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2018年4月1日(日)

【GCC2018】『モンスターハンター:ワールド』が海外で高評価を受けたワケ

文:電撃PlayStation

 クリエイターやクリエイターの卵たちがゲーム開発について学ぶ“GAME CREATORSCONFERENCE'18”が、今年も大阪府立国際会議場で開催された。

 このイベントで『モンスターハンター:ワールド(MHW)』のセッション“『モンスターハンター:ワールド』のゲームコンセプトとグローバルユーザーに向けた取り組み”が行われた。ここではディレクターを務めた徳田優也氏による講演のレポートをお届けする。

モンスターを取り巻く環境や生態系に魅了された徳田氏

 セッションの最初は徳田氏のキャリアについて説明。カプコンに入社したのは初代『モンスターハンター』のPVを観たのがキッカケだという。そのPVはモンスターを敵ではなく、世界観の1つとして表現した演出がされており、自身もこのタイトルに携わりたいという意気込みでカプコンに入社したとのこと。

『モンスターハンター:ワールド』
『モンスターハンター:ワールド』
▲徳田氏が携わったシリーズタイトル。『モンスターハンタークロス』など、一部タイトルをのぞき、数多くのタイトルに関わっている。

  実際に開発に携わったなかで転機になったのは『モンスターハンタートライ(MH3)』。水中での狩猟が話題となった本作で徳田氏は、モンスターの設計やバトルシステムを担当。仕事を進めていくなかで、実装したいコンテンツや挑戦したい要素が蓄積されていったという。

『モンスターハンター:ワールド』
『モンスターハンター:ワールド』
▲徳田氏が企画した要素の1例。地形を意識したギミックが多く、『MHW』プレイヤーなら「おっ」と感じる部分も多いのでは?

 『MH3』の直後にこれらの企画をまとめて辻本氏に提案したものの、その時点では経験の浅さから「まだ早い」と言われてしまう。その後徳田氏は『モンスターハンター4(MH4)』や『モンスターハンター4G(MH4G)』にも携わり、経験と実績を積んでいく。

 そして、2014年『MH4G』の後、『MH』シリーズのシニアプロデューサーの辻本良三氏から待望の『MHW』ディレクターをオファーされた徳田氏。そこで辻本氏から以下の要望がつけられたという。

『モンスターハンター:ワールド』
『モンスターハンター:ワールド』
▲辻本氏から出された要望、それにともなうコンセプト。「日本のユーザーも」というのが重要で、この部分がなければ海外向けタイトルになっていたかも、と徳田氏。

 これらの条件を踏まえ、徳田氏は『MHW』のコンセプトを“据え置き機で世界最高品質のMH”“次の10年間土台となる次世代MH”“初めて触れる人がすぐに楽しめるMH”に設定。海外のAAAタイトルを目指し製作をスタートした。

『モンスターハンター:ワールド』
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▲環境を利用した狩りやスリンガーなどのコンセプトデザイン。『MH3』後のアイディアもあり、これらはかなり早い段階でまとまったという。

海外で見つけた『MH』の課題

 3つ目の“初めて触れる人がすぐに楽しめるMH”は海外のプレイヤーからも納得してもらうため。そこで参考にしたのが海外向けに発売された『モンスターハンター4U(MH4U)』(『MH4G』の海外版)の評価。

 メタスコアなどの評価は高かったが、これは国内向けに作った作品なので信ぴょう性に疑問を感じた徳田氏。よく読むとコアなファンによる“推し”の評価が多く、これをうのみにするのは危険と判断。

 その後、実際にコンソールタイトルを遊んでいるプレイヤーに『MH4U』をプレイしてもらったところ、想像以上の酷評を受けたという。その酷評っぷりは、ハートの強い徳田氏に全身じんましんを出させたほど。

『モンスターハンター:ワールド』
『モンスターハンター:ワールド』
▲メタスコアとテストプレイ後の不満点。

 あまりの悔しさから、すぐにホテルに戻り改善点をまとめてスタッフで共有。すぐに次の作業へと取りかかることに。

『モンスターハンター:ワールド』
▲その改善点がこちら。

 また、徳田氏が驚いたのが、海外にはボイスがないと絶対買わないという層が一定数いたこと。ボイスを入れるのはこれまでの世界観と合わないため、やはりかなり悩んだという。しかし『MHW』は海外同時展開が決まっていたため、コストやスケジュール的に厳しいものの、入れるべきと判断。この判断には社内でもかなり賛否が分かれたようだ。

 徳田氏はこれらの改善点をクリアしたビルドを作ることを目標に。合わせて辻本氏からの「日本のユーザーを大事に」という条件も常に意識。

『モンスターハンター:ワールド』

 ダッシュ操作は日本だとR1ボタンで慣れ親しまれているが、海外のアクションゲームではL3操作が主流。どちらかに合わせるのではなく、両方できるように設定した。

 さらに、『MH4』にあったジャンプ攻撃や乗りも可能だが、必須ではないというバランスに調整。今まで遊んできたユーザーの遊び方をリスペクトし、個々の要素を使うかどうかはプレイヤーに任せるというコンセプトで大事にしたという。

『モンスターハンター:ワールド』
▲同時にシリーズの強みを進化させることも意識。

 『MH』の強みである“ゲームプレイループ”は海外ユーザーに受け入れられないという声も多かったとのこと。しかし、ただそれを削除するのではなく、それを楽しめるようにフォローするように設計されているのが『MHW』の特徴となっている。

 そして行われた『MHW』の北米ユーザーテスト。さすがの徳田氏も今回ばかりはかなり緊張したという。

『モンスターハンター:ワールド』
『モンスターハンター:ワールド』
『モンスターハンター:ワールド』
▲ユーザーテストで改善を確認。

 改善が見られなかったのが“やったことの結果が見えにくい”という点。開発側はカメラアングルの問題からモンスターを追えないことが原因と考えていたが、どうも理由はそこではないらしい。

 続いて『MHW』ならではの遊びのテスト。こちらは比較的評価が高く、購入意欲も『MH4U』から大きく改善していた。

『モンスターハンター:ワールド』
『モンスターハンター:ワールド』
『モンスターハンター:ワールド』

 残った改善点は“武器の納刀/抜刀の概念”“アイテムセレクト”“体力ゲージ”の3つ。武器の納刀/抜刀の概念が伝わらなかったため、『ワールド』ではセミオート抜刀を実装している。

 また、アイテムセレクトが難しいという声に関しては、スタッフが改良してくれたことで改善。これは問題点をスタッフ全員で共有していたことが大きかったという。

 一番の課題が体力ゲージについて。これに関してプレイしたユーザーに話を聞いたところ、別にゲージそのものが欲しいのではなく、自分の行動に対してのフィードバックをもっと早く欲しいというのが本音らしい。

 シリーズをプレイしていない海外ユーザーには肉質関連の要素は難しく、自分の立ち回りが正解なのか間違っているか判断できない人が多かったようだ。この問題はダメージ表示の実装に落ち着いたのだが、社内でも賛否が分かれたという。しかし、ダメージ表示の追加によって新しい遊びが生まれると説得し、今の形になっている。

 最後に、海外ユーザーに受け入れられるためには、海外ユーザーがどう遊ぶのかを研究することが重要と語る徳田氏。しかし、変更するにしてもこれまでの強みを生かす方法しなければならない。そして何を変えて何を変えないかをキチンとコンセプトすることが大事と語り、セッションを終了した。

質疑応答

――『MH』シリーズを作って楽しいときを教えてください。

徳田氏:元々生態系をフィーチャーしたいと思っていたので、『MHW』で実現できたときは感動しました。

――実際の動物を調べることはありますか?

徳田氏:開発スタッフにも動物や生態に興味がある人が多く、ロケハンと称して動物園や爬虫類展なども見に行きました。

――『MHW』でのローカライズ作業の流れについて教えてください。

徳田氏:通常は日本語版ができてからローカライズを行います。今回は開発段階からローカライズチームにも加わってもらい、情報の共有を行っています。

――『MHW』のアクションで気をつけたことはありますか?

徳田氏:同じことばかりでは飽きるので、毎回違う展開になるように設計しました。クエストも入口は同じでも切り口を変え、いつも同じ展開にならないようにしています。

――社内で一番賛否が分かれた調整はなんですか?

徳田氏:一番賛否あったのはダメージ表示ですね。その次はボイスの追加。世界観が変わってしまうことを嫌がる既存ユーザーのため、MH語も用意しました。

――海外でも場所によって意見が分かれることはあるのでしょうか?

徳田氏:ロンドンとアメリカで行いましたが、不満点はほぼ同じでした。しかし、ゲームプレイの傾向は違って、ヨーロッパの人はストーリー性を重視。なぜモンスターを狩るのかを知りたがっていました。逆にアメリカの人はすぐに狩りに出ていきますね。

――ボイスチュートリアルは無視できないほどの声だったのでしょうか?

徳田氏:感覚的にわかるゲームならいいのでしょうが、複雑なゲームなのでテキストを読まないでプレイさせてほしいという声が多かったですね。

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