2017年5月23日(火)
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第57回でお祝いするのは、1997年5月23日にガスト(現コーエーテクモゲームス ガストブランド)から発売されたPS用ソフト『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~』です。
ゲームが好きな人、RPGが好きな人には『アトリエ』シリーズはおなじみだと思います。昨年11月に発売された『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』はシリーズ最新作。シリーズ20周年を迎えた、家庭用ゲーム機のタイトルの中でも長寿シリーズとなっています。
本題に入る前に、少し当時のゲーム事情を振り返りたいと思います。
アーケードでは格闘ゲームが白熱。『バーチャファイター3』(SEGA)や『鉄拳3』(現バンダイナムコゲームス)、『ストリートファイターIII』(カプコン)に、『幕末浪漫 月華の剣士』(SNK)など、さまざまなタイトルを楽しめました。
また、リズムゲームの元祖といわれる『ビートマニア』(KONAMI)や、弾幕STGの草分け的作品である『首領蜂』(ケイブ)が登場するなど、新ジャンルが続々と確立された時期でもありました。
今回語らせていただく『マリーのアトリエ』もまた、新ジャンルを築き上げた作品のひとつ。アトリエを拠点にアイテムを調合することで知識を高め、時には危険な野外で材料を採取。街の人々の依頼に応えて信頼を勝ち取るといった図式はシリーズのお約束となっています。
記事を書くにあたって改めてプレイしたのは、『マリーのアトリエ PLUS』。イベントやエンディングが若干追加されているのですが、概ね同じゲームと考えていいでしょう。
無印のタイトルは筆者がライター稼業に手を染めたころの作品で、メーカーさんからいただいた紹介用の資料を読んでも今ひとつ要領を得なかった記憶があります。
念のため付記しておくと、資料の完成度やポンコツ極まる筆者の読解力の問題ではなく、その当時、類似したゲームが存在しなかったからです。それほどに斬新な作品でした。
予備知識抜きで本作に触れた人なら共感してもらえるかもしれませんが、まずやってしまったのが“破産&全滅”です。
「ああ、適当にアイテム作ればいいのね、ふふん♪」と考えなしにアイテムを作りまくって、足りない材料は大人買いです。野外で材料を採取できるらしいということで、近くの森へ意気揚々と出かけたところ……最弱モンスターの“ぷにぷに”やオオカミに囲まれて満身創痍。
RPGの序盤であれば、王様から拝領した棍棒と革の鎧で凌げるところですが、『アトリエ』シリーズでそんな常識は通用しません。ボディガードを雇わずして冒険は成り立たず、少しでも無理をすると、まず例外なく行き倒れに……。
気を取り直して冒険者を雇うも、序盤のボディガード料はおサイフに優しくありません。そんなことはお構いなしに強めの武器&防具を購入して、気づけば材料費にも事欠く有様。
そこへ追い打ちをかけるのが、これまたおサイフに厳しい参考書や実験器具の数々。そもそも参考書や器具がないといいアイテムが作れません。参考書を入手して、新しいレシピに挑戦しては、結果に一喜一憂したものです。
ある程度プレイが進むと、親友のシアをはじめ、さまざまな依頼者がアトリエを訪れるようになります。金欠時に出現するシアはまさに親友、いや、女神と言っても過言ではありません!
振り返りのための軽いプレイ……のはずが、気がつけば丸三日集中してプレイしていたというウッカリはさておき、20年の時を経た今、改めて完成度の高さに驚かされました。
最近の『アトリエ』シリーズと比較しても、調合と冒険を軸とした遊びの基本がほとんど変わっていません。
もちろん、遊びやすさや奥の深さ、世界観の広がりやグラフィックなどは作品を重ねるごとに劇的な進化を遂げています。アイテム調合においても、いかに効率よく作り、どうすればアイテムの効果を極められるかなど、求道的な魅力も増していきました。
しかし、“材料を集めてアイテムを作り出す”楽しさは一作目から変わっていないのです。ルーチンワークと書くと語弊がありますが、いい意味で変わらない“アトリエらしさ”が受け継がれていきます。
▲目指すは“賢者の石”の精製! ゲーム内で目標はあるのですが、それを作らないでもエンディングを迎えられる自由度の高さも魅力です。 |
ほぼ毎年シリーズの新作を世に送り出してきた『アトリエ』シリーズ。基本を踏襲しつつ新しい遊びを盛り込み、つねにユーザーの期待値を上回るというスタンスは、他にはないと思います。
また、ファンサービス的な意味合いを持つお約束も数多く見受けられます。例えば……
・ひたすらアトリエで寝続けることで訪れる残念な結末
・調合ミスによる爆発
・武器屋のオヤジ
・タル
・生きているアイテム
・わりとやんちゃな妖精さん
など。他にもシリーズファンなら「お!?」っと反応してしまう仕掛けが用意されることが多く、毎回頬が緩んでしまいます。
▲マリーの代わりに材料を採取したり、調合を任せることも可能。アトリエを掃除してくれる子や、とっておきの材料を売ってくれる子も登場します。 |
武器屋のオヤジと育毛剤のエピソードは1作目の『マリーのアトリエ』からありました。ちなみにハゲルの名前で登場するのは6作目『イリスのアトリエ エターナルマナ』からです。
3部作などの例外を除き、基本的には同姓同名の別人物のようですが、毎回エキセントリックな育毛剤ネタが……。
▲なかなか手応えのあるミニゲームの数々。『アーランド』シリーズ以降はなくなってしまったのが残念です。 |
やや駆け足で振り返ってきた『マリーのアトリエ』ですが、懐かしさを感じていただけましたでしょうか? アーカイブス版の『マリーのアトリエ PLUS』なら税込み617円とお手頃価格で手に入るので、興味のある方はぜひ!
『アトリエ』シリーズの続編となるであろう最新作にも、今から期待が高まるばかりです。
最後に、『アトリエ』シリーズのナンバリングタイトルを一覧で紹介しておきましょう。
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