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2018年8月1日(水)

『チェンクロ3』松永Dインタビュー。6年目に突入した『チェンクロ』が向かう先とは?

文:マスクド・イマイチ

 セガゲームスが配信するiOS/Android/PC用RPG『チェインクロニクル3(以下、チェンクロ3)』。本作の総合ディレクターを務める松永純さんにインタビューを行いました。

『チェンクロ3』

 7月26日でサービス開始から5周年を迎えた『チェンクロ3』。7月15日には、ファン感謝イベント“5th Anniversary ユグド祭 2018”が東京のTFTホール1000および、大阪の味園ユニバースで開催されました。

 今回は、『チェインクロニクル』の総合ディレクター・松永純さんに、“ユグド祭”で発表された内容や、6年目の方針などについて語っていただきました。

『チェンクロ3』
▲『チェインクロニクル』総合ディレクターの松永純さん。

5周年を迎える『チェンクロ』。“ユグド祭”を終えての感想

――まずは、東京・大阪同時開催となった7月15日の“ユグド祭 2018”について伺います。松永さんは大阪会場に参加していらっしゃいましたが、会場の雰囲気はいかがでしたか?

 以前、ツアーをやったこともあったのですが、そのときは参加できなかったので、初めて地方に行かせていただけて新鮮でした。大阪でこれぐらいの規模のイベントだから来たという方や、『チェンクロ』の事前登録のときからやってくれているユーザーの方もいらっしゃって。

 普段東京でイベントをやっているときに触れさせてもらっている熱量や、人気投票企画やゲームを通じて送っていただいているユーザーさんの声とはさらに別のところにも、ずっと長く熱を持って遊んでくれているユーザーさんがたくさんいらっしゃるということが大阪で感じられて、すごくありがたかったです。

『チェンクロ3』 『チェンクロ3』
『チェンクロ3』 『チェンクロ3』

――中継で東京と大阪をつなぐという試みがおもしろかったですね。

 そうですね。中継がうまくいかなかったり、課題もたくさんありましたが、“クイズ大会”などの初めてのイベントも含め、東西でつながって、一緒に5周年を楽しむという、目指していたポイントは、ちゃんと楽しんでもらえたのではと思っています。

――クイズの難易度は、なかなか歯ごたえがありましたね。松永さんも中継で“セガらしい難易度になってしまったので、次回はバランス調整を行います”とおっしゃっていましたが(笑)。

 難易度はちょっとアレでしたね(苦笑)。今回のクイズ企画は、せっかくの5周年なのでタイムアタック企画だけでなく、ふだんストーリーを中心に楽しんでいるユーザーさんなども一緒に楽しめる企画もできませんかとお願いさせてもらって、生まれた企画だったんです。最終的にはジャンケンで決まってしまって、グダグダ感もありましたが、解答してくれているファンの皆さんの表情がとても楽しそうだったのが、とても嬉しかったです。できれば、本当にバランス調整をおこなって、また開催させてほしいなと思います(笑)。

――イベントでユーザーさんと交流はされましたか?

 はい、名刺交換などを。たくさんしていただきました。やはり直に声を頂くと、すごく強く熱量を受けるというか、ここまでプレイしてきてくださった時間と想いがすごく伝わって。今後の励みにしていきたいなと思います。お声掛けいただいた皆様、ありがとうございました。

――中継では、小さなお子さんの声が聞こえていたのも印象的でした。

 最前列でファミリーで見てくださっていた方がいらっしゃって。舞台側でも出演者全員が癒されていました(笑)。今回、会場で驚いたのですが“親子でやっています”というユーザーさんがけっこういらっしゃって。ほかにも『チェンクロ』を始めたきっかけが“お母さんに勧められて”という方もいらっしゃったりとか。5年続くと、こういう場にも出会えるのかと、感慨深かったです。

――5年間も運営されていると、サービス開始時に学生だった人が社会人になったり、ご結婚されたりというユーザー側の環境の変化もありますよね。

 SNSなどでもそういう話を拝見させてもらっていますが、不思議な感じがしますね。普段ゲームの中で交流する要素が薄めのゲームなのに、と思いますが、だからこそ、ユーザーさん同士でのリアルな交流というものの意味が大きいのかもしれません。普段ユーザーさんからのメッセージを見ていても、“もっと『チェンクロ』をやっているプレイヤーさんと知り合いたい!”と言ってくださっている方がたくさんいて。そういう“誰かに話したい!”、“共有したい!”と思う何かを持ってプレイしてもらえているのは、ありがたいことだと思います。

『チェンクロ3』

――以前開催されていた“チェンクロ酒場”などのように、ユーザー間の交流の場を設ける予定はありますか?

 個人的に、希望としては強くあるので、そういった機会を作れればいいなと思います。

“ユグド祭”での発表について――『ペルソナ3』コラボ、新天魔、三魔神実装!

――では“ユグド祭”で発表された内容についてお聞かせください。まずは『ペルソナ3』コラボが発表されましたね。

 前回『ペルソナ5』でコラボさせていただいたときに、アトラスの開発の方とコミュニケーションをガッツリ取らせていただいて、開発同士で「またやりたいですね」という話にはなっていたんです。

 それでまた『ペルソナ』が盛り上がるときにと考えていて、今回アニメの『ペルソナ5』も放送していて、ゲームも『P3D - ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』が6月に出ているという、このタイミングでコラボをさせていただくことになりました。

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――『ペルソナ』シリーズは、『3』からユーザー層も幅広くなった印象があります。

 僕は『1』も『2』も『3』も『4』も『5』も、シリーズ全部好きですけどね(笑)。それぞれちょっとずつファン層は異なるイメージもありますよね。せっかくゲームが出たということで、それぞれの後押しになればということで、今回は『3』とのコラボになりました。

 『ペルソナ』コラボについては、あちらの開発チームのみなさんもすごい作品にこだわりをもっていらっしゃって、前回もそうでしたが、今回も双方でガチガチ突き合わせながらいいものを作っていく過程をやらせてもらいました。コラボにこれだけの熱量をかけていただくことに、アトラスの開発の皆さんに対してたいへん申し訳なく思いつつも、今回も高いクオリティのものが仕上がりました。ファンの方も絶対盛りあがれるコラボになっていますので、楽しんでもらえればと思います。

――今回は『ペルソナ5』のキャラクターの復刻と上方調整もあるんですね。

 今アニメをやっているのもあって、『3』のファンの方が始めてくれたとき、『5』も好きなんだけどもうパーティに入らないの? っていうことにならないよう復刻も実施することになりました。で、そうしたとき『5』のキャラって、『3』のキャラより弱い? ってならないように、ちゃんと上方調整も実施させてもらいます。

『チェンクロ3』

――26日に実装された新天魔“遍満森羅ノ天魔 サクルフ”についてお聞かせください。

 今回は獣っぽい、毛色が違った見た目の魔法使いになっています。役割は同じ魔法使い天魔の“クニアリ”とは違った活躍ができるよう、バトルチームが設計してくれています。パーティの要として、さまざまな能力でパーティキャラをサポートしてくれる強力なキャラクターになっているので、ぜひ獲得を目指してもらえればと思います。

――迷宮山脈の妖精や火鬼を描かれている村山竜大さんのイラストなので、モフモフ好きな彼らのファンに喜ばれているようですね。

 今まで村山さんには“かわいらしいケモノ”という感じのお願いをずっとしていたので、今回は意識的に“神々しいケモノ”という発注をさせていただきました。結果的にはお願いどおりのものをいただけたなと。かっこいいですよね!!

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――続いては三魔神についてお聞かせください。“バルクス”の実装が発表されたときの歓声が非常に大きかったですね。

 彼らは24日から配信される“5周年記念クエスト”に登場しています。“ラベゼリン”と“マスカルウィン”の新イラストも、大きな反響をいただけました。“バルクス”は以前から、なんとか登場させてあげられないかと相談していたキャラなので、よきタイミングで登場することができて、本当によかったです。

 “マスカルウィン”は5年経っても丸くなったりとかではなく、さらに強そうなイメージで再登場です。所属は3人とも魔神です。“ラベゼリン”と“マスカルウィン”はレジェンドでの登場になります。ふたりとも、魔神パーティの軸となるキャラクターとなるようなので、ご期待ください!

『チェンクロ3』
『チェンクロ3』

――初めての魔神のレジェンドになりますね。魔神は人気投票をやってみて、人気の高いキャラもわかりましたが、今後1部・2部の魔神たちがレジェンドになることもあるのでしょうか?

 そうですね、魔神や旅人のレジェンドは現状いないですが、今回の人気投票でもたくさんのコメントを頂いていて。ですのでその辺りのキャラクター実装の幅は広げていきたいよねと運営チームとも話しています。

――会場で大人気だった『ちぇんくろVR』は、どういった経緯で作られたのでしょうか?

 あれは普段モーションや3Dモデリングを担当しているデザイナーチームが、空き時間をうまく使って頑張って作ってくれたんです。ある日突然、「試しにこういうもの作ってみたんですけど」って持ってきてくれて。

 これおもしろい! ユーザーさんにも完成したものを見せられたら、喜んでもらえそうだよねって盛り上がった結果、“ユグド祭”の会場コンテンツとして間に合わせてくれました。

 せっかくなら遊び心もあったほういいということで、「おっ!」って思ってもらえるように、なかなか登場機会が得られない“ガラクスィアス”なども3Dで登場したりしています。

――あの1回だけではもったいないなという印象があります。

 そうですね。行列もすごかったですし、会場に行けなかったけど見たいという声もいただいているので、何かしらの形でお届けできないかという相談を今はじめています。

『チェンクロ』6年目のテーマは“過去と未来に拡がる物語”

『チェンクロ3』

――会場で発表された6年目のテーマについて、まずは過去の話ということで“伝承篇”の第1弾“九領vs精霊島 戦争篇”が発表されました。この配信タイミングやボリュームなどを教えてください。

 現在も調整している部分はありますが、“伝承篇”についてはこれまでの外伝同様、しっかりしたものを用意しようと思っています。配信スパンは運営チームとも相談しているところですが、できるだけ早くスタートできればと思っているので、それほど先にはならないはずです。

――第1弾“九領vs精霊島 戦争篇”は10年前という時代設定ですが、“伝承篇”それぞれで何年前という時代は異なるのでしょうか?

 はい、違ってきます。『チェインクロニクル』の第1部以降へとつながっていく、ユグドでの大きな出来事がそれぞれ舞台となりますので、舞台となる時代はさまざまです。とはいえ、おなじみのキャラクターたちが中心となるので、何百年前とかそういうのはないですね。義勇軍の冒険がはじまった時から、10~20年前までくらいの範囲で、さまざまな時代と場所が舞台となっていきます。

『チェンクロ3』

――魔法兵団学生篇では、ヴェルナー、カティア、ユニ、クラウス以外も出演するのでしょうか?

 主要メンバーは紹介させてもらった面々ですが、登場するキャラクターは他にもたくさんいます。魔法兵団学生篇に限らず、なるほどこの時代のこの場所で、このキャラが!?といった驚きもたくさんあるドラマになる予定ですので、楽しみにしていただければと思います。

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――シナリオごとに、バトルが熱かったり、コメディ要素があったり、テイストは異なるのでしょうか?

 そうですね。登場するキャラクターもさまざまなので、それにあわせて、笑いあり涙あり熱さありのドラマを目指して制作していく予定です。とはいえ、ただ“軽い”だけという感じのものはなくて、『チェンクロ』世界の歴史のピースを埋める、気になっていた設定が明らかになるなど、それぞれのストーリーによって『チェインクロニクル』の世界がつぎつぎ補完されていく感覚を、楽しめるものとして作れればと思っています。

 第一弾の“九領vs精霊島 戦争篇”では、メインストーリーでもよく話にのぼる、両勢力の闘争の時代が描かれます。領主になる以前のシュザが描かれたり、発表させていただいた、病を患う以前の若武者姿のヨシツグが登場します。また魔法兵団学生篇では、魔法兵団設立の過程が描かれたりと、いずれもこれまで義勇軍の物語を追ってきていただいた方であれば絶対に楽しめるものにしていきますので、楽しみにしていただければと思います。

――現状の第3部メインストーリーの更新頻度は変わらず、追加で“伝承篇”が配信されていくような形になるのでしょうか。

 はい。“伝承篇”をやっている間メインストーリーは完全にお休み、ということにはなりません。もちろん、あまり過密になるのも困るので少し調整はさせていただくかもしれませんが、基本的にメインストーリーも引き続き配信が行われますので、第3部の物語を楽しんでくださっている皆さんも、若き主人公たちの冒険の続きを、引き続き楽しんでいただければと思います。

“新英雄祭”に関する変更について

――“新英雄祭”の開催が見送られることになりましたが、これはどういった経緯があったのでしょうか。

 はい。これは告知させていただいた通り、“ユグド祭”にて発表させていただいた内容について、再度検討を行わせていただき、発表した“新英雄祭”の中止、ならびに主人公キャラクター提供方法の変更を実施させていただきました。

 これについては、発表した内容をいきなり変えることになってしまい、登場を楽しみにしていた方には、本当に申し訳ありませんでした。ただ、内容として一度実施されてしまうと今後も同じやり方になるのではと懸念させてしまうことになるため、しっかりと話し合いをしたうえで、変更の判断をさせてもらいました。

 変更後の仕様については、方針を告知させていただいていますが、RPGとしてより楽しめる形にして、しっかりとお届けしたいと考えているので、すこし時間がかかるかもしれませんが、お待ちいただければと思います。

――どういう形で成長した5人の主人公(Ver.2)を実装するのでしょうか。

 Ver.1の主人公が持つ義勇軍記の育成を行うことによって、成長した主人公アルカナを獲得できるという仕組みを現在検討しています。これによって、現在の主人公が成長し、新たなる姿を見せるという体験に繋げられればと思っています。きちんとした仕様が決定しましたら、あらためて情報を出させていただければと思います。

――インクの使い方はどうなりますでしょうか。また、入手方法などが増加する予定はございますか?

 はい。現状のバランスですと、おそらく成長させるまでの難易度が高すぎることになると思っているので、仕様確定後、成長のレベルデザインを見直して、入手できるタイミングなどについても調整を行うつもりです。

アップデートでオートバトルやシークレットクエストが追加に!

――アップデートで追加される“シークレットクエスト”についてお聞かせください。

 それは今お話した、主人公たちの話とも少し関係していまして。ストーリーを楽しんでくださっている方がたくさんいるなかで、“アマツ”篇だったら“アマツ”や“ベニガサ”、“ヒトリ”でパーティを組んで遊んでいるという方も多いと思うのですが。それっていわゆるRPGの本分でもある“ロールプレイ”の楽しさで。でも、今まではそうすることでのゲーム的なメリットって何もなかったんですよね。

 そこで今回、そういったメインストーリーに登場するキャラクターで遊んでくれている方に、ゲーム的なうれしさが生まれるよう、“シークレットクエスト”というものを用意させていただきました。各章ごとにひとつ、隠されたおまけシナリオが出現するというシステムです。

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――すでに実装済みの“SPストーリー”との違いは、どういった部分でしょうか?

 SPストーリーは、このストーリーではこのキャラを使って! という仕組みですよね。仲間になったキャラによって、メインストーリーの一部が補完されるのを楽しんでもらうシステムです。

 でもさっき話したようなプレイをされている方って、常にリーダーはアマツで、メンバーにはヒトリとベニガサがいてという感じです。そうすると、長く続くメインストーリーの中で、その3人を使っていて何かが起きることって、ほんの数回しかないわけです。

 そうではなく、アマツ篇はアマツをリーダーにしてとか、エシャル篇を遊ぶときはエシャルとシャディアを入れてというロールプレイを常にしている人が、配信のたびメインストーリーで楽しいと思えることを目指したシステムになっています。

――特定のキャラでストーリーをクリアするとポイントが貯まるという話をされていましたが、シークレットクエストが開放される仕組みについて詳しく教えてください。

 はい。各章ごとにプレイするたびシークレットクエストの開放ポイントが蓄積されていって、一定まで貯まると、主人公の各章ごとに用意されたクエストが出現するという仕組みになっています。このとき、ストーリーに登場しているキャラクターをパーティで使用していると、このポイントが多く貯まりやすいというイメージです。

 ですので、特定のキャラクターを持っていないとダメ、みたいなものではなく、どういった遊び方をしていても、繰りかえし遊べば、いつかは必ず開放されます。ですが、ストーリーに合わせたキャラでプレイを楽しんでいるユーザーさんは、何度も繰りかえさなくても、その章のストーリーをクリアするころには一発で「シークレットクエスト開放!」となって気持ちいい、という具合です。各章クリアするたび、ポンッとクエストが出現することで、ストーリーを好きな方が、気持ちよくおまけストーリーを楽しめる、という形を目指せればと思います。

 クエストのストーリーについては、まだ詳細調整中ですが、メインストーリーを楽しみたいという方に向けたものなので、そういった方がニコリとできる様々なドラマを用意できればと思っています。

――オートバトルの実装について、この5周年のタイミングで踏み切った理由を教えていただけますか?

 これはずっと検討はしていたものでして。数年前までは、ないほうがいいと思っていましたし、その判断でよかったと思います。そこからいろいろなアップデートやコンテンツが多量に加わって、遊び方が変わっていくなかで、今この時期には必要な機能だと思い、今回実装することにしました。

『チェンクロ3』

――高難度の“深淵の渦”や“年代記の塔”の上層は、オートバトルではクリアできないと思うので、自分で操作するバトルとオートバトルの使い分けができるのはいいですよね。

 そうですね。今なら、一定の強さになったとしても全部オートでクリアできるということは起きないので。また、オートバトルを入れることで、オートバトルに適したパーティを組む楽しみの幅も生まれるかなと思っています。

 数字やデータを調べている部署とも話していたのですが、エンドコンテンツと呼ばれる“深淵の渦”や“年代記の塔”をプレイしている時間がユーザーさんの中でグッと増えていて。これらのコンテンツは勝負どころでは本気なプレイを求めれますが、とはいえプレイ時間の多くは、そのステージの手前までの楽勝プレイな時間なんですよね。

 このように、今は日々のプレイの中で、かなり難度に緩急があるんですよね。しかも“緩”が多い。魔神イベントでも、どんどん勝負どころのレベル帯が上がっていますし。であれば、オートプレイは必要だろうと。当時NGと判断したときには、渦も塔もありませんでした。このように、長く続いているコンテンツだからこそ、見直すタイミングも必要だと思っています。

――アプリゲームで5年も続いていると、ユーザー層や時流というのも変わってきますからね。

 はい。ただ、大きく変えることについて「変えてほしくない」というユーザーさんがたくさんいらっしゃることも理解しているつもりなので。本当にその判断は慎重を期してやりますし、「やるべき大きな意味がなければやらない」という前提があってこそだと思っています。

――同名キャラを同一パーティに編成できるようになるのは、衣装替えの“クロニクルコレクション”などを意識した部分でしょうか?

 そうですね。これも“クロニクルコレクション”を開催するたびにユーザーさんからそういうお声もいただいていたので。これまでレジェンドのキャラなども同様だったわけですが、特にクロニクルコレクションでは、同じキャラでも職業が違うといったアプローチも行っています。こうなるとパーティ構築の想像の幅も広がりますし、その中でやはり同名のアルカナをどちらも入れたいという発想も増えます。そういった状況と向き合った上で、対応の判断を行いました。個人的には、解禁したくなかった部分なんですが(苦笑)。

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――松永さんは、以前から「『チェンクロ』の世界観的にはちょっと……」とおっしゃっていましたよね。

 はい。実際、チェンクロの世界に同じキャラはふたりいないわけですから、ロールプレイの感覚に反するものだなと思っています。ですがエンドコンテンツを遊ぶときに、そういうパーティを組みたくならないかと言われると、自分もそこの想像の自由度は高いほうがいいと思うので。攻略を楽しむゲームとしては正しいとも思っています。ですがロールプレイの感覚が減るだけになるのは嫌なので、“シークレットクエスト”の実装も合わせて行うことにしたんです。

 エンドコンテンツへの遊び方も広がる一方で、メインストーリーのロールプレイ的な遊びもうれしいことがちゃんと増える、どちらの方向性をメインにしているユーザーさんにも遊びが広がるようにできればと思い、“シークレットクエスト”、“同名キャラパーティ編成”を同時に実装することにしました。

 『チェンクロ』は、RPGとして遊んでいる方、バトルを楽しむゲームとして遊んでいる方、どちらのユーザーさんも多くいるのがわかっているので、どちらかだけでなく、双方にちゃんとよいことが増えるように考えていきたいと思っています。

――この1年で“大狩猟戦”が新イベントとして根付いてきましたが、さらに新しいイベントやカジノといった違う遊びを追加する予定はありますか?

 今回発表できていないので、直近の予定としてはまだ立っていないわけなんですが、新しい遊びの実験は行っています。また、カジノやアリーナなどの改修検討も続けています。いずれにしても、ゲームの全体ボリュームはかなり多くなってきているので、遊びの追加は丁寧に考えていかなければと思っています。それと、5年も更新を続けてきたゲームなので、ひとつの大きな追加がさまざま影響してしまったり、容量的な問題などもあるので、きちんとした形で提供できるよう、慎重を期していきたいと思っています。

 ただ、目新しいイベント自体はやはり欲しいなと思っていると思うので、いろいろなやり方を検討したうえで、よいタイミングで実装できればと思いますね。

――去年末の踏破型イベントで、エシャルのお芝居に合わせてマップのイラストが進んでいくなど、既存のイベントで新しい魅せ方も試みていましたね。

 そういう意味ではこの半年ぐらいは、メインストーリーの外伝的な物語となる踏破型イベントをやらせてもらったり、そういった部分へのアプローチを重点的にやらせてもらっています。

 九領の“オウシン”が活躍する踏破なども反響がよかったですし、開発的にも手応えがありました。単純にコンテンツを足していくのではなく、ストーリーも含めて『チェインクロニクル』としての遊びの幅を作れればと思っています。去年だと、アリーナなどはあまり多くの人に刺さらなかったなと反省しているところなので。

――今回の“ユグド祭”のタイムアタックとかも盛り上がったので、すごいプレイを見ること自体は楽しめる土壌はあるのかなと思いました。

 スポーツを観たいのと、選手になりたいのは別、というのに近いのかもしれないですね。上達の体験とかも感じられるように仕組みとしては入れていたんですけど、そもそも参加しないというユーザーさんも多かったので……。

――“年代記の塔”は絶妙なバランスで、プレイ動画とかを見ていると“もしかして自分もクリアできるかな……”とか、アドバイスをもらいやすかったりする気がしています。

 そこは私たちの認識が間違っていた部分で反省しています。逆にバトルシステムと関係のなさすぎるイベントの参加率も低いので、ちょうど良くバトルの体験要素があるイベントをいかに提供できるかを今後の課題として、検討を進めています。

完全に新しいシステム、年代記の塔のように既存のイベントをより楽しめるよう改良するもの、さらには同じ仕組みでも踏破イベントのように、物語としての楽しみ方を変えるもの。ここから先も、5年かけて得た経験を活かして、さまざまなチャレンジを行っていくつもりなので、引き続き楽んでいただければと思います。

『チェンクロ3』

6年目を迎える『チェンクロ』が目指す場所とは?

――9章以降のストーリーについてはいかがでしょうか? 7章で第3部主人公が集まって、またそれぞれのストーリーに一度戻っていきましたが。

 ここからいよいよ後半戦という感じですね。7章も好評だったのですが、本当のクライマックスというのではもちろんないので。第3部の主人公たち全員が知り合いになったので、ドラマの魅せ方とかも、よりダイナミックに交差が起きて、熱いものになっていきます。第7章では5本のストーリーが1本につながっていくおもしろさを見せましたが、逆に第8章以降ではまた5本のストーリーがそれぞれ違う盛り上がりを見せていきます。

 ヘリオス・主人公篇は、宿敵であった白の預言者との戦いに決着もつき、改めて物語が主人公の視点となり、フィーナやピリカたちが加わったことで、まさにもう一度新たな冒険がはじまる形になります。そしてヘリオスとトロメアの運命は、より深く熱く流転していきます。彼らだけでは支えきれないほどの大きな宿命を、主人公であるプレイヤーの皆さんが支え、ともに進んでいくという物語は、第3部の新たなスタートとも感じてもらえるはずです。ふたりの運命の行く先がどこへと至るのか? 彼らを導き、そして見届けていってほしいと思います。

 一方で、アマツ、アリーチェ、セレステ、エシャルら4人の主人公の物語は、前篇の流れから続くため一気に後半戦に突入、ヘリオスたちとは対照的に、怒涛の展開を見せていきます。宿敵たちは大きく動き出し、4人はいよいよ、自身にとっての大きな岐路に立っていきます。クロニクルの欠片を身に宿した、彼らの内なる願いが何をもたらすのか。後半戦の物語は、最初からクライマックスのようで、本当に目が離せません。どのストーリーも本当に熱いものになるので、ご期待ください!

――最後に6年目に向けて、ユーザーへのメッセージをお願いします。

 5周年という大きな節目を越えて、今回“過去と未来に拡がる物語”というテーマを出させてもらいました。この言葉の意味は、“伝承篇”などを通してチェンクロの物語が過去にも広がっていくといったそのままの意味ももちろんありますが、その奥には「第1部、2部の昔からのキャラクターも、第3部からの新キャラクターも、新旧みんながそれぞれ物語の中で輝く」という大きなテーマがあります。

『チェンクロ』は5年という月日を遂げて、メインストーリーで活躍しているキャラクターはもちろん、そうでない“最近、出てこないね”というようなキャラクターも、皆たくさんの支持をいただいています。キャラクターの数だけ強い想いが込められている、そんなタイトルになったことをすごく実感しています。

 その皆さんの気持ちに応えることを、6年目は重点的にやっていきたいと思います。“伝承篇”はそのひとつとして、メインストーリーだけでは魅力を見せきれないベテランキャラたちが、若々しいちょっと青いとも言える魅力的な一面を見せるドラマを展開していきますし、そのほかにもイベントストーリーのチャレンジによって物語の見せ方を変えたり、ゲームとしての活躍の幅を広げることでキャラとしての魅力を発揮する機会も作っていきます。そしてもちろん“未来”へと続くメインストーリーの大きな流れも、最高に熱い物語を紡いでいきます。

 それぞれのキャラクターにたくさん愛情が向けられていることを受け止めたうえで、それぞれが活躍する姿、ユーザーのみなさんが「こういうところが好き!」といえるものを提供できるように開発と運営で突き詰めていきたいなと思っています。もっともっと広がっていくし、1人1人のキャラクターが輝いていけるような『チェンクロ』を作っていければと思っています。皆さんも一緒に、広がりつづける義勇軍の物語を楽しんでもらえればと思います!

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