2015年10月21日(水)
10月にiOS/Androidで配信される、セガゲームスのオンラインRPG『ワールド エンド エクリプス』。そのプロデューサーである本山真二さんへのインタビューを行いました。
記事中では、アイギスの育成やオンライン要素の詳細、サービス開始後の展開など少し踏み込んだ内容に触れているので、ゲームの情報を詳しく知らない人は、まとめ記事を一読しておくことをおすすめします。
――タイトル発表から長い年月を経て、いよいよサービス開始となります。今のお気持ちをお聞かせください。
“新しい世界を1から作る労力”を数年ぶりに実感しました。そういえば昔もこんなことがあったな~、と。
▲『ワールド エンド エクリプス』の本山真二プロデューサー。 |
――『戦場のヴァルキュリア』シリーズのことですよね。本作で何かヒントにした部分はありますか?
『戦場のヴァルキュリア3』に登場するサブキャラクターの隊員数を参考にしました。大体20人ちょっといるのですが、キャラクター性のバリエーション、使い分けのしやすさという点で、ユーザーさんの運用しやすいのはちょうどそれくらいの人数になるかと思っていて。
これは、本作でいう狩猟兵の人数になります。やっぱりキャラクターを消耗品にしたくはなく、この世界で常に息づいている人たちでありたい、という思いは変わらずもっています。
――確かに、初めに愛用していたキャラが倉庫番になっていると少し寂しい気もします。
好きなキャラをずっと一軍に置いておきたい人もいるじゃないですか。新しいキャラが次々と登場するのもいいのですが、狩猟兵はそうじゃない方向を目指しました。
――話を戻しますが、開発で特に苦労された点はどこでしょう。
いろいろとありますが、何よりも、新たに生み出した世界をゲームシステムに落とし込むところに難航しました。方針としては、世界観よりもゲームシステムを優先して制作しています。
ユーザーさんが実際に遊ぶところにゲームのルールがあるので、そこのストレスを解消することを重要視し、世界観や設定を新たに制作する作業をひたすら繰り返していた記憶があります。
今思えば、「最初に設定を作ったら、あとはGO!」なんて夢物語でしたね(笑)。
――“竜の骸の背に人が街を作って生活する”という独特な世界観は、どういった構想から生まれたのでしょうか?
同窓会で友だちから「忙しくてゲームに触れる時間が減った」という話を耳にしまして、それをきっかけに、能動的に遊ぶバトルだけでなく、マイペースで遊べるモードが必要だと考えていました。「お前、そういう仕事してるんだからなんとかしろよ」って無茶なお願いもされましたね(笑)。
企画を立ち上げる段階でも、チーム内から同じような意見は多かったです。友人などからそういう意見を聞くことが多いと。とはいえ、単に街を作れるだけでは新鮮さがありません。
僕の知っているお話に「クジラの背に島があって、そこで焚き火をしたらクジラが驚いて……」というのがあり、そういった突拍子もないおもしろさを設けたかったんです。それをもう少しカッコよくファンタジー寄りすることを考えていき、最終的に行き着いたのが今の設定になります。
もちろん、他にもいろいろなアイデアが出ましたよ。イカダだけがある水一面の世界だとか、某アニメのような空中都市だとか(笑)。
――ということは、“街づくり”のパートを決めてから、それをベースに設定を考えていった、と。
そうですね。僕らがゲームを作る時は、最初にきちんとしたゲームサイクルの構築を考え、後から設定を合わせるようにしています。
――街は“作る”だけじゃなくて“移住”もできますが、具体的にどういったシステムになっているのでしょうか?
そもそも、竜の背にある木や岩などの資源には限りがあります。なので、取り尽くしたら、別の竜の骸に移住しないと街を発展できません。
▲骸の背にある樹木や岩石を取り除くことで、施設の建築やレベルアップに必要な資材が手に入ります。 |
資源を取り尽くしたらゲーム内の資金を払わずに移住できますが、お目当ての資材や竜鱗だけを取って移住するとなると費用がかかる仕組みになっています。
――なるほど。金にモノを言わせて、竜鱗だけを根こそぎ取っていくこともできるわけですね。
できるとは思いますが、そんな大富豪みたいな人がいるのかどうか(笑)。
――移住先の竜の骸にはいくつかパターンがあるようですが。
骸には“幼竜”や“成竜”などのバリエーションがあって、置かれているものや配置が違います。それによって、伐採所や採掘所のレベルアップが必要になることもあり、プレイの指針を変える1つの要素になっています。
ちなみに、移住後は施設のレベルも配置も、以前にいた骸と同じ状態になります。設定的には施設を配置するスペースを1から開拓していくのが正しいのでしょうが、そんなストレスになることはヤメました。
▲建築した施設は自由に配置できます。どの施設のレベルを上げて、どこに配置するか……自分好みの街を作っていきましょう。 |
究極を言ってしまえば、世界観は僕らからの提示ですから、行き過ぎたら一方的な押し付けになります。それによってユーザーさんがプレイしづらくなるのであれば、そこはこちらが折れなきゃいけないところかと。
――バトルの話になりますが、1ラインでも3ラインでもなく、2ラインにした理由はなんでしょう?
まず、プレイヤーが管理しやすいのは4~5人ということになり、4ライン以上を用意する話は消えました。残る1~3ラインの話になった時に、3ラインで4~5人は少し心もとなく、かといって1ラインだとどうしても力押しになるというか、戦術性に欠けるんですよ。
2ラインなら、片方を押しとどめて、もう片方を一気に突破するといった工夫ができ、人数的にもちょうどいいバランスになっていると思います。自分で編成し、自分の考えた戦術で挑めるものにすることが、バトルの根底としてあったので。
▲バトルでは左右2ラインに狩猟兵を出撃させて、敵陣の拠点(トーチ)を破壊を目指します。 |
▲5つある兵種をどう組み合わせるかは、プレイヤーの好みが分かれるところ。 |
――個人的にも2ライン×5人が管理できるギリギリのバランスでした。
そう言ってもらえるとうれしいです。やっぱりギリギリできた瞬間が一番気持ちいいので、そこを大事にしつつ、操作は難しくしないように考えて設計しました。
▲バトル中、プレイヤーは狩猟兵たちにコマンドで指示を出します。出撃した狩猟兵は自動で戦うので、戦況に応じて一時帰還やスキル発動の命令を出しましょう。 |
▲スキル発動時は装備しているアイギスがカットイン。トーチエネルギーの消費が大きいぶん効果が高いので、使うタイミングがポイントに。 |
強い武器(アイギス)を手に入れたり、レベルアップしたりすることで解決する部分はあるものの、プレイヤースキルが結構重要になってくると思うんです。見るべきところが多く、リアルタイムで刻々と戦況が移り変わるので、見た目以上にやり応えがあります。
どうしてもクリアできない場合や難易度の高いクエストでは、全体ダメージやHP回復などさまざまな効果を持つ“ボムドラ”をうまく活用していきたいところです。他にも、兵種の能力を上げる研究塔を強化するのもいいでしょう。
――主要キャラに豪華な声優さんを起用されていますが、キャスティングはどのようにして決めたのでしょうか?
音響制作のスタッフさんにゲームや物語、キャラクターの内容をひと通り説明したところ、実力があって重みのあるセリフを語れる人がいいという話になり、みんなで意見を出し合って決めていきました。
――収録現場の状況はいかがでしたか?
キャストの皆さんが自主的によくしていこうとしてくださって、とても助かりました。さすがはプロだな、と。
特に、収録初期の頃にセレスターシャ役の甲斐田さんがビシっと声をあててくださって、ある意味、それがベースになった部分もあります。キャラと声が非常にマッチしていて、その場の雰囲気も伝わりやすくなっていると思います。
▲甲斐田裕子さん演じるセレスターシャ(右)は、軍師・エステラの母。竜遺学に精通する知的なキャラで、他の主要キャラと絡むシーンが多くあるとか。 |
――狩猟兵やアイギスにも、声を吹き込むことにした理由をお聞かせください。
狩猟兵には個々にドラマや性格があるので、そこはキャストを起用することに迷いはありませんでした。アイギスについては、スタッフにも武器に声をあてる必要があるかを疑問視する人がわりといましたね。
▲アイギスは、竜鱗から生まれた武器が具現化した存在。 |
アイギスは武器であり、キャラでもあるので、片や狩猟兵には声があって、片やアイギスは無言となると不自然じゃないですか。ユーザーさんが自由にカップリングして、狩猟兵とのやり取りを妄想してほしい思いもあり、ボイスを付けることにしました。
▲個性派ぞろいの狩猟兵にどのアイギスを組み合わせるかを考えるのも1つの楽しみ。 |
――では、多くの人が気になっているであろうオンライン要素についてお聞きします。他のユーザーとはどうやってコミュニケーションをとるのでしょう。
まず、メールや掲示板といった、一般的なコミュニケーションツールはゲーム内に用意しています。
メールなら、不特定多数から検索したり、フレンドに絞ったりして送ることができます。掲示板は、“ユニオン(ギルド)”内でやり取りをする専用のツールになりますね。
――狩猟兵の貸し借りはどのように行うのでしょうか?
バトルに入る前に“助っ人”を1人選ぶ形で行います。フレンドは優先的にリストアップされるので、強い狩猟兵&アイギスの人と友だちになっておくと有利に戦えますよ。
あと、貸し借りをした狩猟兵は街の宿屋に記帳してくれて、お互いに収入を得られる仕組みになっています。
――そこは、別の骸にいる隊長を助けるために、街に来訪して一泊してくれたという設定になるわけですね。
そうですね。宿屋の収入は、1回に得られる金額こそ安いものの、バカになりません。意外とお金を貯めるのが大変なので、積極的に貸し借りすることをおすすめします。
――次に、ユニオンを立ち上げる、または所属するメリットを教えてください。
掲示板でゲーム内のことをいろいろと語りあえる場というのが1つ。もう1つは“蝕の軍団戦”というレイドバトルに、団結して参加できるところにあります。
▲“蝕の軍団戦”は、フレンドやユニオンの仲間と協力してボス討伐にチャレンジするイベント戦。 |
通常のバトルを終えた時、まれに“蝕の軍団”を発見することがあり、これにフレンドのメンバーが一体となって挑めるわけです。協力者としてフレンドが対象になり、プッシュ通知で連絡が届きますので、ライトな感覚でのオンライン協力バトルを楽しんでもらえたらうれしいです。
あと、毎週末にユニオン専用のレイド戦をやる予定です。これは、ダメージを与えて撃破することでポイントを獲得でき、それに応じてメンバー全員が報酬を得られるものになります。
報酬内容は、狩猟兵を雇う時に必要な“隊長の証”やスキルの伝授に必要な“黒竜鱗”などわりと貴重なものもある他、倒せなくても、まれにアイテムドロップすることもありますので、できるだけ参加してほしいですね。
――ユニオン同士の争いや対人戦の実装は考えていますか?
将来的にいろいろな遊び方ができるものとして拡充することは考えていますが、最初から全力で争ってもらうようなことはしません。
――蝕の軍団戦以外では、どのようなイベントがありますか?
月~金曜日に、各兵種に対応した武器(アイギス)の進化素材が手に入るクエストを配信します。土曜と日曜にも各種素材やお金などを入手できるクエストを用意しているので、お金を稼ぎたい人は狙い目です。
――日曜のクエストは、平日忙しい人にとってうれしい配慮ですね。話は変わりまして、“SSR クラウソラス”は事前登録特典以外にも獲得のチャンスはあるのでしょうか?
今後、なんらかの特典に付属することを検討しています。そう遠くないうちに、召喚でも出るようにする予定です。
▲クラウソラスは、現時点で最高レアリティのアイギス。剣兵が装備できます。 |
――それを聞いて安心しました。先日公開した動画を作っていて、スキルレベルをもっと上げられるのかが気になりまして……。
スキルの使用コストを減らしていくことで、グッと使いやすくなりますからね。
●動画:『ワールド エンド エクリプス』SSRクラウソラスを先行公開
――今の話に関連しますが、同じアイギスが被った場合、強化合成に使わずに別の狩猟兵に装備させることはできますか? 5コマ漫画の9話ではアーシェが嘆いていましたが(笑)。
できますよ。なので、クラウソラスを2体獲得した場合は、2人の剣兵に装備させて戦闘で使うこともできます。その辺りのやりくりは自由なので、アーシェのように嘆かなくて大丈夫です(笑)。
――極端に言えば、全員に同じアイギスを装備させることもできる、と。
できなくはないですが、それは相当偏った編成になりますね。どこかのボス戦に使えるかどうか……。
――では、もう1つの事前登録特典である“竜鱗”について、ゲーム中は開拓以外にどこで手に入りますか?
クエストの初回クリア時に獲得でき、さらに各章の最後をクリアした時は多めにもらえます。それ以外では、各バトルで宝箱をコンプリートすると入手できます。
▲バトル中は敵を撃破すると宝箱を落とすことがあり、これを3色(赤、青、緑)集めるとコンプリートボーナスの竜鱗がもらえます。 |
ちなみに、竜鱗を使って行う召喚(ガチャ)は、通常は1回100個必要なところ、初回のみ半分の50個で行えますので、ぜひ試してみてください。
――ゲームの話から少し反れますが、今年の12月10日に渡瀬草一郎先生が執筆する小説版『ワールド エンド エクリプス 天穹の軍師』が発売されます。ゲームとの関連性はどうなっているのでしょうか?
設定的には、ゲームと同じ世界の違う骸にいる人たちのお話になります。渡瀬先生もその辺りを凄く意識して執筆されていました。ゲームの中身をかみ砕きつつもオリジナルのエッセンスが入っていて、凄くいいものに仕上がっています。
1巻のラストはゲーム本編の今後を示唆するような内容になっているので、ゲームをプレイしたうえで読んでほしいです。
――なんとなくですが、ゲーム内のあるあるネタとかも入っていそうな……。
そうなんですよ!(笑) ご自身も実際にテストプレイをして執筆されていますので、ネタの拾い方がスゴイと感心します。
――先日の“電撃文庫 秋の祭典2015”で公開されたティザームービーは、アニメ化を期待するほど本格的な作りでしたが……。
そういう展開もいいですね! でも今回はアニメ化を示唆していたわけではありません。とてもいい小説を書いていただいたので、渡瀬先生への恩返しという意味でクオリティの高いものを目指して作りました。
メディアミックスはまたいずれ、機会があれば前向きに考えたいと思いますが、今はとにかくゲームがしっかり始動することだと思っていますので。
●動画:『ワールド エンド エクリプス 天穹の軍師』ティザームービー
――そうだったんですね。ゲームの話に戻しますが、サービス開始後はどのような運営を行っていく予定ですか?
まずサービスを安定させていくことを第一に、初期から遊んでくださるユーザーさん向けにキャンペーンをきっちりやっていきたいと思っています。キャンペーン内容は、単に何かをプレゼントするものも、ゲームプレイに紐づくような形のものも展開できるよう検討中です。
もちろん、シナリオやイベントも随時追加していきます。サービスイン時はメインシナリオを4章まで開放していますが、その後は月1回から2回のペースで新章を配信予定です。
――新章の配信がかなりハイペースですね。その他、リアルイベントやコラボを行う予定はあるのでしょうか?
いろいろと精査しているところではあるのですが、いきなりコラボをやるつもりはありません。この世界が好きで始めたユーザーさんのテンションが下がらないよう、アレルギーの少ないところから徐々にやっていければと思います。
ただ、ゲーム本編に今後生かしていく小説版のネタは見えてきているので、そこはぜひ期待していてください。
――最後に、本作を心待ちにしているユーザーの皆さんへメッセージをお願いします。
本当に長い間待っていただいた方もいらっしゃるでしょうし、今年のTGSで知った方もいらっしゃるでしょう。公式Twitterのフォロワー数が日々増えていくのを見て期待されていることを実感していますし、温かいコメントを送ってくださる人もいて、とても恵まれていると思っています。
その期待や思いを裏切らないように、今この瞬間も準備をしています。サービスが始まったら、ゲームに関する意見もいただければありがたいですし、ぜひ物語とシステムの両方をじっくりと楽しんでください。
●動画:『ワールド エンド エクリプス』PV
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(C)SEGA
※画面は開発中のものです。
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