2018年4月26日(木)
Xbox 360版、PS Vita版『CHAOS;HEAD NOAH(カオスヘッド ノア)』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第70回でお祝いするのは2008年の4月25日にニトロプラスよりPCで発売された『CHAOS;HEAD』です。2008年10月~12月のTVアニメ『カオスヘッド』をはさみ、2009年2月26日には5pb.(現MAGES.のゲームブランド)よりキャラクタールートなどを追加したXbox 360版『CHAOS;HEAD NOAH』がリリース。その後はPSP版、アプリ版、PS3版、PS Vita版とさまざまな機種に移植された人気作です。
当時は家庭用で『メモリーズオフ』シリーズなどの美少女アドベンチャーゲームを手掛けていた5pb.とPCゲーム市場でニッチな作品をリリースしていたニトロプラスがタッグを組んだことや、そのショッキングなサイコサスペンス的な内容で注目を集めました。今でこそ科学アドベンチャーシリーズの出発点として『CHAOS;HEAD NOAH』は名高いですが、『CHAOS;HEAD』自体はひとつの作品として注目を集めていました。
▲PC版『CHAOS;HEAD』のジャンルは科学アドベンチャーではなく、妄想科学ノベル。科学アドベンチャーシリーズになったのはコンシューマ版の『CHAOS;HEAD NOAH』からです。 |
現代の渋谷を舞台にしたストーリーや科学的視点を用いた設定もユニークでした。また、『メモリーズオフ』シリーズなどで有名だったささきむつみさんを起用しながらも、血や拷問のシーンが入り混じる凄惨なシーンが盛り込まれるサイコスリラー的な展開もそのギャップから大きな話題になりました。
当時はいわゆる“萌えゲー”が主流だったこともあり、『CHAOS;HEAD』は刺激的でしたね。さて、ここで改めて『CHAOS;HEAD』のストーリーとキャラクターをおさらいしていきましょう。
ちなみ、自分は過去に“『カオスヘッド デュアル』をプレイしてほしい3つの理由”という記事を書いているので、こちらもチェックしていただければと思います。
なお、画像は『CHAOS;HEAD NOAH』のものです。
「三次元には興味ないよ」と言い切り、基地(ベース)と呼んでいるコンテナハウスで大量の美少女フィギュアに囲まれながら生活する、引きこもり一歩手前の高校2年生、西條拓巳(にしじょう たくみ)。彼が住む渋谷では“ニュージェネレーションの狂気(通称:ニュージェネ)”と呼ばれる連続猟奇殺人事件が発生し、ネットやテレビを日々騒がせていた。
ある日、いつものようにチャットをしている拓巳の前に“将軍”と名乗る人物が現れる。彼が発言したURLのリンク先にあったものは次のニュージェネ事件を予言するようなグロ画像だった。
さらに、翌日、拓己は、予言された通りの殺され方をした凄惨な事件現場に遭遇する。そしてその遺体の前には、血まみれの少女――咲畑梨深が立ち尽くしていた。
拓己の平穏な日々に猟奇事件の影が忍び寄っていた――。
注目してもらいたいポイントは大きく2つです。拓己というキャラクターとニュージェネのインパクトですね。
まずは拓己。アドベンチャーゲームの主人公というと無個性だったりニヒルでモテる男が多いと思うのですが、拓己は気持ち悪いオタクそのものです(苦笑)。ネットスラングを交えて早口でしゃべる様子や「ふひひ」という笑いかたから最初は受け付けない人も多いと思います。演じている吉野裕行さんの芝居も絶妙ですしね。
ただ、そんな等身大のオタクが物語を通じて成長したり、もがいたりするから感情移入できるんですよね。
▲かなりキモい拓己ですが物語終盤では彼に感情移入できるから不思議。アクの強さでは『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』の岡部倫太郎を上回る人物です。 |
そして次のニュージェネ。遺体の胃の中から胎児の遺体が発見された“妊娠男”や、血が抜かれてミイラのような状態になっていた“ヴァンパイ屋”など、どれもインパクトのあるものばかり。ささきむつみさんがキャラクターデザインを手掛けていることもあり、そのギャップによる衝撃は大きかったです。
▲“ニュージェネ”は目を覆いたくなるような事件ばかりです。 |
また、物語が進むと主人公やヒロインが妄想を現実に変える力を持つ“ギガロマニアックス”であることや、妄想を具現化するために必要な剣“ディソード”の存在などが明かされます。下で掲載するイラストを見てもらえればわかるのですが、これらはプレイヤーの中二病心を見事にくすぐってきます。自分がもし10年早く『CHAOS;HEAD』をプレイしていたら、確実に“ディソードごっこ”をしていたと思います(笑)。
▲ディソードを見てワクワクしない男はいないと思います! |
さて、続いてキャラクターたちを紹介していきましょう。
「さ、三次元に、興味はないんだ……ふひひ」
「――その目だれの目?」
「現実が、確定しない。なにもかもがウソに見える……」
本編の主人公。私立翠明学園2年生。
人との直接的なコミュニケーションを嫌い、最低限の外出しかしないネット依存症の少年。ナイトハルトというハンドルネームで1日中ネットゲームをし、学校は出席日数を計算して必要以上に登校しない。人と話せばどもってしまい、それが女の子ならばパニックを起こすほど。周囲からは引きこもりと思われているが、本人はそれを否定する。
妄想癖があり思いこみが激げしく、しばしばネガティブな方向へ暴走する。また、つらい現実から逃避し、ひたすら自分に都合のいい妄想をしてそれに浸っている。辛い現実に直面するとすぐに逃げ出してしまい、しかもそれを他人に責任転嫁する。いわゆるダメ人間。
「ありがと、ぼけなす♪」
「誰も信じちゃ駄目。誰の言葉にも耳を傾けちゃ駄目」
「三次元女になんか騙されちゃダメだゾ。タッキーにはあたしがいるっしょ?」
拓巳お気に入りのアニメ『ブラッドチューン THE ANIMATION』に登場するヒロイン。性格はツンデレで、口癖は「ぼけなす」。拓巳曰く「星来は僕の嫁」。
「あたしが、一緒にいてあげるよ」
「あなたを見つめる妄想、殺してあげる――」
「完結した夢の後には、なにが残るの……?」
拓巳がニュージェネ事件の現場で出会った謎の少女。翠明学園の制服姿で、拓巳に対して優しく気さくな笑顔を向けて
くる。彼女の真意や目的は一切不明。
「――お前の見ている景色は、本物か?」
「すべてのものは……人も含めて、電気仕掛けだ」
「目に見えるものだけを信じられることが、どんなに幸せか……」
私立翠明学園3年生。クールな性格で、誰彼かまわず睨み付けるため周囲に人が寄り付かない。クラスで浮いた存在で、学校にはほとんど来ず、毎日のように渋谷の街を徘徊しているらしい。
「わたしの方が、あなたより年上さんですね♪」
「わたしが言ったことは……全部、本心です。これだけは……信じて」
「わたしを、わたしだと証明するものって、なに?」
私立翠明学園3年生。誰にでも優しく年下に対しても敬語を使う。少し気弱だがその反面、我慢強く、一度これと決めたことはとことんやり遂げようとする。
「…………っ」
私立翠明学園2年生。おとなしい性格で、つねにオドオドしている。ドジっ娘。すぐ泣きべそをかき、とにかくすぐに謝る。異性からはカワイイと言われるが同性からはよく思われていないらしい。
「今日は……いつもより調子いいわ……世界が、とても澄んでいる」
「この世界は悪意の妄想に満ち溢れている……」
「見つけて。早く。剣を。そうすればキミは、救われるわ」
私立翠明学園2年生。“FES”として、人気バンド・ファンタズムのボーカルを担当している。
アンニュイで少し無気力。淡々とした口調のため年齢より大人っぽい印象を受ける。かなり感受性が強く、言動はかなり電波系。
「生存かくに~ん☆」
「『ゲロカエルん』って今すごく流行ってるんだからね!」
「ナナが、しっかりしなくちゃ」
主人公の妹。私立翠明学園1年生。強気で活動的で、口が悪い。兄の拓巳を「おにぃ」と呼ぶ。兄に対しても生意気。しかし、一人暮らしをする兄を裏では心配しているようだ。
こうやって振り返っても個性的なキャラクターばかりですね。電波系で神話や伝承について言及するあやせだったり、理系の知識を持っていて科学的な説明をするセナだったりと、キャラクターに幅があっておもしろいです。
そして、いきなり張り付けの死体の前で血まみれで立っているメインヒロインの梨深も尖っていてヤバかった。かわいいけど、信じていいのかわからないから素直に萌えられなかった思い出があります(苦笑)。
そういえば、本稿を書くために改めて本作をプレイしましたが、こずぴぃの「なのら」には時代を感じましたね。いや、時代というか、当時も浮いていたような気もしますが……。久々にプレイしたら、なかなかの衝撃でした(笑)。
自分はヒロインのなかでは妹の七海が好きなので中盤の展開にはかなり驚きましたね。
『CHAOS;HEAD NOAH』ではそんなヒロインたちのルートが追加されているわけですが、こちらはバッドエンドに近い内容が多いです。しかし、決してやっつけ的なものではなく、どれもトゥルーエンドに負けないほどインパクトの残るものになっています。特にすべての破滅を描いたこずぴぃルートは見事。美しい映画を見たかのようなカタルシスを感じます。さすがにエンディング部分なので多くは語れませんが、こういった部分も『CHAOS;HEAD』の大きな魅力です。
他にも『CHAOS;HEAD』には“妄想トリガー”というゲームシステムがあり、ポジティブの妄想をするか、ネガティブの妄想をするか、それとも妄想しないかで物語が変化するというちょっと変わったシステムが搭載されています。
個人的にはもっと大胆に物語が変化するとおもしろいと思ったのですが、それでも“妄想”であるため突拍子のない展開が多く楽しいです。後半に行くにつれて現実と妄想の境い目が曖昧になっていくのもうまい演出だと思いましたね。なお、初期案では渋谷そのものが妄想だったというオチもあったとか……。
▲妄想によって展開が変化します。 |
というわけで、今なお色褪せない魅力を持つ『CHAOS;HEAD』について振り返ってみました。前述した通りコンシューマ移植版の『CHAOS;HEAD NOAH』は科学アドベンチャーシリーズの第1弾という位置付け。シリーズを通してもっとも重要と思われる部分が本作で描かれているので、プレイしたことがない人はぜひプレイしてもらいたいです。
また、『CHAOS;HEAD らぶChu☆Chu!』は外伝的なラブコメと見せかけて本編の完結編ですし、同じ『CHAOS』の名がついた『CHAOS;CHILD(カオスチャイルド)』は『CHAOS;HEAD』から6年後の渋谷を描いた関連性の高いタイトル。『CHAOS;HEAD』が気に入ったなら、ぜひこの2本はマストでプレイしてもらいたいですね。特に『CHAOS;CHILD』は本当にビックリするぐらいの神ゲーです。こちらも10周年を迎えたら思いっきり語りたいですね(笑)。
▲かなりはっちゃけた内容になっている『CHAOS;HEAD らぶChu☆Chu!』。ファンディスクと見せかけて直接的な続編となっています。 |
▲“ニュージェネレーションの狂気の再来”と呼ばれる事件を追う『CHAOS;CHILD』。ぜひ『CHAOS;HEAD』とセットでプレイしてもらいたい作品です! |
(C)5pb./Nitroplus/RED FLAGSHIP
(C)2008-2014 5pb./Nitroplus/RED FLAGSHIP
(C)2014-2015 MAGES./5pb./RED FLAGSHIP/Chiyo St. Inc.
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