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2015年4月21日(火)

AC『ディシディアFF』インタビューで登場予定のキャラクター数が判明。クラウドの顔は○通り作った!?

文:あべくんスズタク

 本日4月17日よりロケテストが開始されているアーケード用アクション『ディシディア ファイナルファンタジー』。“JAEPO 2015”(ジャパンアミューズメントエキスポ)での発表から、大きな話題を集めている。

『ディシディア ファイナルファンタジー』

 本作はPSP用ソフトとして、展開していた『ディシディアFF』シリーズがアーケード用に生まれ変わったもの。対戦人数を1対1から3対3に変更し、チーム戦から生まれる戦略性などを楽しめる作品へと進化しているのが特徴だ。

 そんな本作の開発経緯、開発陣の狙い、そして登場キャラクターなど、ファンなら気になるポイントをスクウェア・エニックスの間一朗プロデューサー、鯨岡武生ディレクター、コーエー・テクモゲームスの早矢仕洋介プロデューサーにうかがった。

『ディシディア ファイナルファンタジー』
▲こちらまで笑顔になってしまうような表情の間氏(左)、鯨岡氏(中央)、早矢仕氏(右)。

■アーケードだからこそできる『ディシディアFF』とは

――前作『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』(『DDFF』)から4年の月日が流れての登場となるアーケード版ですが、ここにいたるまでの経緯からお聞かせください。

鯨岡武生氏(以下、鯨岡):2012年の終わりころから、僕と高橋(『DDFF』ディレクターの高橋光則氏)で『ディシディアFF』の続編を作ろうという話をしていました。

 まずハードは何にしようかというところで、PSPの次だからPS Vitaかなと僕らとしても考えていたのですが、そのころにグループ会社のタイトーから、「『FF』のアーケードをやりませんか?」という話をいただきまして。とりあえず話を聞いてみよう、というのがそもそもの始まりでしたね。

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――携帯ハードからアーケードへというのは、かなり思い切った決断だったと思います。

鯨岡:僕としても、最近のゲームセンター事情を知らなかったので、まずはそこを知るとこから始めました。ただ、僕が学生時代に通っていたころとは全然違いましたね。IDカードを使ってセーブデータを残せるというのも衝撃的でした。

 このセーブデータがあるというのは、今回アーケードでやろう、と決断するきっかけとしては大きいものでした。

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▲本作ではNECiCAを使えば“バトルセット”、“クラス”(段位のようなもの)などが保存できる。

 パッケージで作る時にはキャラクターをたくさん出したいし、いろんな挑戦もしていきたい。でも、新しくパッケージを出してDLCでキャラを増やして調整をしても、ユーザーさんの数はどんどん減っていってしまう。

 それなのに結構な額を払ってもらうというのもどうかと……。しかし、アーケードであれば小銭を握ってゲーセンに行けば常に最新状態のゲームがあって、みんなに平等なオンライン環境がある。セーブもできるし、キャラもどんどん出していける。

 これはユーザーさんにとっても作り手側にとってもアリなのではと思いました。そこでアーケードでやろうと腹を決め、2013年の頭くらいから始動し、その年末くらいから開発が本格的にスタートしましたね。

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▲JAEPOで公開されたティザートレーラーのワンカット。コーネリア城が眼前にそびえ立つという、『FFI』のタイトル画面でもおなじみの構図。当時よりも格段に進化したグラフィックで再現されており、印象深かった。

――近年、スクウェア・エニックスでは『LORD of VERMILION』シリーズや『ガンスリンガーストラトス』シリーズ、『パズドラ バトルトーナメント -チャンピオンズ オブ ラズール-』など、アーケードにも力を入れていますよね。そのあたりも判断材料に?

鯨岡:はい。僕たち自身はアーケード環境は初めてなので、柴(『LORD of VERMILION』総合プロデューサーの柴貴正氏)などに話を聞いたりもしました。

 そこで「アーケードっておもしろいよ!」という声も聞きまして。ユーザーさんとの距離も近いし、お店に行けば遊んでいる生の人の姿が見られる。プレイヤーの要望も直接届きますし、その内容をアップデートなどで反映すればダイレクトに喜びが伝わってくる。

 これは非常に魅力的だと思いました。僕らも『DDFF』で大会を開いた時に、ユーザーさんの盛り上がりは目の当たりにしているので、あの感覚と似ているのかな、やりがいがありそうだな、という思いはありました。

――ただ現状を見ますと、アーケード市場全体は厳しい状況ではないかとも思います。このあたりについてはどうお考えですか?

鯨岡:タイトーからの話では、各店舗ともまだまだ希望を捨てておらず、新規のお客さんを待っているとのことでした。

 だったら『FF』をアーケードに持っていって、コンシューマメインで遊んでいたお客さんをゲームセンターに呼ぶことができれば、アーケード業界も盛り上げられるのではないかと。

 僕らとしてはアーケード市場が斜陽産業だとはまったく思っておらず、いいゲームを出していけばもっと活性化できるのではないかと考えています。

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――そこから早矢仕さんにお話がいったのは、どういう流れだったのでしょうか?

早矢仕洋介氏(以下、早矢仕):Team NINJA(コーエーテクモゲームスの社内開発チーム。代表作は『デッドオアアライブ』(『DOA』)シリーズなど)としては、2013年にセガインタラクティブさんで『DEAD OR ALIVE 5 Ultimate: Arcade』を出したのですが、その時にタイトーさんとも何か一緒にやろうという話をしていたんです。

 その時に私のリクエストで、『ディシディアFF』をイメージしていたというワケではないのですが「『FF』のキャラを貸してもらえるなら作ります」ということを言ったんです。

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間一朗氏(以下、間):ちょうどそのころに、鯨岡とも話をしていたんじゃないですかね。タイミングが奇跡的に合っていたんだと思います。

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早矢仕:それで、間さんと鯨岡さんたち『ディシディアFF』チームを紹介していただきました。『ディシディアFF』で3対3をやる、という方針は最初の内から決まっていて、以降そのコンセプトがぶれることはありませんでしたね。

鯨岡:それぞれが持ち寄った企画書にも、何のすり合わせもせずに“3対3”と書いてありましたよね(笑)。

早矢仕:1対1ではダメだと思ったんです。我々には、すでに1対1の格闘ゲームのIPがありますし、別の格闘ゲームを作ったとしても、技の発生と硬直があり、行動に対しての三つどもえの駆け引きがあり、割り込みやコンボがある。

 こういう風に、遊びの本質は変わらず、変化をつけにくいと感じていました。しかし、3対3ならもっと別次元の遊びができるのではないかと。今って、戦うだけじゃなくて仲間も欲しいじゃないですか。

 そういう意味でも3対3なら友だちとも協力できるし、対戦もできるし、パーティと呼べるチームも作れる。オールスターで自分の好きなパーティメンバーを組もう! みたいな雰囲気です。

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鯨岡:この3対3というプレイ人数についても、僕のなかでは1日単位で変わっていた時期があったんですけどね。1対1を突き詰めるという形や、CPU2人を連れてユーザー的には1対1という形、4人以上の形というものもありましたね。

 10対10なんてタイプを考えたこともありました。実際に、前作で高橋も『FF』のナンバリングではパーティを組むというのが当たり前のことなのでそれを実現したい、ということは常日頃から言っていました。

 それには僕自身も賛同していて。そこで前作のパーティバトルのようなものを1人ずつの操作でやってみたら、『FF』っぽいバトルでかつ、早矢仕さんが言っていたオールスターが実現できると思い、それで3対3に落ち着きました。

――制作におけるみなさんの立ち位置というのは?

早矢仕:鯨岡さんにディレクターとして立っていただいていますが、それ以外の部分は基本的にウチのチームが担当しています。

 スクウェア・エニックスさんにはCGの監修など、間接的に多くのご協力をいただいていますね。鯨岡さんにはウチの開発現場に来ていただいて、時には朝から晩までいていただくこともあります。

鯨岡:気持ち的にはちょっと場所が遠い開発チーム、くらいの雰囲気でした(笑)。

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早矢仕:私たちがこのタイトルに関わることでポジティブな部分を与えられる、と思ったのは、ワイワイプレイしても楽しいし、ガチでも楽しい、となった時に、ガチの部分で大きな力になれると考えたからです。

 アーケードで出すとなると、ワイワイ楽しい一面だけではダメだと思うんですね。対戦で負けたときに、自分のスキルが足りなかったとか、友だちと上手く連携をとれなかったからダメだったとか、敗因が分かる必要がある。

 前作までの『ディシディアFF』にはRPGとしての側面もあったので、それを剥いでいったときに、ピュアなアクション部分でちゃんと通用する、楽しいものである必要があるという話を鯨岡さんとも時間をかけて話しました。

 勝てなくても、もう1試合やりたいと思ってもらえるような、そういう内容にはうまく仕上がったかなと思います。

――鯨岡さんから、“『ディシディアFF』感”のようなものを早矢仕さんに伝えたりはしたのでしょうか?

鯨岡:前作の『DDFF』があるので、それを触っていただいて、「こんな感じです」と(笑)。

早矢仕:『ディシディアFF』とはこうだ、というメッセージを明確にいただいたというのではなく、『ディシディアFF』を触って、ココを大事にしているんだろうな、というのを意識して作りました。

 実際、エフェクトやSEなどは1つずつ全然違っています。前作ではブレイブブレイクすると演出で一瞬画面が止まりましたが、ガチな対戦を目指すなら止めちゃダメだと思って変えています。その代わり、エフェクトやSEなどでしっかり表現しようと。

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鯨岡:タイトルの根底にあるポリシーは最初に共有しています。ブレイブシステムをなくすという話もあったのですが、ブレイブシステムはもともと格闘ゲームが苦手な方に対して逆転のチャンスを最後まで残すというアプローチで入れていて、それが受け入れられていました。

 なので、必要な部分は必要です、という認識のすり合わせもきちんとしていきました。

――早矢仕さんとしては、初めて『FF』タイトルを手掛けられたわけですが、スクウェア・エニックスさんのこだわりなどは感じられましたか?

早矢仕:キャラ造形のチェックには、ものすごいこだわりを感じています。最新の映像を観ていただければわかると思うのですが、“JAEPO”に出展したときから、キャラの顔がまた少し変わっているんです。

 特に、クラウドの顔は100通りくらい作ったかもしれません。ウチの社内のファンからも、「このクラウドはなんか違う!」という意見が出ることがありました。最近はそうした声を聞かなくなったので、彼らも納得できたのかなと(笑)。

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▲このように画像を見ているだけではわからないが、その裏ではクラウドが100回も生まれ変わっていたことになる。

 社内のα版でこのプロジェクトを知って、「ぜひ入りたい!」と途中から加わるメンバーもいましたよ。

:人それぞれに『FF』への思い入れがある証拠ですね。よく、他社さんとお話をする際に「『FF』らしさとは何ですか?」という話題が出てくるのですが、そういう会話から話が始まるところとは、だいたい上手くいかないです(苦笑)。

 我々だってその答えを持っているわけではないので。きっと、鯨岡と早矢仕さんの間ではその手の話はしていないのではないかと。

鯨岡:そうですね。そういった話はしてないです。

:していないのが正解だと思う。それを言い出した時は迷走しているときだから。

鯨岡:やはり『FF』というタイトルには歴史があるので、チームのなかにも熱烈なファンがいるんです。だから、作ったものがあまりにハズれていると誰かが「なんかコレ変じゃない?」と自然に声を上げます。

 逆を言えば、そうした声が上がらなければ最低限のラインは大丈夫だよね、と。

早矢仕:“JAEPO”では、開発チームを伏せたままでの公開だったので、あの時お見せした映像でどんな評判がくだされるか不安でした。幸いなことに映像の評判はよかったので、今はホッとしています。

 『FF』というのはグラフィックでまず評価されるIPだと思いますので、そこが評価されたのは作っている我々としては光栄ですね。

■『FFI』~『FFXIV』のコスモスサイドのキャラクターが登場予定!

――発表会ではロケテストの6キャラにラムザとバッツの追加が明かされました。キャラクターの追加は、今後はどうなっていくのでしょうか?

鯨岡:現状で確定しているのは、『FFI』から『FFXIV』までのヒーローサイドのキャラです。それと、前作の『DDFF』で31キャラ出しているので、それらはいずれすべて出したいですね。アーケードであるという点を生かして徐々に追加していく予定です。

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 まずは、どのナンバリングが好きな方にもささるような形で『FFI』から『FFXIV』までのキャラを入れ、その後、前作のキャラや新キャラを含めてコンスタントにアップデートで追加していければと思います。

『ディシディア ファイナルファンタジー』
『ディシディア ファイナルファンタジー』

――正式稼働後、アップデートで追加される順番も気になるところですね。

鯨岡:すでに開発の方で50体くらいはリストアップしています。遠距離タイプや近距離タイプなどを各キャラに割り振っているので、ゲームバランスが崩れないように追加していこうと思います。あとは人気だけ見て追加していくと偏るので、そのあたりも考慮に入れつつといったところです。

――ちなみにアーケード版では、キャラの技のカスタマイズなどは行えるのでしょうか?

鯨岡:はい。前作のカスタマイズセットと同じような感覚で、“HP攻撃”、“EXスキル”、あとはパラメータ関連のなにがしかをセットとして記録して、選んでいただくという形です。

 『ディシディアFF』はカスタマイズできる対戦ゲームという点でも好評を得たタイトルだと考えていますので、アーケードにマッチした形でシンプルにしつつも深みや個性をもたせられるように調整しています。

 筐体でもカスタマイズを行えるようにはしますが、今回はスマホアプリに対応させようと考えていますので、それを使ってカスタマイズしていただこうかなと。

 それと、アーケード版では、ブレイブ攻撃に関しては全キャラ固定でカスタマイズ対象外になっています。あそこまでいじれると6人が飛び交うなかで誰が何をやってくるかまったくわからなくなってしまいますから。それは競技としてどうかなと。

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 HP攻撃に関しても、変更はできるが1つしか持っていけない。その代わり地上空中両方で使えるし、技によっては地上と空中で違う攻撃が出たり、性能が変わるものも用意しています。

――どのHP攻撃を選択するかなど、カスタマイズはだいぶ頭を悩ませそうですね。

鯨岡:例えばHP攻撃ですと、稼働開始時は4種類の予定ですが、1つ1つが追加効果も含めて、相当濃くしてあります。

 最初のローディイング中に誰がどのHP攻撃をつけていて、EXスキルはどれで、というのを確認できるので、それを見て対策を練るというイメージです。ちなみに、技の数もアップデートで増やしていきたいと考えています。

――既存のキャラクターの性能的には、『DDFF』での使用感に近いものがあるのでしょうか?

鯨岡:前作のイメージは踏襲しつつ、3対3にあわせた変更や調整を加えています。まったく同じというキャラクターはおらず、使用感はいずれも新しさを感じられますよ。なかには、まったくの別キャラに変化したケースもあります。

 例えばバッツは“ものまね”ではなくなります。キャラを追加していくたびに“ものまね”させると、バッツだけ技がどんどん入れ替わってしまうので……(笑)。

 ちなみに今回のバッツのコンセプトは“1技1ジョブ”です。ジョブの象徴的なアクションを、1つの技で表現しています。例えばHP攻撃の1つが“侍”だとしたら、ショットガンみたいに銭を投げて、それが当たったら刀で切り伏せる。

 “青魔導士”でしたらゴブリンパンチから始まり、デスクローにつないで最後はミサイルで締める、といった感じですね。実際に、アーケード版では各キャラの個性を相当尖らせています。

 やりすぎて50キャラぶん持つのか? というぐらいです(笑)。前作は、コスモスサイドに関しては全員がスタンダードな性能を目指していました。

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 今回はアーケードですし、コアなお客さんも多いということから、それに応える形で調整しています。とは言っても、難しくしたいわけではないです。

 尖らせ方の方針としては、前作のカオスサイドのキャラクターをイメージしていただければ。

早矢仕:冒頭で3対3のゲームを作りたい、と言ったのは、キャラクターの個性を存分につけられるという理由があるからです。1対1ですと不確定要素がないので技の発生フレームが2フレ違うとか、それくらいの個性しかつけられないんですよね。

 3対3の対戦なら、極端な話ティナがクラウドに近づかれて接近戦に持ち込まれたら何もできない、みたいな性能を作ってもいいわけです。そのような状況になったら、誰かがティナを助けてあげればいい。

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 敵チームの3人全員に同時にダメージを与えるような技があってもいいわけです。ロケテストでは登場キャラが6体と少ないと思うかもしれませんが、組み合わせによって1人1人が全然違う戦い方をする必要があります。そこを考えるのが一番楽しいところかなと。

――想像のお話になりますが、『FFXV』のノクトが登場するといったことは……?

鯨岡:当然、考えてはいますよ。きっと“ファントムソード”を使うんだろうなあ、とか(笑)。

早矢仕:我々のなかでも、ノクトを出すならあのワープをどうやって作ろう、と考えています(笑)。

:でもそれはまず『FFXV』が出てからですね。体験版の次に『FFXV』のキャラで遊べるのがアーケードというのもね……(笑)。

鯨岡:僕らも『FFXV』をプレイしないといけませんし。

――その他では、Team NINJAがかかわるということで『DOA』のキャラが参戦するといったことは?

早矢仕:そこに関しては『ディシディアFF』のファンが求めている形ではないかなと。我々のノウハウや経験、技術を思い切りぶつけるのが今回の役割ですので。

 50キャラ作って、それでもまだまだ入れたいキャラが出てくるだろうなと。歴史のあるシリーズですから。ですので、『DOA』のキャラ参戦については考えていません。

 その50体だって、僕らは入れたいけど鯨岡さんにNGを出されているキャラがいるくらい厳しかったりもします。

鯨岡:実は50体でも全然足りないですよね。

早矢仕:まだ6体しかいないのにこう言うのはアレですが、もっと作りたいというテンションです。

――ちなみに“やわらかエンジン(肌の質感や動きなどをよりリアルに見せるエンジン)”は使っているのでしょうか……?(笑)

早矢仕:当初、「ティナで試してみていいんですか?」というのは話したんですよ(笑)。ただ、現状まだやわらかエンジンを取り入れるのはやめようということになりました。

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 着地点は知りませんが、まずはそうじゃない部分を遊んでいただいたうえで、“それ”が求められるキャラが参戦したときにまた考えましょうかという話に。

――ビジュアル面で、ダメージを受けると角が折れたり、汚れが付いたりといった処理が入っていますね。

早矢仕:『DOA』でも汚れの表現はありましたので。PS4のクオリティでキャラを出したときに、激しい戦いしてるのにウォーリア・オブ・ライトがピカピカの鎧で「負けてしまった……」とか言っても、説得力がないじゃないですか(笑)。そこは違和感ない形でやろうと決めていました。

――あとは『ディシディアFF』のファンからすると、“アナザーフォーム”も気になるところです。

:これは本当にどこまで用意できるか、ですね。

鯨岡:ピックアップはしています。前作にもあったものですし、ユーザーさんが望んでいることも理解していますので。これについては、続報をお待ちいただければと思います。

――6人すべて同じキャラで対戦できるので、見分けがつくのか少し心配でした。

鯨岡:そういう場合を考えて、カラーバリエーションの話もしています。まあ、ピンク色の髪のクラウドが出てくることはないと思いますが(笑)。もしくは何かしら処理を入れるなどして、混乱しないようにしたいですね。

――ステージや召喚獣についても順次公開されていくイメージでしょうか?

鯨岡:初期のステージ数に関しては最初はキャラの数よりも絞ります。

 レベルデザインのしかたが、前作と比べて大きく変わっていますので、ユーザーさんの遊び方や戦略が定まってきたら、それに対して新しい遊びの場を提供するといった流れを踏みたいんです。召喚獣も増やす予定ですね。

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▲イフリートは序盤から使用できる召喚獣となる。

 今回の召喚獣は、呼び出して暴れてもらうというだけではなく、パーティにオートアビリティのような効果をもたらすアクセサリ的な位置づけで考えています。

 例えばイフリートなら、味方全体の攻撃力アップ効果があります。また、召喚獣を呼ぶことによってその効果もアップするので、なるべく早めに呼んだほうがお得です。

――BGMはどなたが担当されているのでしょうか?

鯨岡:コンポーザに関しては、すべてスクウェア・エニックス側が担当しています。前作に引き続き、石元(丈晴氏)を筆頭に、ロケテスト版では関戸(剛氏)や河盛(慶次氏)も曲を書いています。

 BGMには『FF』のメインテーマのアレンジがあるのですが、すごくポップな曲調になってビックリしますよ! (笑)。

:最初に聴いたとき、何が起こったかと思うよね。

鯨岡:曲をアップしましたと言われたので聴いてみたら、「おお!? なんだこれは!」となりました。まるでテーマパークみたいな曲が流れていて(笑)。

 石元とは、アレンジをするのであれば大きく変わるものがあってもいいんじゃないかという話はしていたのですが、そしたら本当に変わったものがきましたね。

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――BGMは状況に応じて変わるのでしょうか?

鯨岡:バトルの状況では変わりません。また、ロケテスト版では完全にランダムです。将来的にはスマホアプリで自分好みのセットリストを作れるようにと考えています。好きな曲を複数選んで、そのなかからランダムで再生するという形ですね。

 『FF』の曲に思い入れのある方は多いので、前作のアレンジ曲はそのまま続投させて、それプラス新たな曲のアレンジも入れていこうと考えています。さらに、それぞれの原曲バージョンも入れようという話も出ています。その中から自由にセットリストを作っていただければと。

■プレイヤー自らがコスモスサイド、カオスサイドに! 上級者と初心者が縦につながる遊びも用意

――稼働後のお話になりますが、遊べるモードについて教えてください。オンラインで全国マッチングして対戦する以外のモードはあるのでしょうか?

鯨岡:“神々の闘争”というモードを用意しています。今稼働中のオンラインマッチができるゲームって、全国対戦がメインですよね。

 それ以外にはストーリーモードなどがありますが、それをリピートして遊ぶ人ってあまりいないと思うんです。

 ただ、そういった1人で遊ぶ要素も全部ひっくるめて盛り上がれる仕組みを作れないかなと考えたときに、前作のコスモス対カオスの闘争を、全ユーザーさんが参加するという形でできないかなと考えまして。

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 全国対戦はさることながら、ミッションなどの1人用モードでの結果もちゃんと神々の闘争に反映されて、自らの陣営の勝敗を共有できるようにしたいなと。後は、上位プレイヤーと一般層、新規層を縦につなげられないかなと。

 例えば、ライト層のユーザーさんでも、自分の陣営が優勢なのはランカーさんががんばっているから、そのランカーさんが大会に出るなら応援してみよう、という流れで総合的に見たときに大会そのものも盛り上がる仕組みになればと思っています。

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――自分の陣営が優勢になることでメリットも?

鯨岡:はい。勝つことでもらえるポイントをコスチュームなどと引き換えできるよう考えています。敗者があまり落ち込まないよう、バトルに負けたとしてもポイントはもらえます。

 また、アーケード版では明確なストーリーがあるわけではありませんが、このモード中のキャラのセリフなどで、プレイヤーに想像の余地を与えるような仕掛けは入れたいですね。

――全国対戦と神々の闘争、この2つがメインのモードになりそうですね。

鯨岡:はい。アーケード版は、MMORPGの大きな世界でみんなが遊んでいるようなイメージで考えています。

 全国対戦をプレイしている方は、世界のあちこちにある合戦上に出向く傭兵、CPUと戦うミッションモードをプレイしている方は、勅命を受けて潜入任務や要人暗殺をこなしているような感覚です。

 そしてそれぞれの成果で陣営の戦いに貢献していく、という形ですね。そこにアーケードならではのキャンペーンや時限式のイベントを起こして盛り上がりを作っていけたらと思います。

 スマホアプリのプッシュ通知などと連携して、うまく運営していきたいですね。

――いろいろとうかがってきましたが、本気でアーケードに打ち込んでいるという思いが伝わってきました。

鯨岡:今回の『ディシディアFF』は、“ディケイド”というプロジェクトコードで呼ばれているのですが、これには“10年続くタイトルにしよう”という意味が込められているんです。

 “『ディシディアFF』のアーケード”だから“ディケイド”なんですが、ダブルミーニング的にもしっくりくるかなと。とにかく、我々はアーケードに対してガチの姿勢で臨んでいるので、早矢仕さんとも連携して一大コンテンツに成長させていきたいです。

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早矢仕:昔、『スペースインベーダー』くらいの時代ですと“アーケードでしかゲームを遊ぶことができない”という現状があったじゃないですか。でも今では家庭用、携帯機が登場し、さらにはスマホというようにいつでもどこでもゲームが遊べるようになった。

 ゲームで遊ぶということは特別なことではなくなったわけです。じゃあ、アーケードって何だろうと考えたとき、逆にいつでもゲームが遊べる時代からこそ、アーケードでしか遊べないゲームがあってもいいんじゃないかなと。

 そこに行かなければ体験できないという“特別感”を与えられる存在に、『ディシディアFF』はなれると本気で信じているんです。過去に『ストリートファイターII』の画面にワクワクしたような感覚を、『ディシディアFF』でも味わっていただきたいです。

『ディシディア ファイナルファンタジー』

鯨岡:今は、「ゲームは暇つぶしにやるもの」と考える人も増えたじゃないですか。

 でも、アーケードなら、週末は行くしかないとか、今日は仕事が早くあがれそうだから行ってみるかとか、暇つぶしの1段上の存在にいくことができる。

 個人的な希望でもあるのですが、アーケードの『ディシディアFF』は“スケジュール帳に書き込めるような特別なゲーム”になれるのではないかなと。

――最後に、アーケード版に期待するユーザーに向けて、メッセージをお願いします。

早矢仕:1人でも楽しいけれど、3人で遊ぶともっと楽しい、というのを鯨岡さんとともにコンセプトに掲げて作っています。『FF』はMMO以外では1人で遊ぶゲームですが、今回はパーティプレイを軸に据えています。

 ロケテストでは店舗内に6台並んでいるので、ぜひ友だちを連れて3人で遊びに来ていただきたいです。きっと、ものすごく楽しいと思いますよ。プレイが終わったあとに、ああだこうだと話し合う姿は、まさに『FF』の世界を3人で冒険しているパーティそのものです。

鯨岡:僕らは、今回のアーケード版を正当な『ディシディアFF』の続編と考えて作っています。手触り自体もまんま『ディシディアFF』ですし、その部分でみなさんの期待を裏切ることはないと自負しています。

 とにかく一度触っていただければ、不思議に思っていることや不安などは吹き飛ぶと思います。それから、今までゲームセンターに行ったことがない方も、新しいゲームの楽しさや『FF』体験ができるはずです。

 ゲームセンターに行けば高品質のグラフィックで『FF』のオールスターキャラが躍動している……それを見に行くだけでも価値はあると思いますので!

『ディシディア ファイナルファンタジー』

:私たちは今回、アーケードに初挑戦するという形になりますが、すでにアーケードに携わっている人間からは、遊んでくださっているみなさんと作り手の距離が近しいものになると聞きますし、そうでなくてはならないとも聞きます。

 そういった距離感で、お客さんと一緒にゲームを作り上げていくという感覚を味わえることはあまりないので、それが正直不安でもあり、楽しみでもあります。我々もアーケードに乗り込む以上、楽しさだけではなく、ある種の覚悟を持って挑もうと考えております。

 制作する過程で、ユーザーさんと一緒に作り上げていく『FF』になると思いますので、ぜひ『ディシディアFF』をよろしくお願いいたします。


 開発陣がどれだけ『ディシディアFF』に気持ちをこめているか、感じてもらえただろうか。このインタビューの模様は4月23日に発売する電撃PlayStation Vol.589にも掲載されているので、そちらもチェックしてほしい。

※筐体やゲーム画面は開発中のもの。
(C)2015 KOEI TECMO GAMES/SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA

データ

▼『ディシディア ファイナルファンタジー』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:AC
■ジャンル:対戦アクション
■稼働時期:2015年秋

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