2018年1月25日(木)
『采配のゆくえ』は説得と合戦システムが特徴。熱い物語に思わず涙した!?【綾那のゲームに夢中】
さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム“綾那のゲームに夢中”。連載第5回では、戦場の武将を説得するアドベンチャー『采配のゆくえ』をお届けします。
東京ゲームショウで試遊して購入を決意!
昨今では、ゲームで歴史上の人物を覚えるというのは珍しくないと思います。
私自身、三国志と戦国時代の武将の名前はゲームで覚えたようなもの。数ある歴史ゲームの中でも特に思い入れのあるのが『無双』シリーズです。第1回でもちょろりと書いたのですが、私の初めて自作したコスプレ衣装が『真・三國無双3』の周瑜だったくらい、『無双』シリーズには思い入れがあります。
この流れでいくと、「今回扱うタイトルは『無双』だ!」となりそうですが、そうではありません!
同じくコーエーさん(現コーエーテクモゲームス)が作った歴史ゲームではありますが、「おお、このシステムはおもしろい!」と東京ゲームショウで試遊して買うのを決めたもの。
今回書かせていただくゲーム。それは……
『采配のゆくえ』です!
こちらは、かの有名な“関ケ原の戦い”を舞台に、石田三成となって采配を振るい、西軍を勝利に導いていくゲームです。歴史上では西軍の敗北となりますが、このゲームではそうならないようにうまく立ち回っていくこととなります。
石田三成は冷淡なイメージが多いのですが、本作の三成は少し毛色が違います。
というのも、どちらかといえば熱血傾向で、家臣の左近や親友の吉継たちに「馬鹿」と言われまくるのです。それも「馬鹿殿!」と(笑)。
とても親しみやすいキャラなので、主人公としてもすんなり受け入れられました。
▲表情がとても豊かな石田三成。 |
▲島左近。渋くて豪胆でカッコイイです。 |
▲大谷吉継は儚(はかな)さ漂う美丈夫。 |
それぞれのキャラクターに専用BGMがあり、未だに吉継のテーマを聴くとグッと込みあげてくるものがあります。吉継といえば、東軍の知将・藤堂高虎との頭脳戦もよかったです。
森の中にてどこに敵が潜んでいるかわからない。そこで忍を1人放つと、なぜか2人帰ってくる。勿論、一方は敵方の忍です。味方の忍は本当のことを言い、敵方の忍は嘘をつく。そんな頭脳戦は吉継の戦場ならではでした。
▲藤堂高虎。彼が持っているのは定規。趣味は測量。 |
そして三成のサポート的な役割をはたしてくれるのは島左近……ではなく、左近の娘である“たまき”という、それはカワイらしく聡明な子です。
▲「たま」と呼ばれているたまき。頭にいるのはねずみの梅だいふく。 |
左近は軍として出陣するので、殿の横でアドバイスしてくれるのはたまになります。このたまと左近の親子の関係も、戦国の世ならではという感じ。プレイしていてつらいものがありましたね。
このように個性溢れるキャラクターの中でも、私は島津軍の島津豊久が物すごく好きなんです。
最初はこちらのことを信用してくれず、戦が始まっても不動で加勢しにきてくれなかったり、鬼島津と呼ばれるほどに雰囲気がどっしりとしていて怖かったりするのですが、彼らが動きだした時の戦は熱かったです。
いつも威嚇するか白目むいて憤怒したりする豊久も、白い歯を見せて笑ってくれる瞬間があるのですが、もうその為にここまで進めたと言っても過言ではないほど、尊い何かがそこにあります。
対峙した井伊直政に「敵ながら見上げた漢だ」と言われるその雄姿を見ていただきたい!
▲豊久は島津の為に、伯父である義弘の為に戦います。義弘が抱えているのは猫のオニぼんたん。 |
戦場を動かしていく2つのシステムが秀逸
戦場というのは、いろいろな所でドラマが起こっているもの。個性豊かなキャラクターが多数いるがゆえに、戦うべき相手は敵だけではないのです。
自分の軍が不利益になるならば、戦いに参加しないという者や、敵の挑発にのりこちらが指示をする前に動こうとする者、敵の策に落ちてこちらに不信感を抱き参戦を渋る者などなど。このゲームでは、そういう者たちを“説得”していくことが重要です。
馬鹿殿と言われる石田三成ですが、彼には特殊な能力があります。人の心を読み取ることができる力と、“天眼”という戦場を盤上に見立ててすべてを見通せる力です。
人の心を読み取る力は説得時に使うのですが、説得してる相手の過去やジレンマなどを垣間見ることができるのです。それを踏まえたうえで、他のキャラクターから入手した言葉を使い、説き伏せていきます。
▲会話をしていると手に入れることができる“言ノ葉”は、勝手に記憶されていきます。 |
▲言ノ葉を使い説得開始! 適当なことを言って右上の“扇”がすべてなくなると説得は失敗に……。 |
説得が成功すると、こちらの要求を聞いてくれだすので、やっと戦に進展が生まれます。
このゲームの合戦システム、私的におもしろいと思ったのが、きちんと状況を報告するように求め、その報告を聞いてから行動に起こす所です。
敵がどこにいるか、今誰と戦っているか、自軍がどんな戦術をもっているのか。報告されることで、やっと戦場がどうなっているのかを理解できます。
最初のうちは1つの戦場のみを把握すればいいのですが、戦いが佳境になっていくに従い、他の戦場にも目を向けていく必要がでてきます。隣り合った戦場の連携をとり、迫りくる敵を打破していくのは快感です。
しかし、どこかの戦場の窮地を救うと、別の戦場が窮地になっていることも。
ある戦場に味方の援軍を送りたいけど、その戦場で戦略を振るう為には、敵を技が出せる配置にまで誘導しておかなければならないのです。
指示は“後ろに下がれ!”や“北へ行け!”など、マス目を意識したものとなっています。
難しい操作はないので、じっくり盤面を見て、状況を報告をしてもらい、各軍がどんな技を持っているのかを考えていけば、自ずと道は見えてきます。
とんちんかんな指示をしても、ちゃんと突っ込んでくれるので安心。しかし重要な場面でそれをすると取り返しのつかないことに……。
徐々に進んでいく物語の中でも、やはり印象的なのはクライマックスのシーン。
徳川家康に追い詰められた時、三成は直接家康を討つこととなり、敵陣を超高速で駆け抜けていきます。その場面で、最初は信頼されていなかった味方から「石田殿になら」と言われ、信頼されたことがわかるシーンには感動しました。
そして、家康をも利用しようとしていた黒幕との対峙。すべての決着をつけるための最後の説得。それはぜひに、自分でプレイしてことの結末を確かめてください。
私はこの記事を書くために、もう一度ゲームをプレイしたのですが、わかっていたのに泣いてしまいました。
ところで当時発売された設定資料集に“「もし声をあてるなら…」ランキング”があったのですが、ボイス付きの『采配のゆくえ』関連グッズの発売はまだでしょうか? グッズ担当者を“説得”していただけることを願っています!
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