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2018年7月11日(水)

『オクトパストラベラー』はレトロでも懐古でもない2D・RPGの理想的進化。トレサの魅力にハマったレビュー

文:まさん

 スクウェア・エニックスが7月13日に発売予定のNintendo Switch用RPG『OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー)』。RPG好きの担当ライター・まさんが、製品版のプレイレポートをお届けします。

『オクトパストラベラー』

 本作はHD-2Dによる美麗なグラフィックと、どのイベントからでも攻略できる自由度が魅力の完全新規のオリジナルRPG。8人の主人公たちから好きな人物を選び、自分の思うがままに世界を冒険できます。

『オクトパストラベラー』

 現在、第1章をプレイできる体験版『Prologue Demo』が配信中で、セーブデータを引き継いで製品版を遊ぶことが可能です。今回は、先行して製品版をプレイしたライター・まさんが選んだ主人公・商人トレサの第2章までを中心に製品版のプレイフィールと感想をお届けします。

古きよき往年のスクウェアRPGが帰ってきた……こんなの感動するしかない!!

 みなさん、こんにちは! “体験版レビュー”に続いて、本作をプレイする“まさん”です。いよいよ発売が迫っている『オクトパストラベラー』。新しい体験版はプレイされたでしょうか?

 自分は、前回の体験版を遊んだ時点で「こんなの絶対おもしろいに決まっている!」と確信していたので、“あらかじめダウンロード”ですでに予約購入済みですが、今回先行して製品版を遊べると聞いて飛びついちゃいました。

 やるに決まってるでしょレポート! そんなわけで、自分が一番気になっていたトレサを主人公にプレイを始めたのですが……うん、想像以上におもしろい。結論が速すぎますが、感想を写真で表すとこんな感じです。

『オクトパストラベラー』

 自分は心の底からいいと思ったゲームを紹介する時に、ちょくちょく「こんな記事を読んでないでまず遊ぼう」という文言を入れることが多いのですが(ライターとしてはどうかと思うけど)、本作は自分でさ迷って攻略の仕方を切り開いていくのが楽しいんですよ。現在、第1章をプレイできる体験版『Prologue Demo』が配信されているので、遊んでいない人はすぐに遊んでください! 以上!!

 ……いや、さすがにそれだけで投げるわけにはいきませんね。もうちょっと詳しく情報を知りたい人のために、ちゃんとレポートしていきたいと思います。でも、本当に情報を入れないで自分で遊んだほうがいいですよ。もちろん、今回のレポートは第2章の範囲までにとどめておきますし、致命的なネタバレはしませんし、さらに今回の範囲では語りきれないことだらけなのでレポートを読んでもゲームの魅力が損なわれることはありませんので、ご安心を。

『オクトパストラベラー』

 まずはこのゲームについて軽く説明していきましょう。本作は、いわゆるコマンド式のRPG。ランダムエンカウント方式で敵と戦い、2Dで描かれたマップを探索していく今時珍しいくらいのストレートなRPGです。

 画像を見てもわかる通り、キャラクターから背景に至るまで2D……ではありません。あくまでも、そう見えるだけ。ただのレトロチックとか懐古なゲームじゃありません。“HD-2D”と名付けられているグラフィックは、高精細なキャラクターの2Dドット絵と、3Dポリゴンの背景が違和感なく融合しており、2Dですが最先端の映像になっています。

 画面端をわざとぼやけさせることで幻想的なイメージを作っている(オプションで切れるけどON推奨)など、随所に工夫が凝らされているのが特徴。まるで往年のスクウェアRPGがそのまま進化して、現代まで続いてきたような感覚です。もちろん、システムや遊びやすさは現代ならではの快適さで遊べます。

 一度訪れた町や村にワールドマップからファストトラベルできたり、イベントスキップが実装されていたり、イベントが発生する場所から適正レベルまでマップ上で確認できたりと、かゆいところに手が届いています。

『オクトパストラベラー』
▲2D・RPGという見た目から、使うことを忘れがちですがファストトラベルはとても便利。ちゃんと有効活用していきましょう。
『オクトパストラベラー』
▲看板を読んで行き先を把握し、自分で地図を埋めていくのが楽しすぎる……。メニュー画面に進行中のイベントが表示されるので、自由なのにいい意味で迷いません。

 戦闘は、オーソドックスなコマンドバトルを基本に独自の要素を盛り込んだ戦略性の高いバトルです。相手の弱点をついてシールドを破壊し、敵を“ブレイク状態”にして行動不能にできるシステム。毎ターンたまるBPを消費することで通常攻撃の回数を増やしたり、アビリティの威力を強化できたりする“コマンドブースト”。この2つのシステムが絡み合い、ザコ戦はちゃんと弱点をつけばサクサク。ボス戦はしっかり考える必要があるバランスになっています。

『オクトパストラベラー』
▲体験版の範囲を超える辺りから敵が全体攻撃を使ってきたり、ボスがブーストのような攻撃をしてきたりと油断できません。回復をおこたらないようにしたり、別の街を回って装備を整えたりと、RPGらしい戦略を楽しめます。
『オクトパストラベラー』
▲オルベリクとプリムロゼは前回の体験版で戦ったから後回しにしていたら、ボスがかなり強くなっていて驚きました。お前、オルベリクが主人公ならそんなに強くなかっただろ……!

 また、本作では仲間にするキャラクターの順番もこなすイベントの順番も自由に決められるのが魅力の1つ。同じイベントでも、挑む順番によって推奨レベルや難易度が変化することがあります。マップに表示されている適正レベルでも、ギリギリのボス戦が楽しめるのです。

 見た目は往年のドットRPGなのですが、中身は最新で遊びやすい。そのうえ、物語も魅力的。前のレビューで「『クロノ・トリガー』や『ロマンシング サ・ガ3』のようなスクウェア後期の雰囲気を感じる」と書いた覚えがありますが、雰囲気だけではなくてしっかりと往年の名作に負けない作り込みになっています。というわけで、トレサのレポートを語っちゃうので、引き返して体験版を遊ぶなら今ですよ!

トレサは全主人公で一番カワイイ(※個人的見解です)うえにお金も稼げる神商人

『オクトパストラベラー』

 トレサは、8人の主人公中最年少の18歳。20代、30代ばかりで主人公の平均年齢が高いのも昔のRPGみたいですが、その中でもかなり若いです。商人ということもあってか、攻撃はそれほど得意ではないのも他の主人公と異なるところ。

 槍と弓が装備可能で、“風よび(風属性魔法)”が使えるなど弱点を突くのには困らないのですが、メインアタッカーとして使うには心細いところがあります。だが、そこがいい! そもそも、彼女は商人。戦闘ではなく、彼女の本領は“お金を稼ぐこと”です。

『オクトパストラベラー』

 このゲーム。通常戦闘で入手できる資金もありますが、進めれば進めるほどお金に困るので、自分で金策を考える必要がでてきます。お金を稼ぐ手段はいろいろありますが、個人的に推したいのがトレサ! エリアが切り替わるたびにお金を自動で入手できる固有コマンド“歩いてリーフ”を持つ彼女は、歩くだけでアイテムを買うのに困らないくらい稼げるのです。カワイイうえに便利。選ばない理由がない。

 さらに、戦闘中に使えるスキル“集金”で敵からお金を徴収することもできます。「金、金、金! 騎士としてはずかしくないのか!」と言われそうな気もしますが、商人だから問題なし! まあ、ぶっちゃけ彼女の集金のスゴさに気づいたのは第2章のボスに苦戦してからなのですが(笑)。

『オクトパストラベラー』
▲集金しまくれば、高価なアイテムでもポンポン買えます。この世は金です。なお、相手は2章の敵だったので弱点にモザイクをかけさせていただきました。

 一人前の商人を目指し、切磋琢磨していく彼女のストーリーも痛快でお気に入り。細かいネタバレはつまらなくなるので語りませんが、商人らしいメインイベントが楽しく、続きが見たくなってワクワクさせてくれます。

 特に好きなのが“フィールドコマンド”を使ったメインシナリオやサブシナリオの展開。本作ではNPCに対してYボタンを押すことで相手の背景を読み解く“探る”や、イベントに関係するキャラクターを連れていける“導く”といった、キャラクターごとに異なるフィールドコマンドを使用できるのですが、シナリオの中でも“フィールドコマンド”を使う場面があり、ロールプレイをしている感じを強く味わえます。

 トレサの場合は“買取る”でアイテムを購入するのですが、メインシナリオでもしっかり使う場面があるんですよ。もちろん、シナリオとは無関係にレアな装備などを買い取ることもできるので、彼女がいるだけでアイテムにも金にも困りません。もし、ゲームを最初から遊びなおして違う主人公を使うとしても、優先的に入れたいと思いました。

『オクトパストラベラー』
▲「いい買い物ができました!」と律儀に言ってくれるのも素敵。性格が素晴らしい。

 まあ、攻撃に特化したキャラではないので仲間がそろうまではちょっと苦労するかもしれませんが(笑)。全体攻撃魔法があるサイラスを早めに仲間にしてよかったと何度思ったことか。でも、大丈夫。本作は全体回復アイテムも充実してますし、弱点をつく係にもなれるし、戦い方しだいでなんとかなります。遊べば遊ぶほど、自然とそうしたルールに気づいていけますし、回避率が高くなる装備をすれば最後まで生き残る可能性も高いです。

 アビリティの“ひと休み”を覚えれば、自力で回復できてちょっとやそっとじゃ倒れないですし、何より「ひと休み、ひと休み」というボイスが癒されるので速攻で覚えるべき。というかボイスがいい! いかん、だんだん、話がずれてきたぞ(笑)。

独立した物語に仲間として同行していく不思議な感覚

 実は、本作のシナリオはやや変わった仕組みになっています。『ロマンシング サ・ガ』のように8人の主人公から1人を選ぶのですが、選んでいない主人公の物語も1周目で見ることが可能なのです。どちらかと言えば『ロマンシング サ・ガ』よりも『ライブ・ア・ライブ』寄りで、各主人公ごとに独立した物語が用意されており、彼らを仲間にすることでそれぞれのシナリオを体験することができます。

 しかも、ここがちょっと変わっているんですよ。メインストーリーはあくまでもそのストーリーにかかわるキャラクターが主体となって進んでいき、仲間が別のキャラクターのメインストーリーに介入したりすることはないのです。

『オクトパストラベラー』 『オクトパストラベラー』
▲彼らの冒険に、仲間として同行するような流れ。それぞれの物語に他の主人公が介入するわけではなく、8本のシナリオが独立したものとして進行していきます。第1章では主人公のストーリー冒頭をカットすることも可能。

 その代わりに、仲間との交流がきちんと存在します。各イベントに対して、その時にパーティにいる仲間がどう感じているかを“パーティーチャット”で見ることができます。仲間を入れ替えるための、酒場で発生する会話もあるようです。

『オクトパストラベラー』 『オクトパストラベラー』
▲どの仲間でパーティーチャットが用意されているのかは発生するまでわかりません。2周目はチャットの組み合わせを探してみるのも楽しいかも?

 仲間がいないわけではなく、ちゃんと同行しながらもそれぞれの物語にはでしゃばらない。すごく変わったRPGです。昨今のRPGだったら仲間がガンガン会話に加わってきそうですが、そうではない。想像の余地を残しつつもパーティチャットで同行していることを示しているのがポイントです。

 パーティチャットは和気あいあいとしているのでちゃんと一緒に冒険している感じがあり、あくまでも“仲間の復讐や因縁には口を挟まない”という流れをうまく構築できているように感じられました。

『オクトパストラベラー』
▲8人分のメインシナリオは、どれもギャグやシリアスの配分がよく、最近よくありがちなファンタジーを茶化すような照れも、パロディもいっさいない正統派。素直に先が気になる魅力を放っています。

アビリティを覚える順番やアイテムの所持数が重要なガチバランス

 本作は冒険することに重きが置かれており、チュートリアルこそ丁寧ですがいい意味で突き放したバランスになっています。冒険する順番によってイベントの難易度が有機的に変わっていくのもそうですが、メインストーリーを無視していろいろな街に行くことも可能。

『オクトパストラベラー』
▲メインストーリーを起こすかどうかも自分で決められます。おもしろいので最終的に全部のシナリオをプレイするのは間違いないと思いますが、この“自由な旅”感がすごいです。

 ボスが強いと感じたら、いい武器が売っている街を探したり、トレサの“買取る”やテリオンの“盗む”コマンドでレアな防具や回復アイテムを入手したりと、攻略を自力で生み出していく感覚がたまりません。

 特にアビリティを覚える順番はかなり重要。サイラス先生が属性魔法をひと通り習得すれば、通常の敵は爽快に薙ぎ払えますし、オフィーリアの回復があればボス戦も安心。その2人を入れなくてもアイテムやアーフェンの調合で回復できるし……。なんでしょう。人によって無限に攻略パターンがあるのでは?

 また、アビリティを一定数習得することで覚え、自動で発動する“サポートアビリティ”も強力。どのキャラも、育てれば育てるほど強くなったことを実感できます。

『オクトパストラベラー』
▲サポートアビリティしだいで一気に輝くキャラも。どの順番でアビリティを覚えるか、サポートをつけるべきか。自分で考えるのが楽しいゲームなのでヒントも言いません!

 それでいて、バトルの難易度も絶妙なんですよ。特に2章に入るとボスが強い! 最初は、勝てないのではないかと思うほど猛攻撃を食らってパーティ編成や装備を見直したり、アイテムをガッツリ買い込んだりと、ゲームのルールを把握するまで苦労するかもしれません。ですが、この懐かしいRPGしている感覚が素晴らしいのです。もちろん、理不尽に難しいわけでもないので安心してください。

 序盤は仲間を入れ変えて弱点をつけるパーティで進むと楽なのですが、ある条件を満たせば別のキャラクターのジョブを“バトルジョブ”として装備できますし、ぶっちゃけ好きな4人だけで進んでも問題ありません。どう遊ぶかはプレイヤーの自由です。

『オクトパストラベラー』
▲通常の戦闘でも弱点をつかないと長引くことも。逆にセオリーがわかればサクサク倒せます。素敵。

 決して理不尽ではなく、進行度合いに合わせてギリギリの戦いが楽しめる。シナリオを楽しみつつ、戦闘も手を抜いていない。この誘導のうまさはまさに往年のRPGの正統進化。頼まれてもいないのにレポート範囲より先にガンガン進めていますが、早く家でも遊びたいです。

 とにかく時間を忘れてハマるほど楽しく、懐かしくも新しい奇妙な感覚で遊べるレアなRPGだと思います。発売まではもう少しですが、自分も発売が待ち遠しくてたまりません。まだ、遊んでいない人はとにかく体験版を遊んでみてください。絶対ハマれることを保証しますよ! 

『オクトパストラベラー』

 あと、トレサは第2章までの話だけでもメチャクチャカワイイので、コレだけは覚えて帰ってください。では、あと少しで訪れる発売日までひと休み、ひと休み……。

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