“選択”という体験を高める緻密で丁寧なシナリオ。その描き方にも感動した話【電撃シンクロ日記#16】

キャナ☆メン
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 セガのiOS/Android用RPG『シン・クロニクル(シンクロ)』のプレイ日記をお届けします。

 『シンクロ』の正式サービスに備えてガチャ代を『シンクロ』の記事で稼ぐ……これはオタクの自給自足に入るのだろうか? そんなことを考えるRPG好きライター、キャナ☆メンです。

 筆者が担当した前回の記事で予告した通り、本日は、メインシナリオについてより踏み込んだ内容を語っていきたいと思います。

『シンクロ』における過去、現在、未来の描き方

 前回も触れましたが、『シンクロ』はシナリオの主要人物となるキャラクターの過去、現在、未来がしっかりと描かれていて、ドラマに見応えがあります。

  • ▲深淵の声も「今を紡ぎ、過去を編纂し、未来を幻視する。それがクロニクルの持つ力だ」と語っています。

 ユニークなのは、時間の流れに遡行する未来、現在、過去の順序でイベントが発生するところでしょう。ドラマを印象的に見せるアクセントとして、すごく記憶に残りました。

 CBTの各シナリオでは、“未来”の出来事が一番先に来て物語が始まります。しかし、その出来事は主人公たちの騎士隊が全滅するという運命。

 けれど、“現在”で行動を共にする仲間たちは、互いに不信感を抱いていたり、衝突したり、あるいは心に鍵をしていたり。さまざまな問題を抱えています。だからこそ、全滅するわけですが……。

 最悪の未来を知っているプレイヤーからすると、イヤな予感が常に頭の片隅にちらつく展開で、つい物語の先が気になりますよね。

 一方で、クライマックスで待つ選択に対する心の準備ができる側面もあるので、そこは計算された配慮なのかと思います。

 “現在”に関して、深淵の声の言葉を借りれば「死を乗り越える答えは未来にはなく、ただ、今にある」とあります。また、「運命を覆す唯一の力」が“人の意志”であるとも。

 “人の意志”が意味する内の1つは、主人公の行動、つまり我々のゲームプレイでしょう。プレイを重ねて仲間との絆を深めると、キーワードが死因から運命の打開に置き換わるイベントが解禁され、主要人物の“過去”エピソードを見られます。

 CBTをプレイした方や情報をマメに追っている方ならご存じの通り、このイベントは幻視した未来を変えるための鍵ですから、「死を乗り越える答えが今にある」ことになります。

 “過去”には、CBTならギュンターやアンネの戦う動機や決意など秘められた想いが存在していて、どれもシナリオの展開やドラマに強く結びついています。

 それだけにどのイベントも、胸を締め付けられるように切ない、つい感情移入してしまうエピソードですよね……。

 また『シンクロ』は、ケビン・ペンキンさんの音楽が世界観や物語との相性抜群で、特に切ないシーンはBGMを聴きながらだと、情感が一瞬で心の中に広がると思います。これはホント、光吉さんでなくともイヤホン・ヘッドホン推奨です。

そして迎える選択の瞬間

 このように、未来、現在、過去の順に配置されたイベントがドラマを緻密に演出している『シンクロ』。すべてのキーワードが置き換わった時、物語は再び“未来”を描きます。

 しかし今度の未来は、最初に見た幻ではなく、再び深淵の声の言葉を借りるなら「やり直しは無い」未来であり、「一度しかない生の瞬間を重ね」た先にある未来です。プレイヤーがゲームプレイを通じて体験する時間軸と言えるかもしれません。

 過去、現在、未来とストーリーが繋がって、戦う者たちの想いが“人の意志”として一塊になり、死の運命に抗う。

 彼・彼女らの姿には多くのドラマを感じ、哀愁や共感などさまざまな思いがわき出て、それらがない交ぜとなった感情に心をつき動かされます。

 言葉で“選択”を解釈するのと、体験した感情の積み重ねの上に成立する“選択”は、想像以上の違いがあって、それは筆者がCBTをプレイして一番感動したところでした。


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