2016年11月25日(金)
コーエーテクモゲームスより11月2日に発売された、『アトリエ』シリーズ最新作となるPS4/PS Vita用ソフト『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』。発売から約3週間が経ちましたが、皆さんはどこまで旅を進めましたでしょうか?
発売前に掲載したレビューでは、錬金術士の公認試験合格を目指すフィリスの旅を序盤だけご紹介しましたが、フィリスの旅は試験の後もまだまだ続きます。試験合格後のプレイにまで踏み込んだ完全版レビューで、『フィリスのアトリエ』の魅力をより深くお届けします!
さらに発売の3カ月前、まだ本作の情報が出そろっていない時期に公開した予想レビューの内容について、当たっていたかどうかを検証。これまでのシリーズをずっとプレイしてきたベテランプレイヤーの予想が、果たしてどれだけ当たったか、しっかり確認していきます。
当然ながら『フィリスのアトリエ』のネタバレが含まれますので、まだプレイ中という方はご注意ください!
▲ゲームの最初の目的は、1年の期限内に公認試験に合格し、正式な錬金術士になること。そのために“ライゼンベルグ”を目指して旅をします。 |
▲試験に見事合格すれば一応のエンディングとなりますが、その後もゲームは続き新たなメインストーリーも展開していきます! フィリスの衣装を変えて楽しむもよし! |
“旅”をテーマにしている本作は、広大な世界を渡り歩いていくことがゲームの軸となっていて、基本的にどこをどう移動して、どのような遊び方をしても構わないという、かなり自由度の高いゲームになっています。
旅に出たフィリスの当面の目標は、ライゼンベルグで行われる錬金術士の公認試験に合格すること。試験を受けるには公認錬金術士たちの推薦状が3枚必要なので、これを集めながら旅をすることになります。
推薦状をくれる錬金術士は5人存在するので、その中から3人と会い、彼らから出される試練(クエスト)をクリアすればOK。どの錬金術士からもらってもいいし、全員からもらっても構いません。一直線に進んで道すがら推薦状を取るか、推薦状を集めつついろんな地域を回るか。どんな旅をするかはあなた次第なのです。
前回のレビューでも書きましたが、このあたりのプレイ感覚はフリーシナリオのRPGにかなり近くなっており、シリーズ経験者もかなり新鮮に遊ぶことができます。
▲推薦状を集める過程でたくさんの人と出会います。人との出会いによってフィリスは成長していくのです。 |
1年という期間は短いように思えて、実は結構長いです。自分の場合、比較的ゆったりとプレイし、推薦状も4枚集めてライゼンベルグに到着しましたが、その時点で残り160日、つまり半分くらい残していたのです。
このまま試験に入ってもよかったのですが、万全を期すために一度道を戻り、まだクリアしていなかったクエストを巡ってみました。それでも時間に余裕があり、100日近くを残して試験に挑戦しました。
ただ、やはり錬金術士としてはまだまだだったようで、79点という微妙な点数でクリア。3位決定戦となるイルメリアとの戦闘も一瞬で負けてしまいました。2周目のプレイでは、ぜひ高得点を取ってソフィー先生を倒してみたいものです。
▲ライゼンベルグで試験の受付をすると、もう外に出られなくなり、試験当日まで一気に日数を飛ばせるようになります。やり逃したことがないかしっかりチェックしましょう。 |
ゲームの最初の目的は試験合格なので、受かれば一応エンディングですが、すでにプレイしている人はご存じの通りフィリスの旅はまだまだここから続きます。
合格後の大きな変化は、まず期限がなくなること。もともと期限はゆるいですが、刻々と過ぎていく日数にドキドキしなくてすみます。さらに、空飛ぶホウキ“スカイフリーカー”の調合で移動が快適になり、これまで行けなかったエリアにも行けるようになります。
また、ソフィーとプラフタが仲間になる他、ソフィーを仲間にするともらえる“コルネリア人形”でアイテムの補充も可能になります。
▲特にコルネリア人形で使用アイテムが減りすぎなくなるのが大きいです。アイテムの補充に必要なミルクポイントは、人形にミルクを与えると充填できます。どこにでも売っているアイテムなのでありがたいですね。 |
さらに、水中呼吸が可能になる“エアドロップ”の調合で、3カ所ある水中エリアの探索もできますし、新たな調合品や装備品で強くなれます。敵が強すぎて踏破が難しいマップ“天衝樹アインホルン”に挑むのもいいでしょう。
試験合格後も、推薦状に関するクエスト以外は消滅することはないので、各エリアで起こるクエストやサブキャラクターのクエストをそのまま継続して遊ぶこともできます。とにかくやれることの幅が大きく広がるので、まさに「本当の旅はこれからだ!」と、いった感じです。
▲探索の場はなんと水中へ! エアドロップは時間制限があるので、水中を探索するときはできるだけたくさん用意しておきましょう。 |
試験合格後も続くメインクエストで、次にフィリスが目指すのは、天空に浮かぶ島に向かうため“空飛ぶお船”を作ること! フルスハイムでも船を作りましたが、今回作るのはいわゆる飛空艇です。
そこまでの道のりはかなり長く厳しいものになり、前作のキーキャラクターであるアトミナとメクレットも絡み物語が展開していきます。なお、空飛ぶお船が完成すると、以降はエリア間を自由に移動できるようになります。材料集めなどが格段に便利になるので、まずはこのメインクエストを追っていくことをおすすめします。
▲空飛ぶお船が手に入ると、本当にゲーム性が一変します。移動が格段に楽になるので、クエストも調合もはかどります! |
天空の島を目指していくメインクエストの他、仲間とのイベントもさらに進行します。本作ではキャラクター個別エンディングが復活したので、しっかり友好度を上げ、彼らとのイベントをこなしていくのも楽しみの1つです。
そして、試験合格以降は姉であるリアーネと、ソフィー&プラフタのイベントも展開するようになります。ソフィー&プラフタのイベントでは錬金術の才能に関して、リアーネのイベントでは彼女の秘密に関する物語が楽しめます。
この2つは、実はメインクエストに劣らないほど重要な内容で、ある意味物語の核心ともいうべきストーリーになっています。特にリアーネのお話は王道ながらとてもいい物語なので必見です!
▲アトミナ&メクレット、リアーネ、ソフィー&プラフタという、3つのメインルートがあると考えてよいでしょう。個人的にはすべて最後まで見てほしいです。 |
試験合格まではほぼ必須となる戦闘はなく、うまくやれば1回も戦闘をしないで試験に受かることもできるのですが、試験後の世界には強力な敵があちこちに待ち受けています。
先述した天空に浮かぶ島である“空渡りの岩舟”や、“天衝樹アインホルン”、水中神殿の“波座の伏籠”などなど、強敵が徘徊するエリアがたくさん。大きなクエストのクリアには、強いボスとの対決は欠かせなくなります。
もちろん、さまざまなフィールドをうろつく注意すべき魔物(マップ上にドクロマークで表示されます)もたくさん存在するので、戦闘方面でのやり込みもかなり奥深くなります。
▲強力なアイテムと装備の調合は、『アトリエ』シリーズならではのやり込み要素。世界中にいる強敵との戦いに打ち勝つため、ひたすら己を鍛えるのもクリア後の目標となります。 |
試験後も続くフィリスの旅について紹介してきましたが、ここからは予想レビューで掲載した内容について、答え合わせをしたいと思います。かなりガチで予想したのですが、その結果は……?
●予想その1【フィリスは旅の途中にキルヘン・ベルを訪れる!?】→×
いきなり残念ですが、『フィリスのアトリエ』で冒険する世界はかなり広いものの、キルヘン・ベルは登場しませんでした。とはいえ、この世界のどこかにあるのは確かなので、“不思議”シリーズの次回作があるなら登場に期待したい!
●予想その2【痩せたオスカーは誰かと恋に落ちる……?】→×
痩せてもやっぱりオスカーはオスカーでした。本作でも仲間になるのでイベントは展開していきますが、性格は変わっていないようで、恋愛よりも植物のほうが大事みたいです。見た目だけはモテそうになったのに……。
▲植物一筋なところがオスカーらしいんですけどね。 |
●予想その3【モニカは世界的大スターになっている!?】→△
フィリスの旅ではモニカの姿はまったく見あたらず。ただ彼女くらいの実力があれば、世界のどこかでスターになっていると、逆に妄想できるってもんですよ。いや、絶対に大スターになっている! というわけで、△でお願いします(土下座)。
●予想その4【フリッツやレオンたちとは旅先で出会える!?】→△
フリッツさんとは、“ヴァイスラーク”という町で出会うことができました。相変わらず人形が好きで、旅をしながら人形劇を行っている様子。ちなみにフィリスの仲間となるアングリフともかかわりがあるようです。しかし残念ながら、レオンさんは登場しませんでした。
●予想その5【アダレットでジュリオと再会できる!?】→×
これまたキルヘン・ベルと同様、ジュリオさんの故郷アダレットに行くことはできませんでした。こちらも絶対に世界のどこかにあるはずなので、次回作、またはDLCで行けるといいなぁ。
●予想その6【ドロッセルとフリッツは親子? 2人は再会できない!?】→○
発表当時から苗字が同じということでかなり怪しかった2人ですが、やはり実の親子でした。ドロッセルのイベントを進めることで、フリッツとのイベントも進んでいきます。
▲髪や目の色も同じですし、正直なところ最初から親子だってバレバレでしたよね……? |
●予想その7【ロジーに続きエスカが登場する!?】→○
旅の途中で訪れるフルスハイムでは、鍛冶師のロジーさんの他、町で暮らす女の子としてエスカが登場しました。対岸へ渡るための船を造る一連のクエストで出会うことになります。
ロジーと同様、『エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~』に登場したエスカとはまったくの別人で、年齢も11歳となっています。
▲好奇心が旺盛なエスカ。この世界でも錬金術士を目指したりはしないのでしょうか? |
●予想その8【予想外の場所でパメラさんと再会できる!?】→○
神出鬼没のパメラさんですが、本作ではライゼンベルグの町で出会うことができました! 町の広場で行商をしており、アイテムの売買をしています。もちろん、彼女に関するイベントもたくさん発生しますよ!
▲相変わらずふわふわほわほわなしゃべり方のパメラさん。おみやげをたくさん買ったせいで路銀が尽きたから商売をしているといううっかりさんです。 |
●予想その9【ゲームサイクルは通常のRPGに近くなる!?】→○
『フィリスのアトリエ』では、これまでのシリーズのように1つの町を拠点に遠出を繰り返すのではなく、基本的に町から町へ、どんどん先に進んでいくスタイルとなっています。これだけでも、かなりRPGに寄ったシステムといえるでしょう。
また自由度も高く、序盤からいろいろな場所に行けるので、その点もオーソドックスなRPGに近いと感じました。とはいえ、アトリエでの調合やレシピの発想など、『アトリエ』シリーズらしい要素も満載なので、過去作のファンも確実に満足できます!
▲他の冒険者から話を聞いたりしてまだ見ぬ場所へ。“旅”ならではのワクワク感が味わえました。 |
●予想その10【地域によってアトリエで作れるアイテムにボーナスが!?】→×
どこで作ってもアイテム自体への影響はないようですが、調合した攻撃アイテムは、天候によって効果に差がでます。例えば吹雪の時はレヘルン系が効きやすくなり、逆にフラム系が効きにくくなるのです。地方によってはずっと吹雪いている場所もあるので、地域ごとにアイテムを使い分けるのも重要です。
●予想その11【超弩級調合でさまざまな乗り物を作れる!?】→○
メインクエストで湖を渡るための船を作ることになる他、先述したように空飛ぶお船も作ることができます。他にもクエストで人工太陽を作り、雪を溶かしてしまうといったかなり豪快な場面も!
また、超弩級調合ではありませんが、空飛ぶホウキ“スカイフリーカー”も調合で作ることになります。
▲空飛ぶホウキでスイスイと広大なフィールドを飛び回るのも楽しいですよ! “錬金術士の礼装”と合わせるとちょっとだけ魔女っ娘気分です。 |
●予想その12【ラスボスよりも強い敵も登場する!?】→○
そもそもラスボスは誰なのか、という疑問もありますがアトミナとメクレットが絡むメインクエストで戦うことになる“双神エムエル”に匹敵する強敵はたくさん登場します。
エルトナ地底湖に登場する“名もなき古き竜”、時隠れの湖に出現する“死神騎士アディス”、空渡りの岩舟の最奥部にいる“光精・エイテリア”などがそうですね。他にもキャラクターイベントを進めることで戦うことになるボスもたくさんいます!
▲錬金術の腕を磨き、仲間とともに強敵に挑みましょう! |
というわけで、予想の結果は……。
【○:6個、×:4個、△:2個】でした!
なんとか正解率5割をキープできたようでほっとしておりますが、正直「こんなはずでは」といった思いでいっぱいです。
『アトリエ』シリーズはほとんどすべての作品をプレイしてきましたが、本作では“不思議”シリーズ2作目ということで、願望を込めて前作とのリンクを多めに予想したのですが……。実際はゲーム自体が大きく進化しており、プレイ感覚すら変わっていて驚きました。
しかしその分、本当に新鮮な感覚で楽しめたのも事実。なのでゲーム自体には大満足しています! シリーズをプレイしたことがなくてもRPGが好きな方なら遊んで損はないと思いますので、未プレイの方は、ぜひ『フィリスのアトリエ』で壮大な旅に出発してみてください。
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※掲載されている画面写真は、開発中のPS4版のものです。
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