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2015年11月5日(木)

『FFXIV』パッチ3.1吉田Pインタビュー。空島探索は昔のMMORPGのような感覚のコンテンツに

文:電撃PlayStation

 スクウェア・エニックスが運営中のMMORPG『ファイナルファンタジーXIV』。11月10日には拡張コンテンツ『蒼天のイシュガルド』初の大型パッチ“3.1”が配信される。

『FFXIV』

 この大型パッチに向けて、『FFIXV』吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにお話を伺ったのでその模様をお届けする。なお、インタビューは“広島F.A.T.E.”直前となる10月23日に実施されたもので、一部プロデューサーレターLIVEとも重複する部分があることをご了承いただきたい。

 パッチ3.1で実装される“空島探索 ディアデム諸島”などの詳細の他、『蒼天のイシュガルド』発売から異例の長期間となる3カ月半でのパッチ配信となった理由やパッチ3.2以降でのマテリア禁断システムの変更なども語られているので要チェック!

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▲吉田直樹プロデューサー兼ディレクター

先を見据えたからこその4カ月

――『蒼天のイシュガルド(以下、蒼天)』がリリースされてから約4カ月になりますが、プレイヤーの反響などを含めてパッチ3.0の感想はいかがですか?

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 『蒼天のイシュガルド』のリリースで一番ホッとした部分は、すごくスムーズにスタートを切れたことです。非常に人の多いワールドではやや入りにくい時間帯もありましたが、ギリギリで間に合ったゾーンインスタンスの対応も上手くいったかと思います。

 『蒼天』のメインストーリーをしっかり楽しんでもらうことを安定的に提供できたという部分は、オンラインゲームの運営として上手く経験を活かせたように思います。ストーリーを中心に据えたMMORPGは『FFXI』や『FFXIV』ぐらいしかないほど、非常にめずらしい存在です。

 そんなMMOの現状のなかでストーリーに対して高評価を得られたことは、目指している目標を達成できているということで、とてもうれしかったです。また、各ジョブのレベリングも楽しんでもらえましたし、フライングマウントのために作った各エリアも、景観も含めて高評価をいただきました。

 段階を追ってコンテンツを開放していく流れも初めての試みでしたが、開発側の意図通りに進んだところも多かったので、こういった意味でも全体的に上手くいったと思っています。

 逆に、これまでレベル50にはしていたけれども、アイテムレベルを更新して装備を整えていなかったジョブのレベル上げがツライといった反省点も見えてきましたので、そこはパッチ3.1でキチンと対応しています。

 開発的な反省点を挙げるとするならば、無理なスケジュールでボリュームを盛りすぎた、という部分でしょうか(苦笑)。パッチ2.4の時期ぐらいから「パッチ3.0が控えているから、負担になるようなことは抑えよう」と意識をしていたはずなのですが、やはり「パッチ2.Xシリーズのフィナーレだから」とつい力を入れすぎてしまった結果、パッチ3.0のスケジュールがキツくなりすぎてしまいました。それを全員で力を合わせて乗り切って、満足できる仕上がりにはなったものの、みんなそこで少し燃え尽きちゃいまして……。

 難しい決断ではあったのですが、今のテンションのままで開発を続けていくことは、長い目で見た場合によくはないだろうと考えました。もともとかなり計画性の高いチームなのですが、ワークフローをさらに見直し、もう1段レベルを上げないと、開発チームのテンションも体力も、保たなくなるという印象が強かったのです。

 プレイヤーのみなさんには、まったく関係のない開発側の都合で申し訳ないのですが「一旦休みを作りましょう」と。今、ワークフローの見直しやスタッフのリフレッシュ期間を持たないと、今後のパッチのクオリティが下がってしまうと判断しました。このまま続けても、結果的に良いものをお届けできなくなってしまいそうだったのです。

 今回のお休みは今後の『FFXIV』にとって、とても重要な期間になると思うので、夏休みとは別に1週間ほど、代休消化期間とさせていただきました。その間に、開発コアの一部と僕は、さらにこの先の計画を進めておくという時期になりました。

 特にパッチ3.0が出てからひと月経ったころからは、パッチ3.Xシリーズの内容と、次の拡張パッケージである4.0の計画を集中して進めました。ですので、3.0は既に思い出になりつつあります(笑)。

――“機工城アレキサンダー:起動編”や禁書の開放など、段階的にパッチが刻まれていきましたが、パッチ3.0が完成した時点ではそれらも含めて終わっていて、タイミングに合わせて順次開放していったという感じですか?

 “機工城アレキサンダー零式:起動編”については、プログラムの実装自体は3.0の公開の時点で終わっていて、調整と最後のバグフィックスだけ追い込みをかけた形です。フロントラインの“シールロック(争奪戦)”に関しては3.0の時点で出来上がっていましたので、あとはコンテンツ開放するだけでしたね。

――となると、今後のパッチ3.Xシリーズについては、これまでのような3カ月半ぐらいのスパンで実装されていくのでしょうか?

 はい、パッチ3.1と3.2の間は、これまでのサイクルに戻すつもりですし、そうなるようにスタッフ一同奮闘しています。まだまだ詳細の公開はできませんがパッチ3.2の配信予定日も決めており、今回のお休みで作ったワークフローと計画も、パッチ2.Xシリーズのころに作ったものより精度は遥かに高いものになりました。

 また、パッチ3.Xシリーズのシナリオプロットも完成していますし、『4.0』のテーマや設定も進み、トレーラー用の僕の字コンテも書き終わり発注が済んでいます。あとは、コンテンツを予定通りに盛り込んでいきつつ、プレイヤーのみなさんのフィードバックを拝見して、そちらにも対応させていただくつもりです。

レイド=上級者向けの概念を払拭!

――『蒼天』のレイドダンジョンとして登場した“機工城アレキサンダー”ですが、その反響と今後の調整についてお聞かせください。

 難易度ノーマルに関しては、適切な難易度にできたと思っています。これまで“レイド”というコンテンツには近づかない、という方もいらっしゃったと思いますが、そういった方たちも含めた、多くの人が4層までクリアしてもらえています。

 僕のゲーム中の知り合いで「極蛮神には行かない」というポリシーを持っている友達も、今回のノーマルはクリアしてくれているので、ノーマルの難易度に関しては非常によかったなと思っています。

 一方、零式に関しては開発陣でも色々議論しています。あれだけ本気で遊んでもらえて、世界中のいくつかのFCがワールドファーストクリアを目指してしのぎを削る戦いをしてくれる……こういう水準のコンテンツはなかなか作れないので、そういった意味ではとてもよかったと感じました。

 本当に高難易度を求めていた人たちからは、「3層で苦戦しているけれど、毎週チャレンジすることが楽しいから難易度を落とさないでくれ」という要望も多くいただいています。“大迷宮バハムート”のときは、イベントでお会いしたプレイヤーの方から「難易度を上げて」と数多くお言葉をいただき、今回の零式は、その声にお応えした形になりました。ただ、一方で「難しすぎる」というお声もいただいているので、次回のレイドに向けて議論が絶えないです。

 それもあって、当然開発チーム内でかなり議論していますし、たぶんパッチ3.2で始まる次のシーズンでは今のノーマル、今の零式という難易度構成のままではないと思います。現在、ワールドを移転してまで零式攻略を目指す方がいるのですが、そういった方に申し訳ないと思っていて……。もし“仮に現在の難易度を維持する場合”は、何かしら専用のマッチングがないと厳しいと思っていますし、“大迷宮バハムート:真成編”程度の難易度に抑えるならば、そのまますんなり実装することになります。

 いずれにせよ、何かの対応は行う予定です。理想で言えばイージー、ノーマル、ハードという3つの難易度を用意できればいいのでしょうが……。あのレベルのレイドを作れる開発者は多くなく、彼らに「さらに睡眠時間を削って、もう1つ難易度作って」というのは酷すぎるので、上手く折り合いをつける方法を思案中です。

――難易度を分けたという部分では、ストーリー重視のノーマルと遊びごたえの零式というようにデザインはしやすかったですか?

 そうですね。ですので「零式は道中も全部カット」という仕様になっており、とにかくボスにチャレンジしてもらう感じになっています。ですが、禁書装備が揃ってきて、もう少しクリア率の上昇が急激になるかと思っていたのですが、想定よりはやや低い状態ですね。

 おそらく大迷宮バハムート:真成編までは、8人中2人くらい、何かしらのミスをしても、アイテムレベルで押し切ったり、周囲がカバーできる難易度でした。ですが、機工城アレキサンダー:零式は8人キッチリそろわないとクリアが難しいため、その点が一番大きいと感じています。

 特にパッチ3.0では、レベル50以降のアクションに臨機応変さが加わったことにより、高いダメージを出つつ、ギミックを処理するのがなかなか大変です。ただ、パッチ3.2が出るころには、皆さんのジョブの使い込みも進んでいるでしょうから、やはり3.2のレイドは調整が難しいところですね……。

追加要素には“光と闇“を包括

――まずはメインストーリーですが、パッチ3.0のメインストーリーはロードムービー的な演出が好評を博しましたが、パッチ3.1の物語はそこからの引き続きのような形になるのでしょうか?

 パッチ3.0のメインストーリーに“冒険をしている感”を強く打ち出した理由は2つあります。1つめの理由としては、『新生』のような1つのエリアを何度も使い回すというやり方は、レベルデザインがしづらいうえに、見知ったマップに何度も戻ることで“冒険している感”が減ってしまうという問題がありました。

 北側をレベル50で使い、南側をレベル15くらいで使って…という形です。そのため『蒼天』では1エリアを探索しきったら次のエリアへ……という形をとっています。これによって、ストーリーが進むごとに未開の地に足を踏み入れる冒険感を演出できることになりました。

 もう1つの理由として、『新生』は『旧FFXIV』からのキャラクターをたくさん引きずっていた関係上、どうしても世界状況の説明が主になりがちでした。キャラクターをきちんと掘り下げないと、新しいドラマが作れない。

 オフラインのゲームであればNPCと常時パーティを組むという手法も取れるのですが、MMORPGなので、常にそれを行うのは無理があります。ですので『蒼天』では“要所で顔を出し、ともに旅をしている”という形式で、同じ目的を持ち、同じ方向を向いて進もうということになりました。

 各キャラクターの掘り下げという部分と、ともに何かを目指すという部分は、今後のシナリオでも必ず意識するつもりです。この流れは、パッチ3.Xシリーズ以降も続いていきます。また、パッチ3.Xシリーズでは物語中の設定をより具体化して表現しようというい話もしています。世界設定を読み解くことが好きな方には、細かく伏線やヒントが散りばめられているのですが、サラッとストーリーを進めている方々にとっては、遠回しな言い方が多く「?」となる部分も多いと感じています。

 例えばアシエンは、「よくわからない白フードと黒フードのマスクの人物で悪いやつら」という印象が強く、目的がはっきりしません。もっと彼らの目標や目的を具体化し、ある意味、身近に感じられるようにしていこうというのが、今後の物語の開発目標にもなっています。

――今回のパッチタイトルである“光と闇の境界”は、そういった部分で生きてくるのでしょうか?

 今回はパッチ全体の印象も“光と闇の境界”にかけていて、例えば闇が“魔航船 ヴォイドアーク”ならば、光は“雲海探索に行く飛空艇”でしょうか。イシュガルドの「ドラゴン」と「人」もそうです。この二つの種族は、長年の誤解は解けたものの、融和はできていないので、両者の間にはまだ深い境界線があります。

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▲パッチ3.1のタイトルは“光と闇の境界”。

 どちらが光でどちらが闇かは、それぞれの立ち位置で変わりますが……。あとは「光の戦士」と「闇の戦士」。パッチ3.0の最後で明らかになった「闇の戦士」も具体的に動き出します。

――ストーリーといえば、新キャラクターとしてクルル(声:南條愛乃さん)が発表されています。彼女は過去のイベントでミンフィリアと友人として語られていた当人ですか?

 そうです。ただ、クルルという名前は、命名規則に当てはめるならば本来……など、細かい部分もきちんと説明されます。

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▲新キャラクターのクルル。

――新たに2つのエキスパートダンジョンが追加されますが、これまでのようにストーリーを進めることで挑戦できるようになるのでしょうか?

 パッチ2.Xの反省として、パッチ3.1以降は「メインストーリーとレイドや極蛮神戦を分ける」という部分を心がけたいと考えています。これまでは各コンテンツの要素が、メインストーリーにがっちり紐付いていたので、それらを早く遊びたい方は、ストーリーを一気に進める結果になってしまいました。

 「メインストーリーはゆっくり遊びたいけど、仲間やFCの都合上、極蛮神のためにメインクエストをさっさと終わらせるしかない」という方も多かったと思います。

――たしかに駆け足で進みたい人と、物語を楽しみたい人がマッチングすると歩調も合いませんでした。

 蛮神の話はこれからも大きなラインとして続くのですが、必ずしもメインストーリーのラインに組み込まないように、できるだけ工夫していくつもりです。今後、極蛮神戦だけ先行したい方は、先にそちらを進められるように、メイン、蛮神戦などの各ラインを引っ張っていく役目を何人かのキャラクターに分けて持たせる予定です。クルルもその1人になりますが、今回は初登場なのでメインストーリーにもガッツリかかわってきます。

――ということは、今後はストーリーラインでダンジョンが登場することはないと?

 いえ、インスタンスダンジョンだけは、一部どうしてもメインクエストに絡むことになると思います。今回のパッチ3.1のエキスパートダンジョンについては、メインクエストには関わりませんが、今後追加されるインスタンスダンジョンは、既にメインクエストでの登場が決まっているものもあります。毎回専用のバトルを作るのも難しいので、この先の幾つかは、メインストーリーにかかわるダンジョンが出てくるとは思います。

――エキスパートダンジョンですが、難易度はどれぐらいになるのでしょうか?

 最初に出来上がったものを確認したときは、「レイドか!?」というくらいでした(笑)。僕自身は好きだったのですが、さすがに「このままはダメ」という話になり、最終調整にていつもの新規エキスパートダンジョン程度の難易度になっています。

――パッチ3.0のエキスパートダンジョンは、どういった扱いになるのでしょうか?

 コンテンツルーレットが1つ増えます。今までの“ハイレベル”と呼ばれているコンテンツルーレットが“レベル50ダンジョン”という括りに変わります。それに加えて“レベル60ダンジョン”というものが新設されて、“神域浮島 ネバーリープ”や“博物戦艦 フラクタル・コンティニアム”がそこに入ります。

――ちなみに、現在はどのコンテンツルーレットにも入っていない“蒼天聖戦 魔科学研究所”に関しては、どこかに組み込まれる予定はありますか?

 それに関してはちょっと悩んでいて、たぶん年末のパッチ3.15でなんとかすると思います。コンテンツルーレットに組み込んでいないのは、ちょうどよい報酬が出せないことが理由です。3.0シナリオのラストダンジョンになっているので、メインストーリーを攻略している方が訪れた場合、アイテムレベルが145くらいのはずです。レベル60で禁書装備などの方とルーレットでマッチングすると、かなり落差が出てしまいます。

 アイテムレベルシンクするにしても、今度はボスの数が多く、クリアまでの所要時間が長いので、トームストーンの報酬から見れば「ハズレ」に感じられてしまうと思うのです。ルーレットに入れるのであれば、どのルーレットが良いのか、そして報酬や経験値は今のままでいいのか、しっかり確認する必要があります。パッチ3.15に向けて、何らか調整を施してルーレットに入れる予定です。

――ちなみに、レベル50ダンジョンから経験値が入手できるのもパッチ3.1からでしょうか?

 そうです。レベル50から51などに上げていく際に利用してもらえればと思います。

――ここからは新コンテンツについてお聞きしたいと思います。まず、新大人数レイド「魔航船 ヴォイドアーク」についてですが、今回も「ヴォイドアークシリーズ」の第1弾という形になるのでしょうか?

吉田:たぶん名称は“ヴォイドアークシリーズ”にはならないと思います。じつはまだシリーズ名を付けていないんです。魔航船自体は段階的に攻略するわけではなく、今回だけで“箱舟”自体の攻略は終了します。連続した大きなシリーズの中に入っているのですが、次のレイドは場所が変わります。

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――どちらかと言えば、“空賊にまつわるストーリー群“と考えてよいのでしょうか?

 設定上は、第五星暦シリーズみたいなイメージです。現在のエオルゼアは第七星歴ですが、魔航船は第五星暦に建造された船になります。そこに、きっかけとなる空賊たちが現代にいて、彼らとともに謎を追っていくという感じですね。最初はお宝目当てで魔航船へ突入したが……しだいに第五星暦の歴史の闇に触れていく……みたいなお話になります。

――“ヴォイドアーク”という名前からもわかるとおり、やはり妖異絡みの話ですか?

 そうですね、妖異が絡みます。ディアボロスについて「古アムダプール市街のボスで終わるのか!」というお声をけっこう頂戴したので、今回再登場となりました。いい役回りになっていると思います(笑)。

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▲ディアボロスが再登場!

――ケット・シーは道案内みたいな立ち位置ですか?

 光の戦士と空賊と第五星暦とをつないでくれる役目になっています。ちなみに、けっこうしゃべります。

――ちなみに入手できる装備のILはいくつになりますか?

 入手できる装備のアイテムレベルはパッチリリースをお待ちください。ですが、有用性は高く、禁書装備の装備条件がジョブ縛りなので、サブジョブ用に使っていただけると思います。

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▲ヴォイドアークで入手できる装備の数々。

 ちなみに、宝箱にはヴォイドアークの装備が入っていて、週に1回取得権があります。魔航船全体をクリアすることで、こちらも週に1回だけ“古銭”というアイテムが1枚手に入ります。これをとあるところに持って行くと、禁書装備の強化素材と交換できます。まだ調整するかもしれませんが、現段階では防具とアクセサリーの強化素材を同価値として、古銭1枚で1つ交換できるようにするつもりです。ただし、禁書武器の強化素材だけはまだ交換できません。

――移動は24人固まって動く感じですか?

 基本的に固まって進むのですが、一部でそれぞれのパーティの動きが違うという要素もあります。あと、女性プレイヤーの方々には申し訳ないのですが、いろいろ汚い・グロい表現が多いかもしれません(苦笑)。

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▲おどろおどろしい雰囲気のヴォイドアーク。

――全体的な難易度としては、初見でも時間いっぱい頑張ればクリアできる程度ですか?

 いつものアライアンスレイドと同じぐらいです。初見の24人で挑むと「全滅しまくるけど、なんだか楽しいよね」というバランスに仕上げています。

――次に“雲海探索 ディアデム諸島”についてお聞きしていきます。ディアデム諸島は、どういったエリアなのでしょうか?

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 アバラシア雲海をイメージしていただければ間違いないと思います。NPCを経由して疑似コンテンツファインダーで突入するインスタンスコンテンツですが、通常フィールドと変わらない広さでシャウトなどもできるようになっています。大小さまざまな島で構成されていて、高さに対して上層・中層・下層と3つの島群があって、これで生息しているモンスターの強さが明確に変わります。

 雲海内でフライングできるようになったら、イキナリ最もモンスターの強い下層に行くこともできます。その辺りの行動はパーティで話し合って決めてもらえればと思います。

――なにやら『FFVI』のブラキオレイドスのようなモンスターも登場するようですが?

 特定条件を満たすと出現するモンスターがいますので、出現を発見したら、周囲のパーティに声をかけるのもアリです。もちろん、自分たちだけでというのもアリだと思います。

――プレイヤー同士で声を掛け合って助け合いもできる感じなんですね。

 いい面で言えば、そうですね(笑)。

――悪い面で言えば、取り合いになってしまうと?

 いいえ、そういう意味ではないです。なんというか、コミュニケーション次第ということです。ちなみに『FFXIV』は、一定ダメージを入れると、複数プレイヤーで報酬やクエストフラグが分け合えるようになっています。雲海探索でもそれは同じで、パーティ単位である程度のダメージをモンスターに与えられれば、どのパーティでも報酬がもらえます。ですので、取り合いなどは、あまり気にする必要はないと思います。

――今で言うSモブみたいな感じですね。ちなみに、突入条件はどのような形になりますか?

 大きく2つの方法があります。1つはイシュガルドランディングの直ぐ側にいるアインハルト家のNPCから突入する方法です。4大名家で一番没落しているアインハルト家が、一念発起してディアデム諸島の探索する冒険者を募っている……という設定です。

 そこで回収したアイテムをアインハルト家のNPCに渡せば、通貨のような貨幣を貰うこともできます。ただし、アインハルト家は先立つ燃料費の捻出すら危うい状態でして、1人700ギルの参加料が必要になります(笑)。また、アインハルト家の飛空艇では、雲海探索“イージー”と“ノーマル”の難易度しか選択できません。

 もう1つの入口がFCクラフトで作っていて一定以上のランクに到達している飛空艇です。その船に最大8人が乗り込み、雲海探索に挑戦することが可能で、難易度ごとに必要ランクが異なりますが、“イージー”“ノーマル”“ハード”の3段階を選べます。

 また、FCの場合、3隻24人まで同じ島に行くことが可能です。また、“ハード”に関しては、事前にエアシップボイジャーでハードの島を見つけてもらう必要があります。その島を見つけていれば、そのFC飛空艇でハードに挑むことができます。

 ちなみに、FCからディアデム諸島に挑む場合は、飛空艇を操作できる権利を持つ人が、パーティ内に一人いればいいだけですので、別のFCに所属しているメンバーが含まれていても問題なく挑戦できます。パーティ募集機能なども活用して、FC未所属の方や、ほかのFCの方とも遊べるコンテンツになっています。

 できれば、それで仲よくなってFCの活性化に繋がってほしいとも思います。ただ難易度ハードは、敵が強いので、ドロップ率を取るか、せん滅速度を取るかなど、効率のいい探索は、みなさんでいろいろ試していただけると嬉しいです。

――フライングするには風脈を見つける必要があるとのことですが、具体的にはどういう仕組みなのでしょうか?

 ディアデム諸島には9パーティまで同時に突入することになりますが、それぞれのパーティで飛空艇の着艦場所が異なります。到着したプレイヤーは、まず付近にいくつかある“乱風脈“を3つ、あるいは4つ探してもらうことになるのですが、突入するたびに毎回“乱風脈“を集める必要があります。

 これはプレイ時間に対しての障害を与える意図ではなく、少しパーティの歩調を合わせる時間を作らないと、コミュニケーションが取りにくいだろうという考えからです。まずはミニマップに表示されている乱風脈を探しながら、パーティ内で軽くコミュニケーションを取り、その後で目的を擦り合わせてください。

――時間制限はありますか?

 最大90分で、時間がきたらエリアから放り出されます。1回の突入ごとに120分のインターバルがあります。このインターバルも、連続でのプレイに歯止めをかけたいのではなく、パーティを離脱するきっかけにしたり、休憩したり、そういった時間のために用意しています。なくしてしまうことも可能にしてありますので、この辺りはフィードバックいただき次第、細かく調整していこうと考えています。

――IL210のものまで出るとのことですが、これはモンスタードロップになるのでしょうか?

 敵を倒すと宝箱が出現しますので、それを開けて中身をロットし合う形になります。ランクの低いモンスターからでも、ポロっととんでもない装備が出ることもあります。

――そんな中で、強敵を倒す意味というのはどうなるのでしょうか?

 強いモンスターは、それだけ大当たりの装備が出る確率が高くなっています。といってもエーテリアル装備なので、アイテムレベルに沿ったベースパラメータの値は保証されていますが、明らかに不要なステータスが付くこともあります。

 例えば、吟遊詩人や機工士の装備なのに、ベースとなるDEXやVITのほかに、なぜか受け流しがたくさんついている、とかですね。逆に、化けるときは機工城アレキサンダー零式:起動編の装備を超えるものも出てくると思います。

――雲海探索 ディアデム諸島では、みんなが欲しがるような見た目の装備なども手に入りますか?

 探索のなかで得られるギャザラーの素材や、アインハルト家での交換素材などで、いわゆる空賊装備というデザインのクラフト装備が作れるようになります。ちなみに、この装備は錬成に使いやすくしてあるので、錬成パーティを組んで遊んでもらえたらと思います。

 アイテムレベルが高い装備ですので、マテリジャが得られる確率も設定してあるので、ぜひ挑戦してみてください。ただし、錬成する場合は、専用のパーティ募集で行くか、パーティメンバーにひと言断るのをお忘れなく(笑)。

――あと大きな変更点としては、ゴールドソーサー関連も多く追加・調整が行われますが、新たなミニゲームはどういったものなのでしょうか?

 あれは、『旧FFXIV』のギャザラーの要素をミニゲーム化したものになります。

――なるほど! これは、なつかしい(笑)。

 あとは、全体として攻略手帳のなかにゴールドソーサーの項目が追加されるので、これまでよりも目標を持ち、週単位で確実にMGPが稼ぎやすくなると思います。また、今回の目玉であるロード・オブ・ヴァーミニオンはかなり大きなコンテンツで、広島F.A.T.E.のプロデューサーレターLIVEでお見せする予定です。

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▲広島F.A.T.E.では実機による映像が公開された“ロード・オブ・ヴァーミニオン”。

――ちなみに、マンダウィル・ゴールドソーサーポイント(MGP)で交換できる景品も増えますか?

 増えます。新しい髪型のアフロもMGPでの交換になります。

――公開されているコンテンツ以外にも、システム面でもかなり細かい調整も入っているとのことですが、とくに注目してほしい調整はなんですか?

 「パーティメンバーが離れていると、大きいマップを開かないとどの方角にいるかわからない」という問題を解決するために、ミニマップのパーティメンバーの表示が外周に張り付くようにしました。ざっくりとした方向がわかるようにしてあります。

 他にも、マーケット・リテイナー関係のシステムメッセージを、カットシーン中は表示しなくなるなど、かなり細かく大量に調整を行ったので、ありすぎて選べないですね(笑)。

パッチ3.2からはマテリア禁断でのメインステータスアップが不可に

――VITのアクセサリーの修正に関してはいかがでしょうか?

 全面的に、新しい仕組みになるのはパッチ3.2からになります。この問題に関して大きく分けて3つのポイントがあって、1つはレイドに挑戦するパーティのなかで、特にタンクをメインでやっている方に、アクセサリーのマテリア禁断負荷が大きいこと。

 2つ目は、そこまでがんばってレイドをクリアしたのに、手に入るレイド報酬よりも、マテリア禁断したアクセサリーのほうが強いために、装備取得のモチベーションが保てないという点。

 最後に、そんな現状があるがゆえに、クラフターが作る装備のベース性能を上げられないという点です。禁断すると、強くなりすぎるためです。

 パッチ3.2では、システムに変更を加えて、これらの問題を解消したいと考えています。具体的に言うと、クラフター製のアイテムに対してメインパラメータ(STR、VITなど)がマテリア禁断できなくなります。

 マテリア禁断はサブステータス(クリティカルや意志力など)を伸ばす、というのが主目的になります。もちろん、もともと開いているマテリア穴には、STR/VITなどを装着可能です。これまでのように、VITアクセサリーにSTRを限界まで上げる……ということができなくなります。

 その代わりに、パッチ3.2以降のクラフター製装備は、ベースの能力をこれまでよりも強くさせていただきます。また、これまではアクセサリーのマテリア禁断が強すぎるために、レイドと同時実装ではなく、1パッチずらして実装していましたが、それも解消してほかの部位と同時レシピを実装する予定です。

 この修正に対応するため、パッチ3.1ではクラフター製のアクセサリーの実装がありません。楽しみにしていたプレイヤーの方には申し訳ないのですが、ご理解いただけると助かります。

――IL上限が更新されるパッチ3.2のタイミングだからこそできる修正ということですね。ちなみに、それまでに作っていた装備に関して、マテリア禁断している使えなくなったりするのでしょうか?

 それは問題なく使えます。それも含めてIL上限の更新に合わせた形です。マテリアの価値が変わることを懸念される方もいらっしゃると思いますが、パッチ3.2からのトームストーン装備や、レイド報酬には、マテリア穴が付与される予定です。マテリアの排出量も上げますので、お好みのマテリアをはめて、カスタマイズする、という方向へと進むつもりです。

――同じアラガントームストーンの装備品でも、人によってカスタマイズができるようになるということですね。

 はい。またパッチ3.2では、これに合わせてタンクジョブのみ、攻撃計算式も変更の予定です。これらはパッチ3.2のリリース前に、また詳しくお話しさせていただこうと思います。

最大10フェーズにも及ぶ“蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦”

――ほかには、なにか注目してほしいコンテンツなどはありますか?

 バヌバヌ族の蛮族デイリークエストにもご注目ください。今回からレベルアジャスト機能というものを追加しまして、これまでと違って受注したレベルに合わせて、難易度に自動調整されるようになります。

――リーヴの自動調整みたいなものですか?

 それが、もっと広い範囲で行われるようになります。ぜひレベル上げのお供に利用してもらえればと思います。これに加えて、全体的な獲得経験値も増やしましたので、レベル上げはかなり楽になっています。

――“蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦”も期待している人も多いと思います。

 “究極幻想 アルテマウェポン”と比べているプレイヤーの方が多いのですが、すいません、比べ物にならないほど、ナイツの方が難しいです……。極シヴァ討滅戦の初期と比べても、蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦のほうが難しいと思います。

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▲パッチ3.0のメインクエストをクリアした後に戦える“蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦”

 蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦は、機工城アレキサンダー:零式1層と3層の間くらい……それよりやや1層より、という難易度にしたつもりです。最初は難しいと感じるかもしれませんが、DPSチェック自体はかなりゆるく調整しましたので、みなさんで10個にも及ぶフェーズを、一歩ずつクリアしていただけたらと思います。

 パッチ2.Xシリーズのギミックが総登場するような感じで、とてもやりごたえがあると思います。また演出自体もものすごく凝っていますので、『FFVII』のころに見た召喚演出が、そのままバトルになったようなイメージで、ということで盛れるだけ盛った感じになっています(笑)。

――そこまで難易度を上げた理由は何でしょうか?

  先ほどお話ししたアレキサンダー:零式とノーマルの難易度差が激しいことが、蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦の難易度を決める上での大きな理由です。ノーマルは簡単すぎるが、零式の3層以降が極端に難しい。

 今回のパッチ3.1には、気軽に24人でワイワイ挑戦できるヴォイドアークがあり、9パーティ入り乱れてモンスターを乱獲する雲海探索があります。そして零式3層で詰まっている方たちに、やりがいのあるコンテンツをお届けし、この蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦の報酬である武器を手に、零式3層攻略を目指していただけたらな、と思っています。

――蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦に挑戦するのに、ほかの極蛮神戦をクリアする必要はありますか?

 いえ、パッチ3.0のメインストーリーをクリアしていれば挑めるようになっています。

――では、最後にパッチ3.1を心待ちにしているプレイヤーに向けてのメッセージをお願いします。

 まずは『蒼天のイシュガルド』以降、お待たせして申し訳ありませんでした。今回のパッチでは僕たち開発チームにとっても、チャレンジとなる雲海探索 ディアデム諸島が公開となります。できるだけルールはつけず、第一世代のMMORPGっぽい要素を持つ、『FFXIV』にとっては新しい遊びです。

 細かなルールを持たず、メインの報酬が確定せず、クリアという概念がない……でも一攫千金がある!というコンテンツが、みなさんにどう受け止められるのか……。 “ワイワイ遊ぶ“という意味では、モブハントのコンテンツ版といった印象でもあるので、今までの『FFXIV』にはなかった遊びができると思います。

 パッチ3.0でまっすぐ進んできたストーリーやコンテンツ展開に、パッチ3.1では更に横の広がりが加わっていきます。蛮族デイリークエストで、毎日コツコツとバヌバヌ族と仲よくなりながら遊ぶ楽しみだったり、ゴールドソーサーの再活性化だったりと全面的に遊びが増えますので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

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