2015年11月28日(土)
11月28日にカプコンから発売された3DS用ソフト『モンスターハンタークロス』。その開発者へのインタビューを掲載する。
『モンスターハンタークロス』は、『モンハン』シリーズで培ったノウハウと新しさをクロスさせたハンティングアクションゲーム。“狩技(かりわざ)”と “狩猟スタイル”を掛け合わせることで、爽快なアクションや自分だけのハンティングを生み出せる。また、ハンターだけでなく、オトモアイルーを操作することも可能だ。
ついに発売となった『モンスターハンタークロス』。今回は、プロデューサーの小嶋慎太郎さんとディレクターの一瀬泰範さんにお話を伺った。本作をプレイしている人も、気になっている人も、記事を読めば、ハンター熱がさらに燃え上がるのでぜひご覧いただきたい。
▲左が小嶋さんで、右が一瀬さん。 |
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――“モンスターハンター ハンターの集い 2015”にて『モンスターハンタークロス』を発表され、反響はいかがでしたか?
小嶋:動画を見せた後にナンバリングではないものが出て、「違うの?」となるのは避けたかったので、いきなりタイトルロゴを出しました。最初はザワザワしていたのですが、そこからオーという歓声があがっていきうれしかったですね。
一瀬:タイトルが出た時は、なんだこれは?という感じの反応でした。けれど、PVが流れて村やモンスターが出ていくうちに、何かはわからないけど『モンスターハンター』の続編が出るんだという期待の高まりを感じ取ることはできました。発表一発目としては、インパクトを与えられたと思いました。
――映像には、狩技や狩猟スタイルがふんだんに盛り込まれていたのも印象的です。
一瀬:その辺りも最初からしっかり見せて、新しいものであることをユーザーに示したかったのです。
小嶋:アクションは一番売りの部分ですので、ナンバリングとは違う部分を見せたかったんです。最初のつかみはしっかりしたかったので。
一瀬:狩技や狩猟スタイルは見てわかりやすいですよね。ブシドースタイルのジャストアクションや、エリアルスタイルとかは、アクションを変えたという情報を見せることで、ナンバリングの『モンスターハンター』との違いを明確に提示できますから。
――改めて本作の開発コンセプトについて教えていただけますか?
小嶋:『モンスターハンター』シリーズは、昨年で10周年を迎えました。だからこそ、ここで一歩踏み込んだもの作ろうということになったんです。そこで一瀬と相談して、10周年だからできるお祭り感を基軸に、どんな『モンスターハンター』を作るか考えてもらいました。
一瀬:小嶋から話を聞いた時点では、3DSでナンバリングの『4』の制作終盤だったので、いかに差別化をするかが課題でした。考えた結果、アクション部分に手を入れることで新しい『モンスターハンター』をユーザーの皆さんに見せようと決めました。
――そもそも、『クロス』の開発はいつごろからスタートしたのでしょうか。
小嶋:『モンスターハンター4』の開発途中ですね。『モンスターハンター4G』の裏では計画として動いていました。そのため、いろいろな結果の反応を踏まえた上ではなく、それとは別軸で動いていました。当然、オンラインの仕組みなど、ユーザーの反応があった際に対応できるところはしましたね。
一瀬:まずは仕組み的に、3DSで『モンスターハンタークロス』を動かすならどうするのが最善かということを第一に考えて作り始めました。そのため、メニュー周りも『4G』とは違います。2画面のタッチ部分はどうするかなどもどうやっていくかをクロスとしてゼロから考えつつ作っていきました。
――『クロス』になるまでの過程にはいろいろあったんですね。
小嶋:その1つはタイトル名です。名前はナンバリングではないことがわかり、かつ、つかみとして重要になるので、ギリギリまで考えました。たくさんの候補があったのですが、狩技と狩猟スタイル、武器種の3つがかけあわさってできる自分好みのパーソナルハンティングアクションというのがテーマであること、4頭のメインモンスターがいること、4つの村を移動することなどから『クロス』という名前に決まりました。文字力もありましたからね。
“X(エックス)”がつくタイトルは、カプコンには結構あるじゃないですか。『ストリートファイターIIX』とか『ロックマンX』とか。ただ、この“X”はPVやオープニングでも最後に気持ちよく出せるんですね。
オープニングムービーで言えば、最後にハンマーの狩技でドーンと攻撃して、刻印がバスーンとなる。ロゴがクロスの形だと、そういう演出もしやすいかなと思いました。
――メインモンスターを4頭作ることは、どなたが言いだしたのでしょう? 素人考えですが、作業工程が4倍になって大変なのでは?
一瀬:今まで看板モンスターは1体作るのがセオリーだったんです。そこを4頭にすることで、それぞれのキャラ付けがしやすくなりました。
例えばガムートは、好みの差が大きくでてくるモンスターだと思うのですが、ただ、4頭作ることでそういったキャラ性の面でも大きく変えて作ることができます。そこは今までのタイトルとは違う部分もあわせて用意した感じですね。
まぁ単純に四天王という言葉を使いたかったというのもあります(笑)。やっぱりそういう言葉はテンションが上がるじゃないですか。先ほどの『クロス』という言葉力と同じような感じです。
――キャッチーな単語ということですね。
一瀬:社内でも四天王を作ろうというキーワードを出したら、それだけでイメージしやすくなりました。4頭出したことでプロモーションや見せ方も単純に4倍にはなりますが、本気で『クロス』に取り込んでいる様とかは感じとってもらえればいいかなと思っております。
小嶋:4頭のメインモンスターはそれぞれかっこいいので、見せ方が広がったのはすごくいいなと感じました。その分、作るのは非常に大変だと思いましたけどね。どれもかっこよくておもしろいモンスターになっていますよ。その辺りはさすがは一瀬だなと。ところで、一瀬の考える四天王って誰?
▲ディノバルド |
一瀬:ディノバルドが『ファイナルファンタジーIV』の炎のルビカンテなのよね。で、ライゼクスは四天王キャラの誰かってワケでもないんですが、ジャンクマンなんですよ(笑)。ガムートはサンシャイン。タマミツネはスピード担当なのでプラネットマンです。……後半、四天王じゃなくなっちゃいましたが。
――なるほど(笑)。それぞれのメインモンスターのコンセプトを教えていただけますか?
一瀬:四天王はキーワードでわかりやすくしておく必要があります。すべてのモンスターをパワータイプにするわけにはいきませんからね。4頭は『モンスターハンター』の属性をそれぞれ当てはめて、作っていきました。後はそこから生き物だったり、キーワードを当て込んでいった感じです。
小嶋:タマミツネであれば、『モンスターハンターポータブル3rd』の時から、原型がいたんですよ。
▲タマミツネ |
一瀬:最終的にジンオウガになってしまったんですけど、『3rd』の時に狐と大蛇モチーフにした飛竜を作ろうとしていたんですよ。その時のモンスターがカッコよかったので、何かしら作りたいなと思っていたんです。あと、今作では和風のユクモ村がありましたので、タマミツネを配置しました。
――個人的にはガムートが好きですね。
一瀬:実はモンスターの担当プランナーが、昔からずっと象型のモンスターを作りたいと言っていたのですが、これまでなかなか機会がなかった。そこで今回入れましょうかということになりましたね。
ディノバルドは、親戚の子どもにゲームを見せた時にランポスとか恐竜型のわかりやすいモンスターに喜んでいたので、やっぱり人気があると思ったからです。ティラノ型というか……カルノタウルスという角の生えた恐竜がいるのですが、それをモチーフにデザインを起こしていきました。
ライゼクスの最初のイメージは、プテラノドンですね。本作では古代林という恐竜が住んでいそうなフィールドを作ったので、そこからのつながりで出してみようかと思ったのがきっかけです。
――おふたりのどのメインモンスターがお気に入りですか?
小嶋:ガムートが好きですね。
一瀬:東京ゲームショウ2015でガムートの1人モノマネをすごいやっていたもんね。
小嶋:ステージに出る前にやっていたね(笑)。
一瀬:僕はすべてのモンスターが好きです。
小嶋:うわ! それはずるくない?(笑)
一瀬:強いて言えば、ディノバルドですかね。わかりやすくて、カッコいいので! でも今日の気分はタマミツネかもしれないです。やっぱりタマミツネで。
――それこそ、気分で変えられるのも4頭いるからですね。新モンスターであるホロロホルルについても、開発経緯を教えていただけますか?
一瀬:コンセプトは見たとおりフクロウです。プレイヤーが後ろから攻撃した時に、首がぎょろっと向いたらおもしろそうだなというところで、180度首が回るような鳥竜種を作りたかったといったものになります。
最終的にはアクションや動きの部分で首をまわす演出を入れたり、混乱の状態異常を与えてきたりと特徴的なモンスターになりました。状態異常を入れたのは、モンスターの個性付けするためです。
――さまざまなモンスターが復活していますが、復活させるモンスターの選定はどのようにして決めるのでしょうか?
一瀬:『モンスターハンター』はゲームの構成部分の軸になっているのがモンスターなので、全体のバランス見ながら、『4G』とも被らないように構成してもらっています。お祭り感がコンセプトにあったので、最近のタイトルに登場していないモンスターからも出して調整しました。
小嶋:今回モンスターも多いのですが、フィールドも多くて、実はシリーズ最多なんです。
一瀬:ステージに関しては、今までで一番多いですね。
――亜種ではない、二つ名持ちモンスターはなぜ生まれてきたのでしょうか?
一瀬:この“二つ名持ちモンスター”の成り立ちとしては、コミュニケーション要素に力を入れようという部分から始まりました。そこで吐き出される特殊なクエストに通常のモンスターを出すよりは、特殊なモンスターを出した方がよりよくなるという話から生まれました。
特殊許可クエストで出現するのですが、そこのモンスターは通常種とも、今までいたモンスターとも違うんです。二つ名持ちモンスターという形で新しく作った、特殊個体モンスターになります。
――すべてのモンスターに用意されているのでしょうか?
一瀬:すべてではなくて、ある一定のモンスターのみ用意しています。わかりやすく言えば、選抜メンバーみたいな感じですね。
小嶋:二つ名をもらうくらいのモンスターたちなので、全員にいるわけではないんですよね。通常種や亜種ではなくて希少種でもない。その個体の中で専用の王の名前をもらっているので、特殊なんですよね。
一瀬:神7みたいなもの?
小嶋:そういうこと……なのかな?(笑)
――装備のスキルに白疾風という文字が見えるのですが、こちらは専用スキルですか?
一瀬:そうですね。二つ名持ちモンスター専用のスキルだと思ってください。
――白疾風などの二つ名はどのようにしてつけているのですか?
小嶋:狩技もそうなのですが、これまでと比べて何歩か踏み込んでもいいので、今までやっていない名前の付け方をしようとしたんです。狩技だとカタカナの名前があります。そこも含めてニヤッとしてしまうような、思わず口に出してしまうような感じの名前を徹底してやりましたね。
二つ名持ちモンスターに関しては、一歩踏み込んだ名前にしています。
一瀬:『クロス』自体がシリーズではなく挑戦的なものになってるので、『モンスターハンター』だけど違う味わいにするとか、どこまで踏み込んだものができるかという思いや、狙いがあります。例えば『ガンダム』にも初代ガンダムだけでなく、『SEED』があったり、『Gガンダム』があったりするじゃないですか。
そういったものがあっていいだろうと……。
――なるほど。
一瀬:『クロス』ではいろいろなことを試しています。シリーズ的に若い層や女性層をとりに行きたいといったこともあるのですが、『モンスターハンター』のユーザー層が広がってきたこともあり、すべてのユーザー層に訴求させたいと辻本や小嶋からは言われています。二つ名については、若い層なども含めたところにヒットすればよいなという狙いです。
そのため、いろいろなユーザーの方にフックになるような仕掛けを『クロス』の中で用意しているのです。どこかに、引っかかってもらえればよいかなと思っています。
小嶋:従来の『モンスターハンター』の名前も、すでにカッコいい付け方なんですよ。二つ名はまた違う存在なので、より振り切った感じでつけています。
――アオアシラの二つ名持ちの“紅兜”に、どこかで聞いたような印象を覚えたのですが……。
小嶋:最強の熊といったら赤くないと! いつかは真紅兜というすごく大きいやつも出したいですね。
一瀬:アオアシラ装備でぜひ挑んでください。あの名シーンが作れるわけです。
――獰猛化モンスターについてもご説明いただけますか?
一瀬:モンスターに何かしらのシステムを入れましょうということになったのが発端です。PVなどをご覧になってわかったと思うのですが、ゴア・マガラが『クロス』に登場するのですが、『4』や『4G』のようにゴア・マガラ主軸でストーリーが進んでいくものではないため、ウイルス主体の話にしにくかった。
というようなところからウイルスや極限状態などはすべてカットしました。ただ、まったく何もなくなったら遊びの幅が減ってしまうので、このシステムを足した形になります。
――見た目が通常モンスターと異なりますが、生態が異なるのでしょうか?
一瀬:生態的には同じというようなところからのモンスターですが、細胞が活性化した状態にあります。特殊な状態に陥った興奮状態にあるモンスターという感じです。
特定の部位から黒い蒸気が発生して、そこからの攻撃が強力になっていたりします。プレイヤーは、その獰猛化状態の部位を狙うことで、狩技ゲージがたまりやすくなるんです。狩技ゲージをためるのだったら黒い蒸気をまとっている部分がいいけど、弱点を狙うのならば肉質のやわらかい部分になる。どちらを狙うか……みたいな感じですね。
――古代林というのはどういったフィールドなんですか?
一瀬:これまでの『モンスターハンター』には、恐竜のいた世界をモチーフにしたステージは作成していなかったので、ジュラ紀や白亜紀のような、恐竜が住んでいた時代をイメージして、シダ植物が生い茂っているようなわくわくする世界を表現しようと思ったのがきっかけです。
――モンスターにあわせて、さまざまなフィールドが復活しました。久しぶりのエリアと対面されて、どのような印象を受けましたか?
一瀬:実際に画面に出して音楽が流れた時には、「ああ、懐かしいステージに戻ってきた」という風に思いました。思わずにんまりとしてしまいましたよ。
小嶋:高低差はつけてあるのですが、新規で入ってくるユーザーさんのことも考えて、段差の激しさもバランスを考えてもらっているんですよ。
一瀬:『4』のフィールドとそれ以前のフィールドだと、段差の起伏があることで難度が違ってくるんですね。そのため、基本的には下位クエストには過去のフィールドを、上位クエストに『4』のフィールドを配置しています。下位にも多少は『4』シリーズのフィールドはありますけどね。
ある程度平地主体のステージで慣れてもらって、その後に立体的な地形で遊んでもらえるような構成にしています。新規ユーザーや3DS版『モンスターハンター』シリーズをプレイしたことのない人でも慣れてもらえるような構成にしています。
小嶋:アクションに狩技、狩猟スタイルが入っているので、一気に覚えるのは大変じゃないですか。そのため、まずは遊びやすいフィールドでアクションを覚えてもらいたいですよね。
――“ベルナ村”はどういった村なのでしょうか?
一瀬:新規の村で、最初に訪れる村ですね。集会所はベルナ村にひも付いているので、話の進行としてはベルナ村を主軸に、ハンターがお仕事をもらって他の村に狩猟へ行く流れです。
これまでの村はこぢんまりとした、手のひらサイズ感のイメージで、密度の高い村が多かった。そのため、今度は開放的な広がりのある村にしたかったという思いがあり、高原のように開放的な作りにしています。
――龍歴院はギルドの古生物書士隊とは異なるものですか? また、何をしているところなのでしょうか?
一瀬:龍歴院は、モンスターの生態を調査している場所ですね。ギルドとは違う別の組織になります。『4G』にはウイルス調査の研究施設があったと思うのですが、そことは別の、文献や歴史の調査をしているイメージです。
こういったいろいろな人々や組織などもこの世界にはあるのだろうなという世界観の設定部分での広がりとして用意しています。衣装も白衣などの研究衣装に、民族風衣装を取り入れたようなデザインに仕上げています。
龍歴院は、化石とかがある地質の場所に建っていて、最初の村の武器はその地質の岩を切り出したものになっているんですよ。
――狩技と狩猟スタイルはどちらが構想として先にあったのでしょうか?
一瀬:発想的にはほぼ同時ですね。武器の幅を広げたいというところがあり、新武器作成の話しも上がりはしたのですが、そこを売りにするよりは、昔遊んでくれた人たちでもプレイできるところを広げていこうということになりました。
『モンスターハンター』の当初のコンセプトは、いろいろな武器を替えつつ、モンスターを腕と知恵で討伐していくというものだったと思うのですが、間口が広がったことで『モンスターハンター』の遊びはいろいろ変わってきたと思うんですよね。
――確かにそうですね。
一瀬:全部武器を使う人がいれば、「ハンマーだけで俺は最後までクリアするんだ」みたいな人もいる。人によって遊び方が変わってきた今、今までにある武器の可能性を広げてみようというきっかけで狩猟スタイルや狩技を考えるに至りました。
――改めて狩猟スタイルの説明をお願いします。
一瀬:まずはギルドスタイルですね。『4』や『4G』のユーザーがそのまま遊べるような形を残してほしいという提案があったのでいれました。上級者向けの相手の攻撃を避けてカウンターをとっていく遊びのブシドースタイルと、狩技をメインの遊びとしたストライカースタイルがあります。また、『4』と『4G』でジャンプアクションは入っているのですが、能動的に自分からジャンプアクションを起こせないかと思い、エリアルスタイルを入れました。
――狩技の種類はどれくらいあるのでしょうか?
一瀬:狩技はゲーム中でのテンポを変えたくて、狩猟スタイルとは別に、武器ごとの特徴を伸ばしたり補ったりするものを持たせたものになります。狩技は武器種ごとに3つずつですね。それ以外に共通の狩技が10個ほどあります。
狩技にはレベルがあるものがあり、1だと狩技ゲージがたまりやすく、レベルが上がるごとに性能がアップしていく感じです。実際プレイしていく中で、ユーザーに組み合わせを決めてもらえればと思います。そこでもまた、武器種ごとに個性が出せて遊びの幅が広がっていくかなとは思います。
大剣だけど狩技にサポート的なものを入れて補助できるようにするとかですね。
小嶋:『クロス』の初期段階の企画書の中で、4大メインモンスターと狩技と狩猟スタイルは、今回の基軸にするという原型はすでにありました。今回これらが入ることで、各武器の可能性の広がりが出てくるので、今まで通りに遊んでもいいですし、違う武器に手を出してもいいと思います。
クエストに行った先では狩技が入ることで狩りのアクセントになってテンポが変わるので、それも含めてまた遊びが少し変わった感じがするのではないでしょうか。ストイックに遊べるし、狩技でゴリゴリに押してもいい。いろいろな遊び方ができるなというのが『クロス』ですね。
――ジャストガードを特定の武器種のみ可能にした理由は何でしょう?
一瀬:武器のイメージですね。ランスでジャスト回避するとイメージにそぐわなかったりだとか、遊び的に入れたくなかったりだとか……。
――本作からプレイされるユーザーにオススメするスタイルはどれでしょうか?
小嶋:狩技を2つ持っていけるので、迷ったらギルドスタイルです。そのためのスタイルと言っても過言ではありません。まずはギルドから始めて、狩技を覚えていく。興味を持ったら他の狩猟スタイルでやればいいですからね。
狩猟スタイルは、装備感覚で変えられるので、気になったら試してみて、もし違うと思ったら戻してください。
――オトモアイルーをついに操作できるようになりました。こちら、かなり思い切った仕様ですね。
小嶋:『クロス』のいろいろな部分を決めていく中で、インパクトを与えられないかなと思いまして、一瀬に相談したんです。オトモアイルーが出た時の驚きをまた与えられないかなと。
一瀬:「オトモアイルーを操作できないのかな」と言うので、「ふーん」と答えつつスルーして3カ月ほど経過しましたね(笑)。
小嶋:その間、他の遊びの制作を優先して作っているかと思っていました(笑)。
一瀬:その後、体験会などを通してユーザーの声が聞こえてきたんです。まだ初心者の方が多い、夫婦でやりたいけれど奥さんがアクション苦手でやってくれない、家族ぐるみでやってもお子さんにはまだまだ難しいから……とかですね。
あと、初心者がプレイしようとした時に、「モンスターは他のメンバーで倒すから、それまで隣のエリアで採掘でもしていてね」という感じで、ゲームをプレイするみたいなこともありますよね。一緒に遊んでいるけれど、実際には遊んでいないみたいな状況を、何かしらゲームの中で解決したいと思っていました。
――そこで、オトモアイルーに白羽の矢が立ったと。
一瀬:ニャンターという仕組みを考えた時に、そういえば数カ月前に小嶋から、「オトモアイルーを触られへんかな」って言われていたなと思い出しました。予算が必要になると思ったのですが、小嶋があんなにも熱意を持って言っていたから、これはいけるなと(笑)。
小嶋:意見が一致してよかったです(笑)。まあニャンターがなくてもゲームとしてはおもしろい状態になっていたので、もし今回ダメでも次のタイトルを出せる時に、そこで実現できればと思っていたんです。ですが、出てきたオトモアイルーの企画書に“新規の人を誘いやすくなる”、“『クロス』に向いている”など書いてあったのでうれしかったです。
あえて14武器種にして、各武器の可能性を広げるのを主として新規武器は入れないという話はしたのですが、ぶっちゃけ15武器種目と言ってもいいですね。
一瀬:新しい武器とほぼ同じような感じで、相当いろいろと遊べますからね。本来は自分のエディットしたキャラクターが自己の投影なので、そのキャラクターでプレイするのが正しい姿ではあります。ですが、今回『クロス』ではセオリーを破って、途中でオトモアイルーに切り替えてニャンターとして遊べるという、挑戦をしています。
――ニャンター4匹でどれくらいの強さを発揮できるのでしょうか?
一瀬:コンセプトの立ち位置で言うと、ニャンターはハンターより攻撃の面では多少劣ったような状態ではあります。その代わり、サポート行動で立ち回らせるようなキャラクターにしています。
小嶋:使えると言ってもオトモアイルー。ハンターは狩猟をメインにした鍛えられた狩人であって、ニャンターはそれをサポートしていたキャラを、自分でも狩りに行けるようにした感じだと思ってください。
一瀬:通常のクエストとは別にニャンタークエストを用意しています。このニャンタークエストが、一番ニャンターでプレイするに適した難易度になっています。通常のクエストでもニャンターで遊べるようにしてはいて、ハンターと同じレベルであったら、サポート行動を駆使して少し遅いくらいのクリアタイムになるかもしれませんね。
難度の高いクエストになってくると、ハンターでプレイするよりかはチャレンジャブルな話になってきます。
――ニャンターをメインでプレイすることは考えられていないということですね。
一瀬:アイルーでガッツリ遊んでほしいというよりは、アクションが苦手な人たちのサポートになるように、そこからこの世界に入ってもらえたらいいという思いだったりします。ただニャンターでも遊びの幅は、狭めたくないので通常のクエストでも遊べますし、ハンターとニャンターでとっかえひっかえいろいろと試してもらえればよいかなと思っております。
小嶋:ハンターとニャンターはぜひ住み分けしてほしいですね。
一瀬:ニャンターを強化しすぎて、ハンターよりも簡単にクエストをクリアできたら本末転倒じゃないですか。サポートの形で初心者プレイヤーの手助けになるのが理想ではあります。そのためのシステムはたくさん入れています。残りの数だけ復活できる“モウイチドングリ”とか、スタミナゲージをなくしたりとかがそこですね。
小嶋:アイテムは使えないけれど、手に入れたアイテムをハンターに渡すことができますし、採掘や虫採りの専用アイテムがなくてもとれるというところですね。
一瀬:潜った時は、ライブ観覧モードのような感じになり、安全に仲間とモンスターの動きを見て、勉強できるので、「モンスターを討伐するまで、隣のフィールドで待ってて」見たいな状況も減らしたりもできるかな、と。
パーティの体力を回復することもできるので、モンスターに攻撃していなくてもみんなと協力している感は味わえます。ですので、コミュニケーション要素が主のシステムですね。
とはいえ、通常クエストをプレイしていくことは可能な作りにしてあります。難度の高いクエストに、アイルーたちだけでどこまでいけるのかというチャレンジをしてもらうのもいいかもとは思っています。
小嶋:サポート行動はゲージがたまれば使用でき、タル爆弾やシビレ罠を設置できたりします。使い方次第では狩りの幅が確実に広がるので、ぜひ活用してみてください。
――発注された小嶋さんは、ゲーム内に反映されたニャンターをプレイしてどうでしたか?
小嶋:思っていた以上でした。企画書の段階で、「どうせやるならば、おまけのような感じではなくちゃんとしたものにしたい」と言っていた。それこそ『モンスターニャンター』というタイトルで出せるんじゃないかというくらいの土台はできています。
だからこそ、ハンターとニャンターが一緒に行っても遊べるんです。これがおまけだったら、ただの足手まといになっちゃいますから。ハンターと使い分けできるくらいまでゲームとして成立させた、一瀬の手腕ですね。
どうニャンターを使っていくか、その使い分けが楽しくなってくると思うんです。採集に道具を必要としないので、序盤のお金がない場面では役立ちます。ホットドリンクを忘れたとかもなくなるので、楽ちんになりますね。
――フィールドや村を作成する上で、取材はされたのですか? たとえば海外取材などは?
小嶋:身近なところはガンガン行っていました。博物館とか動物園とか。
一瀬:後は自分たちの努力でしていますね。
――既存ユーザーからの要望によって採用しているものはありますか?
一瀬:意見があったうえで、こちらが組み立てるシステムと何かしら合致しているのであれば落とし込みを考えていきます。
小嶋:それこそ集会所の仕組みで、クエストへ行った先でのやりとりや、この辺りは便利にしてほしいという声をフィードバックしているところはあります。
本作『モンスターハンタークロス』はナンバリングではないですし、『G』でもないので、クエストのテンポ感は『ポータブル』シリーズに近い、スポーティな感じになっていますよ。
一瀬:どんなゲームにも言えますが、タイトルごとのディレクターのスタンスの違いですね。今回のゲームテンポとしては、うちのチームの好みに仕上げられたと思います。この『モンスターハンタークロス』を気に入っていただければさいわいです。
――開発中にあった一番の苦労は?
一瀬:アクション部分のところを念頭において作ったので、狩猟スタイルや武器種での遊びの調整ですね。この武器でこの狩猟スタイルを遊ぶと、ここが気持ちいいよねというのを、ひとつひとつ時間をかけて調整しています。
エリアルスタイルの大剣だったらここが気持ちいいな、こればっかりやっていても楽しくなるなというアクションの作りはしているつもりです。時間をかけて作っています!
小嶋:まさにそこの部分ですね。そこからの調整がゲームは基本ですし、苦労した分いいものができていると思います。
――では記事をご覧の読者にメッセージをお願いいたします。
一瀬:今回、狩技や狩猟スタイルといったアクション部分に一番力を入れて作っています。ニャンターを含めて、今まで以上に自分のプレイスタイルを際立たせられるようになっていると思います。キャッチコピー通り、己の狩りを見つけ出してもらえたらいいです。ぜひ手にとってみてください。
小嶋:“俺かっこいいプレイ”がよりできる『モンスターハンター』になったと思っております。ストイックに渋く狩ることもできれば、派手に決められますし、マルチプレイをした時にみんなで狩技をドーンと決めることもできます。いろいろなプレイができるので、気軽に狩猟スタイルや狩技を替えて、自分の気持ちのいい狩りを見つけてください。
すでに予約している人、していない人も、どんなアクションか気になっている方は体験版がありますので、少し触ってもらえればその感じがわかると思います。年明けには“モンスターハンターフェスタ’16”など、イベントもいろいろと考えていますので、それも含めて楽しんでください!
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