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2018年11月6日(火)

『竜星のヴァルニール』の見どころは悲劇&ダークファンタジー。姉妹の絆にも注目【電撃PS】

文:電撃PlayStation

 コンパイルハートより発売中のPS4用ソフト『竜星のヴァルニール』。今回は、まだ本作をプレイしていない方に向けて、本作の物語を中心に見どころをレビューしていきます。

『竜星のヴァルニール』

主人公の葛藤や魔女たちの悲劇が語られるダークファンタジーに注目!

 本作は“魔女”“巨大竜”“ダークファンタジー”という3つのコンセプトを掲げており、主人公・ゼフィの視点から物語が語られていきます。

 ゼフィは物語序盤において、とある理由により魔女となってしまいます。本作の世界における“魔女”とは、人間にあだなす竜を生む、忌むべきものとして恐れられる存在です。

 ゼフィはもともと魔女を討伐する“鎮魂騎士団”の一員であり、後々仲間となるミネッサたちとは敵対関係にありました。そんな彼が魔女となり生きていくことになる皮肉。そして、“魔女仲間”となったゼフィがミネッサたちと交流を深することで魔女への見方が変化し、理解を深めていく過程はとくに注目です。

『竜星のヴァルニール』
▲瀕死の危機に竜の血を与えられたことで命を取りとめたゼフィ。その結果“魔女”となってしまい、鎮魂騎士団にも戻れず苦悩することになる。
『竜星のヴァルニール』
▲ゼフィが竜と魔女を憎む背景には、両親を竜に殺された過去が。その竜を生み出す魔女を倒すため鎮魂騎士団へ入団したが、物語序盤で彼のアイデンティティが崩れてしまう……。
『竜星のヴァルニール』
▲ゼフィが魔女になってしまったことは、前代未聞の出来事。しかし、メインストーリーが進むにつれ、彼が魔女となった原因が明らかになっていく。

 さて、本作のコンセプトの1つであり、ヒロインであるミネッサたち“魔女”についても触れていきましょう。前述の通り魔女は竜を生み出す人間の仇敵ですが、それは人間からの視点です。

 魔女は竜の魔力を扱う強大な存在ではありますが、“竜の種”を体内に宿しているため、いずれ自身の体を喰い破って竜が誕生してしまいます。それは魔女自身の死を意味しており、訪れる悲劇は不可避のものとなっています。

 上記のことから、ミネッサたち魔女と彼女の妹たちは「いつ竜になってしまうのか?」と、常に不安な気持ちを抱いて日々を暮らしています。

 竜を喰らうことで竜の魔力による狂気を抑えることができますが、それは延命措置のようなもので、遅かれ早かれ竜になってしまう運命なのです。“魔女”という存在が持つ悲劇性は、本作の物語の骨子の1つであり、プレイヤーは運命に抗おうとする魔女たちの姿に目を奪われることでしょう。

『竜星のヴァルニール』
▲食べ過ぎれば竜の成長を促進してしまうこともあるため、竜の血肉を食べることを毛嫌いする魔女も。ただし、血肉を得なければ狂気に侵されてしまう……。
『竜星のヴァルニール』
▲ミネッサたちの妹の1人・ルルータは、竜の血肉を摂らず竜へと変貌してしまう。本作における“魔女”の悲劇性を象徴するエピソードの1つだろう。

 ここまで読んでわかったかもしれませんが、“魔女=のちの竜”です。そしてシャルロッタという魔女が登場することで物語は大きな分岐点を迎え、魔女が普通の人間になるための方法を探す旅へと出ることになります。主人公のゼフィ、そしてミネッサたち魔女にとって唯一の希望の出現により、物語に力強さが生まれます。

『竜星のヴァルニール』
▲魔女から人間になるには“竜の呪い”を解かなければならない。
『竜星のヴァルニール』
▲各章で戦うことになる“巨大竜”は、かつての魔女。なかには言葉を扱う知性を持った竜も存在する。ここでは明かせないものの「なぜ知性を持った竜が生まれるのか?」という謎にも迫っていくことになる。

 “魔女”という存在の謎が解き明かされる物語中盤以降では、鎮魂騎士団を擁する“奉皇庁”、竜狩りを主とする集団“エビルレイヴン”の活動も活発化。それぞれの思惑のものと、本作の世界である“ヴァーネリア”全体の秘密にも近づいていきます。

 謎は少しずつだが確実に解き明かされ、真に迫っていく展開はまさに怒涛と言っていいでしょう。もし、物語を中心に進めていきたいと考えているようでしたら、難易度を“EASY”にしておくのがオススメです。

シビアな世界でも思わずホッコリ! 姉妹の絆に勝るものなし

 “竜に変貌してしまう恐怖”や“竜との熾烈なバトル”によりダークな雰囲気が漂う本作において、モネをはじめとした妹たちとの掛け合いは癒しそのものです。

 冒険の拠点となる“魔女のネグラ”でミネッサたちの帰りを待っており、常に姉たちを慕ってくれる存在です。カリカロやミネッサは、ときに厳しく妹に接することもあるが、それらは妹への愛情があればこそ。姉妹で互いに支え合う姿は、見る者の心を打つことでしょう。

『竜星のヴァルニール』
▲ネグラにて、はじめて食事をとったゼフィ。食後は妹たちに力こぶを見せてあげたりと、家族としてなじもうとするシーンも。
『竜星のヴァルニール』
▲妹の中では最年長のファル。ルルータの悲劇を乗り越え、自分が姉の力になるべくシャルロッタに修行を頼み込む。そんな姉妹愛も見どころの1つなのだ。

担当ライターが語る『ヴァルニール』のイチ押しポイントをチェック!

 ここからは2人の担当ライターによる本作の注目ポイントを紹介! 両者ともに本作をクリアしたうえで、気になった点をピックアップしていきます。

ライター・BEN:本作には3つのコンセプトが散りばめられていますが、“捕食”というキーワードも見逃せないポイントだと思います。魔女が生きるために竜を喰らうのも捕食ですし、反対に竜が魔女を食い破って誕生する様子も捕食という言葉で表してもいいでしょう。

 そんな“捕食”というワードをバトルシステムに落とし込んだのが“捕食スキル”です。敵である竜に対して、このスキルを使用すると繰り出したキャラの体力とSPが回復。竜の体力が減っている場合には一撃で竜を倒し、“因子核(スキルツリー)”を獲得することができます。

 因子核を解放して得られるスキルはそれぞれ異なるため、キャラクターを育成するには多くの竜を食らう必要があるのです。

 ここで1つ思い返してみると、竜とは過去の魔女であります。竜に姿を変えたとはいえ、捕食スキルを使うことは同胞である魔女を食らうということに、ほかなりません。

 竜(=魔女)を食らうという点に思いを馳せてみると、なかなかに罪深いアクションと言えます。本作の“ダークファンタジー”たる所以がわかるシステムだと思います。

『竜星のヴァルニール』
『竜星のヴァルニール』
▲「ガブッ!」とするたびに、心の中では「ごめんね」とつぶやかずにはいられない“捕食スキル”の数々。竜になる前の魔女の姿を想像しちゃうと、やっぱり「ごめんね」なんですよね……。

ライター・聖☆あべさん:本作は、体力を減少させた竜に“捕食スキル”を使うことで手に入る“因子核”からスキルを覚えさせたり、レベルを上げることで魔女を強化できます。

 しかし、ひたすら戦闘を行い、魔女を強くするほかにもプレイヤーには使命があります。それは、“妹部屋”にいるモネ、チキータ、プチトットら3人の面倒も平行して見ることです。

 妹には、戦闘やフィールドで手に入れた“竜の肉”などの食べ物を、食事として与えてあげる必要があります。ただし、食べさせすぎるのは厳禁!

 黄色の“満腹メーター”がMAXになると貴重なアイテムが手に入りますが、紫色の“竜成長ゲージ”がだんだんと増加していき、ついには妹の胎内の竜が孵化してしまいます……。そのため、アイテム欲しさに勢い余って食べさせないようにすることも大事です。

 また、“狂気値”にも注意を払ってプレイしなければならないので、緊張感がハンパないです! “狂気値”は、緑→青→黄→赤の順で顔のアイコンが表示され、赤の状態で放置し続けると、アイコンが紫になり妹が発狂してどこかへ行ってしまいます。

 そうならないためにも、日々食事を与えて“狂気値”を下げることも念頭に入れておく必要があります。ただ、“狂気値”はダンジョン内での移動距離で進行するのが歯がゆいところ。

 ストーリーを進めるには魔女の強化は必須ですし、かといって妹を竜にするわけにはいけないので……。どちらも意識しながらバランスを取りつつ、クリアを目指すのが本作の醍醐味と言えるでしょう。

『竜星のヴァルニール』
▲ネグラの癒し担当の3人。「ダンジョンから帰ってきたら、妹がいなくなってた……」なんて悲劇が起こらないよう、面倒を見ることが大事なんです。

 『竜星のヴァルニール』は、 RPGで“ダークファンタジー”な世界で冒険を体験したいという方であれば、すぐに触れてみることをオススメします。

 また、コンパイルハートが誇るイラストレーターさんが集い、個性豊かなキャラクターが描かれている点も本作の魅力の1つとなっています。豪華イラストレーター陣によって描かれたキャラクターが紡ぐ物語を、ぜひともお楽しみください!

(C)2018 COMPILE HEART

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