2015年11月9日(月)

【電撃PS】『三國志』30周年記念企画! 劉備は〇〇の生まれ変わり? “三国志平話”【なぜなに三国志8合目】

文:電撃PlayStation

 今年30周年を迎えるコーエーテクモゲームスの『三國志』シリーズ。三国志ならゲーム、漫画、小説、史実なんでもござれな2人が、過去シリーズをダシに三国志をアレコレ語っちゃう企画第8回です!

うどん先生 KYS
『電撃プレイステーション』 『電撃プレイステーション』
▲『信長の野望』から歴史に入った、ゲーム脳歴史ライター。好きな『三國志』は『三國志IX with パワーアップキット』『三國志 11 with パワーアップキット』『三國志V(3DS版)』。あと『三國志戦記』『三國志Internet』も名作だったと思う! ▲小学校低学年時に父親が持ってた横山光輝“三国志”を読んでこの世界に入る。その後、“蒼天航路”“龍狼伝”“天地を喰らう”などマンガは読み漁る。好きな『三國志』は『V』と『12対戦版』。

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『三国志ツクール』はこれがベース! 『三國志II』

うどん:いえーい。すでに11月なわけだが。

KYS:わけだが?

うどん:今年30周年を迎える『蒼き狼と白き牝鹿』シリーズは、結局展開なかったなあ……。

KYS:あ、まだそのネタ引っ張るんだ?

うどん:このやろー! 今回はマジで『チンギスハーン・蒼き狼と白き牝鹿IV』を紹介しようと思ったのに、あたいの手持ちのソフトが行方不明&現在購入は無理無理状態だったんだよう! ダウンロード版の販売再開してくれないかなあ……。

KYS:こうやって『三國志』シリーズを紹介していってるけど、本シリーズでもプレイ環境の難しい作品があるからね~。

うどん:ぶっちゃけ手っ取り早いのは、PC版の『「三國志」30周年記念歴代タイトル全集』を買っちゃうこと。公式サイトでは販売終了になってるけど、通販サイトではまだ買えるはず。あたいの『チンギスハーン・蒼き狼と白き牝鹿IV』のように、あとになって後悔するより買えるときに買ったほうがいいよ。マジで。

KYS:値段がね!

うどん:値段はね!

KYS:あとPC環境ないとできないしね~。

うどん:今PC以外で過去シリーズをやるとしたら――

・ニンテンドー3DS版『三國志』(ベースは『V』)
・PSP/PS Vita『コーエーテクモ the Best三國志IX with パワーアップキット』(ダウンロード版)
・PS Vita『三國志12 with パワーアップキット』

 あたりの三択かなあ。

KYS:まあ、発売日は伸びちゃったけど、2016年1月28日には、PC、PS3、PS4、Xbox Oneで『13』が出るわけだし! あと、発売日はまだ未定だけど『三国志ツクール』!

うどん:んじゃ今回は『三国志ツクール』のベースとなった『三國志II』を語っちゃうZO!

『三國志II』
▲いろいろ懐かしいこの画面。知力100の諸葛亮は、本作でも確実な助言でプレイヤー君主を手助けしてくれました。ちなみに『II』までは、操作がテンキー入力でしたね!
『三國志II』
▲そういえば、今年の東京ゲームショウ2015では、コーエーテクモブースで『II』のリレー形式プレイをやってましたね。君主の劉備が討ち死に→関平が君主になって益州に撤退→フルボッコで滅亡……という有様でしたが!!

うどん:さて『II』は1人以下略。

KYS:もうわけわかんねえな。つまり、1人の君主になって統一を目指すゲームね!

うどん:『II』はものすごくスタンダードな作りで、初代作からいろんな要素を進化させた作品なのだ。大きなところでは、一騎討ちや信用度が追加され、“二虎共食の計(にこきょうしょくのけい)”や“駆虎呑狼の計(くこどんろうのけい)”といった計略関係が充実!

KYS:三国志といえば計略だもんね。“二虎共食の計”みたいなネーミングは最高にかっこいい。声に出して読みたい、にこきょうしょくのけい。

うどん:そういえばカッコイイ計略といえば、宛城の戦いでの曹操の“偽撃転殺の計(ぎげきてんさつのけい)”と賈クの“虚誘掩殺の計(きょゆうえんさつのけい)”だよね。このうち“虚誘掩殺の計”は、『12』で賈ク本人が使える強力な戦法なんだけど、“偽撃転殺の計”はいまだシリーズ未登場。そのうち登場しないかな~。

KYS:まあ『II』に話戻るけど、計略のなかでも敵の忠誠度を下げる“偽書疑心の計(ぎしょぎしんのけい)”がめっちゃ強力だった記憶があるな。計略は本国でしかできないから、知力高い武将を本国に集めてひたすら“偽書疑心の計”!

うどん:そうそう、忠誠低くなった武将を引き抜くのはもちろん、戦場での寝返りを約束する“敵中作敵の計(てきちゅうさくてきのけい)”も強かったんだよね。『II』では攻撃側5部隊、守備側10部隊の制約があったから、攻撃側は同盟国の援軍呼んだり“敵中作敵”使ったりで、いかにして数的有利を作るかがポイントだったにゃ。

KYS:『II』はほんと計略ゲーだったね。

『三國志II』
▲忠誠心100の武将でも、計略で忠誠を下げれば寝返らせることが可能に! 初代『三國志』と『II』は、マジで引き抜きゲーでした。
『三國志II』
▲“偽書疑心の計”からの引き抜きコンボが強い! ちなみに引き抜いた際には所持兵力そのままで移籍してくれるので、弱い武将でも兵をたっぷり持っていれば引き抜き対象候補。というか、徴兵するより引き抜くほうが手っ取り早いッス。

うどん:『II』では初めて一騎討ちが追加されたんだけど、このときはまだ戦っているグラフィックがなくて、数値がピピピピ表示されるだけだったんだよね。

KYS:レトロだなあ~。

うどん:一騎討ちは戦争開始時のみ発生するんだけど、勇猛な奴が勝手に出撃したり、呂布が武力100以上の強さ持ってるとしか思えなかったり、のちのちのお約束がすでに見られたのだ。張飛あたりが飛び出すのはいいんだけど、楽進とか周倉とか微妙なちょいつよ武将が飛び出したときの絶望感!

KYS:『三國志』の呂布と『信長の野望』の上杉謙信は、数値以上の強さがあるよね。呂布はずっと“内部パラメータでは120説”が根強く言われ続けてるし。

うどん:ちょっと聞いてよ!!

KYS:え、う、うん。

うどん:昔『三國志Internet』ってオンラインゲームがあって、めっちゃハマったんよ。今でもサービス続いてるなら、絶対紹介したかったんだけど。まあ、中身は『三國志』を簡略化した対戦SLGなんだ。ちなみに前作の『信長の野望Internet』も名作やで!

KYS:うん。で?

うどん:その作品、部隊同士が戦ってると一騎討ちがたまに発生するんだけどさ、相手プレイヤーの呂布とうちの関羽で一騎討ちが発生して。そこに、近くの張飛が飛び入り参加して2対1になったんよ。

KYS:で、負けたと?

うどん:いやさ、関羽張飛でガンガン押してたのにさ、何を思ったか君主の劉備まで飛び入り参加しちゃって。あっという間に劉備の体力0になって乙。君主死亡であたいの負けというね!

KYS:虎牢関の戦いの再現……なのか!?

うどん:もうね、兄者何してんの!!? って思ったわけよ。お話終わり。

KYS:あれ、ちょっと待って、あんま呂布の武力120説と関係ない世間話だった。

『三國志II』
▲ピコピコ一騎討ち。敗北側武将は捕縛されてしまうので、戦争の勝敗に影響大だったりします。
『三國志II』
▲初代作と『II』は火計がめっちゃ強力だった思い出。『III』以降は、どんどん弱体化していきましたががが。最新作の『13』では、火計の復権がなされそうだけど……!?

うどん:まあそんな感じの『II』だけど、これベースの『三国志ツクール』 はどうなるかなあ~。

KYS:どうなるかって?

うどん:武将やアイテムをいじるのは、従来作のPK版でできてたことなんだよね。イベント作成も、『太閤立志伝V』では公式がイベントコンバーターを配布してたし。今のところコーエーファンにとって目新しい要素はマップ作成くらいなのだ。

KYS:あわわわ。

うどん:『三国志ツクール』というタイトルは、すっごいワクワクするものがあるのだ。だからこそどんな作成要素が追加されるか、PKと何が違うのか、めちゃ期待してる!

KYS:なんか強引にまとめた。

うどん:ってわけで、今回は“三国志演義”の原型ともいえる、“三国志平話(さんごくしへいわ)”について語るぞー!

KYS:一騎討ち後編はどうしたのー!?

うどん:いやさ、表組みをこのページに載せるのって、通常より大変みたいじゃん?

KYS:うん。このデカい表組みはなんだよー! って作成担当者に言われてる。

うどん:と、いうわけで一騎討ちは一回休憩。

KYS:切実なんだか適当なんだか、よくわからん理由だなおい。

うどん:で、これまでもたまに話に上がってた“三国志平話”を紹介しちゃうぞ!

KYS:ま、まあいいけど。“三国志平話”って、“三国志演義”成立前にできた物語だっけ。

うどん:うん。元祖“三国志”は晋の時代に書かれた正史なんだけど、その正史や各地の伝承、講談などをもとに元の時代に作られたのが“三国志平話”。だいたいの流れは“三国志演義”とそんなに差はなく、黄巾の乱から五丈原で諸葛亮が没するまでを描いてるのだ。

KYS:基本的な流れは同じなんだね。

うどん:“三国志”の創作物って“演義”や“平話”をはじめたくさんあるけど、大きな流れはどれも正史からそこまで逸脱してないと思うな。強いていえば、関索が呉軍を皆殺しにする“花関索伝”と、司馬懿が漢を乗っ取っちゃった“龍狼伝”みたいな?

KYS:そこ並べるんだ!? あ、でも蓮花カワイイよ蓮花。

うどん:で、“平話”の一番おもしろいところは、じつはオープニングストーリーなのだ。物語は後漢の創始者、光武帝の時代から始まり、冒頭の主人公は無名の書生・司馬仲相。

KYS:光武帝といえば、曹操が尊敬したことで知られる名君だね。

うどん:うん、で、その司馬仲相がいきなり冥界の裁判所“報冤之殿”に呼び出されて、裁判官をやらされることになるのだ。

KYS:いきなりの、とんでも展開!

うどん:被告人は、漢王朝の創始者たる劉邦と、その妻で悪女と名高い呂后。原告側は、彼の元家臣である韓信、彭越、英布。3人の説明をすると、韓信は“国士無双”と謳われた名将だったけど、中華統一後に謀反の罪で殺された人。彭越はゲリラ戦を得意とした梟雄だったけど、中華統一後に謀反の罪で殺された人。英布はダーティーながら百戦錬磨の猛将で、中華統一後に謀反の罪を着せられそうだったから実際に謀反を起こして殺された人。

KYS:ひでえええ。

うどん:劉邦の中華統一後の大粛清は、源頼朝も真っ青のレベルだからのう。で、裁判官の司馬仲相は劉邦を有罪としたのだ。ギルティ!

KYS:まあ、そうなるよね。逆転ならず。

うどん:で、司馬仲相の上奏を受けた天帝は、劉邦への罰として彼を後漢の献帝に転生させたの。そして韓信、彭越、英布をそれぞれ曹操、劉備、孫権へと転生させて、漢の天下を奪う復讐の役割を与えたというわけ。

KYS:韓信、彭越、英布が曹操、劉備、孫権って、なんかつながりあったっけ……。

うどん:韓信→曹操は名将つながり、彭越→劉備はゲリラっぽいとこ、英布→孫権は、揚州出身ってあたりかな? ちょっとこじつけだけど。ちなみに韓信、彭越、英布は『11』で一同に介してて、能力はこんな感じ。

韓信 統率100 武力74 知力92 政治73 魅力76
彭越 統率87 武力81 知力72 政治40 魅力70
英布 統率84 武力97 知力56 政治33 魅力54

転生!

曹操 統率96 武力72 知力91 政治94 魅力96
劉備 統率75 武力73 知力74 政治78 魅力99
孫権 統率76 武力67 知力80 政治89 魅力95

 ほかにも、呂后はのちに曹操に撲殺される伏皇后へ、韓信の軍師だったカイ通は諸葛亮へと転生を命じられたのだ。

KYS:韓信が曹操になって、その軍師が諸葛亮になった、っておもしろい設定だね。

うどん:で、最後に天帝は裁判の報酬として、司馬仲相にのちに天下を獲る司馬懿(司馬仲達)へと転生させたのだ。

KYS:へーー。なんか設定おもしろいね。主人公が司馬懿なの? この壮大な伏線は、最終的にどうなるの?

うどん:いやそれが、本編は普通に劉備と諸葛亮が主人公で、伏線回収しないまま終わってしまう。

KYS:壮大に投げっぱなしで終わったー!!

うどん:あ、でも諸葛亮が死んだあとは再びの急展開。司馬懿が魏帝の曹奐から禅譲を受けて晋帝になっちゃうのだ。司馬師、司馬昭、司馬炎の役目を全部司馬懿がやっちゃうのね。

KYS:長生きしすぎだろ司馬懿……。

うどん:そこは天帝に選ばれた者だからね! そのまま司馬懿が蜀と呉を滅ぼして中華統一したんだけど……。

KYS:だけど?

うどん:晋の中華統一後、劉禅の外孫(他家に嫁いだ娘の子)・劉淵が北方に逃れ、漢を再興するんだ。で、劉淵とその子・劉聡が晋に攻め込み、司馬懿の子孫を皆殺しにして大団円。

KYS:最後にまたファンタジー!

うどん:いや、三国志のその後の話ってあまり知られてないけど、匈奴の単于・劉淵が“漢”“蜀漢”の後継国を自称して晋から独立したのは歴史的な事実なんだ。劉淵は劉禅に孝懐皇帝の追号を贈って、その後、本当に晋を滅ぼしちゃってる。五胡十六国時代の漢、のちの前趙やね。

KYS:へー、その劉淵って劉禅の一族なの?

うどん:劉禅の外孫ってのは“平話”のファンタジーで、実際は匈奴の血だね。祖父は於夫羅で、父は劉豹! 祖父と父は『三國志』シリーズにも登場してる。まあでも、劉禅は最終的に幽州の地で晩年を迎えてるんだ。幽州は匈奴の勢力圏に近いってのもあるから、そういう伝説が生まれたのかもね。義経がチンギスハーンになる的な。

KYS:へー、なんだか最後はホッコリする話やね。

うどん:ちなみに“三国志平話”は1999年にコーエー出版部から刊行されてるものがあるのだ。欄外の注釈なんかが、すごくわかりやすく書かれててオススメッス!

KYS:らしくなくキレイにまとめて終わった!

データ

▼『電撃PlayStation Vol.601』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2015年10月29日
■定価:657円+税
 
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