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2016年2月10日(水)

『勇者死す。』エンディングまでプレイできる体験版レポート。5日間で勇者は幸せを見つけられるのか?

文:長雨

 日本一ソフトウェアより、2月25日発売予定のPS Vita用RPG『勇者死す。』。本作の1周目をまるまる遊べる体験版が、本日2月10日に配信されました。

『勇者死す。』

 『勇者死す。』は、2007年にケータイアプリとして作られたオリジナル版に、新シナリオやシステムを追加してパワーアップさせたリメイク作品です。今回は、ゲームデザインやシナリオを手掛ける桝田省治氏の作品ファンでありながら、機種の関係でケータイアプリ版がプレイできなかったライターが、『勇者死す。』体験版のプレイレポートをお届けします!

いきなり勇者死亡! 終わりから始まるRPGのキャッチフレーズに偽りなし

 物語は、勇者一行が魔王に挑むシーンからスタートします。最初からクライマックスというドラマチックな展開に、ワクワクが止まりません。

『勇者死す。』
▲いかにも“最後の戦い”といった雰囲気ですが、本作ではこれが物語の始まりなのです。

 そして死闘(といっても勇者は強いので苦戦はしません)の果てに、無事に魔王を撃破! その結果勇者は死んでしまいますが、神様の計らいで5日間だけ生き返れることに……。限られた時間の中で勇者は、名も姿も忘れてしまった最愛の人物を捜す旅に出るのです!

勇者(声優:代永翼)

『勇者死す。』
▲命と引き換えに魔王ギールを倒した伝説の勇者。魔王を倒す前の記憶を一部失っています。

魔王ギール(声優:最上嗣生)

『勇者死す。』
▲破壊の限りを尽くした魔王で、死後も人々の生活に影を落としています。中には復活を望む者も。

天使ユリア(声優:今井麻美)

『勇者死す。』
▲一度命を失った勇者を蘇らせた神様の使い。5日後に再び死す勇者を迎えに来ます。
『勇者死す。』
▲魔王が死んだ後も、世界には多くの問題が残されているようです。

 最初から主人公が死ぬ&5日間しか生き返れないという運命に、斬新さと何とも言えぬ不条理さを感じます。5日間で一体どんな物語が展開するのか、桝田氏の作品だけに、エンディングの瞬間までドキドキハラハラしながらプレイすることになりそうです。

『勇者死す。』
▲神様が与えてくれた5日間は、勇者にとってご褒美になるのか、それとも……。

 考えてみれば、ゲームデザイナー・桝田氏の作品は良くも悪くも理不尽な宿命を背負わされる物語が多いんですよね。それを工夫や周回プレイによる経験で乗り越えていくことに、快感を覚える中毒性の高いゲーム性も桝田作品の魅力。本作でも、そんな遊びごたえたっぷりの冒険を楽しむことができますよ。

天から与えられた5日間。どう過ごすもプレイヤーの自由

 無事に生き返った勇者は、運命の5日間を過ごすことに。これをしなければいけないという決まりはないので、街でいろいろな人と話したり、ダンジョンを探索したり、本当に自由に過ごすことができます。

『勇者死す。』
▲世界には、いろいろな街やダンジョンがあります。

 世界を巡ることもできますが、徒歩などで移動しようとする場合は移動時間も必要になります。寿命のある勇者にとって、時間は貴重なもの。一瞬で移動できる魔法などもあるので、どんな移動手段を取るかも重要になっていきます。

 最初は、右も左もわからない状態なので困惑してしまいましたが、街の住人たちと話したり、掲示板を見たり、情報収集をする中でやることが見えてきます。特に施設や街中で、目立つキャラクターがいたら積極的に声をかけましょう。彼女たちの願いを叶えることが、物語の結末を大きく変えていきます。

『勇者死す。』
▲気になる人物には話しかけるのが鉄則。勇者は、土曜日の6時に寿命を迎えます。時間の経過でステータスも減っていくので、注意しながら冒険しましょう。

 勇者に残された時間は、本当に短いです。そのため、全員の願いを叶えるのはかなり難題。私も調子に乗ってホイホイお願いを受けて、クリアできなかったものがいくつも……。八方美人よりも、自分の中で優先順位を決めて誠実にプレイしたほうがいいのかなと思ってしまいました。

『勇者死す。』
▲キャラクターたちの話を聞くうちに、世界の抱える問題が少しずつ見えてくる……かも。

 また、王様に会うと釣りざおをもらえます。水辺で釣りざおを使うと、ゆったりと釣りが楽しめます。世界の平和も恋も忘れて、気ままに釣りをして生きるという生き方もありと言えばあり!?

『勇者死す。』
▲釣りでゆっくり時間を過ごすというのは、ある意味で一番贅沢な過ごし方かも。

 各ダンジョンでは、魔物と戦ったりアイテムを集めたりできます。勇者はとても強いので、最初のうちはガンガン敵を倒していくことができますよ。ただ寿命が近づくにつれて、魔法を忘れたり、重い鎧に耐えられず行動スピードが遅くなったり、身体の衰えが発生します。そうなると、戦闘では活躍できないように……。

 私は運よく序盤に仲間を増やせたので戦力を維持できましたが、そうでなければどうなっていたのか想像するだけで怖いです。衰弱してしまった後のことを考えて、武器防具を揃える、頼れる仲間を見つけておくなど皆さんも対策はお忘れなく!

『勇者死す。』
▲ダンジョンは横スクロールで移動し、敵にぶつかると戦闘開始です。敵とのエンカウントを防ぐアイテムもあるので、うまく活用したいところです。
『勇者死す。』
▲ダンジョンの中には、かなり強力な魔物もいます。万全の準備をして挑みましょう。

魅力的なヒロインが多数! 大切な人との最後の恋を成就させよう

 『勇者死す。』では、魅力的なヒロインたちとの恋も楽しむことができます。ヒロインたちの声は、豪華声優陣が担当。どの子も魅力的なので、どの子をヒロインにするか悩む人も多いと思います。ちなみにヒロインたちは、冒険をする中で出会うことができますよ。

 彼女たちはさまざまな問題を抱えており、それを解決することによって交流することができます。また装備品や“深紅のバラ”など、アイテムを渡すことも可能です。仲よくなったヒロインとは、より深い関係になることも……。それでは、勇者と結ばれることになるかもしれない、ヒロインたちをご紹介しましょう。

フローラ(声優:村川梨衣)

『勇者死す。』
▲勇者を慕っている王女様。アイテムを支援するなど、勇者のサポートをしてくれますが、それには交換条件が……。

リュー(声優:加隈亜衣)

『勇者死す。』
▲魔王討伐の際、勇者パーティのメンバーでした。“森人”と呼ばれる亜人で、考え方の違いから人間と対立しています。

サラ(声優:五十嵐裕美)

『勇者死す。』
▲「神の前の平等」を教えとする“マーナ教会”のシスター。焼失してしまった大聖堂の再建を目指しています。

メリーアン(声優:松井恵理子)

『勇者死す。』
▲魔王の被害が最も大きかった東の村に住む自称天才科学者。エキセントリックな言動から、魔女と呼ばれているようです。

ナオミ(声優:行成とあ)

『勇者死す。』
▲“穴民”と呼ばれる亜人種で、姉御肌な女性。廃坑に逃げ込んだ魔物の残党に頭を悩ませています。

ビビ(声優:福圓美里)

『勇者死す。』
▲幼い外見の少女で、世界を飛び回る謎の商人です。廃墟になった町を商業都市として再興させるのが夢。
『勇者死す。』
『勇者死す。』
▲ヒロインたちは、ちょっとやそっとじゃ仲よくなれません。

 私は冒険する中で何人かのヒロインに出会えたのですが、仲間にできたのはセクシーなナオミさんのみ。しかもヘタレなため、交流のコツがわからず仲間止まりの関係で終わってしまいました……。

『勇者死す。』
▲見た目と性格的には、ナオミが一番好みのタイプです。さばさばしたステキなお姉さんですよ。

 そんなダメっ子勇者に、積極的にアプローチしてきたヒロインが!! それは勇者を慕う王女のフローラです。ある時なんとなしにお城に行ったら、彼女から欲しいものを与える代わりに妻にしてほしいとお願いされてしまいました!

 姫様の大胆な行動に驚きましたが、かわいい女の子にアプローチされて嫌な人間なんていないですよね。しかも、その時に勇者の寿命は残り1日で……。誰にも愛されず寂しく散っていくのも悲しくて、うちの勇者はフローラの提案を受け入れてしまいました。

 こんなことなら、もっと早いうちから交流しておけばよかったです。本当にごめんね、フローラ!! わずか1日で未亡人になる妻を前に、2周目プレイの時は幸せにしてあげようと決意をいたしました。

『勇者死す。』
▲最初から献身的だったフローラ。最後は、愛してくれる女性を選んでしまいました。次こそは幸せにしてあげたいと思いつつ、他の子への想いも断ち切れそうにありません。

自分のお葬式を体験!? プレイヤーの行動が、国の運命を変える

 1周目の私のプレイは、基本的に街に行ったり、ダンジョンを見て回ったりするだけで終わってしまいました。そのため、ヒロインの抱える問題も、世界の秘密も何1つ明かせない状態で天寿を全うすることに。そして、物語のクライマックスであるお葬式が始まります。

『勇者死す。』
▲勇者の5日間の行動によって、来てくれる人の数が変化します。

 勇者に対して恨み言を語る者、感謝する者、いろいろな弔辞を聞くことができますよ。各キャラの言葉に耳を傾けるたび、もっとこうすべきだった、こうできたのに……、なんて思いが、胸にふつふつとわいてくるんです。

『勇者死す。』
『勇者死す。』
▲キャラクターたちの弔辞は、怒りのものでも悲しみにあふれたものでも胸にきます。

 本来の人生ならそこで終了なのですが、その先まで体験できるのが本作の特徴。体験版は1周目までのみですが、製品版では1周目で残った未練を解決するために、2周目の冒険に出ることが可能です。さらに2周目からは、シナリオの展開が変わることもあるとか……。1周目だけでも、勇者の行動によって葬儀の様子が変化します。ぜひ、いろいろな行動を試してみて、どんな葬儀になるのか変化を楽しんでみてください。

 この体験版は、『勇者死す。』の入門編にぴったりの内容になっています。何より、1周分がまるごと遊べるというのはお得ですよね! とはいえ、周回を重ねることこそが本作の醍醐味でもあります。おそらく、体験版だけのプレイでは未練が残ってしまう勇者がほとんどだと思います。製品版の発売ももうすぐですので、すでに購入を決めている方も、悩んでいる方も試しに遊んでみてくださいね!

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