2018年11月5日(月)

『御神楽少女探偵団』は美少女たちが陰惨な事件を捜査する傑作推理アドベンチャー【周年連載】

文:カワチ

 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として“周年連載”を展開中です。

 第83回でお祝いするのは1998年9月17日にヒューマンから発売されたPlayStation専用ソフト『御神楽少女探偵団』。今回はアドベンチャー好きのライター、カワチが思い出を語っていきましょう。

『御神楽少女探偵団』

 『御神楽少女探偵団』は残念ながら倒産してしまったヒューマンから発売されたソフト。『クロックタワー』シリーズを企画した河野一二三さんの作品になります。

 いろいろ語りたいことが多い作品ですが、まず最初に注目してもらいたいのはオープニングテーマの『ためらいびと』。なんと作詞・作曲を『STEINS;GATE』などで知られる志倉千代丸さん、編曲を『ダンガンロンパ』などの曲を手掛ける高田雅史さんが担当しているんです。2人がかつてヒューマンに在籍していたことはゲームマニアなら既知の事実だと思いますが、何気にビックリする人も多いのではないでしょうか?

『御神楽少女探偵団』
▲夢の共演だと思うのですが、いかがでしょうか!

 当時としてはハイクオリティなアニメーションも見どころで、ゲーム内の立ち絵キャラクターにも多くのアニメが用意されており、とてもリッチな作りでしたね。

『御神楽少女探偵団』 『御神楽少女探偵団』
▲オープニングやゲームの随所にムービーが導入されます。自分のような30オーバーの人間にとっては、この90年アニメ感がたまらないです!(笑)
『御神楽少女探偵団』 『御神楽少女探偵団』
▲キャラクターの立ち絵が細かく、また表情豊かに動くので見ていて飽きません。自分は巴ちゃんのふくれッツラが好きでした!

 ゲームの内容は帝都一の名探偵と言われた御神楽時人と、彼の助手である3人の少女が難事件を解決していく推理アドベンチャーになっています。

『御神楽少女探偵団』
▲御神楽時人(みかぐら ときと)。ずぼらな性格だが、帝都一の名探偵。
『御神楽少女探偵団』
▲鹿瀬巴(かのせ ともえ)。明るい性格で行動派の女の子。
『御神楽少女探偵団』
▲久御山滋乃(くみやま しげの)(画像右)。華族の令嬢で、押し掛け同然で助手になる。
『御神楽少女探偵団』
▲桧垣千鶴(ひがき ちづる)(画像中央)。日本画家の弟子で小説の才能も持つ。
『御神楽少女探偵団』
▲蘭丸(らんまる)。事務所に住み込みで時人の世話をしている少年。

 ゲームは大正末期から昭和時代を舞台にしており、事件の内容は猟奇的なものが多いです。見た目はギャルゲーっぽい本作ですが、中身は横溝正史作品や江戸川乱歩作品に近い雰囲気になっています。本作には“五銭銅貨”、“幽鬼郎”、“太白星”、“夢男”、“蘇る夢男”、“猟奇同盟”というシナリオが収録されていますが、中でも“蘇る夢男”のラストはとても暗く悲惨で驚きました。「これはPSで描いていい結末なのだろうか?」という思いもあり、今でも強烈に覚えています。

『御神楽少女探偵団』
▲事件はどれも陰惨な雰囲気。カワイらしい女の子にひかれてプレイするとビックリします。

 また、驚いたといえば本作のラストです。主人公の時人が銃で撃たれるところで終わり、なんと続編である『続・御神楽少女探偵団 ~完結編~』に続くことに。ゲームのどこにも本作が前編とは書いてなかったし、続編のアナウンスも特になかったので面食らいました。ただ、騙されたという気持ちよりも、この好きな世界観にまだまだ浸れるんだという喜びのほうが大きかったです。

 分割作品とはいえ、ボリュームは膨大。ディスク4枚組の作品となっており、事件後の登場人物と交流できる“探偵の休日”をプレイできるインターミッションディスクがうれしかったです。

『御神楽少女探偵団』
▲“探偵の休日”ではキャラクターと交流することができます。

 また『御神楽少女探偵団』で重要なのが“推理トリガーシステム”。事件と関係がありそうなセリフでトリガーを引くと新たな情報を得られるというもの。トリガーの使用回数が決まっているため、無駄撃ちができなかったり、重要なセリフほどクリアに必要な“推理ポイント”をたくさん得られたりするため、自分で推理している感覚が強くて楽しかったです。

『御神楽少女探偵団』
▲“事件編”、“捜査編”、“解決編”の3つに分かれている本作。捜査編ではプレイヤー自身で証拠を集めていきます。
『御神楽少女探偵団』
▲“解決編”は時人がおいしいところを全部もっていきます(笑)。

 セリフのスピードやカーソルでの決定など、今プレイすると操作性の部分で若干ツラいところがありますが、女の子のカワイさやモダンに統一された世界観、陰鬱なシナリオなど、色褪せない魅力をたくさん持っている作品です。

『御神楽少女探偵団』

 ゲームアーカイブス版として『御神楽少女探偵団』、『続・御神楽少女探偵団 ~完結編~』のどちらもが配信中。気になった人、以前に楽しんだ人はこの機会にプレイしてみてはいかがでしょうか?

“周年連載”バックナンバー

データ

▼『御神楽少女探偵団』
■メーカー:ヒューマン
■対応機種:PS
■ジャンル:AVG
■発売日:1998年9月17日
■希望小売価格:7,400円(税別)
▼『御神楽少女探偵団』(ゲームアーカイブス)
■メーカー:ハムスター
■対応機種:PS3/PS Vita/PSP(ダウンロード専用)
■ジャンル:AVG
■配信日:2009年10月14日
■希望小売価格:617円(税込)
▼『続・御神楽少女探偵団 ~完結編~』(ゲームアーカイブス)
■メーカー:ハムスター
■対応機種:PS3/PS Vita/PSP(ダウンロード専用)
■ジャンル:AVG
■配信日:2009年11月25日
■希望小売価格:617円(税込)

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