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2016年5月22日(日)

『オーバーウォッチ』新ヒーローは年内に複数追加予定。開発者のスコット・マーサー氏にインタビュー

文:あべくん

 5月21日~22日の2日間にかけて、韓国・釜山で開催中の“オーバーウォッチ フェスティバル”。5月24日発売のPS4/PC用アクションシューティング『オーバーウォッチ』のローンチを記念して開催された本イベントの会場で、本作のプリンシパル・デザイナーを務めるスコット・マーサー氏にインタビューを行いました。

『オーバーウォッチ』
▲スコット・マーサー氏。日本のアニメが大好きとのことです。ベストアニメは「選ぶのが難しい」としながらも『天元突破グレンラガン』を挙げていました。

 なお、イベント全体の模様は、先日掲載したフォトレポートをご覧ください。

追加コンテンツは、年内にいくつか配信予定!

『オーバーウォッチ』

――本作は、ブリザード・エンターテインメント初の対戦型マルチプレイヤーFPSですが、そのゲームデザインに行きついた理由をお聞かせください。

 ブリザードに入社する以前から、FPSをずっとプレイしていました。ですので、ブリザードが誇る素晴らしいキャラクタ―やヒーローを、マルチプレイヤーFPSでぜひ実現したいと考えていたのが、その理由になります。

――オープンベータテストを実施してのユーザーの反響はいかがでしたか? また、それを受けて新たに施した調整などはありますか?

 ユーザー様の反応はとてもポジティブなものが多く、それについては謙虚にありがたく受け止めています。また、フォーラムやいろいろなコミュニティで、彼らからのフィードバックを得る機会がありました。

 よかった内容、改善すべき部分など、いただいたすべてのコメントを読み、自分たちが思いつかなかったアイデアは加える、改善すべき部分は修正するといった具合に、調整を施していきました。

――具体的には、どのような部分に調整を加えたのでしょう?

 キャラクターのバランスなどですね。なお、最初に調整したのは、他の人がプレイしているのを観戦できるようにすることでした。現在はいろいろなロケーションでそれを観られるようにしています。

 こうした調整については、オープンベータテストはもちろん、すべてのベータテストの中で1つずつ、いろいろと直していきました。

――短編アニメーションが公開されるなど、キャラクターのバックストーリーにも力を入れられているという印象を受けます。ストーリーやキャンペーンといったモードの実装は検討されているのでしょうか?

 モードとしてゲーム内に加えるのはなかなか難しいですね。ストーリーについてはアニメやショートフィルムで補完していきたいと考えています。ただ、機会があればぜひ挑戦したいですね。

――短編アニメーションのファンは多いですよね。今後、長編アニメなどを作る予定もあるのでしょうか?

 映像のファンもたくさんいますし、考えてはみます。シネマティック部署でアニメーションを制作しているスタッフは、そのフィードバックを大変うれしく思っています。

――ゲームのバランス調整で、もっとも苦労したのはどの部分でしょう?

 トールビョーン、バスティオンといったヒーローの調整は難しかったです。トッププレイヤーだけでなく、すべての人が楽しめるバランスにというのは大変でした。

 すべてのヒーローにパワーを与えたいですし、そのなかでバランスも調整しなくてはいけない、というのに苦労しましたね。

――本作はマップとゲームルールが紐づいているという、あまり見ないタイプのゲームですが、これについては当初から計画されていたのでしょうか?

 すべてのマップで、すべてのヒーローが力を発揮できるようにしなければいけませんでした。会社に貼ってあるポスターには、レベルデザインフィロソフィーとして“すべてはヒーローのために”と書かれています。

 まずヒーローが第一にあって、それをサポートするようにマップやルールが作られているのです。プレイヤー自身がヒーローであり、FPSは自分の目線でゲームの世界に入り込めるのが魅力的な部分ですので、プレイヤー=ヒーローと感じられるようなデザインにしています。

――ヒーローがとても魅力的なので、FPS初心者の方も多く手に取るタイトルだと思います。そうしたFPS初心者のプレイヤーがゲームを知るのにオススメなのは誰でしょう?

 FPSに慣れるという意味では、ソルジャー76がオススメです。扱いやすいライフルを装備していますし、バイオティック・フィールドで体力の回復もできますから。

 あとはマーシー。味方を回復するなど、サポートというわかりやすい役割ですので。ちなみに、ヒーローラインナップではそれぞれの情報や使用難易度もわかるようになっていますので、ぜひご覧ください。

――21体ものヒーローが登場しますが、能力や特徴はどのようにして作られていったのでしょう?

 ヒーローの何体かはゲームのアイデアの後に作られました。ファラなどがそうですね。ファラにはロケットランチャーが最適だと考えたので、そのようなデザインをアーティストに依頼しました。

それ以外ですと、コンセプトアートの段階で「これはすばらしいからやろう!」というキャラもいます。ゼニヤッタは、最初に「ロボット僧侶ってどんなだろう」と考えていた時にアーティストが作ってくれて「ああ、これだ!」という形でデザイン先行で制作されました。

――スコットさんのお気に入りのヒーローは誰でしょう?

 ロードホッグやウィンストンが好きですね。あとゼニヤッタについては、能力などを自分で作成したので強い思い入れがあります。

――ゼニヤッタの名前についてなのですが、イギリスのポリスというロックバンドが『ゼニヤッタ・モンダッタ』というアルバムをリリースしていますよね。もしや名前の由来はそこから?

 その通りです! カッコいいと思ったので。ちなみに、音楽や映画から、ヒーローの能力などのインスピレーションを受けていますね。昔のゲームなどをプレイしてインスピレーションを受けたこともあります。そこから新しいアイデアが生まれたりもします。

――追加ヒーローは登場しますか? また、登場する場合、どのくらいのペースで追加されるのでしょう?

 年内にいくつか追加する予定です。今はプロトタイプの段階で、マップも同様ですね。発売から1年が経過するまでの間に、いくつか追加したいと考えています。

『オーバーウォッチ』

――今後、本作のコンソール版でeスポーツの大会を実施される予定はありますか?

 考えてはいるのですが、まだ未定という段階です。

――本作は、新規IPでの世界同時配信ですが、それに踏み切った理由をお聞かせください。

 そのほうがカッコいいと思ったからです! どこかの地域の方々をお待たせする必要がありますか(笑)?

 ゲームの開発に遅れが生じるなど、PC版、PS4版での同時配信は大変でしたが、それを実現してくれたすべてのスタッフに大変感謝しています。

――コンソール版とPC版で違いはありますか?

 コントローラで遊ぶか、キーボードで遊ぶかの違いくらいですね。遊びやすさのため、操作の微妙な違いはありますが、マップなどは同じです。

――オープンベータテストに970万人が参加するなど、規模自体は世界トップクラスの数字だと思います。新規IPでそれだけのユーザーが参加されたのはなぜだと思いますか。

 とても楽しいゲームだから、というのが理由ではないでしょうか。クローズドベータテストを遊んで、もっとプレイしたいと思った方も増えたと思います。あとはオープンベータテストが無料だったことも、理由の1つだと考えています。

――今回の“オーバーウォッチ フェスティバル”の感想をお聞かせください。

 すばらしかったです! 多くのファンがゲームをプレイしたり、世界観を体験してくれましたし、僕のサインや写真を一緒に取りたいという方もたくさんいらしてくれて、とてもうれしかったですね。

『オーバーウォッチ』

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