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2019年3月7日(木)

『SEKIRO』のメディア体験会レポート。今回は死ぬと経験値・所持金が半分に。取り戻す方法はない!?

文:電撃PlayStation

 2月27日、フロム・ソフトウェアで『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(セキロ シャドウズ ダイ トゥワイス)』のメディア体験会が行われました。

『SEKIRO』

 史上最も血なまぐさい時代、戦国を舞台に、忍びとその主の孤独な物語が描かれる本作。すでにTGSなどで、たくさんのユーザーさんが遊ばれていますが、今回はゲーム冒頭および、ゲーム中盤のエリアを、合計2時間半にわたって試遊できました。

『SEKIRO』
『SEKIRO』
『SEKIRO』
▲会場ではイメージビジュアルや主人公が身につける忍義手、義手に仕込む忍具のイラストも多数公開。

 本記事では、試遊に先がけて行われたフロム・ソフトウェアの北尾泰大氏によるプレゼンテーションの模様と、本体験会に合わせて公開された新たなスクリーンショット、そして2名分のプレイインプレッションと、盛りだくさんでお届けします。なお、インプレッションはPC版のものです。

 なお、プレイの様子は解説を加えて動画にしていますので、そちらもぜひご覧ください。

■『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』をメディア体験会で先行プレイ!

【プレゼンテーション】今回のデスペナルティは経験値・所持金が半分になるだけではない

 北尾泰大氏は最初に、『SEKIRO』というゲームはダークな世界観を舞台にプレイヤーに困難とそれを乗り越えた先の達成感を味わえる、近年のフロム・ソフトウェアタイトル、『Demon’s Souls』、『DARK SOULS』シリーズ、『Bloodborne』、と同じ要素をモチーフにしながらも、これらのタイトルとはプレイフィールやテンポが大きく違っていることを改めて説明。このあたりの情報はプレイインプレッションのなかで、改めて解説していきます。

 これまでに発表されていなかった大きな情報としては、本作のデスペナルティが挙げられます。本作では、主人公に備わった“竜胤(りゅういん)の御子の力”、“回生(かいせい)”を行うことで、死亡場所で即時復活することができます。しかし、本作では、回生の力を使い切った後に、本当の死を迎えてしまうと、経験値と所持金が半分になってしまい、取り戻す方法はないとのことです。

 ただ、“冥助(みょうじょ)”と呼ばれる神仏の助けにより、半分になる事自体を回避することができるそう。ですがこの冥助も万能ではなく確率で発動し、また本当の死を重ね、竜胤の力を使って復活し続けていると、やがて世の中に病が振りまかれ、冥助確率も下がってしまうとのことでした。

 なお、発売が近づき、体験版をクリアされた方も少しずつ増えてきたので「体験版と比べて難易度を難しくしていますか?」と聞いてみたところ、「難易度を上げることはしていませんが、さまざまな箇所がブラッシュアップされているので、またさわり心地は異なると思います」とのことでした。

新規スクリーンショットを公開!

『SEKIRO』
『SEKIRO』
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▲金剛山 仙峯寺。こちらのエリアの様子はぜひ動画でご覧ください。
『SEKIRO』
▲火吹き筒で僧を焼いているシーン。本作では、”赤目”の敵が火炎に弱いそうですが、僧も火炎が弱点なのでしょうか。
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▲凧を使ったギミックは動画でも触ってみましたが、何に使うのかはわかりませんでした……。
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▲“おくるみ地蔵”というアイテム。使用すると回生の力を回復することができます。
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▲流派技”旋風斬り”は複数の敵に囲まれたときに便利でした。
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▲デビュートレーラーに登場した騎馬武者と同じ敵でしょうか? デビュートレーラーでは、鉤縄を使い敵に接近しつつ攻撃したり、爆竹を使って馬をひるませたり、といった攻撃をしていましたが、はたして……。

【プレイインプレッション】『ソウルズボーン』とはまったく違うアクション体験に興奮冷めず!

 戦国時代末期を舞台にした『DAKE SOULS』シリーズ、あるいは『Bloodborne』。そんな単純なゲームではまったくありません。

 『ソウル』シリーズや『Bloodborne』で培われた、常に死と隣合わせの緊張感。探索欲を刺激する地続きのマップに散りばめられた仕掛け、人物、アイテム。これらのさまざまなノウハウを詰め込みつつ、“忍び”と“剣戟”のアクションを徹底追求して作り込んでいる。そんな第一印象を持ちました。

 最初の衝撃は、やはり三次元的なアクションです。屋根の上や崖上に即座に飛べる鉤縄を用いた移動や回避、そして攻撃。大地を踏みしめ一歩ずつ広げていく『ソウル』シリーズ『Bloodoborne』の冒険から一転、『SEKIRO』は屋根をつたい、崖を越え、木々の上を駆け抜ける動きが可能となっています。

 冒険の仕方と攻撃手段が一気に広がったと感じました。ジャンプがボタン1つでできるようになったほか、泳ぐことも可能になったので『ソウルズボーン』経験者であるほど、この拡張されたアクションに感動する人は多いと思います。

『SEKIRO』

 この高低差を物ともしない移動によって成立する、敵の死角を突くように動く忍者らしいアクション――いわばステルスアクションは、さまざまな局面で可能になっています。たとえば草むらに潜んで音を立てずに忍び寄り、背後から攻撃すれば、一撃必殺の攻撃“忍殺”を繰り出すことが可能です。

『SEKIRO』

 その一方で敵と正面から斬り合う剣戟アクションもとても楽しい。そもそも本作には攻撃や移動で消費するスタミナゲージがありません。攻撃やステップ、ダッシュはいつでも何度でも可能です。

 その代わりに"体幹"という概念が存在し、敵の体幹ゲージを上限まで蓄積させることで敵が体制を崩し、”忍殺”につなげることができます。もちろん、自分が体幹ゲージを上限まで溜めてしまうと、大ダメージを受けてしまう可能性が一気に高まります。

 本作における戦闘の魅力は“敵の体幹をいかに崩すか”に集約されており、攻撃や義手忍具の使用、弾き(タイミングよく敵の攻撃をガードすること。いわゆるジャストガードやパリィ)を使い分けたテクニカルな戦闘になります。

 このうち弾きについては、パリィのように一発で致命の一撃につなげることはできないのですが、そのかわりパリィのようにタイミングやリスクがシビアな感じではなく、失敗してもガードにつながることもあるので、積極的に狙いたい、と思うイメージです。

 一方、スタミナゲージがない分、ひたすらガードやダッシュで敵の攻撃をかわしてスキを突く、という『ソウルズボーン』おなじみの方法もできますが、そもそも体幹は自然と回復していくほか、敵は一瞬で距離を詰めてきたり、ガードできない掴み攻撃や下段攻撃なども行ってきます。

 そのため、通常攻撃なら弾き、掴み攻撃ならステップ、下段攻撃ならジャンプと、それぞれの攻撃に応じた適切なアクションを行い、攻め続けることが求められます。自然と回復する敵の体幹はプレッシャーではありますが、一戦一戦は想像以上に長期戦で、見てから対応する、緊張感のある戦いになりますね。お互いに刀で斬り結び、ときに体術も駆使するさまは、まさに日本古来の”武術”のような戦闘。非常に新鮮でした。

『SEKIRO』

 攻撃手段の豊富さに関連して、スキルについても触れておきます。本作は敵を倒した際に得られる経験値を一定以上貯めるとスキルポイントを獲得。さまざまなスキルツリーに用意された多彩なスキルを選び、少しずつアクションを拡張していきます。

 例えば義手忍具の使用後に追撃が可能になる、敵の突き攻撃に合わせてカウンター攻撃が可能になる、傷薬瓢箪の回復量が増える、など、さまざまなスキルが用意されています。なかには流派技という1つしか設定できない代わりに使いどころを見極めれば非常に強力な技も用意されています。

 スキルはスキルツリーで修得できるほか、特定の人物から教えてもらう、アイテムの所得で習得できる、というケースもあるようでした。

 多彩な攻撃手段を持つ義手忍具は、一言で表すならロマンでしょう。個人的には仕込み武器というだけで気分が高揚します。忍者らしい手裏剣のほかにも、斧や槍、相手をひるませる爆竹、炎上効果を持つ火吹き筒、防御に向いた鉄傘など、ともかく色んな遊び方を追求できるようでした。

 さらに、義手忍具にはカスタム要素があり、強化することで性能を少し変化させることができるとのこと。義手忍具の強化についてもツリー状のようです。

『SEKIRO』

 そして、“いろんな遊び方を追求したい!”と自然に思わせられる理由が、敵の多彩さにあります。本作には侍から雑兵、野盗、僧兵、赤鬼などなど、得意技が異なるさまざまな敵が存在。

 そして犬や鳥の素早い敵には手裏剣が有効、木の盾は重量のある仕込み斧で叩き斬って壊すなど、相手に合わせた適切な攻撃手段があるようです。きっと思いがけない義手忍具で敵のスキを作り出せることもあるでしょう。

 義手忍具の使用には形代というアイテムが必要になるので、使い放題とはいきませんが、強敵との戦闘で、突破口になる可能性を秘めています。どんな義手忍具が有効なのか試したくてたまりませんね!

 一方で『ソウルズボーン』ではおなじみの体力や技量といったパラメータを自由に育成していく、という要素はありません。基本的には特定のアイテムで攻撃力を上げる、体力を増やせるだけです。

 ただし、各アクションには使用のために必要なステータスはないので、自分の使いたい攻撃や義手忍具を好きに使えるのはメリットですね。例えば「俺は義手忍具特化スタイルで遊ぶ!」というのを気兼ねなくできるのが嬉しい点です。

 『ソウルズボーン』経験者ならば、自分の“死”についても気になるところでしょう。本作では、倒されたその場で復活できる“回生”を行うことができます。一度死んでも復活できるのは非常に便利。敵によっては、死んだふりから背後を突くことも可能ですが、強敵との戦いでは騙すことはできません。

 ただ“素早くやり直せる”という意味では強敵との戦いでも無駄な要素にはなっていません。ただし消費したアイテムはそのまま、HPは少し回復した程度、と完全な復活ではありませんが。

 また“回生”ができるためか、完全な死を迎えたことによって半減してしまう経験値、お金は回収できないので、『ソウルズボーン』と比較しても、1回の死は決して安いものになっていないので、緊張感は損なわれていません。また、エリア間の転送や休息によるアイテムの自動補充も存在し、探索やリトライのしやすさはしっかり設計されているので安心です。

 『ソウルズボーン』のノウハウを受け継ぎつつ生み出された、全く新しいアクション体験、日本らしい和の要素を追求した様相は、『ソウルズボーン』経験者であっても、新鮮に楽しませてくれること間違いなしでしょう。

 プレイ時間はわずかながら、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』は、苦労の先の達成感を得られる、いわば自分が培った技術に対する報酬や喜びをゲーム体験の軸にしている、『ソウルズボーン』から派生したまったく異なる到達点であると感じました。

 『ソウルズボーン』未経験の方でも、これを機に“困難に挑み、克服する達成感”を堪能してみてはいかがでしょうか。私はまたこのゲームに時間を焚べようと思います。(シュー)

【プレイインプレッション】アクション体験により没入できる! 物語・美術・音楽にも注目

 基本的なゲーム体験についてはシューが語ってくれたので、自分はそれ以外の要素を補足していこうと思います。

 まず基本的なところですが、本作の音声は日本語です。舞台が戦国時代末期の日本なので、当たり前といえば当たり前で言葉回しも古風なのですが、大事な要素だなと。また、本作は主人公にもキャラクター付けがされており、喋ります。

 もちろん、忍びなのでベラベラしゃべるわけではなく、基本的には寡黙。ただし『ソウルズボーン』であれば、プレイヤーは自分で顔を編集するなどの過程を経て、主人公=プレイヤーとして、自分だけの物語を紡いでいきました。

『SEKIRO』

 今回は主人公=忍びです。今回のプレイ範囲では、私の目的と忍びの目的は合致していますが、物語を進めていくなかで、忍びとプレイヤーの感情が相反するシーンもあるかもしれません。自分だけの物語がどのような形で表現されるのか、あるいはまったく別の物語体験になっているのか? そういうところにも注目しながら本作を楽しみたいと思います。

 今回は各エリアと、各エリアでの戦闘ごとにBGMが鳴るのも、『ソウルズボーン』とは異なるところ。各エリアでのBGMは、環境音をベースに、和風をモチーフとしながらも『ソウルズボーン』らしい、“枯れた感”を味わえる音だと感じました。

 そしてやはり印象に残るのは戦闘時のBGM。文字通り一転し、静から動へ、勇ましく戦闘を盛り上げてくれます。プレイ中はあまり聞いている余裕はないかもしれませんが(笑)、人のプレイを見ていると、結構“戦闘の壮絶さ”を感じられるんですよ。

『SEKIRO』

 圧倒的な強敵に立ち向かう恐怖感、それを乗り越えて戦う勇壮さ。『ソウルズボーン』ではおなじみの主題が、戦国のイメージでしっかり表現されていると思いました。楽曲制作は『ソウルズボーン』経験者ならお馴染みの北村友香氏が担当されているようなので、プレイされる方にとっては和風の新しさとともに、懐かしさを感じることができるかもしれません。

 また個人的には本作、SEやエフェクト類が素晴らしいと思います。まず忍殺を決めた瞬間に鳴る“バキーン!”という音とそれに迫るカメラが気持ちいい。つぎに、ブスッと刺したときの音も気持ちいい。最後にブシャーっと飛び出る血しぶき、その音と絵が気持ちいい。そしてそれらが嫌味でなく、テンポがいい!

 剣と剣がぶつかりあう音とエフェクトについては、弾きと通常ガードで異なるようで、弾きを連続で決めたときは非常に気持ち良い! また、手裏剣も地上の敵にヒットしときと空中の敵にヒットときとで違いがあるようで、空中の敵にヒットさせるとまた気持ち良い!

 こういったプレイヤーが敵に対して効果的な行動をとったとき、パラメータだけでなく目と耳で楽しませてくれる、という細かい気配りは、ある意味、地味で、当たり前かもしれません。

 しかし、こういう細かい仕掛けこそ、「さっきのプレイ、上手くできた!」と気付くきっかけなのかなと。そしてこういった細かい仕掛けが「もっとうまくなりたい」という次の戦いへのモチベーションに繋がっており、ついいつまでもプレイしていたくなる、と感じる要因なのではないかなと思いました。ある意味、見ているだけでも楽しいゲームに仕上がっているのかなと。

 いやホント、プレイしていると「もっとうまく倒したい!」という欲求がフツフツと湧いてくるんです。それは真っ直ぐ行くと明らかに苦戦はまぬがれないにもかかわらず、「正面から全員の攻撃を弾いてぶった切ってやりたい!」と思うくらいに(笑)。

 ステルスキルもできるけど、純粋にアクションが楽しいからステルスキルしなくてもいいかな、と思えてしまう。アクション部分は相当作り込まれているように感じました。試遊時間はあっという間に過ぎてしまいました。

『SEKIRO』

 バリエーションの豊富さについては敵だけでなく、エリアについても同様のようです。現在明らかになっているエリアは、雪と紅葉と修理もままならない城が印象的な“葦名城 城下”、雨なか燃え盛る屋敷と竹林が目に残る“竜泉川端 平田屋敷”、紅葉と寺が美しい“金剛山 仙峯寺”。

 こちらも敵の対処に集中していると、なかなか景観にまでは目が向かないかもしれませんが(笑)、戦闘が終わったときに目に入ってくる、日本らしい美しさのシチュエーションは、ゲーム体験としてはあまりほかのゲームでは味わえないのかなと思います。

 また、探索に関しては本作の主人公は忍びなので、敵同士の会話を盗み聞くことも可能です。どの敵が会話しているのか、というのはアイコンで表示されているので一見するとわかりやすいように思いましたが、戦闘中は当然敵は会話してくれなくなるので、すべての会話を聞くのはやりごたえがありそうだ、という印象です。

 最後に、とくに『Bloodborne』で表現されていた、“世界の異質さ”ですが、プレイ範囲は序盤だったこともあってか、あまり感じるところはありませんでした。ただし、謎の壺が喋ったりと、今回も危険な香りはほのめかされている感じです。

 そもそも“回生“という不死の力は、『ソウルズボーン』では異質さの象徴でした。ファンとしては、本作でも驚きの結末を期待せずにはいられません。ゲーム発売日を楽しみにしたいと思います!(あーや)

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データ

▼『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(セキロ シャドウズ ダイ トゥワイス)』
■メーカー:フロム・ソフトウェア/Activision
■対応機種:PC
■ジャンル:アクションADV
■発売日:2019年3月22日
■希望小売価格:7,600円+税

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