージデザインや収録内容なども気になります。

鳥羽:#02の放送後にDVD&BD第1巻の内容を告知させていただきたいと思っています。カイシさんに依頼したのは僕で、彼はシンプルだけど温かみがあるデザインをする方なので『プラメモ』の世界観にぴったりだと思ったんです。毎話のサブタイトルのフォントも選んでもらっています。3年かかってアニメ化した大切な作品なので、パッケージも豪華に凝ったデザインを考えていますので、そちらも楽しみにしていてください。

――特殊なプラスティックを使っているとか……。

鳥羽:そういうのも、できれば面白かったのですがね(苦笑)。でも、見た目は他と変わったものになっていると思いますので、こうご期待です!

――最後に、#02の放送に向けてメッセージをお願いします。

:#02では、#01で描かれなかったキャラクター・ヤスタカやエルも登場して、ターミナルサービスのメンバーが勢ぞろいします。若くて未熟な主人公の成長劇と新しい登場人物との交流もぜひお楽しみに。

鳥羽:#02はアイラという女の子の魅力がより伝わる内容になっていると思います。アイラと仕事をするということは、ツカサにとってどのような体験なのか。ターミナルサービスという職場の雰囲気をもっと感じていただければ幸いです。また、ニコニコチャンネルなどで#01が無料配信中です。「見逃した!」という方はぜひチェックしていただいて、#02の放送を楽しんでください。どうぞよろしくお願いいたします!

『プラスティックメモリーズ』

(C)MAGES./Project PM

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