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2016年2月23日(火)

VR体験イベント“Ocufes”に戦艦大和が登場? VRのノベル系AVGなどコンテンツも充実!

文:イトヤン

 2月20~21日にベルサール秋葉原にて、VR(バーチャルリアリティ)体験イベント“Oculus Festival(オキュラス フェスティバル)”が開催された。ここでは会場の様子と、当日出展された注目作のレポートをお届けする。

“オキュラス フェスティバル”
“オキュラス フェスティバル”
▲ダンボールに手書きされた案内板が入り口に貼られているなど、会場は手作り感あふれるカジュアルな雰囲気となっていた。とはいえ各ブースの展示は、いずれも日本のVRの最先端をゆくスゴイものばかり!

 “Oculus Festival”、略して“OcuFes(オキュフェス)”は、VRコンテンツの作家に作品を発表する場を提供し、VRを一般の人々にも広く体験してもらうことを目的としたイベントだ。

 会場では、今年3月より一般向け製品の出荷が開始されるVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)“Oculus Rift(オキュラス リフト)”用のコンテンツを中心に、多数のVR作家が各ブースに自分たちの開発した作品を持ち寄って、展示や試遊を行っていた。

“オキュラス フェスティバル”
▲20日、21日の2日間で4,500人もの来場者が訪れたとのこと。会場内は通路が広めに確保されており、激しく混み合うといった感じもなく、比較的ゆったりと展示や試遊を楽しむことができた。

 OcuFesは個人やインディーズの開発者が自ら出展しているということもあり、会場内の雰囲気は同人イベントにも似たカジュアルなものだ。とはいえ、早くからOculus Riftの開発キットを入手して制作を行ってきた人たちだけあって、数分間の試遊でもしっかりと満足感を得られる、レベルの高い出展作が多いという印象を受けた。

 ここでは会場で試遊できたVR作品の中から、特に興味深かったものをいくつかピックアップしてご紹介しよう。

“オキュラス フェスティバル”
▲2015年12月の“ジャンプフェスタ2016”に出展されて話題となったGear VR用コンテンツ“『DEATH NOTE』VR脱出ゲーム”もOcuFesの会場にお目見え。
“オキュラス フェスティバル”
▲人気コミックが題材となっているだけに来場者の注目度は高く、試遊を待つ長い列ができていた。

日本ならではのVRの魅力を感じられる、多彩なジャンルのゲームが集合!

『オーバーストリーム』

 フレームシンセシス制作の『オーバーストリーム』は、川の流れとともに移動するイカダの上に立ち、途中にあるアイテムを拾いながら先に進んでいくという、シンプルな内容のゲームだ。

“オキュラス フェスティバル”
“オキュラス フェスティバル”

 もちろんHMDを装着して、360度を見回すことのできる3D立体映像を楽しみながらプレイできるのだが、それだけではない。本作ではOculus Riftの位置トラッキング機能がフル活用されており、イカダの上を左右に歩いて岩を避けたり、しゃがんで橋の下をくぐったりと、実際に自分の身体を動かして操作を行うことになる。

 視覚からの情報だけでなく、自分の身体を使った動作が加わることで、“ゲーム世界に入り込んで遊ぶ”というVRならではの魅力を、文字どおりストレートに体感できた。「VRってどういうもの?」というVR初心者の人にこそ、ぜひ遊んでもらいたい作品だ。

●『学園青春VR』

 日本ならではのゲームジャンルということでは、文章とキャラクターの会話を中心にして構成されるノベル系AVGも、その代表例に挙げられるだろう。MyDearestが提供する『学園青春VR』は、ノベル系AVGをVRでどのように表現するかという試みにチャレンジした作品だ。

 本作はなんと、ダンボールと木製のつい立てで作られた、電話ボックス風の暗室の中に入ってプレイするという形になっていた。VRではもともと、HMDとヘッドホンで周囲の環境から隔絶されるわけだが、暗室の中に入るという手順を踏むことで、さらに集中力が高まったように感じた。

“オキュラス フェスティバル”
▲本作はダンボールで覆われたこの暗室の中でプレイする形式になっていた。
“オキュラス フェスティバル”
▲手作り感満載の外観でやや不安になったが、中にはイスが用意されているなど、意外に快適だ。

 また、本作では音声認識を使用する場面があるため、セリフを話す際の照れくささを隠すという点でも、この暗室は効果的だったようだ。

“オキュラス フェスティバル”

 ゲームが開始されると、プレイヤーは学園の教室に座っているという視点から、クラスメートたちの会話を見守ることになる。声優のセリフが耳もとで聞こえたり、キャラクターが背後から移動してきたりと、ストーリー系のコンテンツでもその場に居合わせているような臨場感を味わえるというのは、なかなか新鮮な体験だ。

 また、ノベル系AVGに必須であるテキスト表示は、教室の黒板をテキストウィンドウに見立てるという形でVR空間の中に違和感なく配置されており、なるほどと思える作りになっていた。

 本作は今回が初出展とのことで、これからさらに作り込みを行っていくとのこと。日本ならではのVRコンテンツがここから生まれるという可能性を感じられただけに、今後の発展が楽しみだ。

VRの可能性をさらに広げるユニークなコンテンツも

『戦艦大和VR復元計画』

 現実とは異なる世界に没入できるVRの活用法は、ゲームだけに限らない。360度パノラマ写真で世界各地の絶景を眺めたり、映画撮影セットの内部に入り込んだりと、すでにさまざまな種類のコンテンツが登場している。

“オキュラス フェスティバル”

 OcuFesの会場に出展された神田技研の『戦艦大和VR復元計画』はそのタイトルどおり、旧日本海軍を代表する戦艦“大和”を、Oculus Riftを用いて甦らせるという壮大なプロジェクトだ。

 70年前に海底に沈んだ戦艦大和の在りし日の姿を、資料をもとにして細部まで忠実に復元するだけでなく、VRで甲板や艦内を自由に歩き回ってその実物大のスケールを体感できるというのだから、ミリタリーファンでなくとも興味を持つ人は多いだろう。

 OcuFesの会場でも本作は大きな注目を集めており、試遊を待つ長い列ができていた。本作はOculus Riftの製品版が登場する今年の春に、一般発売が予定されている。

 今は失われてしまった歴史的建造物をVRで復元するという試みは、ゲームとはまた異なるVRの活用法として非常に有意義なものであり、他にもさまざまな可能性が考えられる。そのためにも、本作の成功に期待したい。

“オキュラス フェスティバル”
“オキュラス フェスティバル”

『木造校舎ノ夜』

 OcuFesの会場ではOculus Riftだけでなく、スマートフォン“Galaxy”と専用ゴーグルの組み合わせでをVRを体験できる、“Gear VR”のコンテンツや手持ちのスマートフォンを利用してVRを楽しめる安価なVRゴーグルなども、多数出展されていた。

 『木造校舎ノ夜』は、不気味な雰囲気が漂う木造校舎の内部を探索するホラーゲームだ。制作したirondrillのブースでは、Gear VRでこの作品を試遊することができたのだが、それだけに留まらないのがユニークなところ。

 こちらのブースでは、作品の体験版が収録されたディスクと、スマホと組み合わせて使用できる紙製のVRゴーグルをセットにした『木造校舎ノ夜 ちゅらwayZERO2特装版』が頒布されていた。

 これなら、手持ちのスマホを使って、誰でも気軽にVRを体験できる。友人に見せてワイワイと盛り上がれるという意味では、ホラーゲームとの相性もピッタリだ。

“オキュラス フェスティバル”

 Oculus Riftはじめ、VRデバイスの一般発売が目前に迫っていると言われているとはいえ、VRの動作環境を揃えるにはまだまだ敷居の高いところがあるのも事実だ。多くの人にVRを体験してもらうには、この特装版のような試みも重要になってくるだろう。

 ただし、この『木造校舎ノ夜 ちゅらwayZERO2特装版』に関しては、この後しばらくはイベントなどで頒布される予定はないとのこと。今後の新たな展開を楽しみに待ちたいところだ。

“オキュラス フェスティバル”
“オキュラス フェスティバル”
▲特装版に同梱されているVRゴーグルは、アクティーエージェントの“ちゅらwayZERO2”とコラボレートしたもの。これを使えば、YouTubeのVR動画なども手軽に楽しめる。

 記事の冒頭でも紹介したように、OcuFesはカジュアルな雰囲気であったため、来場者が試遊の感想を伝えたり、開発者と意見を交換したりする光景を、会場のあちこちで見ることができた。出展者と来場者が一体となり“日本のVRの未来を生み出す”というようなエネルギーを、強く実感できたイベントだ。

 2013年8月より開催されてきたOcuFesだが、じつは今回のイベントでは“Final”と銘打たれていた。といってもイベント自体が終了するわけではなく、次回からは“Japan VR Fest”に名称を変更し、Oculus Riftに限らずVRコンテンツ全般をより広く扱うイベントへと進化するとのことだ。

 VRに興味のある人、ゲームやデジタルコンテンツの未来をその目で見てみたいという人は、次回以降のイベントにもぜひ足を運んでみてほしい。

(C)大場つぐみ・小畑健 / 集英社
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