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2016年9月28日(水)

『機動戦士ガンダム EXVS』6年の軌跡を振り返る。アップデート内容や機体選別の経緯、今後の展開が明らかに

文:る~ぱ

 アーケードで展開し、人気を博している『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』シリーズ。本シリーズについての開発者インタビューを掲載する。

『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』インタビュー 『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』インタビュー
『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』インタビュー 『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』インタビュー

 『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』は、2010年にリリースされた。シリーズはその後、6年間で3タイトルが稼働。現在は最新作『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON』でアツい対戦が繰り広げられる。

 長く楽しまれている本シリーズについて、バンダイナムコスタジオの制作プロデューサー大久保人さんと、バンダイナムコエンターテインメントのプロデューサー大石勇気さんに、インタビューを敢行。6年間進化し続けている本シリーズの開発経緯や思い出、苦労話などを語ってもらった。

『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』インタビュー
▲大石プロデューサー(左)と大久保制作プロデューサー(右)。

プレイヤーのコミュニティ作りを意識したシリーズ

――『ガンダムVS.』シリーズとして見ると、『エクストリームバーサス』シリーズは6年という長期タイトルになりましたが、その要因についてどう考えていますか?

大石:何はともあれ、『エクストリームバーサス』シリーズを通して、プレイヤーの皆様からの熱いご支持と、店舗様からのご協力をいただけたということがとても大きく、そのおかげでプロジェクト立上げから現在まで、初期コアの開発メンバーの多くを維持しながら、開発運営を続けられていることが1つの大きな要因かと思います。

『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』インタビュー

大久保:PS2世代の『ガンダムVS.』シリーズから、PS3互換のSYSTEM357基板になり、グラフィックの進化やゲームとしての遊びの進化、ハード面ではライブモニターやモバイル連動といった機能の追加などを行い“極限進化”というキャッチフレーズを掲げさせていただきました。

 あとは『エクストリームバーサス』からオンラインアップデートよる運営型のタイトルになったことも大きな要素です。オンラインアップデートにより、稼働後にも新機体を導入することが可能になった他、機体のバランス調整やイベント開催により、つねに新しい遊びや新鮮な環境を提供できるようになりました。そしてこういった長期的な運営での展開にプレイヤーさんがついてきてくれたところが大きいですね。

『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』インタビュー

大久保:モバイル連動でゲージをカスタマイズしたり、一緒に遊ぶ友だちと戦績を競い合ったり……ゲームプレイ後にライブモニターでリプレイをみながらワイワイ盛り上がり、反省したり。そしてまた「プレイしよう!」というサイクルができたことはよかったです。

――ライブモニターは見ているだけでも楽しいですよね。上級者同士の対戦だと勉強にもなります。

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大久保:『エクストリームバーサス』は2on2の対戦ゲームであり、コミュニティの形成が重要と考えていましたので、店舗様、プレイヤーの皆様と一緒に盛り上げていきたいと思っていました。

 稼働初期は限られた店舗様で10台or12台での稼働とさせていただいたのですが、それには対戦が盛り上がる基幹店舗を作りたい、という想いがありました。その店に行けば対戦が盛り上がっていて、テクニックも学べ、練習もできるという場を作りたかったのです。そこで上達した人がその後、後々、他の店舗でも対戦を盛り上げていくという流れを作れたのが大きかったです。

 ただ、稼働初期は待ち時間が多くご不便をおかけしてしまったことは申し訳なかったと思います。

――ムーブメントを含めて、メーカーと店舗、プレイヤーが作り上げたタイトルであると。

大久保:メーカーだけでできることは限られているので、店舗様ともご相談して、前述のようなことをお願いしました。プレイヤーが実際に遊ぶのは店舗ですので、協力して盛り上げていきましょうとお話させていただきました。

――ここまでの長期展開は予想していたのですか?

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大久保:それは正直考えていませんでした。過去のシリーズ作品は2作ごとにリニューアルしていたので、本作も2作ぐらいだろうなあと。ここまで続けられたのはプレイヤーからの支持に加えて、店舗様の協力があったからだと思います。

大石:過去のシリーズ2作ごとでのシリーズ改変の歴史があった理由から、『エクストリームバーサス』シリーズで2作目の『フルブースト』稼働後以降は、次のタイトルは一度リセットしてまったく新しいシリーズにリニューアルするかどうかが毎回議論されました。が、プレイヤーの皆様からの評価と、認知度を考えた結果、今の様なシリーズ展開となりました。

――“フルブースト”の次ということで、“マキシブースト”のタイトル決めにも苦労されたのでは?

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大石:「既に“フルブースト”だったので、次は何ブーストにしようか?」と、いろいろ協議しましたね。最新作の『マキシブーストON』は“マキシブーストの延長線上ということ”と“タイトルをこれ以上長くしないように”ということで現在のものになりました。

 ちなみに『マキシブーストON』の“ON”にはオンライン対戦の“オン”と“マキシブーストにプラスオン”という意味合いがあります。

――キャッチフレーズも印象的ですね。

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大石:キャッチフレーズについては毎回いろいろと協議して、頭を悩ませています。加速した後はどうなるのか……とか(笑)。『マキシブーストON』のキャッチである“極限進化が共鳴(リンク)する”は、「オンライン対戦でプレイヤー同士が共鳴する」といったイメージで付けています。

――『マキシブーストON』のポスターは描かれている機体の選定もやや特徴的です。

大石:ポスターの機体は、新規参戦作品の目玉機体や、皆さんの期待が高い機体を毎回優先的に構成していますので、『マキシブーストON』ではこれまでに呼び声が高かったアカツキをポスターラインナップに組み込んでいます。

――タイトルをリニューアルして機体数を減らしてしまうとプレイヤーとしては遊ぶ理由が減ってしまう。プレイヤーからの支持が高いぶん、リニューアルのタイミングは難しいと思います。

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大石:それについては我々も一番気にしているところですね。“オールガンダム”で多種多様な機体を使えることもこのゲームの大きな魅力の1つだと思いますので、仮に大幅なリニューアルをするとしても、機体数についてはなるべく維持できる様に模索しています。

大久保:プレイヤーの期待に対して葛藤はあります。もし、このまま進んでいって200機体を超えるとか考えると(苦笑)。

――機体ごとの特徴付けも評価が高いところだと思います。

大久保:そこは評価をいただいている所かと思います。ただ、あまり特徴付けが進みすぎると、『エクストリームバーサス』シリーズの特徴である機体の乗り換えがしやすい部分がスポイルされていくので、バランスを見ながらですね。

――運営型となりアップデートで対応できるのはメリットですが、反面では大変な面もあるのでは?

大久保:大変は大変ですが、プレイヤーの皆さんが楽しめるのが一番なので、そこにどう応えていくかだと考えています。プレイヤーの声も多種多様で、すべてに対応することは難しいのですが、期待の1つ先を行ければと思っています。

――バンシィやガンダムサバーニャなど、1回目のアップデート追加機体がやや強めになっている印象があります。機体の強さはやや強めを意識して調整されているのでしょうか。

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大石:リリース直後の強さについては、その時々の状況に合わせて何とかバランスを決めているので、特に意図して“強すぎる”様にはしていません。

大久保:追加機体は期待度も高いので、丁度いいバランスに落とし込んでいきたいと思っています。

――最近だとモバイル連動で先に機体が使えるという特典があるのですが、これはプレイヤーに遊んでもらう施策の1つなのでしょうか?

大石:そうなります。有料会員の方のインセンティブとして、追加機体をいち早くプレイできる機会を設けています。たくさん遊んでもらいたいという目的もありますし、いつも遊んでくれる人にちょっとサービスしたいという側面もあります。

――チャレンジミッションの選択数は3種類の理由は?

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大石:いろいろなちょっとした目標をもってもらうことで、1プレイの価値を上げて、より深くゲームを楽しんでいただきたいということが主な理由です。同時に受けられる数が多いと、目標がぼやけてしまうことと、短期間に達成できる数が増えてしまうと、本来の目的から外れてきてしまうのでこの数にしています。

――カードを使った階級付けを入れた理由を教えてください。

大久保:弊社タイトルだと『鉄拳』シリーズや『機動戦士ガンダム 戦場の絆』にも段位システムはありましたが、『エクストリームバーサス』でもプレイヤーのやりこみ要素の1つとして採用しています。ただ本作は2対2というシステム上、自分の腕前だけではなく相方との組み合わせもありますので、『鉄拳』に比べて若干余裕を持たせた作りにしています。

――ランキングなどもありますよね。

大久保:各種イベントや“VS.コンクエスト”、月間ランキングもそうなのですが、地続きの要素だとずっと遊んできたプレイヤーとそうでないプレイヤーの差は埋まりませんので、期間を設定することで「今回は上位を狙えるかも」といった形で楽しく参加してもらえるとうれしいです。

――対戦がメインのゲームですが、“VS.コンクエスト”の勢力拡大に勤しんでいるプレイヤーが多いのはこれまでとは違うムーブメントだと感じています。

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大石:『マキシブースト』で“VS.コンクエスト”を導入してからは、コンクエスト専門でプレイして下さる方も結構いらっしゃいます。対戦ゲームではあるのですが、直接の対人対戦以外の楽しみとして、勢力戦という新しい駆け引きや、やり込みプレイという楽しみを提供できたのはうれしかったです。

――“大会モード”についての評判はどうでしょう。

大久保:店舗様からもご好評いただいています。今まで大会を実施してこなかった店舗様も、このモードをキッカケに開催してくれたということも多かったようです。大会が増えることでプレイヤーにとっても楽しめる要素になったのかなと。

――これまでは手書きのトーナメント表を作って、対戦ごとにリセットしたりと、大会開催はハードルがありましたからね。

大久保:オペレーションの手間は多かったと思います。その手間をソフト側で対応できないか、という考えから実装しています。

――現状、店舗側からの意見ではどのようなものがあるのでしょうか?

大石:オンライン対戦設定と店内対戦設定の自動切替え設定の回数を増やしてほしいという意見は反映しています。あとこれはまだ検討段階ですが、オンライン対戦を実装したので、店舗間での大会ができないか、という声もあります。

開発陣のお気に入りの機体は?

――お2人のお気に入りの機体があれば教えてください。

大久保:クロスボーン・ガンダムX2改です。

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大石:よく使ってますよね。でもキャラクターが好きというより、機体性能的に好みってことじゃないですか?(笑)

大久保:どっちもです! チャージショットが好きなんですよ。そのためだけに使っていると言っても過言ではない。味方の後ろからプスッと刺す、たまに味方にも誤射しちゃうんですが。

――クロスボーン・ガンダムX2改は『フルブースト』でコストが変更されましたが、コスト変更はどのような意図で行われているのでしょうか?

大久保:ゲーム全体という縦軸と、コスト間という横軸のバランスを見て行っています。バランスを調整すると言っても、ただ強弱を付けるだけだとおもしろくなくなってしまう場合もあります。でもコストを変えることで強さとおもしろさを担保したまま、バランスも保てるという判断になった場合に、コストを変更しています。

――『マキシブースト』で機体コストが1000から1500になった理由は?

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大石:単純にゲームバランスの都合です。ゲームプレイのテンポをあげたかったのと、使いやすさと諸々の性能差のバランスを考えるとコストを少し上げたほうがいいと考えたためです。

大久保:コストを上げることで性能が上がり、できることが増えています。当然、活やくするチャンスも増えていて使いやすくなっています。

――1000は玄人向けの機体が多く、初心者が手を出しにくいコスト帯でもありました。

大石:過去の全国大会でも、1000コストの機体が上位にいましたが、上級者が扱うとスキル差による有利が顕著に出すぎてしまいがちなので、その為に性能を少し控えめしたりもしたのですが……そうすると今度は初心者扱いづらくなってしまっていたので、何とかバランスをとろうと、『マキシブースト』から1500というコストを作りました。

大久保:武装や性能がピーキーなんです。ただコスト比を考えた万能型にすると、上位コストには太刀打ちできない。ということからコストアップで性能を底上げすることで、扱いやすくしつつ上位コストとも渡り合えるように調整しています。

――大石さんのお気に入りは?

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大石:自分はターンXですね。ギム・ギンガナムが好きということと、扱いやすい機体なので。ある程度汎用的に動けるのでオンラインのシャッフル戦でも戦いやすいのもいいですね。

――開発で苦労された機体はありますか。

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大石:リ・ガズィはいろいろ大変でしたね。原作再現上、戦闘機の様になるバックウェポンシステムを装備した状態で登場しなければ不自然だろう、という拘りがありまして……。

 戦闘開始時のステージ登場演出の時、通常のモビルスーツはジャンプして入ってくるのですが、リ・ガズィは最初から戦闘機の様な形態なのでジャンプで入ってくるわけにもいかず、登場のさせ方はいろいろ試行錯誤がありました。あと攻撃を受けるモーションなども同様に悩みましたね。

――リ・ガズィは着地を狙う、というセオリーが通じないので対戦バランスの調整も大変だったと思います。

大久保:ずっと空を飛んでいますからね。

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大石:最初はいつでも換装できるシステムで戦闘中に切り替えるイメージだったのですが、「モビルスーツの設定的にここもキッチリ再現しよう!」ということにしたので、現状の一方通行のシステムに落ち着きました。

――原作再現ということで苦労されたと。

大久保:そこは原作があってこそのタイトルですから。サンライズさんと確認しながら、線引きを決めています。その範囲内でおもしろいものを作っていくのは難しいところであり、やりがいのあるところでもあります。

――ゲームオリジナルのアクションなどで評価が高かった機体はありますか?

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大久保:ユニコーンガンダムですね。当時、アニメ本編の製作中だったので絵コンテや小説ベースでアクションを作っていたのですが、動いているものを見ていただいた際に「よくできている」と評価していただきました。

作品によって異なるエクストリームバースト

――エクストリームバーストの変遷についてお聞かせください。

大久保:『EXVS』では“使うと強化される”というシンプルなテーマでした。発動させると単純に強くなるので、そこから一気に逆転もできるといった分かりやすさを重視しています。いわゆる“EXバーストゲー”と言われた側面もありますが、実際そのような側面もあり、お互いにどこで発動させるかの判断が、勝利に直結していましたね。

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▲シリーズ通じて採用されているエクストリームバースト。機体性能が上昇するだけでなく、“明鏡止水”や“トランザム”といった作品を再現した効果が発動することも。

――エクストリームバーストの強さを見越したゲームバランスだったのですね。

大久保:初心者が上級者と対戦した時はさすがに勝てないものの、実力差が近ければ逆転の目があるシステムにしました。覚えるべきセオリーはできましたが、それさえ覚えてしまえば活躍できるタイミングを誰でも持てるという要素になっています。

――初心者でも一矢報いることができるのもいいところですね。

大久保:完封されるのと一矢報いることができただと、大きな差があると思います。結果的には負けてしまっても、次戦のモチベーションにもつながるので。

――『フルブースト』での変更点については?

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大久保:アサルトバーストとブラストバーストに細分化されました。『エクストリームバーサス』から2年ほど経過して戦い方が固まってきたと感じていたので、尖っていた部分を2つの特性に分け、マイルドにしたイメージです。

 これまではエクストリームバーストを発動させれば一気に押しきれていたものが、発動前や発動後の立ち回りを考えなければいけないバランスになっています。

――ゲーム性が強くなった印象があります。

大久保:やり込めばやり込むほど強くなっていく一方で、腕の差が出やすいゲームバランスです。EXバーストが選択式になったことで、今までよりも自チームの状況や相手のゲージなどを考えながら立ち回る必要が増えました。このような面から上級者のプレイヤーからは高い評価をいただいていますが、初級者の方が手を出しにくくなる一面もありました。

――ゲームとしての深さが増したことで、ハードルも高くなってしまったと。

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大久保:継続タイトルということもありますし、一発逆転というバクチ要素が減った分、実力差が出やすくなりました。

――2種類あるのも最初は戸惑う原因かもしれません。

大久保:最初はアサルトバーストが優勢でしたが、後半はブラストバーストが主流になっていきました。時間の経過によってプレイヤーさんの攻略が進み、さまざまな遊び方が模索されていったのはよかったところだと思います。

――その後『マキシブースト』ではさらなる変化を遂げます。

大久保:『フルブースト』はプレイヤーの実力差が出やすくなり初級者の継続が難しくなってきました。またプレイヤーのテクニックがあがり、射撃を差し合うジリジリとした展開が多くタイムアップになることも多くなりました。

 そこで『マキシブースト』ではエクストリームバーストに加えて“オーバードライブ”を設けることで、対戦時の山場を増やしています。初心者だとエクストリームバーストの発動タイミングを見逃して不発になることも多かったので、オーバードライブは自動発動という形にしました。

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▲格闘が強化される“ファイティングドライブ”と、射撃を強化する“シューティングドライブ”の選択制。エクストリームバーストと併用することもできた。

――『エクストリームバーサス』のように初心者でも逆転の目があるようにしたかったと。

大久保:最初はかなり悩みましたが、最終的にはお祭り感を意識して攻撃の爽快感を強調した形にしました。上級者だとどちらを先に使うかの判断や、相手のゲージ状況を意識するといった駆け引きが楽しめます。攻撃側の爽快感とゲームバランスをとるのが苦労したところですね。

――そして最新作『マキシブーストON』では再びシンプルな形になりました。

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大久保:『フルブースト』と『マキシブースト』の中間ぐらいを狙っています。オンライン対戦の実装により、これまでのアーケードのプレイヤーだけではなく、『フルブースト』の家庭用版を遊んでいるプレイヤーも手を出しやすい環境になりました。そういった人たちのためにシステムをシンプルにしようと。あと、オンライン対戦による情報量の問題もあります。

 内容的にはエクストリームバーストにオーバードライブの気持ちよさを組み合わせたものになっています。

――新たに“エクステンドバースト”が組み込まれましたが、こちらが追加された経緯は?

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大久保:エクストリームバーストとオーバードライブがあった『マキシブースト』から『マキシブーストON』に変わったことで、プレイヤーの選択肢が減ったことは確かです。そこで『マキシブースト』とは方向性の違う選択肢を増やしたかったという理由があります。あとは初心者でも使いやすい効果、既存の2種類のエクストリームバーストだと相性がよくなかった機体へのフォローという面ですね。もちろん今後の展開を見てバランスは調整していく予定です。

――エクストリームバーストを対戦前に変更できるようにはならないのでしょうか?

大久保:検討もしていますが、マッチングのシステムや対戦のテンポなどの兼ね合いから難しいところです。

追加機体の選定基準とは?

――9月27日に参戦するヤクト・ドーガはどんな機体になるのでしょうか?

大石:コスト2000の射撃寄り機体。武装はクセがないので使いやすいと思います。

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▲ギュネイ・ガスが駆るニュータイプ専用機。ファンネルを駆使した使いやすい射撃が持ち味。

――ヤクト・ドーガが選ばれた理由はあるのでしょうか?

大石:選定理由は実はいろいろ事情がありまして全部はお話できないのですが、先日のティエレンタオツーもそうですが、各コスト帯の機体数や性能のバリエーションを増やしていきたいという意図もあります。ヤクト・ドーガについては2000コストのファンネル機という枠で採用したということも選定理由の1つです。

――参戦作品の機体ラインナップに差があると思うのですが、こちらについてはどうお考えでしょうか? 

大石:やはり人気度の高い機体はある程度優先的になりますが、性能、コスト、作品枠、リリース時期なども考慮して、長期的に見てなるべくバランスよくという方針で決めています。

大久保:前提として“オールガンダムの混載ゲーム”というのがベースにあり、全体のバランスを見て足りていない作品にテコ入れしていきたいという気持ちはあります。ただ、少ないからといってただ増やせばプレイヤーの皆さんに喜ばれるかというとそうでもなく、そこは作品の人気もバロメーターの1つになります。

 恐らく皆さんが考えられている機体は、ほとんどが検討には上がっています。ただ、候補には上がるが順番が回ってこないのです……。

――例えば、似たような機体がすでにあると、バリエーションの付け方も難しくなると思います。

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大石:はい。先に似たような機体がいるというパターンもありますね。あと、採用見送りのケースで多いのが、武装やアクションの数が少なかったり、搭乗パイロットが不明だったり、ということもだいぶ大きいです。例えば武装が大型ビームライフルのみでパイロットも定かではなかったりすると、他の候補機体と比べてしまうとなかなか採用が難しくて(苦笑)。

大久保:ようやく実装された機体をさわったプレイヤーの期待を裏切りたくないですからね。

大石:個人的にはアッシマーとかマヒローとかも使ってみたいのですが、他の強力な候補と並べてしまうとなかなか順番が回ってこないというのが現状です。

大久保:作品と機体に加えて、あとはパイロットの人気もポイントの1つです。そして、その機体がゲームとして出た時にちゃんとおもしろくなるか、といった点が噛み合ったものに白羽の矢が立ちます。

――パーフェクトガンダムが参加するなど作品のバリエーションが増えてきました。これらはどのような経緯で決まっていったのでしょうか。

大石:よりプレイを楽しんでもらおうと、通常のラインナップ以外にも、サプライズ的にいろいろなキャンペーンなどで特殊な機体のリリースも行っています。パーフェクトガンダムについては『戦場の絆』と家庭用『フルブースト』と連動したガンプラ35周年記念の機体として参戦する経緯に至りました。

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▲プラモデルをテーマにした『プラモ狂四郎』からサプライズ参戦したパーフェクトガンダム。水鉄砲やロケットパンチなど、型破りな武装を持つ。

今後のシリーズ展開について

――アーケード『マキシブースト』で実装された機体が家庭用『フルブースト』に導入されたのは、どういった経緯があったのでしょうか?

大久保:連動展開を行い、アーケードと家庭用の両方を盛り上げるお祭りイベントの一環です。アーケードから見ると、家庭用で練習できるのはメリット。家庭用メインのプレイヤーには、アーケードの機体を入れることでアーケードに挑戦するキッカケになればと思って実装しました。

――ゲームと連動しているコミック『ガンダムEXA』ですが、こちらの展開理由についてお聞かせください。

大石:『エクストリームバーサス』立ち上げ時に雑誌『ガンダムエース』10周年のタイミングが重なって、「雑誌でもオールガンダム作品をやりたい」という話が挙がったのがキッカケです。

大久保:ただ開発タイミング的にプレイアブルキャラクターにするのは難しかったので、顔見せ的にボスとして登場させておいて、本格的には『フルブースト』からという形になりました。

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▲戦闘中に“進化”していく機体・エクストリームガンダム type-レオス。格闘に特化した“ゼノン”や、ファンネル系の武装を持つ“アイオス”など、多様な形態がある。

――最近だとダークセシアがゲームに登場するなど、より連動するパターンが出てきました。

大久保:漫画のときた洸一先生、シナリオの千葉智宏先生、担当編集のかた、そしてサンライズさんを交えて、毎月「こんな展開はどうでしょう」や「漫画でこういう機体が出るのでゲームで連動を」などなどお話ししています。

 ただ、ガチガチにしすぎるとお互いに身動きが取りづらくなるので、完全に原作再現ということではなく、あくまでコラボというスタンスです。

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▲セシア・アウェア・アハト▲セシア・アウェア・セスト
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▲セシア・アウェア・ノーノ▲セシア・アウェア・プリモ

――入念に話しながらも、いいあんばいで連動していくのがポイントなんですね。

大久保:お互い話しながら、おもしろい要素を導入できているのがイイところだと思っています。武装の設定はこちらで作成し、使い方は漫画でアレンジすることもあります。ダークセシアはこちらで提案したところ、おもしろいということで、現在の形になりました。

大石:ちなみに、『マキシブーストON』で追加されたエクストリームガンダム・エクセリアは、当初カラーリングやフォルムがもっと女の子っぽかったんですよ。でも話し合いの中でいろいろと協議しまして、結果として今のデザインに落ち着きました。

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▲多彩な射撃武装を持つコスト2500の機体。パイロットはGダイバーにつきそうセシア・アウェア。

――やや敷居が高めのシリーズですが、これから始めるプレイヤーにアドバイスをお願いします。

大久保:友だちと一緒にプレイするのが上達する近道ですね。『エクストリームバーサス』初期の展開もこの考えに基づいていて、コミュニティを大事にしています。普通の対戦ゲームだと一緒に遊びにいって対戦しても一方的に倒して雰囲気が悪くなって終わりですが、このゲームだとうまい人が初心者の味方になって一緒に遊べるのが強み。

 コストや連携などを考えると敷居が高く感じますが、そこは人と人との交流を通じて理解を深めていく。そしてそれを友だちに伝えていく、という流れですね。

大石:やはり2on2のゲームなので、一緒に遊ぶ人を見つけるのが一番だと思います。お互いにいろいろな戦術を試せますし、単純に1人で遊ぶより複数人でワイワイ遊んだ方が楽しいですからね。

――4ボタンとレバー操作という、操作そのものは難しくない分、知識による差が大きいタイトルですからね。

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大石:操作を覚え、セオリーが分かれば一気におもしろくなると思います。機体の武装の使いどころや、コストや性能の組み合わせなど、やり込んで覚えていく中にも楽しさがあると思います。

大久保:テクニックであれば調べようという話になるのですが、実戦でそれをできるかというと話は別。でもセオリーならばある程度プレイすれば実戦に落とし込むことができると思います。

大石:それと、今はオンライン対戦もできる様になり、1人でも気軽に対人対戦が楽しめる様になりましたので興味のある方はぜひ挑戦してもらいたいです。

――公式大会の予定はありますか?

大久保:現在調整しているところです。どういった形になるかもまだ決まっていません。

――今後の展開についてお聞かせください。

大久保:アーケードならではのプレイヤー間のコミュニティを大事にしつつ、そこを盛り上げる施策を考えています。今後についてはまだ言えないところが多いですが、まずは『マキシブーストON』を楽しんでプレイしていただけると幸いです。

大石:先日家庭用の方で、次世代の『ガンダムVS.』の発表もありましたが、『マキシブーストON』の方もまだまだアップデート運営を頑張って参りますので、アーケードの方も引き続きご期待ください。

――最後にプレイヤーへ向けてのメッセージをお願いします。

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大石:公式大会については今まさに検討しておりますので、それまではオンライン対戦や店舗で開催されている大会などでぜひ腕を磨いておいてください。また最近では通常のマッチングに加えて、一風変わったレギュレーションマッチングの“オンラインイベント杯”も開催され、ガチな対戦環境以外でも楽しめる様になっておりますので、ぜひお気軽に店舗まで足を運んでみてください。

大久保:シリーズを6年間続けてこられたのは、運営いただいている店舗様、プレイヤーの皆さんのおかげです。今後も皆さんが楽しめるよう、引き続き新規作品からの機体参戦なども検討しています。開発一同、頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。

(C)創通・サンライズ
(C)創通・サンライズ・MBS

データ

『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブースト ON』
■メーカー:バンダイナムコエンターテインメント
■対応機種:AC
■ジャンル:ACT
■稼動日:2016年3月9日

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