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2018年4月3日(火)

【おすすめDLゲーム】『The Promised Land』は親子で楽しめる戦略系アドベンチャーゲーム

文:豊臣和孝

 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回はSteamにて配信中のカジュアル戦略系ゲーム『The Promised Land』を紹介する。

『The Promised Land』

 本作は、入植者とともに植民地を開拓していくカジュアルゲーム。ゲームの最終目的は、インディアンたちの伝説として“失われた文明の古代遺跡”に眠るとされる“永遠の幸せの泉”を発見することだ。

順番が重要なわかりやすいゲーム性

 遊び方は簡単。マウスカーソルを動かすと画面内の地形で“何かができる場所”があった時にインフォメーションが表示されるので、そこに入植者をマウスでドラッグ。そこが樹木なら収穫、障害物なら除去、建物なら建築あるいは労働、坑道や石切り場なら採掘などをそれぞれ始める。

 なお、開拓できる場所と内容はすべて決まっているため、何でもできるような自由なゲーム性はない。

『The Promised Land』 『The Promised Land』
▲開拓できる場所にマウスカーソルを重ねるとインフォメーションが表示される。何かできるようであれば入植者をドラッグして配置する。

 最初は全体マップ右下の狭いエリアしか開拓できないが、畑や建物のアップグレードを繰り返すことで、少しずつやれることが増えていく。この手の作品に慣れている人はもうピンときているだろうが、この“少しずつ増えていく”がポイント。

 どうしても“一足飛び”、例えば建物のアップグレードであれば「どれかひとつに集中すれば先々楽になるのでは?」などと考えがち。

 だが、こうした作品はそのへんをよく踏まえており、ゲームが進むにつれて“これを作るには前提としてアレとソレが必要”といった“縛り”が増えていく。これは開拓だけでなく、船による本国との貿易でも同様だ。

 例えば購入できる貿易品で“安いもの”と“高いもの”があった時、苦しい思いをしてまでお金を貯めて“高いもの”を買ったとしても、その前に“安いもの”で何かをしておく必要があるといったケースが大半……というか、全体としてそういう作りになっている。“急がば回れ”ではないが、直近でやれることを堅実にこなすことこそ、ゲームの最終目的にたどりつくための最短距離なのだ。

『The Promised Land』 『The Promised Land』
▲上画像でふさがっていた岩をどかすと、その先で新たに開拓できる場所を発見。アンロック条件を満たして少しずつ開拓範囲を広げていく。
『The Promised Land』
▲船を使って本国と貿易。いきなり高いものを欲しがってもすぐには使えないし、それ以前にまず手が届かない。開拓で必要性が生じるまで無理をする必要はない。

入植者にある3つのゲージと仕事とは!?

 入植者には空腹、士気、健康といった3つのゲージがあるが、それぞれ減ったら自分自身で回復してくれる。たまにしないこともあるが、ゲージが尽きても死んだりはしない。実は本作には“ゲームオーバー”が存在せず、食料が尽きたとしてもゲージなしで微量ながら働ける。

 これを踏まえ、最初は5人、最大50人まで増える入植者たち全員を“果実の採集”にあてれば、収穫が消費を上回り状況が改善されていく。このため、本作はこの手の作品にありがちな“行き詰り”がないのも特徴だ。

『The Promised Land』 『The Promised Land』
▲開拓の序盤は果実に頼るが、そのうちに魚や畑からの収穫をキッチンで加工したものがメインになっていく。尽きてもゲームオーバーにはならないが、開拓スピードが著しく停滞する点に注意。

 仕事を与える時は、入植者ごとに“得意”、“不得意”な仕事があることを留意しておくといい。不得意な仕事につかせても一応働いてくれるが、士気がゼロになるとストレス解消のため労働者同士で会話を始めて仕事の手が止まり、労働効率が落ちてしまう。会話で士気ゲージは回復するが(愚痴をいいあってスッキリするから?)、無理を強いる状況でもなければ不得意な仕事にはつかせないほうがベターだ。

 また、入植者には農業家、作業員、建築家、科学者などの“職業”があるが、得意や不得意とミスマッチしているケースがある。ゲームを進めていくと建てられる“学校”の勉強で職業は変えられるが、実は多少効率が落ちたところで特に支障もない。ディティールにこだわる人のみ“そういうこともできる”と覚えておけばいいだろう。

『The Promised Land』 『The Promised Land』
▲不得意な仕事をさせなければ基本的には大丈夫。▲士気がゼロになると他の入植者とおしゃべりを始める。士気は回復するが、その間は仕事の手が止まってしまう。

 入植者は特定条件のクリアで若干名、もしくはお金と名声を消費して本国から呼び寄せて増やせる。ただし、入植者が住むための“住宅”と“空き部屋”がないと、こちらに着いてもホームレス状態で一切仕事をしてくれない。入植者の住居は、それぞれパズル形式で部屋を増やせる。開拓同様、入植者を増やすこともゲームの最終目的に通じており、余裕があるときは少しずつ間取りを増やしておくことをオススメする。

『The Promised Land』 『The Promised Land』
▲イベントクリアで増える時もあるが、基本的にはお金と名声を使って本国から呼び寄せる。▲住めるのは入口から通路が続く部屋のみ。ピーズは購入して増やすことが可能で、入れ替えはいつでも可能。

 ゲームを進めていくと、都合3回ほど海賊が襲撃してくる。この時、マップ右上にある砲台をクリックするとミニゲームに移行。少し前にブラウザゲームで流行した砲撃ゲームで、角度と威力を決めて弾を撃ち海賊たちを全滅させるというもの。これもゲームオーバーなしでいつ何度でもやり直しがきくので、リワード目的はもちろん気分転換に遊ぶのもいい。

『The Promised Land』 『The Promised Land』
▲以前にブラウザゲームではやった大砲ゲームと同じ。角度と強さを調整してすべての海賊を倒す。

リソースをどう使うのかを考えるのが楽しい

 本作はカジュアルゲームでも定番の“リソース管理型”。前述のとおりゲームオーバーがないのでつい雑になりがちだが、ちゃんとやらないと“停滞してゲームが進まない”こともある。やれることをやって少しずつ“新たにできること”を増やすためのロジックが整理されているので、入植者、お金、名声といった手持ちのリソースをどう使えばいいのか考えながら遊ぶのがとても楽しい。

『The Promised Land』 『The Promised Land』
▲基本的にバランス重視がベターだが、ゲーム終盤や課題クリアなど目的があってリソースが集中できる時はしたほうがいい。

 簡単操作でグラフィックも親しみやすく、幅広い年齢層、親子で楽しむにも最適。難点をあげるとすれば、次のステップに必要なリソースをためるまで“ただ待っている”ことがゲーム終盤になるほど増えていくことだろうか。

 開拓ペースを急ぎ過ぎると陥りやすいのだが、さまざまな資源、特に鉄工所の生産品が不足しがち。鉄工所は最大アップグレードで“釘”、“工具”、“機械部品”を作れるようになるが、どれだけ働く人を増やしても生産ラインは1本のまま。例えば釘を作っていると他の生産が止まってしまうが、3つとも建築や住居の部屋などあればあるだけ欲しい。

『The Promised Land』
▲鉄工所はもっとも忙しい(?)施設。いずれもそうだが稼働ラインが1つしかないので効率よく切り替えていきたい。

 資源の時間内採集量に上限が設けられているのと同様、この手の作品につきもののバランス調整のテンプレで筆者は慣れっ子だが、このジレンマは“待つこと”でしか解消されず、ゲームに不慣れな人ほど待つ時間が増えるため退屈な印象を抱かれやすい。行き急ぐタイプの人には不向きだが、逆に「マッタリしたゲームがやりたい」という人やそういう時には適している。

 リリースから日が経っているため、Steamのセール時に大幅な値引きされることも珍しくない。すぐ遊びたい人はもちろん“積みゲー”として確保しておいてもいいだろう。

『The Promised Land』 『The Promised Land』
▲わりと待つ時間が長いゲームである一面もあるため、焦らずマッタリ楽しみたい。

(C)2014 Buka Limited All rights reserved. The Promised Land is a trademark of Buka Limited and Boolat Games. All rights reserved. All other trademarks and copyrights are the properties of their respective owners.

データ

▼『The Promised Land』
■メーカー:Buka Entertainment
■対応機種:PC
■ジャンル:ADV
■発売日:2012年7月11日
■希望小売価格:698円(税込)
※開発:Boolat Games,Alawar Entertainment

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