ヒロイン名が山田になった理由は? 漫画にも登場するゲームキャラは? 『ディープインサニティ』コミック版開発秘話
- 文
- 長雨
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スクウェア・エニックスの『ディープインサニティ』は人々を覚めない眠りと狂気に導く“ランドルフ症候群”が拡大する世界を、時間軸の異なるTVアニメ、マンガ、ゲームのコンテンツで描くメディアミックスプロジェクトです。
本作のプロデューサーである石井諒太郎さんと、世界観原案並びにマンガ『Deep Insanity NIRVANA』の作者・塩野干支郎次さんへ行ったインタビューを、全3回に渡ってお届けします。
第2回目は塩野さんのキャラづくりや、第1話の制作秘話などをうかがいました。
第1回のインタビューはこちら
メインキャラ2人には意外なイメージ元が
――メインキャラクターであるヒルデガルド・オルインピアーダ・山田やセルジュ・ソルは、どのようにキャラクターを作っていったのでしょうか? 特にヒルデガルドは、苗字が山田でインパクトがありますよね。
塩野干支郎次(以下、塩野)さん::ヒロインが山田だったら面白いかな、と思いまして。
石井諒太郎(以下、石井)さん:そこだけ、馴染みのある名前ですよね。
塩野さん:メイン2人の関係性は、見た目はお姉さんと子どもだけど、実年齢はそんなに離れてない、という関係が好きでそこからイメージを持ってきました。
石井さん:キャラクターについてもお任せしていて、ゲームと共通する人物が出せたら面白いね、というお話をしたくらいなので、初めて知りました。
塩野さん:共通のキャラクターとしては、ゲームのマヌエラを見て出したいと思い、僕がマンガで勝手に動かしているところがあります。
石井さん:マヌエラは、ゲームよりもちょっと幼いのがかわいいですよね。
――マヌエラのように、先に完成していたゲームのキャラクターもいるんですね。
石井さん:はい、何人かはできていたと思います。
塩野さん:初めて参加した会議でキャラクターのデザインを見て、武器などの情報量が多く、すり合わせるのが大変だなと思いました。
石井さん:武器は大変ですよね。ゲームではCGを使う前提で、変形ギミックも入っていましたし。
塩野さん:マンガで再現するのは無理だなと思って、武器はオリジナルのものしか出していません(笑)。
石井さん:マンガはゲームよりも前の時代のため、デザイン的にも旧装備っぽくなってますね。
キャラづくりは名前がポイント
――塩野さんがキャラクターを手がける際のこだわりや、気にかけている点などはありますか?
塩野さん:手癖で描いている部分があるので、こういう質問が1番難しい……。
名前を考えるのは、時間がかかります。引っかかりのある名前が出来るまでは、キャラクターが固まらないです。いい名前が浮かぶと、キャラが出来たなと思います。
石井さん:名前が決まったあとに、デザインを変えたりすることもあるんですか?
塩野さん:いえ、名前から決めてからデザインすることが多いです。絵はギリギリまで決まらないことが多いですね。
――山田ならアジア系など、名前からキャラ付けすることもあるのでしょうか?
塩野さん:山田は名前のごちゃごちゃした感じから、見た目の情報量も多いデザインにしました。
ゆくゆくはあのキャラもゲームに登場……?
――石井さんが、初めて漫画を読まれた時の感想はいかがでしたか?
石井さん:実は1話のネームを、一度描き直されてるんですよね。最初に読んだとき面白かったんですが、世界観が丁寧に説明されていてゲームに配慮していただいているのかなと感じて……。
そう言ったら次上がって来たネームが別物になっていて、変なことを言ったかなと申し訳ない気持ちになりました。
塩野さん:石井さんの意見を聞いて、2話までにやろうとしていたことを1話に全部入れました。1話で世界観に入れる方がいいので、いろいろ削った感じですね。
――ゲームとの兼ね合いよりも、マンガとしての面白さを優先してもらったんですね。
石井さん:その方がテンポもよくなりますし、絶対に面白いじゃないですか。実際に完成した作品は、さすが塩野さんだと思いました。
個人的に“スカード”になった人を倒すシーンは、僕が想像してた塩野さん節です。普通に敵を倒すだけでいいのに、ちゃんと人が異形する過程を描いたうえで倒す。とても、センセーショナルなシーンですよね。
――そのシーンは、はやり本作の世界観を伝えるためにも意図的に入れたのでしょうか?
塩野さん:そうですね。気持ち悪い“スカード”が出てこないと、どういう作品かわからないかなと思いました。それを気持ちよく倒して、1話が終わると丁度いいかなと。
石井さん:本作の一緒にお仕事している人たちは、ネガティブな意味でなく、売りである“気持ち悪い”要素を推す傾向があるなと思います(笑)。
あと個人的にセルジュが好きで、出来れば成長した彼をゲームに出せたらなと思っています。
塩野さん:まだ結末が決まっていないので、彼の未来もわかりません。ただパラレルワールドにすれば、問題ないと思います。
石井さん:“アサイラム”のなかは時間軸もぐちゃぐちゃになるので、そんな展開があってもおかしくないですね。
コンテンツ同士のつながりなど、世界をより深く楽しむための情報が詰まった第3回目は近日公開予定です!
※ゲーム画面は開発中のものです
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