2018年2月11日(日)
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第68回でお祝いするのは、1998年2月11日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売され、20周年を迎えた『ゼノギアス』。内容、システムから多くの人に衝撃を与えた本作について語ります。
なお、コチラの記事は、2013年8月に掲載された“思い出ゲーム特集”を編集して再掲載したものになります。
スクウェア(現スクウェア・エニックス)より、1998年2月11日に初代PSで発売された『ゼノギアス』は、当時“聖剣伝説が出ない理由 FFとは異なる可能性 そして、ゼノギアス”という衝撃的なキャッチコピーがテレビCMで流れていたこともあり、遊んでいなくともタイトルは印象に残っているという人も多いかと思います。もっとも実際には、のちに『聖剣伝説4』が発売されましたが、とにかく当時の旧スクウェアがそんなCMを立ち上げるくらい、気合の入ったRPGだったことは間違いありません。
実際にプレイしてみると、そのキャッチコピーが誇大広告ではないとわかるくらい骨太な作品で、好きなシーンを何度も見返すため、本作専用のメモリーカードを用意して、セーブデータを小分けにして保存したものです。そんな自分のようなファンが他にもたくさんいるのか、今でもPlayStation Storeのゲームアーカイブス版が、ダウンロード数の上位にランク入りしています。
さて、この作品が評価されている最大の理由をあげるのなら、なんと言ってもその練られたストーリーにあるでしょう。とにかく伏線の回収の仕方と、話の盛り上げ方がバツグンにウマい!
SF的なオープニングから、普通のファンタジーRPGの舞台としか思えない牧歌的なラハン村へと移行する演出は、この作品がただのRPGではないことを予感させてくれます。始めたばかりでは意味がわからない描写や何気ない場所に隠された伏線も、ゲームをラストまで進めると納得できるように描かれているので、クリアした後に何度も最初からやり直したくなるんです。
ただ、それ故に、適当に1周目を流しプレイしてしまうと、話をあまり理解できずに終わってしまうかもしれません。とはいえ、初見ではわかりにくい用語も多いので、無理に1周目から理解しなくてもいいと思います。まずは、単純な盛り上がるシーンやキャラクターの掛け合いを楽しみつつ二転三転するストーリーを堪能し、2周目以降のプレイで伏線をじっくり解釈しながら遊んでみるのがオススメですね。
▲のどかな日常が続くラハン村。この村で起きる悲劇がすべての引き金になるのですが、それを引き立てるための平和な描写が胸に来ます。激しいシーンと平和なシーンの区切り方が絶妙なんです。 |
物語がおもしろいと先ほどから主張していますが、それはやはり、登場するキャラクターにもきちんとした個性が存在しているから。主人公のフェイをはじめ、町の物知り先生・シタン、最初は敵対する立場として登場するヒロイン・エリィ、親友としてともに戦うバルト、緑色のおじさん・リコ。3000G……じゃなくて銃使い・ビリー、父親から巨大ロボットを与えられた少女・マリア、謎だらけのロリ・エメラダ、最強ドーピング・チュチュ……と、どのキャラにも見せ場と活躍があり、かつ泣けるエピソードや燃えるエピソードがきっちりと盛り込まれています。
▲わりと多彩な一面や顔芸を見せてくれるエリィや「しょおー! しょおー! しょおー!」という掛け声とともに次々と敵を葬るシタン先生。個性的な仲間たちは、バトルでも大活躍してくれます(緑の人以外)。 |
なお、初めてプレイした人は、もしかすると序盤のフェイの性格にイライラするかもしれません。その性格にもゲーム中できちんと理由が語られるので、温かい目で見てあげてください。物語に感情移入してイライラした人ほど、逆に感動できると思いますから。
本当は、どういったイベントがどうおもしろいのかを個別に語っていきたいところですが、ネタバレせずに初見を遊んでもらいたい作品なので、あえて今回も詳細には触れません。とにかく、この作品は息もつかせぬイベントが盛りだくさん! 燃える後継機入手イベントや、ロボットに乗れないで潜入&捕まるというお約束のイベント。どんでん返しにつぐどんでん返しに、意外な人物の過去……と、良質なロボットアニメを見ているかのようにお話を楽しめるとだけ言っておきましょう。序盤と終盤ではまったく印象の違うゲームなので、未プレイの方は初回ならではの驚きをぜひ味わっていただきたい!
▲生身で出場するアヴェの武闘大会や、首に爆弾をつけられて投獄されるキスレブなど、衝撃的なイベントや燃えるシチュエーションが満載! ソラリスの工場で起きるイベントでは、シタン先生の優しさをかみしめながら缶詰を食べましょう。 |
「俺は塵だ……」の読み方が“チリ”なのか“ゴミ”なのかわからなくて困ったり、リカルド・バンデラスって誰だっけと思ったり、缶詰おいしそうと思ったり、ディスク2枚目の構成でえっ、となれるのは『ゼノギアス』初見プレイだけの特権ですから。
▲衝撃的な展開と演出で、当時賛否両論を巻き起こしたディスク2枚目。ある意味でアニメ的な演出で今なら受け入れられそうですが、当時としては早すぎたのかもしれません。この画面写真についてもあえて説明はしないので、当時のファンが抱いた驚きを、実際にプレイして感じてもらいたいですね。 |
ここまで物語や演出に関して触れてきましたが、ゲームシステム自体は意外とオーソドックスなRPGです。ロボットと生身を使い分けて戦うという特徴や、弱、中、強の攻撃ボタンを押す順番で出せる必殺技が変わるといった要素はありますが、基本的にはわかりやすいコマンドバトルだと考えてもらえれば大丈夫です。
ジャンプして高いところに登るというアクション要素はありますが、バベルタワーという場所を除いて、それほど難しい操作はしないので、アクションは苦手だという人でも楽しめると思います。当時は難しいと言われていたバベルタワーも、今の3Dゲームに慣れているユーザーならすぐに慣れることでしょう……たぶん。バトル部分も、とりあえず初見の敵にはバルトの“ワイルドスマイル”を使うことと、シタン先生を使うことを意識していれば詰まることもないと思います。
▲よし、今ここでジャンプだ!→(CDを読み込むシーク音)→CDの読み込み中でジャンプできない→うわああああ! なんてミスは、PS版のユーザーならおなじみ。ジャンプする時は、1度エンカウントし終わってから、着地できる場所をよく確認して落ち着いて飛びましょう。 |
余談ですが、この作品は当時のスクウェアらしく、カードゲームやロボットバトルといったミニゲームが多数収録されています。特にゲーム後半で自由に遊べる“バトリング”は、本編そっちのけで遊べるほどよくできたミニゲーム。劇中に登場する機体を使って対戦ゲームができるという仕様で、物語がシリアス一直線で進行しているのに、これが楽しすぎて、しばらくの間バトリングばかり遊んでいた記憶がよみがえりました。
▲当時のスクウェア作品らしい豪華なミニゲーム。ロボットを操作して戦う“バトリング”は、本編そっちのけでハマり込んでしまうほど! |
ゲームアーカイブス版の配信により、たったの600円で気軽に『ゼノギアス』が遊べるいい時代になりました。今のゲームからすると、障害物で見づらくなるカメラ視点や、ドット絵で描かれたキャラなどに少し古さを感じるかもしれません。ですが、それらは『ゼノギアス』の本質的なおもしろさを損なうところでなく、むしろ、ゲームアーカイブス版を改めてプレイして、その完成度の高さを再確認したくらいです。
話題を呼んだディスク2枚目の演出も含め、いろいろな部分で挑戦的な表現が見られる本作。RPGが好きでロボットが嫌いではないなら、ぜひ1度プレイしていただきたい珠玉の名作です。オフラインのRPGで初代PSの作品とはいえ、意外とプレイに時間がかかるゲームなので、十分な時間が取れる時に、ぜひじっくりと腰を据えてプレイしてみてください。きっと、お気に入りのRPGになると思いますから。
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