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2015年10月27日(火)

ガンダムが動くまであと4年? 富野由悠季氏も出席した“ガンダム GLOBAL CHALLENGE”第一次選考発表会

文:伊藤誠之介

 10月26日、東京・秋葉原にある秋葉原UDXシアターにて“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION ~第一次選考発表会~”が開催された。

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”

 “ガンダム GLOBAL CHALLENGE”とは、『機動戦士ガンダム』40周年となる2019年に、全長18メートルの実物大ガンダムを“動かす”ことを目指すプロジェクト。この壮大な夢を実現するために、世界中から幅広くアイデアやプランを募集しながら、日本が軸となるグローバルなプロジェクトを推進している。

 この日の発表会では、一般公募されたアイデアの中から選考された、4名の受賞者が発表された。受賞者は“ガンダム GLOBAL CHALLENGE メンバー”に加わり、2019年のプロジェクト実現に向けて活動していくこととなる。

世界中から寄せられたアイデアに、X JAPANのSUGIZO氏もエールを送る

 このプロジェクトでは、18メートルのガンダムを実際に動かす“リアルエンターテインメント部門”と、視覚効果を利用して仮想空間で動きを再現する“バーチャルエンターテインメント部門”の2部門でアイデアを募集。2014年7月~2015年2月にかけて、世界中から多くのアイデアが寄せられた。

 イベントの冒頭であいさつに立った一般社団法人ガンダムGLOBAL CHALLENGE代表理事で、株式会社サンライズ代表取締役社長の宮河恭夫氏によると、今回応募があったうちの1/4は、海外からのものだったとのこと。このプロジェクトに対する国際的な関心の高さが伺える。

 その中から、『機動戦士ガンダム』総監督の富野由悠季氏など外部有識者を含む選定委員“ガンダム GLOBAL CHALLENGE リーダーズボード”による厳正な審査を経て、4名の受賞者が決定された。

 なお、今回受賞した4名は、いずれも“リアルエンターテインメント部門”で、“バーチャルエンターテインメント部門”は該当者なしとなった。

●受賞メンバー

・金子裕哉氏(奈良先端科学技術院大学 情報科学研究科博士後期課程)

“ガンダムとザクに相撲をとらせて四脚にした自立歩行(または足を上げて一歩踏み出し)の実現”

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”

・Ming-Hsun Chiang(ミン・スン・チェン)氏(国立台湾大学 准教授)

“ロボットが人間のような歩行を実現するための、ヒューマノイドロボット歩行に関連するメカニズムの提案”

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”

・木原由光氏(ロボフューチャー株式会社 代表取締役)

“外部動力供給式軽量型ガンダム独立歩行システム”

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”

・岡田慧氏(東京大学情報システム工学研究室)

“ガンダム・リサーチ・オープンプラットフォームの開発”

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”

 受賞者のうち、岡田氏は学術発表のため来場できないとのことで、岡田氏を除く3名の受賞者が登壇した。

 ここでゲストプレゼンターとして、LUNA SEAやX JAPANのメンバーとして知られるミュージシャンのSUGIZO氏が登場。一般社団法人ガンダムGLOBAL CHALLENGE理事で株式会社創通の代表取締役社長である青木建彦氏とともに、受賞者に“ガンダム GLOBAL CHALLENGE メンバー”の認定証と副賞の目録を贈呈した。

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”
▲受賞者に副賞の目録を贈呈するSUGIZO氏。

 子どものころはSF少年で、『ガンダム』にもハマったというSUGIZO氏は、「僕らが子どもの頃に夢見た明るくて美しい未来、平和的な未来を、科学者や専門家の方たちにテクノロジーを用いて具現化してほしい。『ガンダム』とこの世界のために、よろしくお願いします」と、受賞者にエールを贈っていた。

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”
▲受賞者にエールを贈るSUGIZO氏(写真右端)。
“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”
▲写真左より、一般社団法人ガンダムGLOBAL CHALLENGE代表理事で株式会社サンライズ代表取締役社長の宮河恭夫氏、受賞者の金子裕哉氏、受賞者のミン・スン・チェン氏、受賞者の木原由光氏、一般社団法人ガンダムGLOBAL CHALLENGE理事で株式会社創通代表取締役社長の青木建彦氏。

実物大のガンダムを動かす“ばかばかしさ”の意義を、富野監督が語る!

 続いて、今回の審査にも携わった“ガンダム GLOBAL CHALLENGE リーダー”の5名が登壇。受賞者への講評と、プロジェクトの現状についての説明が行われた。

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”
▲“ガンダムGLOBAL CHALLENGE”の技術監修を務める早稲田大学副総長 理工学術院教授の橋本周二氏(写真左)、中京大学工学部教授のピトヨ・ハルトノ氏(写真右)。
“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”
▲写真左より、映画監督の本広克行氏、株式会社ライゾマティクス代表取締役の斎藤精一氏、『機動戦士ガンダム』総監督の富野由悠季氏。

 ここで、『踊る大捜査線』シリーズなどの作品で知られる映画監督の本広克行氏から、“ガンダムの動きを考えるための参考映像”と題された、CG映像が紹介された。本広監督によるとこの映像は、「(実物大のガンダムが動く際の)エンターテインメント性を追求するためのトライ&エラーとして制作したもの」だという。

 映像の中には、ガンダムが歩く動作だけでなく、『機動戦士ガンダム』第1話のトレーラーから立ち上がるガンダムを再現した動きや、今回受賞した金子氏のアイデアである“ガンダムとザクが組み合って動く”様子も描かれていた。

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”
▲“ガンダムの動きを考えるための参考映像”より。

 この映像で描かれた動きが、今から4年後の2019年に現実のものとなるのか、それともまったく異なるものになるのかはまだ分からない。とはいえ、全長18メートルの巨大な物体が動く迫力と、その実現の困難さをイメージするには十分な内容で、プロジェクトの進展を大いに期待させてくれるものとなっていた。

 また、この席上での富野由悠季氏のコメントは、“ガンダム GLOBAL CHALLENGE”というプロジェクトの持つ意義を、『ガンダム』ファンにはおなじみの毒舌を交えながらも、実に雄弁に語ってくれている。少々長くなるが、抜粋して採録させてもらおう。

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”
▲『機動戦士ガンダム』総監督の富野由悠季氏。

 「夢とロマンにあふれている部分が『ガンダム』にもあるならば、(このプロジェクトに)トライすることは、リアリズムでモノを考えていく時の礎になると思うんです。ですから、これはやっていいことだと、これは本当に思っています。

 人型のモノを動かすというのが、どれだけばかばかしくて大変なことか。だけどこれを達成した時は、応用技術というのがとても生まれるでしょう。そういう意味では、ブレイクスルーになるような要因を、とてもはらんでいると思っているんです。一見すると遊びごとかもしれないけれど、遊びごとを今できる平和な日本という御世は、とても素敵なことだと思います。

 2009年に動かない1/1のガンダムを見せられた時に、“奈良の大仏には負けてるけれども、少しは勝ってるかもしれない”っていう意味での感動を受けました。もし、どうであれ(1/1のガンダムが)動いてくれたら、また次の何かを考える子どもたちが出てきてくれるんじゃないのか。

 その子どもたちが“こんなばかばかしいこと、やめましょう”って言うのかもしれない。だけど、そういうことを考えさせてくれるためにも、具体的にやってみせるというのはとても大事なことだと思っていますので、今後ともよろしくご協力いただきたいと思います」

 イベントの終盤では、プロジェクトの今後の流れが紹介された。これによると、今回受賞したアイデアの内容を“ガンダム GLOBAL CHALLENGE”公式サイトで公開した上で、さらなるアイデアを追加公募する“オープンイノベーション”を実施するとのこと。

 プロジェクトを推進する“ガンダム GLOBAL CHALLENGE リーダー”の面々も、今回の席上で口々に「実現までにはあと2つ、3つのブレイクスルーが必要」と語っていただけに、世界中の叡智を結集した活発な議論を期待したいところだ。

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”
▲プロジェクトは今後、オープンイノベーションを募集・審査したのち、2017年を実施設計にあてて、2019年夏の公開を目指すという。

 いずれにしてもアニメの枠を越えて、科学や産業の分野まで大きな影響を与えることになるプロジェクトだけに、今後の動向に引き続き注目していきたい。

“ガンダム GLOBAL CHALLENGE PRESENTATION”

(C)創通・サンライズ

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