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2017年9月21日(木)

【電撃PS】『新・龍が如く』プロジェクトのキーマン、横山さんと佐藤さんのインタビューを全文掲載

文:電撃PlayStation

 『龍が如く』プロジェクトのキーマンである横山昌義氏と佐藤大輔氏へ先日行われた“龍が如くスタジオ”新作発表会にて発表された、PS4用ソフト『龍が如く 極2』、PS4用ソフト『北斗が如く』、PC/iOS/Android向け『龍が如く ONLINE』についての制作秘話などをお聞きしました。

『龍が如く』
▲“新・龍が如くプロジェクト”プロデューサー『龍が如く 極2』『北斗が如く』脚本担当・横山昌義氏
『龍が如く』
▲『北斗が如く』ゼネラルプロデューサー・佐藤大輔氏

オンラインとコンソールで展開する次なる『龍が如く』! 『龍が如く ONLINE』&“新・龍が如くプロジェクト”

『龍が如く』

すべては主人公が生まれたときから始まった!

――先日の発表会では“龍が如くスタジオ”のプロジェクトが複数発表されましたが、この一連の動きはいつ頃から始まっていたのですか?

横山昌義氏(以下、敬称略):『龍が如く6 命の詩。(以下、龍6)』を作っている間も、次の新しい『龍が如く』をどうするか、ずっと頭にはあったんです。桐生一馬の物語が最終章を迎えても、『龍が如く』の世界は続いていきますから、そこでどういう人物がいればおもしろくなるのか、それを考えた結果、生まれたのが主人公の春日一番だったんです。

『龍が如く』
『龍が如く』

――まずは主人公の誕生から始まったんですね。

横山:そうです。ゲームによってそれぞれ作り方の順番はあるでしょうけど、これに至っては単純に、まず春日一番ができて、そこからすべて始まっている感じです。

――こうした形で制作をスタートするのは初めてのことですか?

横山:初作の『龍が如く』では、現代の歓楽街を遊び尽くしたいというコンセプトから始まり、夜の街が舞台なら裏社会などを描くストーリーになるのでは? という順序で物語を構成していきました。そこから桐生一馬と澤村遥が生まれたんです。でも、今回はすでに『龍が如く』という確立された世界があるので、その空間にどういう人間を送り込もうか、というところからスタートしています。なので、まさに春日一番からすべてが動き出したんですね。

『龍が如く』

――今回『龍が如くONLINE』のあとでコンソール版の“新・龍が如くプロジェクト”に続いていくということですが、このような展開に至った経緯について教えてください。

佐藤大輔氏(以下、敬称略):僕らはずっとコンソールでやってきたんですが、『龍が如く』の今後を描くため、今の時代にあわせたサービスを提供できないかなとずっと考えていたんです。以前、『龍が如く 維新』のとき、PS Vitaで外に持ち出せるアプリをやりましたけど、それと同じような発想なんですね。少しでも外に向けて、家庭用のおもしろさを持ち出せないかと。

横山:今回は言ってしまえば『龍が如く』プロジェクト全体の再立ち上げみたいなイメージなんですね。そう考えたときに、少しでも間口を広げて、もう一回『龍が如く』に接触する機会を持ってほしいのと、かつコンソール版もさらに盛り上げていきたいという発想から、この形になりました。

――となると、オンライン版とコンソール版で、基本的な遊び方は異なるのでしょうか?

佐藤:全然違います。コンソール版では、今までの“龍が如く”シリーズと同様に、メインストーリーのイベントシーンがあり、街歩きやバトルアクションのあるドラマティックアクションアドベンチャーゲームです。オンラインは、一般的なフリーtoプレイのスマホゲームに近い、キャラクターでデッキを組んで、ミッションをクリアしていく形のドラマティックRPGゲームになります。こちらもストーリーの進行に応じてイベントシーンを用意する予定です。ストーリーに関してはプロローグまでは完全に同じで、それぞれのゲームスタイルから必然的に展開が枝分かれしていくものになると思います。

――やはりどちらも、『龍が如く』シリーズ同様、ストーリーに主軸を置いているのですか?

横山:『龍が如く』というタイトルにおいては、幹の部分はストーリーと人物、つまりドラマだと考えています。“ドラゴンエンジン”などの新技術も、ドラマというものの見せ方・感じさせ方を強く意識した作りになっています。シームレス化などゲーム性に直結する部分以外でも、映像面では“夜の街”や“室内”など『龍が如く』によく出てくるロケーションに特化したライティングの仕組みを実装するなど、ドラマ性の向上は常にチームのテーマとなっています。『龍が如く ONLINE』でも、ドラマというものに関しては、ほかのスマホゲームよりもかなり強く意識した作りになっていくと思います。

――ちなみに『龍が如く ONLINE』のデータが、コンソール版にリンクする予定はありますか?

横山:今回はコンソール版と『龍が如く ONLINE』で、それぞれ別のストーリーを作る予定です。主人公と世界観は一緒なんですが、序章が終わったくらいから、別々のストーリーが展開していきます。そういうこともあり、まだデータのリンクは検討中という感じですね。

佐藤:コンソール版に関しては、海外やアジアでの展開もありますし、そちらのユーザーさんとゲーム内容に差があってはいけないなと思ってます。そこは、海外でのサービス状況も含めて考えていこうと思っています。

横山:『龍が如く ONLINE』もやらないとわからない部分があるかもと心配している人もいるかもしれないですが、考え方としては、コンソール版と『龍が如く ONLINE』の両方をプレイして100%ではなく、それぞれが独立したゲームコンテンツとして成立するものだと思っています。

『龍が如く』

これまで刻まれた『龍が如く』の歴史は続いている!

――発表会でのプロローグも衝撃的でした。『龍が如く ONLINE』は2018年ですが、発表会で公開されたプロローグ(公式サイトで公開中)を経て、2018年の春日一番が描かれるということですか?

横山:そうです。その後のコンソール版も、基本的に発売した年代に合わせると思うんですけど、『龍が如く ONLINE』よりもあとになるので、ちょっとズレるんですよね。そこはなんとか工夫する予定です。

――ちなみに今さらの話になりますが、舞台となるのはやはり現代の神室町なのでしょうか? また、ほかの地域が舞台になることはありますか?

横山:一番が神室町に戻ってくるところから始まるので、神室町は当然出てきます。ですが、それ以降はそこからの話しだいです。用事があればいろいろな場所に行くでしょうし(笑)。基本的に神室町生まれの神室町育ちが、神室町の危機のために戦う話なので、やはり神室町がホームグラウンドにはなります。ただ、敵に近江連合がいたりするので、もしかしたら、関西に行くかもしれない(笑)。そのあたりは話の展開しだいですね。

――となると、これまでの『龍が如く』の世界に登場したキャラクターが、春日一番に絡んでくる可能性もあったりするのでしょうか?

横山:それも必要ならですね。当然死んだキャラクターは出てきませんが、生きているキャラクターは今何をしているかなどすべて設定されているので、生きてさえいれば、可能性としてはあります。

――となると、ファンならば当然気になるのが、桐生一馬と絡むことがあるかということですが?

横山:その頃に桐生が何をしてるかは、まだわからないですけどね(笑)。ただ、『龍6』までにやってきたことは、正史といいますか、なかったことにはなってはいないんです。話としては時代的にも地続きになっていますので。

――となると、次の新しいコンソール版は『龍が如く7』というタイトルになるのでしょうか?

横山:そこは未定です(笑)。個人的には、数字でのナンバリングは桐生一馬の物語であるべきと考えてはいます。ただストーリー的なつながりとしては、『龍6』の続きとなります。『龍6』までの歴史は、事実として積み重ねられているということです。

何も持たざる男、春日一番の物語

――発表会では、春日一番というダメな男が成り上がっていく様子を描きたいという言葉がありました。彼はどんな人間でどんな魅力があるのでしょうか?

横山:あのプロローグがすべてです。彼は20代で組織のために破門されて、堅気として身代わりで刑務所に十数年入っていたので、その間のことはまったく知らない浦島太郎状態なんです。さらに彼は、若くして刑務所に入ったので経験を積めておらず、仲間もいなければ金もない。そういう意味でどん底だし、本当に何もないところからスタートするんです。それに、入っていた間のことは何も全然知らないので、じつは桐生一馬についてもまったく知らないんですよ(笑)。

『龍が如く』

佐藤:最初から伝説の存在だった桐生一馬って、じつはある意味恵まれた主人公だったんです。

横山:一方で、一番が起こした事件は、裏社会にとっては小競り合いみたいなもので、みんな忘れてるんです。ただただ本当に無職の40歳。ヤクザに必要な顔、看板、カバン(金)、全部ない、どうしようもない状態なんです。

――どこか桐生一馬と重なる部分があるのかなと思っていたら、けっこう違うんですね。

横山:重なる部分は冤罪で刑務所に長期間入ってたところだけですね。桐生一馬って裏社会では伝説ですから、変な話その筋の人たちのヒーローなんです。でも一番はそういうところもなく、暴力団対策法とか厳しいこのご時世、何のバックボーンもなく元極道として社会に放り出されてしまうんですね。それに、大人になりきる前に刑務所に入っているので『龍が如く』のときの桐生一馬よりも精神的に若いです。時が止まっているんですよ、20世紀で。だからいろいろとセンスも古い(笑)。

――『龍が如く』での桐生一馬が37歳だったので、40歳でのスタートは意外でした。でもたしかに、当時の桐生一馬よりかなり若い印象を受けます。

横山:年齢は、深く意識せず、これまでのエピソードを考えていくと、なった年が40歳だった感じです。ただ僕の感覚ですと、2005年の37歳と、今の40歳だと、今の時代の40歳のほうが若いんですね。そのあたり、パブリックイメージとしての40歳像と、現実の40歳の平均的外見がズレてきているんじゃないのかなと。そこは正しく表現したほうがいいのかなと思って。

佐藤:今、全体的に年齢がわからない人も多くなっていますしね(笑)。

横山:例えば映画の『64-ロクヨン-』って主人公が46歳の設定なんです。でも、その主人公や同期を、50代の佐藤浩一さんや中村トオルさんが演じないと、しっくりこないんですよ、今の世の中って。みんなが思ってる40歳って、今の50歳くらいだと思うんです。だから今40歳くらいの主人公を演じようとすると、50歳の人をキャスティングしないといけない。このズレを戻したいってのもありました。

佐藤:2018年で40歳で例を挙げるならば、TOKIOの長瀬智也さんと同じなんですよ。

――たしかにそれを聞くと若いって印象ですね。

横山:世間が持つ40歳のイメージと、リアルがズレているんじゃないかと思います。だから、そろそろキチンとダメな40歳を作ってみようかと(笑)。ある意味春日一番は、37歳のときの桐生一馬より、心も体も若いと思ってます。あと、声を当てている中谷君も同年代なんです。これも、オーディションでしっくりきた原因なのかもしれないですね。

一番役を射止めた中谷氏のオーディション秘話!?

――一番役の中谷さんの話が出ましたが、今回はオーディションだったそうですね。

横山:大規模なオーディションをしたんですが、ビジュアルと設定から先に作っているので、声のイメージはスタッフそれぞれにあって、人によって推してくる人が違ったんです。それくらい、みんなの一番の声のイメージが違う。じゃあ実際演じてもらおうということで、最終選考ではムービーに合わせて演じていただいたのですが、そこで一番しっくりきたのが中谷君でした。そして、唯一台本通りに読まなかったのも彼だけなんです。そのときに「あ、こっちのほうがいいんじゃないか」って思って。その時点でもう彼に決めていましたね。

佐藤:それも、事前情報とかは何もなく演じてもらったみたいで。台本は当日渡しで、事前情報なしの一発録りだったんです。

横山:先に出したのは絵だけで、『龍が如く』系のオーディションですということできているので、主人公だということも知らない、バックボーンとかも一切しらない状態で、まずナチュラルに演じてもらいました。長い付き合いになるので、あとで「こうして、ああして」という僕のディレクションに対して、どこまで寄せられるかという幅も見たかったんです。

――中谷さんは『龍が如く』で錦山を演じた経験も大きかったのではないでしょうか。

横山:もしかしたら、僕が相手ならいきなりセリフを変えても許されるんじゃないかという思いがあったのかもしれないですね(笑)。で、3ページくらい読んでもらったところで、「ああもう彼にしよう」と。ブースにいた名越をチラっとみたら、納得の表情でうなずいてました。

――発表会では中谷さんはここであまりに待たされたので、落ちたと思ったと語ってましたね。

横山:じつはあのとき「このままもう発表会用の音声も録っちゃおうか」って話をしていたんです。あらためてまた来てもらうのは手間なので、本収録用に機材のセッティングとかの打ち合わせをしてたという。でも1シーンしか録らないのもあれだから、なんか記念に泣きのシーンでも録っておきましょうかって(笑)。

佐藤:当の本人は名越と横山がすごい長考しているって、不安になってたらしいです(笑)。

横山:最初に来たときに「推薦したのは俺だから、必ず勝ち取ってよ」って話をしてたので、ブースから出てきたときは本当に半泣きぐらいの勢いで、第一声が「申し訳ない」でした。いやいや、受かったからみたいな。そこで次の主役だって初めて明かして、長い付き合いになるからよろしくって(笑)。それでしばらく会わないかななんて思っていたんですけど、発表会に合わせてプロローグをラジオドラマ風に発表してみたいと思うようになりまして。発表会の3日前の夜中にスタジオに来てもらい、一気にプロローグの収録をさせてもらいました。

――あのプロローグもうまかったですね。

横山:最初はテキストだけで発表しようと考えていたんです。でもどうしても春日一番を印象づけたかったので、無理をして録りました。ただ、荒川のセリフはどうしようってなって、とりあえず全部中谷君で録っちゃえって(笑)。あのプロローグは、裏の主役が荒川じゃないですか。荒川の声はあれでいいんじゃないかなって思うぐらい、よかったですね。

『龍が如く』

伝説の物語が“極”上のクオリティでよみがえる! 『龍が如く 極2』

『龍が如く』

真島という男の知られざる物語

――『龍が如く 極2』の目玉である真島の追加シナリオですが、彼を描くことは最初から考えていたのでしょうか?

横山:やはり『龍が如く』と『龍が如く2』の隙間を埋めるのはあの男しかいないなと。真島が東城会からいなくなっている理由はもちろん劇中でも語られてはいますが、そこに何か可能性を感じたんです。表に出ている以外にも、何かいろいろあったんじゃないかと(笑)。寺田という人間が東城会の5代目になって、その頃どうなってたんだろうというのを素直に見たいというところもあり、だったら主人公は真島だと。そしてせっかくだから動かせたらいいよねってことで、プレイアブルで遊べるシナリオの形をとりました。

『龍が如く』

――ファンとしては真島を操作できるのはうれしいですね。

横山:これがもう大変でして。いや、言った以上はやりますけど(笑)。

佐藤:今回はドラゴンエンジンでの制作なので、まったく流用が効かないんですよ。

横山:真島の技とかも、『龍が如く0』のデータは使えないんです。アクションも最初から作り直しなので、とにかく物量が大変でして。制作を決めて物量を見積もったとき、正直ぞっとしました。蒼天堀も作らないといけないですから(笑)。

佐藤:神室町自体も『龍6』とは時代も異なり、相当変わっているのでそのままでは使えないんです。『龍6』で入れなかった地下闘技場とか、桃源郷とか、チャンピオン街とかも作らないといけない。そんな感じでぞっとしましたね(笑)。

『龍が如く』

――発表会後のファンの反応を見ていると、マキムラマコトの登場については、その後を知りたい派と、知りたくない派でわかれている感じですね。

横山:もちろん、真島の話はマコトを描くために書いたものではありませんので、直接はかかわってこないんですが、その辺はちょっとお楽しみって感じです。

――ちなみに、真島編は本編のなかで描かれるのでしょうか?

横山:いえ。本編がある程度進んで真島に出会うタイミングから解放され、あとは自分で選んでプレイする形になります。物語自体も本編の進行に合わせて、段階的に解放されていきます。アドベンチャーゲームにある、ザッピングシステムに近いのかな。本編がある程度進むと真島編もまた進む感じです。

佐藤:というのも、真島編をやると本編の裏がわかる部分があるんですよ。真島編だけ進めるとネタバレを先に見ることもあるので、こういう形にしています。

話題性バツグンの『龍が如く』ד北斗の拳”! 『北斗が如く』

『龍が如く』

最初から確信と自信があったプロジェクト

――発表会でも会場にどよめきが走った『北斗が如く』ですが、『龍が如く』のシステムで“北斗の拳”を再現しようというこのプロジェクトは、どういう発想から始まったのでしょうか?

佐藤:次の『龍が如く』をどうするかというタイミングと同時期くらいに、「“龍が如くスタジオ”として何か新しいチャレンジができないか?」となりまして。そのとき“北斗の拳”が来年35周年を迎えると知り、いろいろな取り組みを計画していると情報が入ってきたんです。それで、僕らが今までやってきたことを“北斗の拳”の世界観に当てはめたら、絶対におもしろいものが作れるじゃないかという確信にいたったのが、そもそもの始まりです。

『龍が如く』

――ターゲットとするプレイヤー層も、たしかに『龍が如く』と“北斗の拳”でかぶりそうですね。

佐藤:まさに僕自身が“北斗の拳”のファンでしたから(笑)。ちょうど中学生くらいに原作を読んでいるドンピシャの世代なんです。じつはディレクターも同じ世代なので、正直“北斗の拳”の魅力に関しては、読者としてもよくわかっているつもりです。

――“北斗の拳”をゲーム化するにあたり、原作をなぞる方法もあったと思いますが、オリジナルストーリーに舵を切った理由とは?

佐藤:原作ファンである僕としても、原作をそのままゲーム化するのは少なくとも“龍が如くスタジオ”がする仕事ではないかなと思いました。今回は“龍が如くスタジオ”としての新しい挑戦という意味もありますので、やはり誰も見たことがないケンシロウを提供できなければ意味がないなというのが理由です。

『龍が如く』

――ちなみにそのオリジナルストーリーは、原作の空白を埋めるものなのですか? それとも完全にifの世界になるのでしょうか?

佐藤:基本的にはifの世界での話となります。原作にあるシンとのシーンもありますが、じつはそれが冒頭で、プロローグは原作準拠になっています。そこからあとは、完全にオリジナルの展開ですね。

共同制作者としてこだわりの監修!

――原作の原哲夫先生が監修されているとのことですが、どのラインまで監修をされているのでしょうか?

佐藤:原先生を含め、ノース・スターズ・ピクチャーズ(NSP)という版元会社でストーリーや世界観を監修していただいています。オリジナルストーリーなので、当然オリジナルのキャラクターも出てきますし、そのキャラクターのデザインも原先生にお願いしています。

横山:原作に登場する人気キャラクターたちも、出来上がったものに関しては全部監修していただいてます。背景もですし、ほぼ全部チェックしてますね。

――実際に原先生に監修していただき、ゲームに対する反応はどうでしたか?

佐藤:デザイン監修では、やはりケンシロウに関しては厳しかったですね。最初にCGをお見せしたときも、本当にバンバン上から赤で修正を描きこまれました。ケンシロウ以外もキャラクターに関するこだわりは本当にすごくて。例えば「この髪の生え際はもっと上に」とか「胸をもっと開いて」とか、かなり細かくチェックが入りました。

『龍が如く』

横山:ただ、ゲームの内容については「おもしろいと思ったらドンドンやってください」という感じでした。

――これは“北斗の拳”には合わないのでやらないでくださいといった要望もあるのでしょうか?

佐藤:世界観を守るために、これはしてはいけないというのは当然あります。ケンシロウは歌わない、女性を口説かないなどですね。だから客としてキャバクラには行けませんが、働く側ならOKということで、映像にもあったようにバーテンダーをやっているんです(笑)。

横山:もちろんケンシロウはこんなこと言わないとか、いろいろあるんですよ。それは原先生だけでなく、武論尊先生も含めたNSPという版元全体で、一言一句すべてチェックしていだだきました。

佐藤:製作会社と版元という関係よりも、共同製作みたいな感じですね。ほとんどすべての現場で一緒にいたんですよ。音声収録はもちろん、モーションキャプチャーやムービーのチェックも。ときには原先生もいらっしゃったりもしましたし、ネタも出してくださるので、本当に一緒に作業していく感じでした。

――通常の版元のイメージとは違って、ちょっと意外ですね。

佐藤:少なくとも赤字を入れて返ってくるだけのようなドライな感じではなかったですね。だから、こちらも一緒に作るやり方がいいんじゃないかと、なるべく一緒にいる時間を設けさせていただきました。やはりそのほうが『龍が如く』チームらしいと思いますし。

横山:正直なところ、意見が食い違って揉めることもあるんですよ。ただ、それも含めてこの共同作業は楽しかったです。逆にアイデアをいただくこともあり、僕らにとっても刺激になりました。また、NGな案件も単に「ここはダメです」と突き返すのではなく、「代わりにこのアプローチはいかがですか?」と提案をいただけたので、本当に心強かったです。

――グラフィックに関して、今までの『龍が如く』スタジオにはなかった絵作りのようですが、こうなったのはやはり“北斗の拳”の世界観を重視してのことですか?

佐藤:これまで同様、リアル路線のCGで作るほうが慣れていますし、いいものを作る自信もありました。ですが“北斗の拳”が連載されていた当時のタッチのテイストを表現したかったんです。あまりマットな質感にならないようにしつつ、原先生の劇画のタッチは残していける表現を目指してがんばりました。

――たしかに“北斗の拳”ファンが見ても、まったく違和感のないモデルですね。舞台となるエデンをはじめ、世界観のデザインもやはりこだわりがあったのでしょうか?

佐藤:そうですね。世界観もかなりこだわりがあって、チェックは厳しかったですね。本来、“北斗の拳”の世界って、柱から看板に至るまで、意味のないものはあってはいけないらしいんですよ。

横山:やり取りで衝撃的だったのは、舞台となるエデンのコンセプトアートをお見せしたとき、世紀末らしさを出す感じで、スクラップの車や折れ曲がった信号機を描いてたんです。すると「こんな場所にスクラップの車が転がっているのはおかしい」「世紀末の時代、街に生きている人たちはこんな場所に邪魔なものがあれば、どかしているはずだ」と。また「曲がった信号も危ないから折って、それを何かに利用するはずだ」と言われまして。そのこだわりは原作からあったらしく、意味のないものは一切登場していないんです。

――すべて計算されて設計されているんですね。

佐藤:計算というか、確固たる世界が原先生と武論尊先生のなかにあるので、原先生も余分なものは描きたくないわけですよ。だから意味があるものだけを描いているわけです。それを聞いたときに、さすがだなって。

横山:でも実際、ゲームでもそうなんですよ。モデル1つ作るのにも作業が発生するし、容量も食う。だから余計なものは作らないんですね。作業効率的な意味も含めて、ちゃんと理由があって、どうしても必要なものしか作らない。それと同じことなのかなと。

佐藤:だからゲームの舞台になるエデンって、そういうこだわりの塊なんです。柱から看板1つまで、すべてにおいてそこにある理由があって、存在しているんです。

『龍が如く』

横山:最初にNSP側と行ったのは、“北斗の拳”の世界のルールをしっかり認識することでしたね。それが僕らには結構衝撃的だったんです。最初はベッドの足のデザインでNGがでましたから。サウザーとか支配者クラスならともかく、街で生きる一般人のベッドの足がこんな装飾されているのはおかしいって(笑)。

佐藤:そのときは、ベッドの足だけがNGだったんですよ(笑)。でもそのルールをしっかり守らないと、この世界って描けないんですよ。似て非なるものになってしまうんです。

横山:『北斗が如く』っていう、ただでさえ似て非なる作品を作っているわけじゃないですか。これが“北斗の拳”の世界だと思ってもらうには、必要なこだわりだと思うんです。ゲーム部分ではおもしろければドンドンやってくださいとは言われていましたが、たからといって世界のルールは壊してはいけないと。だから、発表会で「いわゆるバッティングセンターです」と紹介した遊びも、ただ普通に野球をするだけならばNGだったかもしれません。

――ファンとして気になるのは原作キャラクターについてですが、どこまで登場するのでしょうか?

佐藤:全員もれなくとはいきませんが、多くの人が期待するであろうキャラクターたちは登場します。もちろん、原作とは違った形で絡んでくるので、物語上の立ち位置はオリジナルになります。ただ、例えば四兄弟とか、原作で欠かせない関係性は、ちゃんと受け継いでいます。

当初から構想にあった黒田版ケンシロウ

――今回ケンシロウを黒田さんが演じられますが、これは最初から考えていたのですか?

佐藤:最初から考えていました。実現したのはけっこう時間がかかりましたけど、“龍が如くスタジオ”が作るんだったら黒田さんに演じていただくのが一番いいし、ケンシロウに合うと思っていましたから。これまでケンシロウの声もいろいろな方が演じられていますし、けっしてNGな案ではないだろうと。あとは原先生に納得していただけるかなので、これはサンプルを録って聞いていただくしかないなと。それで黒田さんに興味があるかを聞いたら、ノリノリで「死んでもやります」と(笑)。

横山:収録ではいろいろ考えた結果、ほかの役者さんの演技には寄せないでいこうと決めました。黒田さんが演じるケンシロウでいいんだと。過去のイメージには一切寄せず、このケンシロウが僕らの答えですと腹をくくって原先生にお持ちしたら、ものの5秒くらいで「ああ、いいね!」ってOKをいただけました(笑)。

佐藤:攻撃のボイスは原先生も「これはもう少し指導がいるね」とありましたが、「あたたた」って声を聞いたときも、「いけてるじゃないですか」「すごくいい」とご納得いただけまして。そのときのエピソードなのですが、原先生に「この方は体が大きくないですか?」と聞かれたんです。それで「こんな方です」とスマホで写真をお見せしたら、「ああ、いいですね」って(笑)。黒田さんは身長も180越えで体格もよくて、すごくマッチしているとのお話しでした。

横山:ケンシロウ役を原先生にご快諾いただいたので、それ以外のキャラクターは、僕たちが『龍が如く』でやってきたなかで、一番信頼できる人に頼んで、キャスティングしたいとお伝えしたら、それはもう「どうぞ」と。チェックはケンシロウと原作に登場する何人かだけで、あとは「信じます」と言っていただけました。黒田さんのケンシロウでOKをいただけたからこそ、それ以外についても信じてもらえたんだと思います。

『北斗が如く』が実現する“北斗の拳”らしいバトル

――バトルは『龍が如く』のヒートアクションなどの要素も引き継いでいるのですか?

佐藤:遊ばせ方のスタイルとか、コンボのスタイルは踏襲しつつ、“北斗の拳”らしく、コンボ中にどう秘孔を突いていくかという要素も取り入れています。アクションに関しては『龍が如く』よりは歯ごたえがあります。適当に操作していたら秘孔を突いたということはなく、ちゃんと狙わないと突けない感じですね。ただ、いわゆる連打スタイルの攻撃しかできない方でも、救いの道はしっかり用意しています。

『龍が如く』
『龍が如く』

――『龍が如く』では、経験値をためて成長していくのも楽しみであり、アクションが苦手な人への救済の1つでした。こちらはいかがでしょうか?

佐藤:もちろん成長要素もありますし、技を覚えていって、その技をまた成長させてといった要素を考えています。あと修行もあります。成長に関して、今までの『龍が如く』より深いものになっていると思います。原作に登場する数々の奥技やアクションを『龍が如く』のバトルにプラスアルファすることでもっとおもしろくなると思っていただいていいと思います。もちろん“北斗の拳”らしい演出もあるので、いろいろ想像して期待していただければと思います。

――ちなみに『龍が如く』ではゲーム内で実在の企業とのタイアップも話題の1つですが、『北斗が如く』ではどうでしょうか?

佐藤:やってできないことはないし、原先生もあってもいいと言ってくださってはいます。ただ正直、おもしろく扱えないのならば、無理にやる必要はないと考えています。ゲームの外でコラボキャンペーン的な展開はあるかもしれませんが、ゲームがよくなるためにやってるんだという信念がないと、ノイズになるだけかなと。

横山:ただでさえ本作はオリジナルの世界観じゃないですか。そこにタイアップ要素を入れると、なんだか安っぽくなるのが恐いんです。せっかく、ベッドの足のデザインの修正から積み重ねてきた世界を、それで台無しにしたくないですし。

『龍が如く』

――たしかにそこはオリジナルの世界なので、ちょっと馴染めない感じはでるかもですね。

横山:『龍が如く』で企業さんとゲーム内でタイアップしているのは、街をリアルにするためなんです。話題性もありますが、どちらかといえば現代の日本の繁華街をリアルに描く意味合いが強い。

例えば大阪の道頓堀をモデルにした蒼天堀を作る場合、そこにかに道楽さんの看板があるかないかだけで、リアルさが全然違うわけですよ。ただ、今回はそこまでの意味は見いだせないかなと考えています。

――『龍が如く』と“北斗の拳”の両方のファンから期待されていると思いますが、両方の期待を背負うのにはプレッシャーはありましたか?

佐藤:そうですね、でも“北斗の拳”を読んだことのない方にもわかる話を作ってますし、逆に『龍が如く』を遊んだことがない方にも、今までどの作品でも見たことのないケンシロウをお見せできると思うので、どちらのファンもぜひ期待してほしいですね。

横山:“北斗の拳”のファンと、『龍が如く』のファンと、両方のファン……だけでなくて、むしろ両作品を知らない人こそ楽しめるんじゃないかと思います。アクションが好きな人にとっては、問答無用でおもしろいゲームだと思います。ですから、それぞれのファンじゃなくても、こういうムチャなアクションをやりたい人に、すごくオススメしたいですね。

――最後に“龍が如くスタジオ”の今後の展開を期待しているファンに対してメッセージをお願いし

ます。

佐藤:まずは『龍が如く 極2』を楽しみにお待ちください。その後は『龍が如く ONLINE』『北斗が如く』もありますし、その先にもきっとみなさんを驚かす作品を“龍が如くスタジオ”として作っていきますので、ぜひ応援をよろしくお願いします。

横山:その時代その時代に合わせて、常に驚くことをやっていくことが僕らの仕事だと思っているので、家庭用ゲーム機がある限りはそれで頑張っていきます。もしこの世からコンソールがなくなったとしても、『龍が如く』が受け入れられている限りは、何かしらの形で作っていくと思います。“龍が如くスタジオ”はそういうチームです。あの手この手を使って、必ずみなさんを楽しませていきたいと思っているので、よろしくお願いします。まずは今回発表した3つのプロジェクトを楽しみにしてください。

『龍が如く』

(C)SEGA (C)武論尊・原哲夫/NSP 1983 版権許諾証GA-217

データ

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