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2018年11月30日(金)

国内最大のインディゲームイベント“BitSummit7”は出展規模、タイトル数拡大。注目点を探る【電撃PS】

文:電撃PlayStation

 国内のインディゲームを世界に広げるというコンセプトのもと、京都市勧業館みやこめっせで毎年開催されているインディゲームのお祭りイベント“BitSummit”。国内最大級となる同イベントが、2019年も開催されることが明らかとなった。

BitSummit
▲今年行われたBitsummit会場の様子。

 来年で7回目の開催を迎える“BitSummit 7 Spirits(ビットサミット セブン スピリッツ)(仮) ”は、2019年6月1日(土)と2日(日)の10:00~17:00というスケジュールで、2日間にわたって行われる予定となっている。このイベントでは個人開発者による最新のインディゲームをはじめ、任天堂、SIE、マイクロソフトといった大手ハードメーカーによるブースも存在。ゲーム好きなら、誰もが楽しめるビッグイベントとなっているのが特徴だ。

 また、今年は会場がみやこめっせ3階の第3展示場に変わり、去年の1.5倍という面積が収容可能となっている。例年以上に多くの作品展示やコーナーが設けられることが予想されており、より大規模のイベントとなりそうだ。

 今回は、運営のキーマンとなるキュー・ゲームスのクリエイティブディレクター富永彰一氏(文中は敬称略)に、BitSummit7のテーマや見どころをうかがってみた。なお、より具体的な情報は、公式サイトや今後の続報をチェックしてみてほしい。

“7人の侍”と“インディーゲームをとりまく多様性”がテーマ

──BitSummit7のテーマを教えてください。

富永:“BitSummit 7 Spirits”と称して“インディゲームをとりまく多様性”をテーマにしてみました。じつは今回の開催で7回目になるということで、“7”という数字の連想から“7人の侍”にインスピレーションを受けています。それぞれ独自の生い立ちや強みを持ちながらも、みんなで同じ大きな目的に向かっていくという生き様が、まさに今のインディゲームをとりまく世界に見立てられるのではないかと考えました。

──今年は展示場が3階に変わって会場が広くなりましたが、最大でどれくらいの規模の出展数を想定されていますか?

富永:まずはなにより、より多くの方々が実際にゲームをプレイして、クリエイターさんと会う機会を体験してほしいという思いがあります。ですから、会場は広くなるのですが、それに比例して出展数を増やすかどうかは検討中です。

BitSummit

──“BitSummit7”において新しく行われる試みなどがあれば、教えてください。

富永:またまた無謀なチャレンジなのですが、学生さんが参加できるゲームジャムができればと考えています。実際にはBitSummitの開催前にゲームジャムを行って、開催期間中にその成果発表を行うというプランです。

 日本では、もうすぐプログラミング教育が必修になります。彼らのクリエイティビティをどう引き出すか、どう受け入れるかということについて、今後はより多くの学校さんや企業さんが注目されていると思います。はたしてゲームジャムとBitSummitでいったい何が生まれるのか、こうご期待です。

──今年は、東京などでBitSummitのサテライトイベントが開かれました。BitSummit7に向けて、連動したイベントなども行われる予定なのでしょうか?

富永:“BitSummit Roadshow: Tokyo”は、まだまだテストケースですね。“Roadshow: Shanghai”のほうは、イベントパートナーとして招かれたのがきっかけでした。今はまだ、京都以外で本格的に何かできるほどの体力はありませんが、何か良い機会があればサテライトイベントとして行うことができるかもしれません。将来的にはBitSummitを通じて、いろいろな場所やテーマでもっと何かできるようになるといいですね。

──近年は、海外のインディゲームも多く展示されるようになってきました。BitSummitの理念は“国内のゲームを海外に発信していく”ということですが、たとえば日本のインディゲームのみに特化したスペースなどを用意される予定はないのでしょうか?

富永:BitSummitには、海外からの出展者さんやイベントパートナーさんといった多くの方が来られます。以前からやりたかったことではあるのですがタイトルに“サミット”と付くぐらいですので、日本を含めて国ごとの特色が出るようなインターナショナルなエリア演出にできたら……と考えています。

──年々拡大していくBitSummitですが、国内の開発者や海外からの意見を参考にしてアップデートしたことや昨年から改善された点などがあれば教えてください。

富永:なにより意識しているのは、BitSummitに出展することを目標にしてほしくないということです。BitSummitは、あくまで各自のクリエイト活動のとっかかりにすぎません。ここを起点に、よりワールドワイドな世界に発信していってほしいので、それを後押しできたらと常に考えています。先のサテライトイベントやインターナショナルエリアなども、そういった繋がりを確立するための仕掛けとも言えますね。

──毎年来場人数が増えていますが、たとえば“みやこめっせの1階と3階を貸切る”といった規模の拡大をする予定はないのでしょうか?

富永:そうですね。BitSummitがより認知されて、そう望まれる状況になるならあり得るかもしれません。ただ、そのためには我々運営側の成長も必要でしょうし、それに協力していただける企業さん、行政さんをもっと巻き込んでいかないといけないでしょう。

BitSummit
▲多くのクリエイターも参加しているBitSummit。写真は前回の様子。

──前回は1日目の時点で候補タイトルが発表されるなど、BitSummitアワードの選考基準がどこに置かれているのか知りたいユーザーも多いと思います。BitSummit7におけるアワードの選考基準をうかがってもよろしいでしょうか?

富永:白状すると、アワードの審査は毎回大変なんです。BitSummitはライブ感が重要だと思っていますから、出展された作品を観てクリエイターさんがどうプレゼンするのか、さらにお客さんがどう反応しているのか、開催当日に総合的に判定できるのが理想だと思っています。

 しかし、限られた時間内でその調査を行い、終了間際までに結果をまとめるのは本当に至難の業です。なので、前回はできるだけステップバイステップでそのプロセスを試してみました。

 時流に乗らない“こだわり”がインディースピリッツとも言えますので、そもそも「はたして何か普遍的な基準を設けることなどできるのか」というジレンマもあります。そのなかでBitSummitらしいアワードにするにはどうすればよいのか、未だに試行錯誤中です。

──今回はIndie MEGABOOTHからの出展がないというお話ですが、有力な海外タイトルが多く集まるのかが気になっています。海外タイトルは、どのように誘致することを考えていますか?

富永:まず、Indie MEGABOOTHの出展がないと決まっているわけではまだありません。よりインターナショナルな全体バランスにシフトしていくことになるということです。まずは知り合いのイベントパートナーさんたちに協力を仰ぎ、有力な海外タイトルだけではなく、その国らしい独自性の高いタイトルなども誘致できればと期待しています。

──最後にBitSummit7の見どころのアピールをお願いします。

富永:7年前と比べ、ゲーム業界も大きく変化してきました。個人のクリエイターさんが増え、インディパブリッシャーさんが増え、ストリーマーさんが増え、ゲームデバイスが増え、今後さらにますますゲームをとりまく世界が多様化し専門化していくはずです。そんな未来の多様性の一端を現場で体感してもらえたらと思います。

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