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2017年8月28日(月)

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文:電撃PlayStation

 フランス・パリで開催中の“Paris Games Week2017”に合わせて行われた、“PlayStation Media Showcase”。そのイベントで発表された、PS4用ソフト『Erica』の最新情報をお届けする。

『Erica』

 本作はロンドンに拠点を構える新興スタジオ・FLAVOURWORKSによって制作されており、スマートフォンとゲームを連動させてプレイする“PlayLink(日本での対応は未発表)”に対応したタイトルとなっている。

■Erica - PGW 2017 Announce Trailer | PS4

 トレーラーに映るのは、主人公の女性・エリカ。プレイヤーは、各シーンに対してスマートフォンを使って介入し、ストーリーを進めていく。

 画面上にスマートフォンの動きに対応して動くアイコンが現れ、選択肢を選んだりカギを回したりといった操作を行っていた。そして、スマートフォンの画面でタッチやフリックをすると、その動きがゲームに反映される。

スマートフォンにより3D空間でのプレイが容易に

 今回公開されたのはアナウンストレーラーのみだったが、発表後には別途メディア用のセッションが開催。

 セッションでは、クリエイティブ・ディレクターのJack Attridge氏による実機プレイに合わせて、本作の特徴が語られた。以下では、そのセッションでJack氏により語られた内容をお届けする。

Jack氏(敬称略):これまでゲームをプレイしたことのない人でもプレイできるような、ストーリーのあるゲームを作りたかったんです。

 私はゲームは好きなんですが、友達や家族はなかなかプレイしてくれなかった。それで、ゲームに慣れ親しんだ人しかプレイできないものが増えているんじゃないかと思ったんです。

 たくさんのボタンがあって、それをいちいち覚えなきゃいけないとか、ゲームをプレイすることにもスキルが必要になってきている。

 ですので、私たちが好きな、深いストーリーを持つことと、いろんな人がプレイできること、その二つを両立できるゲームを作りたいと思ったんです。

 本作は“PlayLink”というシリーズの1つです。“PlayLink”は、スマートフォンを使ってゲームを操作できるという、新しいPlayStationの技術ですね。

 まず、実際に俳優が演じている実写映画と遜色ないグラフィックを実現するためのエンジンを作りました。これにはかなりの時間を費やしています。そのかいもあって、誰にでもプレイできるようなゲームになっていると思いますよ。

『Erica』

そう言うとJack氏はゲームをプレイし始めた。画面にライターが映る。

Jack:例えば今、ゲーム画面が映っていますよね。実際のスマートフォンを動かすことで、画面上のライターを開けたり閉めたりといった動作をさせることが可能です。スマートフォンをこすることで火をつけたり、物理的な挙動がゲームに反映されるんです。

スマートフォンを横にフリックしてライターを開け、紙に火をつけるJack氏。次に映ったのは女性の姿だ。

Jack:この女性……主人公のエリカですが、プレイヤーは彼女の行動や、考えた選択肢をスマートフォンで操作していきます。選択肢のどれかを選ぶことで、エリカは選ばれた選択肢のことを考え始めます。そして、スマートフォンを動かすことで、エリカの注意を向けるところを選ぶこともできます。

場面は変化し、雨のふる道路に佇むエリカ。目の前にはベルが鳴る公衆電話があり、そのそばには小さな箱が置かれている。

Jack:今、私が鳴っている電話を選んだので、エリカは電話の方へ歩いていきましたね。もちろん、電話の人物に対してどんなことを言うのかも選べます。

電話を取り、謎の声を聞くエリカ(今回は電話の声の主に対し“自信がない”という旨を伝える選択肢を選んだ)。小さな箱を開くと中には折り紙が。折り紙を開くとカギが出てくる。そのカギを使い、ゆっくり慎重に、音をできるだけ立てずに見知らぬドアを開けていく。

Jack:折り紙を開く動作なども、実際にスマートフォンで操作しています。スマートフォンを傾けることで、ちょっとだけドアの先を覗くということもできますよ。ここで、もし急いでドアを開けていたら、大きな音が立って、展開も変わってきたと思います。

『Erica』

ドアを開け部屋の中に入るエリカ。アナウンストレーラーで紹介された部屋のようだ。ここで何があったのか。部屋の様子を調べていくJack氏。

Jack:3D空間を歩き回るというのは、現実では大したことありませんが、ゲームだと操作に苦労する人がけっこういます。なので現実世界の感覚に沿うようにスマートフォンで操作させることで、それほど苦労なくゲームを楽しめるようにしてあります。

 壁を見るときに、どこに焦点を当てて見るかというのも、すべてスマートフォンでポインターを操作して決めることができます。

――部屋の中にはタイプライターや棚といった、“調べられるポイント”がいたるところに存在した。壁に貼られた地図を見ると、紙に何かの筆跡が残っている。

 近くにあった鉛筆を使い、紙を薄く塗りつぶしていくと、謎の数字が現れる。なお、このとき“塗りつぶす”という行為も、スマートフォンの画面を“塗りつぶす”ように操作することで行われた。

 ちなみに、この数字はJack氏の母親の誕生日だそうだ。このほかにも部屋を調べていくことで部屋の主のものとおぼしきパスポートを見つけるなど、さまざまな発見をしていく。

Jack:ゲームプレイがあって、そのあとにムービーが入り、終わったらまたプレイ……という流れにはしたくなかったので、本作では15~20秒ごとにはなにかにアクセスする、そういうリズムを大切にしています。

 実際にプレイされる際は絶え間なく選択を迫られるので、もっと没入感を得られると思いますよ。

『Erica』

そうこうしているうちに、何かを隠すようにかけられた布を暴くと、中には死体のようなものが。近くにはナイフなどの小物が置かれている。

 ここではアナウンストレーラーの状況を再現するため、ナイフを手にとることに。すると背後から初老の男性の姿が……。ファーストトレーラーで確認できた、どこか秘密を隠していそうな男性だ。

Jack:ちなみに、本作の映像はCGではなく、俳優が演じた実写を取り込んでいます。実際に撮影された映画の中に入って、どう選択するかを選べるというのは、おそらく初めてに近い試みじゃないかなと思います。

――男に向かってナイフを振り下ろそうとするエリカだが、甲斐なく男性に防がれ、ナイフを奪われてしまう。男は腰掛け、エリカにも座るように促す。もちろん男との会話もどのように対応するかはプレイヤーが判断する。

 やがて男はエリカにロウで封をされた封筒を差し出す。しかしこの封筒、電話の声の主からは「開けるな」と言われていたものだ。

 ここでJack氏はセッションの取材に来ていた記者や通訳者に、封筒を開けるか開けないかを聞いた。

 会場では“開ける”が多数を占め、封筒を開けることに。大勢で状況を共有し、盛り上がれるのは当然として、難しい操作もないので遊びの敷居も低い。これがPlayLinkならではのおもしろさなのだろう。

Jack:主人公のエリカは、過去にあったある出来事から逃れられない、トラウマを持った女性として描かれています。

 ある日、彼女のトラウマの原因になった殺人犯を追う手がかりが、彼女の記憶にあると言って、家族の友人を名乗る人物が接触してきます。

 ただ、殺人犯のほうもエリカに接触しようとしてくる。エリカは殺人犯のことを覚えていないので、接触してくる二人の人間のどちらを信じるかというのを、プレイヤーが判断して決めなきゃいけません。

封筒を開けると、中には女性が映っている1枚の写真が出てくる。これは何かの証拠らしいのだが、その写真を燃やすか燃やさないか、というところにも選択肢が現れた(ちなみに今回は“燃やさない”を選択した)。

『Erica』

Jack:こういった選択をすることで、徐々に情報が明らかになってストーリーが形作られていくので、プレイする人、選ぶ選択肢によって、それぞれ別のストーリーになっていくのがおもしろいところです。

 集めた情報をもとに、最後の瞬間にどうするかをプレイヤーが決める。映画並みのビジュアルで深いストーリーがあって、何度でもプレイできるゲームデザインになっているというのは、非常に興味深いんじゃないかなと思いますよ。

……と、そうこうしている間にプレイデモは終了した。

エンディングはプレイヤーの決断によって変化

 デモのあとには簡単な質疑応答の時間が設けられ、さらにいくつかの情報が得られたので、そちらも紹介していこう。

――エンディングは複数用意されているのでしょうか?

 はい、複数あって、皆さんの決断しだいで変わっていきます。ただ、最後にどういう決断をするのかというのは、それまでにどういうシーンでそういう情報を集めたかによるので、それによって決断は変わってくると思いますよ。

――ゲームオーバーなどはあるんでしょうか?

ハイスコアを目指したり、ゲームオーバーになったりとか、そういうゲームとしては捉えていません。例えば、人によっては死ぬことより酷い結末というのがあると思うんです。

 選択によっては、エリカはひどい衝撃を受けて、すごい悲しい目に合うかもしれない。そのほうがゲームオーバーよりいいんじゃないかと思っています。

――プレイ時間はどのくらいですか?

だいたい映画一本分で1回のプレイが終わります。90分から120分ほどですね。友達と映画を見るときとか、そういうときの代わりにプレイするようなものになります。

――シングルプレイ専用ですか?

そうですね。プレイできるのは1人なんですが、テストプレイした際に、家族や仲間内でプレイしていると、「こっちにしたほうがいい」とか、「あっちのほうがいいんじゃない?」とか、いろいろ会話が発生することがわかりました。

 そのほうがみんなにコントローラーを持たせるよりもパワフルな体験になると思ったので、コントローラを持てるのは1人だけにしています。みんなで語って、最終的にひとつの判断を下すところまでを楽しんでほしいですね。

――日本語にローカライズする予定はありますか?

はい、あります。

――なぜCGではなく実写を選んだんでしょうか?

多額のお金をかけて実写のようなCGを作る、という方向性もあったと思いますが、開発チームの人数も少ないので、できることは限られていました。

 あと、実際の役者さんがする微妙な表情など、まだCGにはできない表現もあると思うんです。このゲームは、キャラクターが言うことを信じるかどうか、というのが非常に重要になるので、細かいニュアンスをできるだけ生かしたいと思い、実写を選択しました。

――収録にはどのくらいかかったんでしょうか?

最初にエンジンを開発したり、ゲームデザインを作ったり、どういうストーリーにするかを決めたりしたので、制作時間でいえば長いですね。

 シーンの撮影自体は普通の映像を撮影するようなやり方で撮りました。僕らは過去にゲームも映画も作ったことがあるので、そのノウハウを生かせましたね。撮影期間も、実際の映画を撮るのと同じくらいで撮り終えています。

 選択によって変化するすべてのシーンを撮るため、今回見てもらったバージョンでも、実際に見たもらったものの3倍くらいの映像が入っていますよ。

――DUALSHOCK4でもプレイできますか?

はい。スマートフォンのほうが誰でも持っているし、アクセスしやすいと思ったのでスマートフォンをコントローラにしていますが、DUALSHOCK4でもプレイできます。

 日本ではPlayLink自体まだ遊べない環境ではあるが、今回、本タイトルのローカライズもJack氏からアナウンスされたため、いつか遊べる日が来るはず。PlayLinkともども、続報を待ちたい!

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