News

2017年10月5日(木)

『FF14』パッチ4.1直前、吉田P/Dインタビュー。リターン・トゥ・イヴァリースなどの最新情報を公開

文:電撃PlayStation

 10月10日(火)のPS4/PC用ソフト『ファイナルファンタジーXIV』パッチ4.1アップデートを目前に控え、光の戦士たちのワクワクも高まる今日この頃。今回はプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にアップデート直前の情報を詳しく聞いてきました。

 リターン・トゥ・イヴァリースの詳細や絶バハムートなどなど新たなコンテンツの情報を多数収録していますので、ぜひご覧ください!

『FINAL FANTASY XIV』
▲プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏。

『FF』シリーズとして高い評価を受けた『紅蓮のリベレーター』

――『紅蓮のリベレーター(以下紅蓮編)』の発売から約3カ月が経過し、世界中からいろいろな声が届いていると思います。まずは4.0での物語の手ごたえはいかがでしたか?

吉田直樹氏(以下、敬称略):ストーリーの評価が、世界中から非常に高かったのが印象的です。とくに海外の反応がすごくて、『蒼天のイシュガルド(蒼天編)』の上を行く高評価を得られたのは、正直僕らも予想外でした。ストーリーは王道を狙ったつもりですが、『蒼天編』が本格的なハイファンタジーだったので、それと比べて『紅蓮編』がプレイヤーにどう受け取られるかというのは未知数でした。

 海外の多くのメディアからも、「『FF』シリーズ全体で見ても素晴らしい出来栄え」と評価していただけましたが、僕らも『FF』を作っているのでそう言ってもらえたのは本当にうれしかったですね。

――信念のぶつかり合いという部分に注目したストーリーが、高い評価を得たのかもしれないですね。

吉田:最近の“カジュアルにわかりやすく”というエンタメの流れから見て、「ちょっとわかりにくいと言われないか」とも思いました。とくに、ジェネレーションによって感じ方が違うストーリーなので悩みどころではありましたが、結果的に言えばまっすぐやってよかったかなと。多少複雑になっても一生懸命おもしろいものを作ろうとすれば、ちゃんと伝わるんだなとあらためて感じました。これからも、この調子でいけたらなと思います。

松野氏のシナリオで『イヴァリース』の物語を探る!

『FINAL FANTASY XIV』

――いよいよ待望のパッチ4.1「英雄の帰還」がリリースされますが、「『紅蓮のリベレーター』としては初の大型アップデートとなります。この「英雄の帰還」というパッチタイトルのコンセプトを教えてください。

吉田:パッチタイトルを決めるときに僕から出した要望は、「スターウォーズ」的なわかりやすさを出したいということでした。例えば、「A NEW HOPE」や「RETURN OF THE JEDI」のようなわかりやすさですね。また、今回は「イヴァリース」というシリーズ要素の復古があるので、“リターン”という言葉を使いたいと考えていました。

 そして、そのあとに続く言葉を何にするかと考えたときに、メインストーリーも含めて“英雄”というキーワードが多く使われているという点に注目しまして。

 ですが、日本的にも海外的にも“1つのワードで強さを感じられる”というのは重要なポイントなので、“英雄”を“レジェンド”と表記するまではけっこう悩みました。それらを踏まえて言うならば、全体を表したパッチタイトルになったかなと思います。

――なんといってもメインビジュアルに描かれているラムザとディリータが目を引きますが、こちらを吉田明彦さんに発注した際の要望などを教えてください。

吉田:メインビジュアルの内容は、通例できるだけメインストーリーにかかわるものにしようとは考えています。ですが、今回に限っては、ゲストクリエイターに参加してもらうなど、『FFXIV』にひと味違った化学変化を起こそうとしているので、まっすぐそれをPRに使ったほうがいいだろうとあらためて思い、このような絵になりました。

 あとは、今の明彦さんに『FFXIV』テイストのラムザとディリータを描いてもらったら、それだけで『ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』や『FFXII』が好きな人たち、そもそも明彦さんの絵が好きな人たちに響くだろうと。今回の『リターン・トゥ・イヴァリース』は、そもそも「『FFXIV』の世界での『イヴァリース』とは、はたして何なのか?」がキーワードの1つです。

 『FFT』の“獅子戦争”という物語のなかで、ディリータという平民出身の英雄王がいたというのは史実として確定しています。しかし、その裏で人知れず魔を払った、ディリータの親友であるラムザという男がました。「その人物こそが、“真の英雄”なのではないか?」というのが『FFT』のメインシナリオです。

 ですので、今回のメインビジュアルでは、史実として存在が確認されているディリータはこっちを向き気味に立たせ、その対比としてラムザは少し隠れるように描いてもらいました。このメインビジュアルはダブル・ミーニングで、1つは『FFXIV』の世界で“イヴァリース”とは何であるのかということと、もう1つは『FFT』の“獅子戦争”単体で見ても意味が伝わることを狙って描いていただきました。

 その結果、「『FFT』の続編かな?」と思ってもらえるようにしてもらった形です。まぁ……正直に言うと、僕が明彦さんの絵を見たいから仕事を理由に描いてもらった部分も多分にありますが(笑)。

――でも『イヴァリース』のファンとしては、うれしすぎる超サプライズです!(笑)

吉田:また、“明彦さんが描く頭身の高いラムザ”はいまだ見たことがないので、今後の『FF』シリーズを見据えて描いてもらっておいたほうがいいだろうという意図もありました。『ディシディア ファイナルファンタジー』で頭身が高いラムザが出ていますが、あれは絵を描かれた野村(哲也氏)さんのカッコよさがあり、それとはまた違ってくるだろうな、と。

――ちなみに、いわゆる『イヴァリースアライアンス』においても公式的な続編という意味合いはあるのでしょうか?

吉田:それはどうでしょうね……。松野(泰己氏)さんが、どう思って書いているのかをみなさんで体感してみてください。

――ゾディアックウェポンのストーリーでは、『ゾディアックブレイブ』はラザハンに伝わる物語と語られていました。そこで気になったのですが、その『ゾディアックブレイブ』と今回の『イヴァリース』の物語とは、完全に別物となるのでしょうか?

吉田:『イヴァリース』『ゾディアックブレイブ』という戯曲は別物で、帝国に伝わっているのおとぎ話が『イヴァリース』伝説です。『ゾディアックブレイブ』は、「さまざまな時代で活躍した12人の英雄が“ゾディアックブレイブ”と呼ばれていた」という物語。現時点での『FFXIV』では「ラザハンにもゾディアックブレイブと呼ばれる英雄がいた」という部分までしか言及していないので、今回語られるのは別の時代の“ゾディアックブレイブ”なのかもしれません。

 そのあたりは「さすが松野さん!」という感じで、いろいろと補足が入っていたりします。そのテキストは、今回のアライアンスレイドをクリアしたあとに読めるようになっているので、ぜひお楽しみに。もちろん、全部松野さんが書き下ろしていますよ。

――ちなみに、松野さんにはどのような形で今回オファーをされたのでしょうか?

吉田:僕は、松野さんが考えたシナリオやゲームシステムが本当に好きで、いつか何か松野さんとお仕事させてもらいたいと思っていました。というか、僕が業界に入ったのは、もともとそれが目標だったんです(笑)。松野さん・皆川さん(アートディレクターの皆川裕史氏)・明彦さんの3人と仕事をしたいと駆け上がってきたら、入れ違いで松野さんは弊社を退社されてしまって。

 それから『FFXIV』を新生することになって……気づけば皆川さんと明彦さんの上司になってしまいました。その想いをなんとか叶えたいと思っていて、松野さんにお会いしたときに「いずれ何か書いてくれませんか?」とお願いしたら、2つ返事でOKをもらえました。お返事をいただいたころは、パッチ3.Xシリーズでやることも決まっていたので、パッチ4.Xでお願いしますと。

 それで、メインストーリーを担当するのではなくて、単体で完結するものを作ったほうがいいと考えたので、8人か24人のどちらかのレイドのシナリオを担当してほしいと依頼しました。それで、松野さんは「自分自身がカジュアル勢だし、たくさんの人にも遊んでもらえるから、アライアンスレイドを書く」ということだったので、今の形に落ち着いた感じですね。

――8人のほうもいずれ、という話は……?

吉田:どうでしょうね、それは松野さんしだいでしょうか(笑)。まずは、『リターン・トゥ・イヴァリース』を完成させてから、またお酒を飲みながらお話ししたいと思います。

――ストーリーとしては、まだ製作途中なのでしょうか?

吉田:全体像はもう出来上がっていますが、パッチ4.1以降の詳細テキストは製作中です。一字一句、すべて松野さんに書いていただいているので。

――トレーラーでは、『FFXII』で登場した背徳の皇帝マティウスなども見られましたが、彼らも雨宮慶太さんがタッチしているのでしょうか?

吉田:名前はまだ出しませんが、戦車型のボスは雨宮さんですね。もちろん、そのほかにもいますが、ネタバレになっちゃうので情報はまだ出していません。ちなみに、雨宮さんの仕事は、アライアンスレイド完結まですべて終わっています。すごいスピードでした。なので、雨宮さんは、松野さんに会うたびにずっとプレッシャーをかけていますね(笑)。

――イヴァリースのファンとして気になる要素の1つが、『FFT』や『FFXII』のサウンドです。こちらも再現はされているのでしょうか?

吉田:もちろん。コンテンツのクリアまでしっかりと聞いていただきたいです! 先週かな、松野さんに来ていただいて、最終的なバトルチェックを行いました。僕は、すべてをクリアしたときの演出に一番グッときたのですが、それを松野さんに伝えたら「吉Pもか。俺もすごくグッときたよ」っておっしゃっていました(笑)。

――『FFT』や『FFXII』の作曲を担当された、崎元仁さんの監修などはあったのでしょうか?

吉田:今回はPSPで発売された『FFT 獅子戦争』で使用されたBGMデータが完璧だったので、アレンジせずにそのまま使用させていただきました。そのため監修などはお願いせずに済みましたが、これもあまりに原曲が完璧だったからですね……。どこで何の曲が流れるかを期待しながらプレイしてみてください。今回はちょっと泣けますよ。とくに『FFT』が大好きで何度も遊んだという人にとっては、たまらないんじゃないでしょうか。

――ここまでの話を踏まえて、『リターン・トゥ・イヴァリース』のココに注目してほしいという部分はどこでしょうか?

吉田:やはり、松野さんのシナリオですね。松野さんが書かれるシナリオは、設定はほぼすべてできているし、相関関係も全部作られているのに、あえて語らないことこそ“松野節”と呼ばれるテイストなのかなと思っています。あくまで、人間が話すセリフなので「そんな説明はしないだろう」という部分を、わざと語らない。そこは、『FFXIV』の開発チームからすると「もう少し説明したほうがいいんじゃないか?」と加筆が検討されたこともありました。

 ですが、松野さんのシナリオに限っては、「それは野暮だからやめてくれ」と僕から指示を出しました。つまり、ゲストクリエイターとして松野さんに参加してもらっているというのは、「いつもの『FFXIV』ではない空気を作ること」ということです。あえて、そういった部分を残すことに意味があると考えます。

――パッチリリース後は、攻略的な盛り上がりに加えて、ストーリー的な考察も白熱しそうですね。

吉田:そうですね、そこは期待しています。だからこそ、『リターン・トゥ・イヴァリース』というタイトルを松野さん自身が考えられましたし。そここそ、『FFT』20周年である今年にふさわしいと思っています。

 ぜひ、その本編の『FFT』『FFXII』と、『FFXIV』の世界の『イヴァリース』はどういう関係なのかというところを、いろいろ議論していただけるとうれしいです。そして、このあとの展開がどうなるのか……という部分まで想像していただけたらと思います。

――ちなみにパッチトレーラーでは、バンガ族がチラッと出ていました。となると、ヴィエラ族の登場にも期待がかかるのですが?

吉田:少なくともパッチ4.1では登場しません。ヴィエラを出すと新種族を欲しいという声が強まるしなあ……(苦笑)。

――私たちが行ける範囲ではバンガ族が登場したことはありませんが、私たちが行ったことがない場所に彼らが生活しているということですか?

吉田:ハイデリン全体はまだ明らかになっていませんので、僕らが知らないところにいるのかもしれないですね。

アラミゴの歴史に触れるメインストーリー!

『FINAL FANTASY XIV』

――新たなエキスパートダンジョン“水没遺構 スカラ”は、メインストーリーで訪れることになるのでしょうか?

吉田:メインストーリーが始まって、わりとすぐ挑むことになります。

――スカラは第五星暦のころの建物とのことですが、第六霊災の大洪水で沈んでしまった都市ということですか?

吉田:そうなります。そこが、「アラミゴの歴史にどうつながっているのか?」という部分にも注目してほしいですね。歴史設定が好きな人にとっても、「なるほど」と感じていただけると思います。そこがまた、メインストーリーの最後にからまってきたりするので、そのあたりはうまく組み立てたなと僕も感心しました。

『FINAL FANTASY XIV』

――ちなみに、“水没遺構 スカラ”がエキスパートダンジョンとして追加されるとのことですが、これによって“コンテンツルーレット:エキスパート”の対象はどうなるのでしょうか?

吉田:それは、現時点のものに追加される形なので、4ダンジョンが対象となります。

――今回のメインストーリーは、アラミゴの難民たち、今後の王政についてといった、アラミゴ側の物語になるのでしょうか?

吉田:ギリギリまで伏せておきたいと思います。ただ、新たなメインストーリーの立ち上がりとしては、けっこう静かな印象を受けると思います。終盤に向けては、「こっちに行くのか!?」と驚くかもしれませんが、まだまだ先がわからない感じに仕上がっています。バトルが絡むような大きなメインストーリーというよりは、群像劇が主になっています。

 あと、『旧FFXIV』から7年、新生してから4年になりますが、わりと大きなバックボーンの1つに決着がつきます。そのあたりは、「MMORPGなのによくやるなあ」と感じてもらえるとうれしいですね。

――ちなみに、シナリオのプロットに関しては、どこまで決まっているのでしょうか?

吉田:あらためて、かなり先まで決めました。パッチ4.Xのどこかのタイミングで、「どうなるの、コレ!?」というポイントを作りました。その辺が折り返しなのですが、そこに向かって走り続けるだけですね。それに対する伏線も多くなってきますので、ぜひセリフをお見逃しなく。見逃すと、サラッと読めてしまうところが伏線だったり……。

――『蒼天編』では、イディルシャイアが拠点となりどんどん発展していきました。『紅蓮編』では同じように発展する拠点はあるのでしょうか?

吉田:レイドダンジョンがアラミゴ側にあるので、拠点としてはラールガーズリーチを使ってもらうことになります。ですが、見た目が変わっていく要素は、別の場所に用意しました。ただ、それはパッチ4.1では始まらないので、今後を楽しみにしていてください。

――ストーリー関連でいえば、“事件屋ヒルディブランド”も楽しみです。

吉田:今回は『幕間編』なので、いわゆる第0話だと思ってください。あくまで、本番はパッチ4.2からになります。

さまざまなバトルコンテンツが光の戦士を待ち受ける!

『FINAL FANTASY XIV』

――バトルコンテンツである“極神龍討滅戦”ですが、見どころを教えてください。

吉田:神龍と同化したゼノスが、“テンション上がっちゃったマン”みたいになっています(笑)。「神龍って、こんなにアクティブに動いたっけ!?」とビックリするかもしれないですね。また、今回はちょっと変わったDPSチェックとヒーラーチェックがあるので、お楽しみに。

――ヒーラーチェックというと……大ダメージが連続で来る、とかでしょうか?

吉田:ヒミツです(笑)。

――開幕の“タイダルウェイブ”はありますか?

吉田:それはあります。まぁ……そこで落ちちゃうようなら、まだまだ修行が足りんぞということで……。

――パッチトレーラーでは、なかなか怪しげな動きをしていましたね(笑)。ちなみに、ニーズヘッグのように人間形態はありますか?

吉田:それはありません。

――報酬は、具体的になにがもらえるのでしょうか?

吉田:報酬は武器ですね。アイテムレベル(IL)は言えませんが、『次元の狭間オメガ零式:デルタ編3』がもう少し……という人は、この報酬を持って挑んでもらえればと思います。ちなみに、武器デザインは“神龍武器”というコンセプトになっています。

――こちらは待っていました! という方も多いであろう“絶バハムート討滅戦”ですが、“次元の狭間オメガ零式:デルタ編4”と同ILの武器が出る発表がありました。武器のグラフィックはどのようなものになりますか?

吉田:パッチトレーラーにもチラッと映っていましたが、めちゃくちゃ金色に光っているのが今回のバハムート武器ですね。常時発光しているので、持っていたら間違いなく目立ちます。また、性能に関しては、差異があるとジョブごとに最適解が変わってしまうので、“次元の狭間オメガ零式:デルタ編4”の武器とサブパラメータまで同じになっています。

 ただし、マテリアの確定穴の数が増えています。このあたりは、フィードバックをいただければ次の“絶”シリーズを作る際の参考にさせていただきます。

――どれぐらいで突破されそうというのは予想されていますか?

吉田:正直、わからないです(笑)。なんとかクリアできるギリギリにできたとは思うのですが……。もしあまりにもクリア者が出ない場合、多少の調整は入れるかもしれません。第1フェーズがかなりハードに設定されており、そこをクリアできない人は「お帰りください」という感じになっています。

 これは、このコンテンツを作った須藤神(バトルコンテンツデザイナーの須藤賢次氏の愛称)の優しさとのことです(笑)。だらだら続けても苦しいだけなので、ストッパーとして用意したそうです。

――武器以外では何か報酬はありますか?

吉田:称号が入手できます。あくまで、名誉と見栄えのために戦ってください。

――ちなみに、吉田さんは挑戦されますか?

吉田:え、僕ですか? 僕は、次の拡張が出て制限解除されてからでいいかな……(笑)。海外出張が落ち着いたら、ゆっくり参戦するかもしれません。

吉田:参加条件はIL340かつ“次元の狭間オメガ零式:デルタ編4”をクリア済みであることです(ただし、本コンテンツは8人フルパーティでのみ申請可能なため、ILの条件を満たさなくても突入可能)。パッチ4.1中は、絶対にそれ以上のILには上がらないので、完全にプレイヤーの腕だけの勝負になりますね。

――なるほど、かなりギリギリの戦いになりそうですね。

吉田:いつもレイドを作るときは、食事や薬を計算に入れないで作っているのですが、今回は食事も薬もバリアもマテリアも織り込み済みで計算されています。特定のシーンのダメージも素の状態では耐えられないように作っているため「このタイミングで、このアクションを使っておかないと耐えられない」という感じに調整しています。軽減系のアクションはかなり重要だと思います。

――ツインタニアやネール、バハムートが登場するようですが、BGMはどうなるのでしょうか?

吉田:全部入っているので、安心してください。祖堅(サウンドディレクターの祖堅正慶氏)が「やりきった!」と言っていましたし、格好よくなっていますよ。もちろん、特別な演出もありますが、はたして何人見られるのか……。

――本当に、選ばれし者のみが見られる演出ですね(笑)。

吉田:ネット上には、「数%の人間しか楽しめないものを作るよりも、別のことに力を入れてほしい」といった意見があることは承知していますが、MMOは逆に「そういうものもあってしかるべき」と考えています。『FFXIV』も、誰でも遊べるものから、極めた人が挑むものまで、やっと幅広く手を付けられるようになりました。

 以前、日野晃博さん(株式会社レベルファイブ代表取締役社長/CEO)がおっしゃっていましたが、「この人たちだけしか持っていないもの」を、今回用意した形です。ただ、僕らも限界ギリギリのバランスにしてみたので、フィードバックをぜひお願いします。さすがにやりすぎなのかどうか、その判別がつかないので(苦笑)。バトルがひたすら長いので、集中力がもたないのではないかというのが、僕らの最大の懸念点なんです。

――これまでのコンテンツだと、14分前後で時間切れになっていましたが……?

吉田:もっと長いですし、もちろん時間切れでの強制終了もあります。今回はランダム要素が多くタイムラインも組むことはできないと思いますし、各々のプレイヤースキルが露骨に影響するコンテンツになっています。

――新PvPコンテンツ『ライバルウィングズ』は、パッチトレーラーを見ると今までとはまったくベクトルの異なる戦いが体験できそうですね。

吉田:『ライバルウィングズ』は、2勢力で戦うコンテンツです。1勢力各24人で構成され、4人パーティに分かれて活動します。基本的なルールは、敵味方それぞれの陣地にコアと呼ばれるメインタワーがあり、これを破壊した勢力が勝利するというものです。

 また、メインタワーのほかに、2本のサブタワーがありこれらを破壊しないとメインタワーにダメージは与えられない仕様です。極論を言えば、プレイヤー同士で戦わないでもタワーさえ破壊できれば勝負がつきます。

――パッチトレーラーを見た印象では、機械兵器が主役のように感じました。

吉田:プレイヤー以外にマメットのような兵士がいて、オートで移動して敵のタワーを攻撃します。基本的に、プレイヤーは彼らを守りながらタワーに取り付かせ、相手プレイヤーの邪魔をしながら戦うことになります。ただし、要素として勢力ごとに青燐水ゲージというものが存在しており、フィールドに配置されている青燐水を拾ってゲージをためることで“ゴブリン兵器”を使うことができます。

 このゴブリン兵器は自分の陣地から出撃することになりますが、1度に起動できる兵器の数には制限がありますので、勢力内での役割分担も重要です。加えて、兵器がレーザーを放つなどの特殊行動をするとエネルギーを消費するので、ガス欠を起こさないように定期的に青燐水の補充も必要になります。つまり、兵器は使い切りではないので、ガス欠にならないように維持しながら戦う感じですね。

――兵器にも種類があるようですね。

吉田:乗り込める兵器は3種類ありまして、オプレッサーはタワーと敵兵器に対して強い代わりに、足が遅くプレイヤーに与えるダメージもわずかです。逆に、クルーズチェイサーはプレイヤーに対して強いですが、耐久力はありません。そして、サブタワーが破壊されたあとでないと使えないのが、最終兵器のブルートジャスティスですね。ブルートジャスティスが起動したら、相手はそれを倒したら勝ち、自分たちはそれを使って逆転を狙う……といった遊びになっています。

――MOBAゲーム(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ。リアルタイムストラテジーゲームの1種)的なイメージですね。

吉田:そうですね、MOBAらしい感じはします。こちらも新しいコンテンツなので、ぜひプレイしてフィードバックをいただいて、よりおもしろくしていけたらなと思います。

――ちなみに、兵器の操作はマウント騎乗時のEXホットバーで行うのですか?

吉田:そうですね、“機工城アレキサンダー:起動編2”のゴブリウォーカーみたいなものだと思ってください。個々に特殊攻撃が用意されているので、それを使って戦ってください。

今後の拡張の方向性が見えてくる冒険者小隊

――冒険者小隊のNPCをダンジョンに連れていけるようになるとのことですが、その任務が解放される条件はなんでしょうか?

吉田:小隊ランクが2になった段階で、ダンジョンに挑戦する“攻略任務”が追加されます。なので、今から冒険者小隊を始めるという人は、小隊メンバーのレベルを20まで上げれば“魔獣領域 ハラタリ修練所”に挑めるようになりますよ。ちなみに、NPCのミラージュプリズムも今回から解禁されます。

――連れていけるNPCは、AIで自由に行動する感じですか?

吉田:AIには複数の種類があります。“自由”を最初から持っており“定石”などは、ダンジョンに連れていくことでランダムに修得します。作戦名はロールごとに分かれず共通ですが、NPCがどのロールをやっているかで行動が変化するようになっています。ですので、ゲームシステムとしては複雑ではないです。

 また、最初は“自由”しか選べないので、「こいつらどこに行くんだ!? 」といった動きをするように、あえてしています。テストプレイのときに、NPCたちにハイアラガン装備をミラプリして“魔獣領域 ハラタリ修練所”に挑んだんです。最初だったので“自由”をセットして遊んだのですが……、「MMORPGを遊んだことがない友だち3人と初めてダンジョンに挑む!」みたいな感じになっていて(笑)。

 タンクは斧を投げるんですけど、それに反応したヒーラーが“エアロ”を撃つんです。そこで終わっていたらいいのに、タンクが敵視を取ってない敵にも「エアロ」を撃ち続けちゃうんですよ。で、狙われたヒーラーを感知したタンクが慌てて「オーバーパワー」を使うみたいな。もう、かわいくて仕方がなくて(笑)。

――文字どおり、自由なんですね(笑)。

吉田:もちろん、「対象を指定して攻撃」や「退却しろ」という指示はできますよ。そして、ダンジョンをクリアすると、それぞれが新しいAIを閃くことがあります。例えば、“定石”をセットするとロールに合った“定石”どおりの行動をするようになります。「もうちょっと、ここのAIを改善してほしい」や「このアクションのひん度を上げてほしい」といったフィードバックがあれば、今後はパターンを発展させていきたいと考えています。

――ちなみに、NPCごとにAIの修得タイミングに差があったりするのでしょうか?

吉田:完全なランダムではなりませんが、ある程度は運で左右される部分はあります。なので、「なんでこいつはいつまでも“自由”しかないのだろう」みたいな差は出てきます。ですが、そういうことこそがNPCに個性を生む要素だと思っているので、これはこれでアリかなと思っています。

――コンテンツ中にNPCがしゃべったりはするのでしょうか?

吉田:いえ、もともとテキストを使った遊びにはしないようにしてあります。もしテキストを入れるとなると、人数を固定の8人に絞って構築する……という形になると思います。単一種族ならいいのですが、『FFXIV』は種族が多く個性も大きく違うので、それを全部対応したテキスト6言語ぶんを作ろうとすると、信じられないぐらいのコストがかかってしまいますので……。

 それよりも、メンバーがたくさんいて想像の余地があるほうがいいと思っていますので、今後もテキストには頼らない形になると思います。

――ダンジョンに挑む際に、回数制限などはありますか?

吉田:いいえ、ありません。回数や時間の制限はないので、何度でも挑むことができます。初期リリースでは5ダンジョンが追加され、パッチごとに対象ダンジョンを増やしていく予定です。

蛮族クエストや“宝物庫 ウズネアカナル”などのサブコンテンツも充実!

――コウジン族の蛮族クエストについてですが、今回はどのクラスの経験値稼ぎがメインになるのでしょうか?

吉田:基本的には、バトルクラスの経験値稼ぎになります。『蒼天編』の蛮族クエストのようにレベルアジャスト機能が付いているので、海に潜れるレベル63からサブジョブのレベル上げに活用できますよ。もちろん、それだけではなくて蛮族貨幣で交換できるリワードやマウントも用意してありますので、ぜひ挑戦してみてください。

――お得意様開拓コンテンツも開放されますが、こちらは対象的にギャザラー、クラフターが対象ですか? また、お得意様にメ・ナーゴを選んだ理由を教えてください。

吉田:そうですね。もともと、「ギャザラーやクラフターの成果が、キャラクターの人生やストーリーに影響できる遊びを作りたい」というのが、このコンテンツのスタートなんです。初回から個性の強いNPCを対象にすると、コンテンツのイメージが伝わりにくくなってしまうので、新規NPCであるシロ・アリアポーを用意しました。

 ただ、本来は「現在ハイデリンで生きているNPCと仲よくなったり、助けたりする」というのがコンセプトだったので、ある意味メ・ナーゴからが本番という感じはありますね。彼女の若い頃などはパッチ4.0の本編で語られていない部分もあります。お得意様開拓を通じて、彼女のことを知れることも多いと思います。

 ちなみに、ミコッテだから選んだというわけではありません(笑)。また、ギャザラー・クラフターには次のパッチ4.2で、さらに違った遊びを提供できればと思っていますので、お得意様開拓には今後もご注目ください。

――ということは、パッチ4.0のメインストーリーが終わったあとに受注できるようになるんですね。

吉田:そうですね、パッチ4.0のメインストーリーコンプリートが条件になっています。

――メ・ナーゴは個人的にも好きなキャラクターでして、解放軍所属なのでいつか命を落とすのでは? とハラハラしていたんです。でも、今回お得意様コンテンツの対象になったことで死の危険は回避できたかなと、ちょっとホッとしました(笑)。

吉田:「定番コンテンツに使ったってことは、生存フラグだな!」みたいな風潮があるんですよね。うーん、松野さんではないけれど、僕もわりと天邪鬼ですからねえ……(苦笑)。

――ちなみに、報酬はスクリップ:黄貨が中心になるのでしょうか? 正直なところ、現状ではあまり黄貨の交換アイテムに魅力を感じないのですが?

吉田:あまり強力すぎると、週制限にしなければならなくなってしまいます。黄貨の交換アイテムの種類は増やしますが、一気に増えるのはIL更新があるパッチ4.2だと思ってください。

――“宝物庫 ウズネアカナル”の深層が解禁されますが、これはどれぐらい儲かるコンテンツなのでしょうか?

吉田:めちゃくちゃ儲かりますよ! 深層へ挑戦するためのトリガーアイテム(宝の地図)の入手確率は、宝の地図G10を8人が1枚ずつ持ち寄って2個ぐらい出る……といった具合です。

 ちなみに、入口を分けた理由としては、連続すると疲れてしまうというのが大きな理由です。こうすれば、改めて別の日に挑むということもできますので。ただし、報酬がよすぎるので、マーケットでは売れないようになっています。

――深層への転送魔紋出現率は100%ですか?

吉田:そうです。また、深層への地図では、宝箱が出現せずに転送魔紋が直接出現する仕組みになっています。

――深層ではILシンクがありますか?

吉田:ありますが、今はまだ関係ありません。ちょっと難易度は高めになっているので、8人集めて挑んだほうがいいと思います。最終フロアまで進んで、とあるイベントが起こると……「こんなに配っていいのか!?」というぐらいリターンがあります(笑)。もちろん、そこでしか取れないオーケストリオン譜などのアイテムもありますので、楽しみにしていてください。ハイマテリジャもゴロゴロ出ますよ。

戦士の“シェイクオフ”が完全改修するなど、ジョブ性能も大きく調整された!

――ジョブ関連についてですか、今回は多くの調整が入ると聞いています。一番気になるのは、事前に告知されていた戦士の“シェイクオフ”の変更点なのですが……。

吉田:戦士は、パーティ支援能力の薄さが問題視されている部分だったので、“シェイクオフ”にその役割を割り当てました。自分にかかっているバフを周囲に付与する代わりに、自身のバフは解除されるという能力に変更し、戦士らしい全体支援になったと思います。(※)

※9月29日のプロデューサーレターライブでの最新情報では、「最大HPに対する割合のバリアを味方全員(周囲)に付与する。さらに、スリルオブバトル、原初の魂、ヴェンジェンス、原初の直感がかかっていた場合、それを解除する代わりに、解除した1バフにつきバリア効果が数%上乗せされる」という効果との説明があった。

――ほかのジョブはいかがでしょうか?

吉田:あと変化が大きいのは竜騎士ですね。強い人たちとライトユーザーとの間で大きなDPS差が生まれてしまっているので、全体の均等化を図る意味で操作難易度による差を埋める調整が行われています。また、DPSの立ち上がりが遅い点も調整しています。

――エンドコンテンツのいわゆる野良パーティでは、個別に高いDPSが出せる侍などが重用される傾向にあると感じますが、そのあたりのバランスについてどうお考えでしょうか?

吉田:日本だとその傾向が強いように見えますか? 全体で見ると竜騎士やモンクもバランスよく使用されています。むしろ、トップ層ほどバラつきがある印象で、竜騎士も多いです。ですので、使用率はあまり心配していません。

――ヒーラーに関してはいかがでしょうか?

吉田:瞬間的な回復力は白魔道士が突出していますが、逆にパーティDPSに貢献できるのは学者や占星術師になっています。全体を見渡したときに、役割がきれいに分かれているので、現状でとてもいいバランスになっていると感じています。日本では学者がイマイチという風潮がありますが、しっかり役割分担すれば非常に強いと思っていますので、学者に入る調整は主に消費MPに関するものと、一部バリアの強化のみとなります。

――バランスがいい故に、ロールアクションの選択が難しいという感じですね。

吉田:たしかに、ヒーラーの一番の悩みどころはロールアクションでしょうね……。

大好評のうちに幕を閉じた初のオーケストラコンサート!

『FINAL FANTASY XIV』

――パッチ4.1からは話がはずれますが、先月のオーケストラコンサートは、感動したという声がものすごく多かったですね。

吉田:ありがとうございます。全公演そうでしたが、特に最後の公演は、みなさんの反応がすごかったですね。

――ラスト公演はスタンディングオベーションでした。

吉田:光の戦士の団結力の凄さを見せつけられました。僕らも、あのスタンディングオベーションには安心するとともに、とても感動させてもらいました。

――演者のみなさんとは、公演後に何かお話されましたか?

吉田:公演終了後にオーケストラ関係者の方々との打ち上げを行ったのですが、「全員総立ちして、演者がいなくなるまで拍手が止まらないというのは、海外でもほとんど聞いたことがないよ」と驚かれました。演奏者の方々も個別にあいさつにきてくださって「ほかのゲーム系のコンサートとは、ひと味違った。次にやるときがあれば、絶対呼んでください!」と言ってもらえましたし、ミィ・ケット合唱団の方々は「全員で記念撮影をさせてほしい」という提案もしてくれて。

 祖堅(正慶氏)も、けっこうな演者の方から「演奏していて楽しい譜面だった」と言われていましたよ(笑)。来場者のみなさんからも「またやってほしい」という声をいただきましたが、それに加えて演者のみなさんからも同様の言葉をいただけたことは、とてもうれしかったです。

――では最後に、パッチ4.1を楽しみにしている方、オケコンを楽しんだ方に向けてメッセージをお願いします。

吉田:オーケストラコンサートにきてくださったみなさんには、本当に感謝しています。世間知らずなもので、オーケストラコンサートで東京国際フォーラムのホールAを4公演借りるというのが、いかに無謀なのかというのを当日になっていろいろな方からツッコミを受けました。

 にもかかわらず、幸い全席完売と相成りまして、「前代未聞だ」だとお褒めの言葉をいただきました。また、twitterを見ていても物販以外はほとんど不満もなく、みなさん満足していただけたようでとても安心しました。次の予定は何も決まっていませんが、またやれたらいいなと思えるぐらいのそのパワーを、その2日間の公演を通して受け取りました。

 また公演する機会があれば、ぜひきていただけたらなと思います。そして、パッチ4.1は、過去に祖堅が話していましたが、かなりのボリュームに仕上がりました。やりどころ、見どころ、新規の方からベテランの方まで、全方位の新シリーズ開幕にできたかなと思っています。パッチ4.0が終わってからの厳しいスケジュールのなか、開発チーム全員で作ってきましたので、ぜひ多くの方に遊んでもらえたらうれしいです。

 また、新しい光の戦士のみなさんをエオルゼアに迎え入れていくためにも、丸4年間応援してくれている人たちがより長く遊べるようにがんばっていきますので、これからもどうぞよろしくお願い致します。

『FINAL FANTASY XIV』

(C) 2010 - 2017 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

データ

関連サイト