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2018年8月2日(木)

PS4『スパイダーマン』を遊んだ感想をお届け。新たなスパイダーマンの魅力は発見できるのか?

文:伊藤誠之介

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントより、9月7日に発売予定のPS4用ソフト『Marvel’s Spider-Man(スパイダーマン)』。このゲームを日本国内で初めて試遊できる、メディア体験会が開催されました。

『スパイダーマン』

 本作はスーパーヒーロー“スパイダーマン”となり、広大な都市を縦横無尽に駆け巡りながら犯罪と戦う、オープンワールドアクションゲームです。SIEとマーベル、インソムニアック・ゲームズが一体となって作りあげたタイトルとなっています。

 今回のメディア体験会では、ゲームの冒頭から約3時間ほどを試遊できました。ここでは実際のゲームプレイを通じて確認できた本作の特徴や、その魅力について、開発者のコメントも交えてお伝えします。

『スパイダーマン』
▲体験会場では多数の試遊台が並ぶなかで、本作の日本語版による実機プレイを楽しめました。

大学を卒業した“大人の”ピーター・パーカーが主人公の物語

 スパイダーマンといえば、原作となるアメリカン・コミックはもちろんのこと、実写映画やアニメーションなど、さまざまなメディアで活躍しているスーパーヒーローです。

 本作では、原作コミックをはじめとする“マーベル・ユニバース”の世界観やシリーズの伝統を尊重しつつも、特定のコミックや映画などに基づいたものではない、本作独自のストーリーが描かれています。

 なかでも特徴的なのは、スパイダーマンとなって戦う主人公のピーター・パーカーが高校生ではなく、大学を卒業して科学者として働くようになったばかりの、23歳の青年という設定になっている点です。

 これはスパイダーマンがゲームの開始時点ですでに、8年間に渡ってニューヨークの犯罪や凶悪なヴィランたちと戦ってきた、“熟練のヒーロー”となっていることを意味しています。

 この点について、ゲームの開発を担当しているインソムニアック・ゲームズのジェームズ・スティーヴンソンさんは、「本作では大人としてのスパイダーマンの物語や、大人としてのピーター・パーカーの物語を描きたかったのです」と説明していました。

『スパイダーマン』
▲インソムニアック・ゲームズ コミュティ・ディレクターのジェームズ・スティーヴンソンさん(右)と、SIE JAPANスタジオ ローカライズプロデューサーの石立大介さん(左)。

 といったところで、さっそくゲーム開始です。本作は、スパイダーマンが8年間に渡って戦い続けてきた宿敵であるニューヨークの犯罪王“キングピン”ことウィルソン・フィスクを捕らえるために、フィスクの本拠地である高層ビルへと乗り込むところからスタートします。

 この序盤はいわば、ゲームのチュートリアルを兼ねたプロローグなのですが、この時点からすでに派手なアクションや敵味方のやり取りが詰め込まれており、冒頭からグイグイとゲームに引き込まれていくのです。

『スパイダーマン』
▲『スパイダーマン』を代表するヴィランの1人である“キングピン”ことウィルソン・フィスクと、まず最初に対決することになります。

 ニューヨーク市警のユリ・ワタナベ警部と連絡を取りながらビルの内部を進んでいき、次々と現れるフィスクの手下たちを、多彩なアクションやスパイダーマンならではのウェブを駆使して撃退していきます。

 そうしてついにフィスクと対面すると、バトル開始です。これがまた、油断すると体力がゼロになってゲームオーバーになるほどの遊び応えがあるものとなっています。ちなみにゲームの難易度は、プレイ中いつでも変更可能です。

 この冒頭部分のパートだけでも、ドラマチックな展開とアクションのおもしろさを十二分に楽しめるものになっていて、筆者はすっかり本作の世界に魅了されてしまいました。「つかみはオッケー!」といった感じですね。

『スパイダーマン』
▲瓦礫にはさまれて身動きが取れない人たちを救うシーン。敵とのバトルだけでなく、崩壊するビルから人々を救うといった、ヒーローらしい展開も。

空中技や“ウェブ”を駆使して、複数の敵とまとめて戦え!

 さて、この冒頭部分でも堪能できる、本作のバトルについて説明しましょう。スパイダーマンはスーパーヒーローといっても、決してパワータイプのキャラクターではありません。むしろ身軽さを武器とするキャラだけに、本作のバトルもその特徴が反映されたものになっています。

 本作のバトルでは、一度に4~5人の敵を相手にするといった状況も少なくありません。そこでスパイダーマンとしては、ジャンプや回避で敵の攻撃を巧みに避けつつ、個々の敵を1人ずつ素早くノックダウンしていくような戦い方が重要になります。

『スパイダーマン』

 なかでも銃火器での攻撃を受けると、大きなダメージを受けてしまいます。スパイダーマンは敵からの攻撃の気配を“スパイダーセンス”で感知できます。銃を構えた敵がスパイダーマンに狙いをつけるとラインが伸びてくるので、できる限り素早く回避するべきでしょう。

『スパイダーマン』
▲敵の攻撃を感知すると、超感覚の“スパイダーセンス”を表す白い波線が、頭の周囲に表示されます。この表示が出現したら、回避を意識しましょう。ちなみにスパイダーマンに向かって伸びているラインは、銃による攻撃があることを表しています。

 またスパイダーマンはパンチやキックによる攻撃だけでなく、クモの糸のような“ウェブ”を発射して、敵の動きを止められます。それだけでなく、周囲にある箱や足場などのオブジェクトをウェブで引っ張ったり振り回したりして、敵にぶつけることも可能です。

『スパイダーマン』
▲ウェブで足場を引っ張って、敵を下敷きに! 周囲の環境を上手に利用することで、バトルを有利に展開できます。

 ほかにも、空中戦が得意なスパイダーマンらしく、敵を打ち上げて空中でコンボを決めたり、壁をキックした反動を利用して敵をノックダウンしたりと、実に多彩な技が用意されています。こうした技はレベルアップでスキルツリーを開放していくと、強化されたり、新たなものを身につけたりしきます。

『スパイダーマン』
▲敵を空中に浮かせた状態でコンボを決めると、一方的に攻撃できます。

 さらに、スパイダーマンが敵を攻撃するたびに“フォーカスゲージ”が少しずつ上昇していき、ゲージが満タンになると敵を一撃でノックダウンできる“フィニッシュムーブ”を繰り出せます。

 フォーカスゲージにはもうひとつ、今あるゲージを消費することで、スパイダーマンの体力を回復させる使い方も用意されています。今すぐ体力を回復させるのか、あえてガマンしてフォーカスを溜めて敵を一撃で倒すべきなのか。こうしたことをバトルの最中に、素早く考える必要があるわけです。

 このように本作のバトルは、その局面ごとに実行可能な選択肢が非常に幅広くなっています。そのためプレイヤーの好みに応じて、自分の好きなバトルスタイルで戦えるうえ、やり込みがいのある奥の深いものになっていると感じました。

『スパイダーマン』

オープンワールドのニューヨークをウェブ・スイングで高速移動!

 さて、ウィルソン・フィスクとのバトルを終えると、いよいよメインストーリーの開幕です。ここからは、ニューヨークのマンハッタン島全域を自由に移動可能な、オープンワールドのゲームプレイを楽しめます。

 オープンワールドということで、マンハッタンにはメインストーリー以外にも、サイドミッションやアクティビティが数多く散りばめられています。

 街では犯罪が多発しており、スパイダーマンは事件現場に駆けつけて、敵を倒して事件を解決できます。発生する事件の種類も強盗を防いだり、逃走する車両を止めたりと、いくつものバリエーションが用意されています。

 またユニークなところでは、スパイダーマンがマンハッタン各地を訪れて、名所をバックにした写真を自撮りする……なんてことも楽しめます。

『スパイダーマン』

 ちなみにこのロケーションは、エンパイア・ステート・ビルディングのように実在する場所だけでなく、アベンジャーズ・タワーといった“マーベル・ユニバース”ならではの名所も存在しています。

 本作はあくまで『スパイダーマン』の世界に特化しているため、ほかのマーベルヒーローが登場することはおそらくないでしょうが、それでも壮大なマーベル・ユニバースの一部に属していることを実感できる要素が随所に見られるのは、アメコミファンにとって嬉しいところです。

 このようにマンハッタン島を自由自在に移動できる本作ですが、スパイダーマンの移動といえばもちろん、クモの糸を巧みに操ってビルの谷間を縦横無尽に飛び回るウェブ・スイングです。本作ではこのウェブ・スイングによる移動が、とにかく気持ちいいんですよね。

『スパイダーマン』

 振り子の要領で空中高く飛び上がって、そこから空中を落下するように高速で移動したり、ビルにぶつかっても壁面を素早く駆け上がったりと、立体的な移動を直感的な操作で実行できます。しかも移動速度がけっこう早いので、遠距離の移動もあまり苦になりません。

 また、これは移動だけではないのですが、本作ではスパイダーマンがとにかくよくしゃべるんですよ。移動の際にスマホや通信でほかのキャラと会話したり、バトルの最中に敵をからかったりといった具合なので、プレイ中に退屈することはありません。

 日本語吹替のセリフ回しも軽妙で、ゲームの雰囲気が非常に明るいものとなっています。このあたりは実に『スパイダーマン』らしい魅力だと言えるでしょう。

『スパイダーマン』
▲バトルの際に、敵を挑発するような軽口を披露するスパイダーマン。本作ではほかのマーベルヒーローとはひと味違う、スパイダーマンならではの個性を感じられるでしょう。

 サイドミッションやアクティビティをクリアすると入手できるトークンは、バトルなどで役に立つガジェットや、新たなスパイディ・スーツを作成するのに使用できます。駆け出しの科学者として働くピーター・パーカーは、こうしたアイテムを自ら作り出せるのです。

 ガジェットには、弾数制限はあるものの敵を一撃で壁に貼り付けられる“インパクトウェブ”のように、バトルの際に役に立つものがそろっています。また、新たなスパイディ・スーツは外見の変化を楽しめるだけでなく、スパイダーマンの能力を強化したり、特殊な能力を装備したりできます。

『スパイダーマン』
▲映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に登場するスーツをイメージした“アイアン・スパイディ”スーツ。
『スパイダーマン』
▲こちらはモヒカン風の飾りが特徴的な“スパイダー・パンク”スーツ。スーツを着替えると、外見の雰囲気がガラリと変わることがよくわかります。

 マンハッタンを自由に駆け巡って、アクティビティをクリアすればするほど、トークンを入手してスパイダーマンを強化できるわけですから、いろいろと探索してみたくなりますよね。

ピーターの“元カノ”メリー・ジェーンを操作する場面も!

 ここで本作のメインとなるストーリーにも触れておきましょう。ピーターは、ニューヨークの街でホームレスを支援している慈善事業家のマーティン・リーと親しくなっています。マーティンの事業に共感するメイおばさんが、彼のもとで働いているのです。

 ところがマーティンは突如、“ミスター・ネガティブ”を名乗り、“インナー・デーモン”と呼ばれるギャング集団を率いて、街を襲い始めたのです! といっても、今回プレイを体験できた範囲では、まだミスター・ネガティブの姿を見ることはできませんでしたが……。

『スパイダーマン』
▲温厚な慈善家のマーティン・リーが、なぜ“ミスター・ネガティブ”となって悪事に手を染めるのか。その謎に迫ることは、メインストーリーの大きなトピックになっているようです。

 さらにミスター・ネガティブやキングピンのほかにも、エレクトロ、ライノ、バルチャー、スコーピオンといった、コミックや映画でおなじみのヴィランたちが登場するとのこと。どうやらゲーム全体では、かなりのボリュームになりそうです。

『スパイダーマン』
『スパイダーマン』

 もちろんヴィランだけでなく、メリー・ジェーン(MJ)といったキャラクターたちも登場します。MJはどうやらピーターといろいろあったようで、登場時には彼と別れた元ガールフレンドという立場になっています。物語が進むことで、これがどう変化するのか気になりますが……?

 しかも本作のMJは、調査報道専門の記者として、デイリー・ビューグル新聞社で働いています。そのためゲーム内ではMJを操作して、敵のアジトを探索して情報を探り出すといった場面も用意されています。

 ちなみにデイリー・ビューグルと言えば、ファンにはおなじみのJ・ジョナ・ジェイムソン。本作にも登場しますが、ちょっぴり意外な形で登場します。

『スパイダーマン』
▲ピーター・パーカーと“元カノ”のメリー・ジェーン(MJ)。彼女はスパイダーマンの正体を知っている、数少ない人物のうちの1人です。

 MJの操作は今回のプレイで実際に体験できましたが、ヒーローではない彼女を操作して、敵の目をかいくぐって行動するのは、スパイダーマンやピーターの操作とはまた違った緊張感を味わえました。

 インソムニアック・ゲームズのジェームズ・スティーヴンソンさんによると、本作の開発スタッフは、マーベルのベテランクリエイターから聞いたある言葉を、常に意識しながら制作を行っていたそうです。

 その言葉とは、「最高の『スパイダーマン』の物語は、ピーターの世界とスパイダーマンの世界が衝突した時に生まれる」というもの。

 ヒーロー“スパイダーマン”としての活動と、23歳の青年“ピーター・パーカー”としての生活。同一人物である以上、その2つは互いに影響するでしょうし、時には葛藤が生まれることもあるでしょう。その中で生まれるドラマは、確かにとても魅力的です。

 そうしたドラマ部分へのこだわりは、公開中のストーリートレーラーからも伺うことができます。

 今回プレイした短い範囲のなかでも、ピーター本人や彼を取り巻くキャラクターたちがていねいに描かれており、上で紹介した『スパイダーマン』の物語の魅力が本作でも忠実に再現されていると伝わってきました。

 本作を実際にプレイしてみて、『スパイダーマン』の世界やキャラクターを完全オリジナルのストーリーで体験できる楽しさと、スパイダーマンを操作してオープンワールドを縦横無尽に飛び回り、個性的なヴィランたちとバトルを繰り広げる快感の双方を、どちらも存分に味わえる作品だと感じました。

 その意味で本作は、ゲームと『スパイダーマン』のどちらか片方にしか興味がない人でも、もう一方の魅力を“発見”できる作品だと思います。多くの人に安心してオススメできるタイトルですので、発売時にはぜひ遊んでみてください!

ジェームズ・スティーヴンソンさんと石立大介さんによる質疑応答

 最後に、試遊の終了後にジェームズ・スティーヴンソンさんと石立大介さんによる質疑応答の時間が設けられました。そこで分かったことなどもお伝えしたいと思います。

 まずは、発表済みのDLC『摩天楼は眠らない』について。これは、全3部作で展開する追加ストーリーを楽しめるもので、それぞれのDLCに新しいキャラクターや新しいストーリー、サイドミッションやスーツが含まれているとのこと。

 また、「これまでさまざまな形式(コミック、アニメ、映画など)で登場した『スパイダーマン』ですが、本作ならではのポイントを教えてください」という質問には、「最終的な判断はプレイしてくれた皆さんにお任せしますが、開発側としては、当初からピーター・パーカーの物語を伝えることが重要だと思っており、青年としてのピーターについても深く掘り下げています」と答えてくれました。

 プレイ中にSNSが確認できる部分があったのですが、そのことについての質問には、「SNSを通じて街の様子がわかります。また、スパイダーマンの活躍にどう反応しているかもわかるでしょう」と答えてくれました。

 プレイアブルキャラについての質問には、MJのプレイ部分のボリュームも十分にあるとの答えが。『スパイダーマン』のファンとしては、2017年のE3で公開されたPVの最後に登場したマイルズ・モラレスがどうなるのか気になるところですが、プレイしてのお楽しみということになりそうですね。

 ちなみに、『スパイダーマン』の大ファンを公言するマーベル・ゲームズとインソムニアックゲームズの制作スタッフが、本作に登場するキャラクターたちの魅力を熱く語っているインタビュートレーラーも公開中です。まだ見ていない人は、こちらもぜひチェックしてみてくださいね。

ジェームズ・スティーヴンソンさんインタビュー

 ジェームズ・スティーヴンソンさんには、『電撃プレイステーション』の取材班と直接お話をさせていただく時間もいただけました。この記事には、その模様も掲載します。

『スパイダーマン』
▲ジェームズ・スティーヴンソンさん。

――インソムニアック・ゲームズでスパイダーマンのゲーム化が進行した経緯を教えてください

 SIE側からマーベルのIPをゲーム化しないかという提案があったんです。実は、マーベル側から「SIE、特にインソムニアック・ゲームズにゲームを作ってほしい」と打診があったそうなんですね。

 我々としてもおもしろいと感じたので、「どのキャラクターを使えるんですか?」と聞いたところ、逆に「どのキャラクターで作ってみたい?」と聞かれました。なので、我々に一番合うキャラクターだと思ったスパイダーマンを選んだんです。それ以来、マーベルゲームズやSIEと緊密に協力し合いながら開発しています。

――インソムニアックと一番合うのがスパイダーマンだと思った理由はなんでしょうか?

 まず、ピーター・パーカーの“いつでもガンバるんだけどうまくいかない”という感じがとても気に入っていたからです。それでも最後には何とかなるというところも、インソムニアック・ゲームズっぽいなと。

 他にも、ピーター・パーカーはいろいろなガジェットを発明しますよね。私たちも開発したすべてのゲームでガジェットを入れていますので、その辺りも親和性が高いなと思いました。

――ゲームを作るにあたり、他に候補に挙がっていたヒーローはいましたか?

 当初は社内でも議論はありましたが、個人的には最初からスパイダーマンしかないと思っていました。自分たちが作っているゲームの特性や、過去作のファン層などを考えても、やはりスパイダーマンだろうと。ちょっと生意気なところとか、おもしろいところなど、ラチェットと似ている面もありますしね(笑)。

――オープンワールドとして作るのは当初から予定されてたことなのでしょうか?

 最初から、プレイヤーが自由にマーベル世界のニューヨークを飛び回れるオープンワールドでなくてはいけないと思っていました。特に気を付けたのが、からっぽのオープンワールドではなく、人がいて交通がある、にぎやかなオープンワールドでなければいけないということです。

――オープンワールドのニューヨークを作るのは、チャレンジ的な側面はなにかありましたか?

 我々が過去に手がけた『サンセットオーバードライブ』という作品もオープンワールドでしたが、今回はその数倍の面積を作り上げたので、空白の部分をどう埋めるかというのが、1つの大きなチャレンジとなりました。アートスタイルも、よりリアリスティックな感じですし、街の人口密度や生活感というのもより濃密になっていますので、そこも挑戦でしたね。

――オープンワールド作品としては、かなり高いところまで移動できる空間が用意されていましたが、それはやはりスパイダーマンのアクションを意識して空間を作っていったのでしょうか?

 本作のニューヨークの街はかなり本物に近くリアルに作ってあるんですが、建物に関してだけは、高さが足りないとすぐに地面にぶつかってしまい、充分なウェブ・スイングを楽しむことができないので、ビルの高さを実際より高めに設定しています。

 上から飛び降りるときも高い方が楽しいですし。本作では、ウェブ・スイングをするときは、空中のどこか目に見えない点ではなくて、近くのビルのどこかに必ずくっついているんです。なので、ビルの高さが必要なんですよ。

――アベンジャーズビルやオズコープ社のビルといったマーベル世界での建造物と、自由の女神やエンパイア・ステート・ビルといった実在の建造物が同居していますが、こういったランドマークのバランスはどのように決定したのでしょうか

 これは実際のニューヨークではなく、マーベル世界のニューヨークなので完全な再現ではないんですが、それぞれの地区の様式や建物の配置などは本物のように作っていて、実際の建物も実際にそこにあるか、もしくは似たような建物が建っているようになっています。マーベル世界の有名な建物や、スパイダーマンならではの建物も、違和感のないように取り入れました。

――本作はオリジナルストーリーとのことですが、ピーターがある程度スパイダーマンとしてキャリアを積んだあとの話という状況を選んだ理由をお聞かせください

 まず、スパイダーマンの誕生物語というオリジンストーリーは、すでに何度も語られているなと思ったんです。なので、みなさんがすでに知っている物語のために、何時間も費やしてほしくないということもありました。

 ゲームとして語るのに、一番いいタイミングはどこかと探したときに、大学を出ていろんな環境が変わるタイミング、その変化のときを語るのがいいんじゃないかと思ったんです。

 すでにスパイダーマンとして活動している状況のため、初めからスパイダーマンのアクションを存分に利用して活躍することができますし、大人のストーリーを語ることで、成人した大人のゲーマーの方もより感情移入していただける作品になるんじゃないかなと思いました。

――街に点在するバックパックを見つけることで、過去のことが判明していくようになっていますね。

 バックパックの中には過去の思い出が詰まっているので、そこから情報を得られます。また、会話の端々にもピーターのこれまでを感じさせるセリフもありますので、そういったところからピーターの歴史を感じることができるでしょう。いろんなシーンにイースターエッグ(※隠し要素やちょっとした遊び)を仕込んでいますので、そこからも見つけていただけると思います。

――メインストーリーやサイドミッションなど、本作をやり込んだときの全体的なボリューム感はどの程度でしょうか?

 プレイヤーによってどの程度サイドミッションをやるかなどが違うので、平均プレイ時間などを出すのは難しいですが、我々がこれまで開発したなかでは最大のゲームです。何度プレイしても満足感を得られると思いますし、実際に体験してもらえれば必ず楽しんでもらえるとも思います。

――街中で発生する犯罪については、例えば本編クリア後であっても絶えずランダムで発生するのでしょうか?

 サイドクエストなどは、ゲームをクリアしたあとでも新たに手にした能力などを使って再度挑戦したり、未プレイのものをやることもできます。小さな犯罪に関しては、ずっと発生し続けることになります。

――パネルを操作するなど、ミニゲーム的なものが入っていましたが、ああいうものも継続して出てくるのでしょうか?

 ピーターはとても頭の良い人間なんですけど、それがこれまでのコンテンツだとなかなか実感してもらえていないかなと感じたので、そのピーターの頭のよさを実感していただくためにミニゲーム要素を入れました。

 ピーターの親友でもあるハリー・オズボーンはヨーロッパへ留学中なんですが、ハリーの残したリサーチステーションでも同じようなパズルを楽しむことができます。

――そういったミニゲームや犯罪の解決などで手に入るトークンを使って、スキルやガジェットを解放していくんですよね?

 そうです。他にも名所を写真に撮ることで得られるトークンや、ピーターのバックパックを集めることで得られるトークン、あるいはフィスクの残党が陣取っている基地を制圧するとか、そういったことから得られるトークンを使って、新たなアイテムやスーツなどを作っていく形になります。

――一見しただけでもものすごい数のスーツのシルエットが確認できましたが、能力なども含め、すべて解放できるだけのトークンは手に入るのでしょうか?

 もちろんです。スーツだけではなく、スキルポイントやガジェットのアップグレードなど、ゲームをすみずみまでプレイしてもらえれば、全部解放できるようにはなっています。ただ、プラチナトロフィーを取れるくらいのやり込み度になるかもしれませんが(笑)。

――では、トークンやスキルポイントを惜しんで何かの解放を断念する、ということはあまり気にしなくても楽しめそうですね

 ただ、ストーリーを進めていくなかで、それらが一気に手に入るわけではなく、トークンを手に入れるにはある程度のプレイは必要なので、プレイ中にどちらのスキルツリーを優先するかだとか、どのガジェットを作るかといった選択はプレイヤーが下していくことになるでしょう。

――ガジェットはどんなものが存在しますか?

 例えば、ウェブ・シューターを改造することで敵を感電させるウェブを放つものや、敵をスタンさせて壁に引っ付けてしまうもの、“インパクト・ウェブ”という衝撃波で敵をノックバックさせるもの、スパイダーマンの近くにいて敵を攻撃することで敵の注意を引いてくれる“スパイダー・ドローン”などがあります。

 設置しておくことで、レーザーに引っかかった敵を壁に貼り付けてしまう“トリップ・ワイヤー”というのもありますね。実はこれは敵にも付けることができて、取り付けられた敵と引っかかった敵を一緒にくっつけてしまうこともできます。グレネードのように爆発して、周囲にウェブをまき散らして敵の動きを制限する“ウェブ・ボム”というのもありますよ。

 他にもいくつか明かしていないものがあります。

――かなりヴィランが登場していますが、どれくらいのヴィランがいますか?

 キングピン、ショッカー、「シニスター・シックス」のうち、ライノ、バルチャー、エレクトロ、スコーピオン、ミスター・ネガティブ。「シニスター・シックス」のうち5人しか明かしていないので、少なくともあと1体はいますよね。あとはひょっとしたらサプライズもあるかもしれません。

 実はストーリーが進むにつれ、より混沌がもたらされるようになって、それに従って街の景観なども変わっていくんですが、それを防いで治安を回復するために市長のノーマン・オズボーンが呼んだのがシルバー・セーブルというキャラクターと、彼女が率いる傭兵組織です。

 彼女が登場するトレイラーも公開されています。

 ただ、ノーマンはスパイダーマンのことをヒーローではなく、混沌をもたらした原因の1つとして認識しています。そのため、シルバー・セーブルはヴィランではないですが、スパイダーマンと対峙することになります。

――最後に、スパイダーマンのファンはもちろん、スパイダーマンをよくは知らないけど、本作に注目しているユーザーにメッセージをお願いします

 日本のファンの方々には、『ラチェット&クランク』をはじめ、たくさんのインソムニアック・ゲームズのゲームをプレイしていただいて、ありがたく思っています。PlayStationのブログやいろんな記事、SNSなどでもファンから熱いメッセージが届いていて、それも非常にうれしく思っています。日本のファンがこれまで予約してくれた数にも非常に満足しています(笑)。

 発売されたらぜひ、このゲームでニューヨークを訪れて、スパイダーマン体験を楽しんでください。プレイされたあとは、インソムニアック宛にいろいろメッセージを送っていただくのも大歓迎ですよ!(笑)

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