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2018年9月8日(土)

【おすすめDLゲーム】オープンワールドサバイバル『SCUM』をプレイ。ハードコアとユーモアの間に可能性が光る

文:キャナ☆メン

 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回は、Steamでアーリーアクセス版が配信中であるPC用ソフト『SCUM』のプレイレポートをお届けします。

『SCUM』

 『SCUM』は、囚人たちのサバイバルを娯楽にした架空のTV番組を題材とする作品です。Devolver Digitalがパブリッシャーを担当し、わずか1週間で70万本を売り上げるヒットを飛ばしています。

 世界設定からはバトルロイヤル系のイメージがあるかもしれませんが、ゲームジャンルは別物で、囚人の1人として広大な島の中を生き抜くオープンワールドサバイバルゲームになっています。

『SCUM』
▲1つのサーバで同時に遊べる人数は最大64人。シングルプレイも選択できますが、基本的にはマルチプレイ型のゲームです。

 フィールドには、野生動物が生息する森林や、ゾンビが徘徊する廃虚となった町、2脚メックがガードする施設など、さまざまなエリアが存在し、自由に生きる手段を得ることができます。独自の“代謝システム”と、クラフトをはじめとするオーソドックスなサバイバル要素のベースはそろっていて、現時点ではゲームの基本的な部分をプレイ可能です。

 すでに頻繁なアップデートが行われていますが、本プレイレポートは、9月6日にセーブファイルのフォーマット変更のためサーバ上のキャラが消えるまでのプレイをもとに書いています。開発中のゲームを楽しむ、アーリーアクセスならではの体験。遊ぶ場合は、そういうこともあると受け入れてプレイしてもらえればと!

『SCUM』
▲開発途中のため、ゲーム内容のすべてを楽しめるわけではありませんが、完成に向かって日々変わっていくゲームを遊べるのもアーリーアクセスの醍醐味です。

それぞれのゲームプレイがキャラを形作る代謝システム

 本作のコアとなる“代謝システム”は、運動や食事などゲーム中の行動が、有機的にプレイヤーキャラの身体能力やバイタルへ反映されるメカニクスです。

『SCUM』
▲キャラメイクの最終画面。STR、CON、DEX、INTと4種ある能力値のうち、左から3つの身体能力は、食事や運動、体調などに応じて少しずつ上下します。

 例えば、キャラが走るとスタミナを消費するだけでなく、心拍数、血圧、呼吸数が上がり、運動によってカロリーを消費します。食事をとると消化が行われ、口にしたものは栄養素と排泄物に分かれていきます。もちろん、結腸や膀胱にたまった排泄物は身体の外に出さないといけません!

 “出物腫れ物所嫌わず”とはよく言ったもので、ゲージが頂点に達するとどんな状況で“あれ”をもよおします。ゾンビに襲われている最中、「I really need to urinate!(マジで小便漏れそう!)」と表示が出た時は、思わず腹を抱えましたね(笑)。

『SCUM』
▲上で触れた場面。体内の状態を大真面目にシミュレートするすごいシステムではあるものの、吐いたり排泄したりと、時としてバカゲー(褒め言葉)に感じる時もあります(笑)。
『SCUM』
▲排泄は漏れそうになるまで我慢せずとも、任意に行うことができます。トイレ休憩は大事ですね。

 キャラクターの身体能力も同様にシミュレートされ、例えば、全力疾走をして運動すると、体脂肪が減少して痩せはじめ、運動を継続すればHPやスタミナなどに関連するCONの能力値がほんの少しだけ上昇します。逆に、能力値が下がってしまうケースもあります。

 プレイの体験が、キャラにどんな変化をもたらしているか。本作ではそれを表現するために、体温や血圧から栄養素と体脂肪に至るまで、膨大なパラメータで身体の状態が細かく数値化されています。

『SCUM』
▲代謝システムの画面。主に右側が栄養素と消化、左側が体調と身体能力を表したデータになっています。

 画面を埋める数字の羅列に思わず頭が痛くなりますが……実際のプレイでは、数値を細かく気にする場面はそれほど多くありません。

 現実で体内の数値を完全にコントロールするのが難しいように、そして1つ1つの数値を普段は気にせず生きているのと同じように、普通にプレイするだけなら病気に気をつけていれば何とかなります。あとは排泄物のたまり具合(笑)。

『SCUM』
▲高熱を出してキャラが唐突にぶっ倒れた場面。熱なので体温を見てもわかりますが、SICKNESSの覧に異常な高熱(Hyperthermia)と病状が表示されています。

 もちろん、現実にはアスリートのような人たちもいます。『SCUM』の中でも、栄養素や運動量を意識し、厳しい肉体管理を目指せば、前述のように身体能力は徐々に変化していきます。短期間での変化は微々たるものですし、いろいろな要素が影響するので、必ずしも思い通りにいくとは限りませんが。

 ただ正直なところ、どのように遊ぼうと自由だと思います。ただ生き抜くことだけを考えてプレイするもよし、ストイックにプレイして身体を鍛えるもよし。体脂肪などは変化しやすいですし、肉体の変化に抗うプレイもおもしろいでしょう。

 そうした1人1人のプレイスタイルが、少しずつキャラに反映される機能であること。つまり、“どんなゲームプレイをしているか”が、キャラを有機的に形作るシステムである点がユニークだと思います。

『SCUM』
▲各行動に紐づいたスキルの概念もあり、戦闘系であれば近接武器やハンドガンなど、どんな武器系統を得意とするかの個性も出せます。

 もしかしたら将来的に、キャラの体格や動きを見るだけで、その人がどんなプレイをしてきたのか想像したくなるゲームになるかもしれません。あるいは、動画やスクリーンショットで自キャラの変化を振り返るのが楽しい作品になるかもしれない。

 アーリーアクセス中のゲームであるため、最終的にどのようなバランスに落ち着くか未知数ですが、とても可能性を秘めたシステムとゲーム性だと思います。

『SCUM』
▲なお、キャラメイク時には、ビジュアル的な外観、能力値、スキルなどをカスタマイズ可能。現在は選べる項目が少ないですが、将来的に拡張される予定です。

リアリティあふれる『SCUM』のゲーム性。体験談を紹介

 ここからは、筆者が『SCUM』をプレイしておもしろかった出来事や苦い思い出など、印象に残った体験から、3つほどピックアップして紹介します。

 1番おもしろかった出来事は、バッドで殴りかかってきた外国人プレイヤーと意気投合し、一緒に遊んだ時のことですが……ゲーム性とあまり関係ないので省きます(笑)。

『SCUM』
▲マップが広くてあまり他のプレイヤーと出会わないので、一期一会に喜びを感じます(笑)。

たかが服されど服

 プレイして最初にリアリティと感動を覚えたのが、服を重ね着できること。下半身ならパンツの上にズボンを履き、上半身なら下着にシャツ、セーター、ジャケットを着て、さらに防弾チョッキやレインコートを被せられるという。

 今年の夏に同じ格好をしていたら間違いなく熱中症で倒れただろう、と思えるほどです(笑)。でも“ゲームだから”で諦めず、何重にも服を着られるのがいいなと。

『SCUM』
▲胴体の装備スロットは見た目6枠なのですが……実際にはウエストポーチや手袋なども含め、目に見えるスロット以上に装備ができます。

 また本作は、アイテムを持ち運ぶ際にスロット制限と重量制限の両方を満たす必要があります。スロットは衣服にも設定されているので、衣服やバックパックを調達することはとても重要です。

 さらに、服を切り刻んだ布きれは、手製のバックパックの素材にもなるし、怪我の手当をする包帯代わりにもなります。つまり現状の『SCUM』において、服は命綱とも言えるのです!

『SCUM』
▲リアリティを追求した本作は、まさに1発の攻撃で負傷(Physical injury)扱いになります。いつゾンビなどに襲われてもいいように、備えがあると安心でしょう。

リアルすぎるゲームシステム

 廃虚を探索していたある日、オートマチック拳銃を手に入れた時のこと。9ミリ弾を所持していた筆者は、「やったぞ、これで銃が使えるようになる!」と喜び勇んでリロードキーを押したのですが……装填したのは1発だけ。

『SCUM』
▲あれ!? データを見ると15発装填できるはずなのに!

 「何かのバグか!?」と思いながら、リロードを連打するも反応はなく、スロットを圧迫するだけのハンドガンを泣く泣くバックパックに収めたのでした。

 後から気づいたのは、マガジンを使用する銃器は、マガジンも拾わないと使い物にならないということ。いくら弾を拾っても戦闘でハンドガンを使えず、廃虚を転々としたことは、今ではいい思い出です(笑)。

『SCUM』
▲ハンドガンは、マガジンに弾を装填してから銃器にセット。弾を撃ちきった時、簡単にリロードできないので焦ります。
『SCUM』
▲キッチンや食料品店の廃虚によく落ちている缶詰も、缶切りがないと中身が食べられません。

狩猟の本格さにハマる

 足音を立てて近づくと、すぐに逃げてしまう野生動物たち。しかし、ある日のプレイで動物を見かけた時、猟銃が手元にあったので、それまで縁のなかった狩猟にチャレンジしてみました。

『SCUM』
▲初めて狩った獲物はヤギ。肉はおいしくいただきました。

 すると、これがおもしろい! 最初は勝手がわからず、遠くから1発撃ち込んでみたところ、獲物に逃げられてしまったのですが。

 そんな時は、マウスの右ボタンを長押しして視線をフォーカスすると、近くにある野生動物の痕跡が浮かび上がります。その痕跡を1つ1つ調べていけば、少しずつ獲物に近づけるのです。

『SCUM』
▲森の中に獲物の痕跡を発見。それを調べて、新たな痕跡がないかたどっていきます。

 足跡や血痕を頼りに、手負いの獣を追いつめていく……その体験には、まるで物語の中で見るような狩猟のリアリティがあります。慣れるまでは簡単でないものの、トドメを刺した時の達成感はたまりません。

『SCUM』
▲クマを狩猟すると、肉の他にも頭や足などの素材が手に入ります。
『SCUM』
▲ちなみにクマを細かく解体すると、「これはミステリーサークルか!」と言いたくなるような肉の花が咲きました(笑)。

ハードコアとユーモアの間に光るものを感じる作品

 『SCUM』は、アーリーアクセスが始まったばかりのゲームであるため、現時点では当然ながら足りない要素やバランスの粗があります。しかしながら、開発元のアップデートは積極的で、多岐にわたる要素の実装が予定されているため、将来的にゲームがどんどんおもしろくなる期待を持てるのではないか、と考えています。

 代謝システムをはじめ、リアリティを追求したハードコアなサバイバル要素は、プレイヤーが体験できるシチュエーションが増えるほど、いろいろな要素が複雑に絡み合っておもしろさに変わるゲーム性であると感じます。その意味では、十分にコンテンツがそろった時、どっぷりハマれるゲームに化ける可能性があるのではないかなと。

 現時点でも“何となく”ログインしたくなるゲームで、中毒性までいかないまでも、その萌芽のようなものを感じる作品です。ハードコアを匂わせる複雑さがありつつ、一方でその複雑さが真面目にバカ(褒め言葉!)をやっている、ギャップのある作品性が筆者の性に合っているのかもしれませんが(笑)。

『SCUM』
▲お気に入りの頭装備であるクマの被りモノ。何をやってもシュールに映るところがズルいです(笑)。

 何か興味を引かれる部分があって、英語やアーリーアクセス中のゲームに抵抗がない人は、試しに『SCUM』の世界を体験してみてはいかがでしょうか。ハードコアとユーモアの間に光るものを感じたら、ジワジワとおもしろくなってくると思います。

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データ

▼『SCUM(アーリーアクセス版)』
■メーカー:Devolver Digital
■対応機種:PC
■ジャンル:アクション
■配信日:2018年8月30日
■価格:2,050円(税込)
※開発:Gamepires/Croteam
※価格は将来的に変更される予定。

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