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2015年9月18日(金)

SCEWWSプレジデント・吉田修平氏に“PlayStation 4”の今とこれからを問う【TGS2015】

文:電撃PlayStation

 現在開催中の東京ゲームショウ2015や、それに先立って行われた“SCEJA Press Conference 2015”では、PS4を中心にPSフォーマットの新タイトルが数多く発表。多くのユーザーの注目を集めることとなった。

 そんなPS4が今後どのような展開を見せるのかを、SCEワールドワイドスタジオプレジデント・吉田修平氏にうかがった。

『吉田修平氏』
▲吉田修平氏。1986年にソニー株式会社入社。ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ・バイス・プレジデントなどを経て、2008年5月、SCEワールドワイドスタジオ プレジデントに就任。SCEのゲーム開発事業を取りまとめる。

“SCEJA Press Conference 2015”は、海外からも好評

――カンファレンスではPS4を中心に、多くのタイトルが発表されました。ユーザーさんからの声も大きかったと思いますが、こういった反響をどのように受け止めていますか?

 日本のユーザーさんからの声はもちろんのことですが、今回は海外からの反響も大きかったですね。ここ最近の東京ゲームショウは海外のユーザーさんからすると、カンファレンスを見ても今ひとつピンとこないタイトルの発表が多めでした。そのせいもあって、海外では徐々に東京ゲームショウへの関心が薄れていっていたんですよ。

 ですが、今回は『NEWダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナルチャプタープロローグ』など、海外からも注目を集めている日本産タイトルの新作発表があり、大変好評でした。私のTwitterをフォローしている海外のユーザーさんからも、数多くのお褒めの言葉をいただきましたよ。

 ただ、唯一『GRAVITY DAZE 2』については、PS4でのリリースを喜ぶ人もいれば、PS Vitaで続きを遊びたかったという声もありましたね。

PS4『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』
▲PS4『GRAVITY DAZE 2』のメインビジュアル。

――その『GRAVITY DAZE 2』について、もう少し詳しい話を聞かせてもらえませんか?

 前作『GRAVITY DAZE』は、PS Vitaというハードのなかでオープンワールド的な世界を表現したり、独特のアクションを生みだしたりと力を入れて作ったタイトルでした。その続編を作るにあたって、開発チームとしてやりたいことをより深く、より広く表現するならPS4ならではの力が必要。それが『2』をPS4で開発することになった経緯ですね。

 ですが『GRAVITY DAZE』はPS Vitaで愛されたタイトル。PS4だからこそという部分をユーザーさんに見せるには少し時間が必要でしたので、続編の発表当時は、あえてプラットフォームを伝えませんでした。

――『GRAVITY DAZE 2』に先駆けて、前作のHD版も発表されましたね。

 PS4版『GRAVITY DAZE』は、PS4のユーザーさんで前作を知らない人に、まずキトゥンがヘキサヴィルを中心とした世界でどんな物語を描いていったのかを体験してもらうという目的があります。

 PS Vita TVが発売するとき、この作品が持つ“独特な操作感”を再現しようとしましたが、DUALSHOCK 3では困難だったため、非対応になっていました。PS4のDUALSHOCK 4は表現力が非常にアップしているので、それを表現したかったという思いもありますね。PS4版はフレームレートも60fpsになりましたし、操作感も良好です。

 しかもオマケ要素も充実していて、通常では設定資料集に入るようなコンテンツがゲーム内のビジュアルギャラリーで閲覧できるようになっています。ですから、前作を未体験の人だけでなく、PS Vitaでプレイした人もきっと満足できる内容になっていると思いますよ。

PS4『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』
PS4『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』 PS4『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』
▲PS4『GRAVITY DAZE』のゲーム画面。

――『GRAVITY DAZE』プロジェクトとしては、ゲーム以外の展開もあるそうですが。

 現在決まっているのは1本のアニメを作ることと、さまざまなアイテムの発売ですね。どちらもまだ詳しいことは言えませんが、ソニー商品とのコラボアイテムについては、以前あった“初音ミク生誕5周年記念モデルウォークマン”のような、なんらかの家電商品とコラボになる予定です。

――続きまして『Bloodborne』の大型DLC『The Old Hunters』が発表されましたが、こちらはどのようなものになるのでしょうか?

 『Bloodborne The Old Hunters』は、かなり大規模なDLCになっています。マップも広いし、追加される武器の数も豊富。これまでのイメージとは少々異なる場所もあり、購入した人には満足いただけるかと思います。

 実はこのDLCを作るにあたって、小さなDLCを数多く用意するか、まとまった大きなDLCを作るかという部分で議論をしたことがありました。ですが最終的には、大きな1つの世界をDLCで表現したほうがより良いものを作れるということで、現在のような形になりました。

 ちなみに、新コンテンツだけでなく『Bloodborne』本編でも、このDLCによって変化する部分もありますので、そちらも楽しんでほしいですね。

PS4『Bloodborne』
▲『Bloodborne The Old Hunters』のメインビジュアル。

――満を持しての発表と言ってもいい『New みんなのGOLF』についてですが、まず“みんなのGOLF 7”ではない点に驚きました。

 『New みんなのGOLF』については思うところがありまして、『みんなのGOLF』はナンバリングが進むごとにシリーズをプレイし続けている人向け、言ってしまえば難しいゲームになってしまった側面があります。

 ですが『みんなのGOLF』はタイトルが示すとおり、ゲームの腕前を問わずいろいろな人が楽しめるゴルフゲームであってほしいんですよ。だからこそ『New』とタイトルに付け、次の『みんなのGOLF』は「みんなが楽しめるように今までのナンバリングとは違った形で進化していますよ」という意味を込めています。

PS4『New みんなのGOLF』
PS4『New みんなのGOLF』 PS4『New みんなのGOLF』
▲PS4『New みんなのGOLF』のゲーム画面。

――アナウンストレーラーでは、たくさんのキャラクターが集まっているシーンが印象的でした。

 『New みんなのGOLF』はプレイを始めると、すぐにトレーラーで見られたような“たくさんのプレイヤーがいる場所”を訪れることができます。

 そんな多くのプレイヤーがいる空間で、ゴルフをしてもいいし、誰かとチャットをしてもいい。ほかに楽しいことがあるなら、ゴルフそっちのけで夢中になってもいい。『New みんなのGOLF』では、そういったゴルフを中心としながら自由に遊べる空間を提供していきたいと考えています。

 シチュエーションと世界とルールを用意して、ユーザーさんが好きに遊ぶ。これは『New みんなのGOLF』だけに限らず、この時代のゲームの象徴であり、クリエイターがやりたいことです。

『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』もそうですし、『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』も“クラフト”という要素を中心としていながら、プレイの流れは自由。オープンワールド的な世界で、プレイヤーがどのように遊んでいくのかも楽しみですね。

“Project Morpheus”から“PlayStation VR”へ

――以前から吉田さんが力を入れていたProject Morpheusが、ついにPlayStation VRとして発表されました。こちらについて詳しい話を聞かせてください。

 これまで使っていたProject Morpheusという名称はあくまでプロジェクト名。細かく情報を追っているユーザーさんならともかく、初めて聞く人にはどんなものかわかりにくい名称でした。

 そのため、TGS 2015で多くのユーザーさんに発表するにあたり、PlayStationでVR(ヴァーチャルリアリティ)を体感できるという、直感的にわかりやすいネーミングとして“PlayStation VR”いう商品名になったしだいです。

PlayStation VR
PlayStation VR PlayStation VR
▲PlayStation VR(旧名称:Project Morpheus)。

――Project Morpheusとして発表されていたときに比べて、プレイできるタイトルもよりゲームらしいものが追加されましたよね。

 今回力を入れたのは、TGSという場でユーザーさんが触れるタイトルを選べるようにしたという部分です。

 “VR体験がすごい”というのはもちろんですが、『ファイナルファンタジーXIV: VRタイタン討伐戦』『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project VR Tech DEMO』それに『サイバーダンガンロンパVR 学級裁判』など、もともとファンの多いタイトルについては、ぜひ“VRになるとどうなるのか”を体験してもらいたいです。そのタイトルへの没入感、VRの威力を、より強く感じてもらえると思いますよ。

 今回の目玉と言えるコンテンツなので、すぐに予約でいっぱいになってしまうと思いますが、会場に来た際にはぜひシリーズを遊んでいる人に、これらのタイトルをPlayStation VRで遊んでほしいですね。

→“PlayStation VR”出展タイトル一覧はこちら

――デベロッパーさんからの反響はいかがでしょうか。

 ユーザーさんをゲーム世界に浸らせるというのは、昔からゲームの作り手にとっては夢だったものです。だからこそ、意欲的な声はよく聞きます。これからの課題としては、このVRというコンテンツがビジネスとして成り立っていくのかという部分ですね。

 ただ最近、欧米ではインディーへの出資者の関心がVRへと移っています。新しいゲームの市場ができたときに、海外で大きな利益を得たのはイチからその新規コンテンツに取り組んだ会社が多かったんですよ。

 だからこそ、VRのような新規コンテンツに積極的に取り組むインディーには、出資者も投資を惜しみません。海外から見るとVRがこれから躍進していくジャンルであるというのは、大方の予想となっているかと思います。

 対して日本では、独立してインディーでコンテンツを作っていくのはいまだ厳しい環境ですから、大手メーカーが中心となってクオリティの高いものをリリースしていくという形になるでしょう。

 日本と海外、まったく別の形での発展になっていくだろうからこそ、今回のTGSに向けてまず日本のメーカーにもVRを活用したコンテンツを作ってもらいたかったというしだいです。

今後のインディー系タイトルの行方は……?

――海外のインディーの話が出ましたが、今後のインディー系タイトルはどのような動きを見せると思いますか?

 現在、多くのユーザーさんがインディーの魅力に気づき始めているんですよ。最初は試しでも、インディー系のタイトルをプレイして楽しかったという体験があるとユーザーさんはPS Storeをチェックするようになると思うんです。そうするとPS Storeでのインディー系タイトルの売り上げも伸び、また新しいインディー系タイトルをPS Storeでリリースするための動きが活発になっていきます。

 このような良い流れが続いていくと、最終的に日本のインディーもPS Storeでリリースされることが増えると思います。日本のインディーは稲船敬二さんや鈴木裕さんなど、初代PSやPS2の時代に注目を集めた人たちが手掛けている場合が多いんですよ。そういった“ゲームといえば日本”だった時代のクリエイターがインディーで成功をおさめれば、さらにインディーの勢いは加速すると思います。

 そうやって、海外のクオリティの高い作品や日本のいわゆる大御所が手掛けるタイトルが原動力となって、インディー系タイトルの市場が世界規模で大きくなっていくのが理想ですね。

――インディー系タイトルに対するSCEの立場は、日本と海外ではどう違うのでしょう?

 大きく異なるのは“海外ではPCゲームの市場規模が非常に大きい”ということですね。そのため、海外ではPCゲームのインディー系イベントにSCEのスタッフが向かい、「良いゲームをPS Storeでリリースしませんか?」と打診することが多いです。

 これに加えて、Steamからこれぞというタイトルを見つけて打診することもありますので、良質なタイトルをPS4で効率よくリリースすることができます。しかし、日本ではPCでのインディーゲームの規模はまだまだ小さく、PCゲーム自体を見つけるのが難しいです。だからこそ、同人ゲームをPSフォーマットでリリースする“Play,Doujin!”というプロジェクトを用意したりもしました。

 ただこれからは、今までデベロッパーとしてゲーム開発に携わっていた人が、自分の手で最初から最後まで完成させたいと思うものがインディーに出てくればいいですね。実際『BitSummit 2015』で、SCEアメリカとSCEヨーロッパのスタッフが、いくつかのタイトルについて海外のマーケットも見越した交渉をしていました。

 PS4は欧米でも売れているので、インディーでタイトルを手掛ければ、世界に向けて発信していけます。インディーで一度名前が売れれば、直接海外のマーケットに出ていけますので、我々はその最初の一歩をサポートできればと考えています。

『吉田修平氏』

――現在、PS4には日本海外問わず注目のタイトルが集まっていて熱気のようなものさえ感じます。これを受けてPS4の今後の展望を教えてください。

 日本ではスマホなどのモバイル機器で遊ぶ人が増えているなか、ゲーム機で遊ぶことへの価値に懸念を抱いている人も多いと思います。このコンシューマの市場への疑いを、まずは払拭していきたいですね。

 PS3は内部的に少々特殊なハードだったこともあり、ゲームの作り手に苦労を強いることが多かったんですよ。それに伴って、出資者にとっては投資の回収への不安もありました。ですがPS4はソフトを作りやすい環境になっています。さらに世界中で流通しているハードであるうえに、日本向けに作ったタイトルが海外で受けるということも増えています。

 そんな日本のパブリッシャーがPS4に向けて投資しやすいという環境ができたところに、有名タイトルの続編が発表されたり、新規IPの参入の発表があったりしました。このタイミングでPS4の価格を下げたことで、より多くのユーザーさんがPS4を手に取っていくことでしょう。

 これらの要因が積み重なったことで、我々としては「家庭用ゲーム機の価値は続き、今後もおもしろいゲームがリリースされる」と自信を持って言えるようになりました。おもしろいゲームという意味では、なにも大手メーカーだけでなく、先ほども挙げました海外のインディーも含めて、SCEJAが力を入れて紹介していきます。我々の動き以外にも、海外タイトルをローカライズして日本向けにリリースするメーカーさんも増えてきました。

 そんな家庭用ゲームを楽しむのに、これ以上ないほどの充実した環境だからこそ“初代PSやPS2でゲームを遊んでいたけれど、今はゲームから離れてしまっている人たち”に、PS4に触れてほしいですね。若い頃に体験したワクワク感や、今までになかったゲームを楽しむ快感が、PS4に触れればきっと戻ってきます。

 さらに、そういったユーザーさんが昔遊んでいたタイトルの最新作も、PS4の性能を生かした圧倒的なビジュアルや世界でユーザーさんを迎えてくれます。我々は、ゲームを遊んでいた人にゲームに戻ってきてほしいんですよ。PS2全盛期は約2000万人、PS3全盛期でも数百万人という、潜在的なプレイヤー層。こういった人たちが、再びゲームに触れてくれるようにアピールしていきたいと考えています。

『吉田修平氏』

■東京ゲームショウ2015 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2015年9月17日~18日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2015年9月19日~20日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料

(C)Sony Computer Entertainment Inc.
(C)Sony Computer Entertainment Inc. Developed by FromSoftware, Inc.

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