『ぷよぷよ』アルル役の園崎未恵さんにインタビュー。シリーズで印象的なキャラや好きなタイトルは?

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 『ぷよぷよ』シリーズは10月25日で30周年を迎えました。それを記念して、アルルを演じる声優・園崎未恵さんへのインタビューをお届けします。

 『ぷよぷよ』は、同じ色を4つ以上並ぶと消える“ぷよ”を配置していく落ち物パズルゲーム。さまざまなハードでリリースされ、愛され続けている、人気シリーズです。

 園崎さんは『ぷよぷよフィーバー』のアルルから始まり、クルークやダークアルルなど、さまざまなキャラを担当。インタビューでは、シリーズへの印象やボイスを演じる際に意識していること、シリーズをプレイしての感想などをお聞きしました。

知っていたからこそ戸惑いがあったアルル役

ーー最初にアルル役の話が来た時に、どのような感想を持ちましたか?

 私とアルルの最初の出会いは、当時コンパイルさんから発売されていた『魔導物語』のパイロット版でした。幼少時から知っていたので、『ぷよぷよフィーバー』アルル役のお話をいただき、「え? まさか!?」と驚きました。

 声優として光栄なことではあるのですが、いちユーザーとして不安や戸惑いがあったのです。多くのファンがいらっしゃいますし、シリーズの歴史やさまざまなキャストが演じてきた流れもある。そんなキャラを私が演じることについて、複雑な気持ちでした。

 ただ、『ぷよぷよフィーバー』でデザインがかなり変わったじゃないですか。それもあって「この絵柄で、私が好きでふれていたアルルのイメージで演じられたら」と思うようになり、期待を裏切らないように、自分なりのアルルを全力で作っていきたいと思うようになりました。

▲画像は『ぷよぷよフィーバー』のもの。

ーー役は指名だったのでしょうか? オーディションだったのでしょうか?

 名指しではなく、何名か候補がいて、その中から選んでいただきました。

ーーどのようなことを意識して、アフレコされましたか。

 私のイメージとしては、初めてアルルと出会った『魔導物語』パイロット版のゲーム内から聞こえていた雰囲気を踏襲したいと思いました。

 そのうえでセガ版の『ぷよぷよ』にマッチするバランスで、私もしっくりくるし、ファンのみなさんにもご納得いただけるのはどこかと考えて、落としどころを模索しつつの収録だったのを覚えています。

 マイクの前で絵を見つつ、「ではやってください」と言われて、涼しい顔をして演じているように見えたらしいのですが、私の中では大きな葛藤のようなものがありまして。自分が知っているキャラだからこそ、不安がありましたね。

ーーアフレコ時に指示などは?

 現場では「ああしてください」「こう直してください」と細かい指示があったというよりは、「カワイらしいイメージで演じてください」くらいでした。

 収録時にはセガの安倍さん(※)が立ち会われるのは当初から今でも変わらないのですが、「アルル独特のコロッとしたイメージで今日もお願いします」とずっと言われます。

安倍栄基(あべ ひでき)さん。『ぷよぷよ』シリーズのサウンドディレクターで、『ぷよぷよフィーバー』以降の『ぷよぷよ』サウンドを手掛けている。

ーーちなみに意識したという『魔導物語』について、他にどのような印象がありますか?

 MSX2で遊んでいたのですが、ひたすらダンジョンを進んでいき、ハーピーなどと戦いつつ、フロアを移動して、アイテムを集めていく、というわかりやすいゲームでした。そのわかりやすさと、キャラがカワイらしいということで、当時すごくやりこんでいましたね。

 大人になってから改めて遊ぶ機会をいただいたのですが……最近のダンジョンRPGには当たり前についているマッピング機能がないんですよ。当時は頭の中でマップを描きながらプレイしていたのですが、今では自分が歩いたところはマップになるゲームばかりなので、「マップがないのか!」と驚きました。記憶力を使いつつ遊んでいたようで、「あのころは頭が柔らかかったんだな」と(笑)。

 今はマシンスペックが向上していますが、当時のザラッとしているドット絵と、限られた音声で生み出されたキャラは魅力を放っていました。それが当たり前だった当時を振り返ってみると、あの単純明快さが楽しかったですし、今でも雰囲気は好きで、懐かしく思っています。

ーータイトルが増えていくに従い、役が増えていきますが、印象的だった役はなんですか?

 ……ドッペルゲンガーアルルが難しくて好きですね。

 そもそも私はドッペルゲンガーアルルが出てきた時のちょっとクールなイメージが好きでした。そしてドッペルゲンガーアルルはファンからも思い入れのあるキャラです。

 園崎未恵版のアルルが定着してきた中で、特殊なキャラが出るということで、また悩みました。『ぷよぷよ』シリーズで見ると、ボイス収録の量はそこまで多くないのですが、ゲームとして残ってずっと聞かれることになるので、プレッシャーはありますよね。

 私が好きな雰囲気を私なりにやるにはどうするのか……それこそ、久しぶりに過去作をプレイしてみて、好きだったイメージが壊れないように意識して役を作りました。

 その後、派生キャラや別のキャラなどをやらせていただいています。が、アルルだけどもアルルじゃない、別次元のドッペルゲンガーアルルはちょっと特別な存在です。

ーー『フィーバー』、『フィーバー2』、『ぷよぷよ!』、『7』、『ぷよぷよ!!』、『ぷよぷよ!!クエスト(以下、ぷよクエ)』、『ぷよぷよテトリス』、『ぷよぷよ!!タッチ』『クロニクル』、『eスポーツ』、『ぷよぷよテトリス2(以下、ぷよテト2)』といろいろなタイトルがありますが、思い出深いものはどちらですか?

 そんなにありましたっけ! 私は『クロニクル』と『ぷよテト2』で、どちらもシナリオ面が大好きです。


 『ぷよぷよ』シリーズ全体を見ると、フワッとしたキャラが出てくるカワイらしいゲームという魅力と、パズルゲームという魅力があるのですが、2作品ともシナリオ部分が丁寧に作られていて、心に響くお話でした。心に響く物語だからこそ、子どもが読むような絵本にも派生していくと思うのですが、アルルを通してその作品に携わることができたことは大変光栄です。

 『ぷよテト2』は、マールとスクエアスの会話や対比性もいいですね。

  • ▲マール
  • ▲スクエアス

 『魔導物語』からはじまり、落ちものパズルゲームのキャラとして展開していますが、そのキャラクター性が生み出す可能性というか、もっといろいろな物語が紡がれていく……ゲームの可能性を感じましたね。

 ちなみに、一番やりこんでいたのはサービスが終わってしまったのですが『ぷよぷよ!!タッチ』になります。あれも落ちものパズルから派生した、まったく新しい展開でした。

 私はキャラクターボイスとしてゲームに携わっていますが、いちユーザーでもあります。“ぷよが4つ以上同じ色がつながると消える”という基本的なルールから、いろいろなアイデアが出てきてほしいと思うので、今後もいろいろな展開を楽しみにしています。

▲画像は『ぷよぷよ!!タッチ』のもの。

『ぷよクエ』でこれまで以上に多くのキャラを担当! 好きなイラストや印象的なコラボは?

ーー2013年には『ぷよぷよ!!クエスト』がスタートします。最初にご覧になったのはいつですか?

 音声収録が終わった後、リリース前にプロデューサーの細山田さんから開発中のアプリ画面を見せていただいたのが最初です。私はガラケー時代、電車から降り損ねるほどの『ぷよぷよ』プレイヤーだったのですが、『ぷよクエ』は演出なども進化していますし、いつでも遊べるということで「またハマりそうだなあ!」と感じました。

 今さら白状するんですが、リリースから半年くらいは遊んでいなかったんです、ハマるとまた電車を降り損ねるので(笑)。ボイスを実装するタイミングでいよいよ「これはもうやるしか……」と。ボイス実装は限られたキャラだけでしたが、アルルとクルークを楽しく演じさせていただいて、今ではめちゃくちゃ遊んでいます。

ーーこのタイトルからさらに多くの役を演じられることになります。そちらは予想されていましたか?

 アハハハハ! まったく!

 アルルとクルークの2人を演じていることもあって、バリエーション違いでの収録があったり、別の役が加わったりで、作品にふれる機会が多くなりました。最初に声を収録したのは何年も前ですが、追加の収録があるたびに以前の自分と相対しつつ演技をしています。

ーーぷよクエ生放送の“生まんざいデモ”では、多くのキャラを演じられることが当たり前のようになってきましたね。

 私や菅沼さん(※)がいつも大変なことになる、あのコーナーですね(笑)。

 最初のうちは1人1キャラが定番だったのですが、クルークは『フィーバー2』でも人気がありましたし、物語にからめやすいキャラ。そうして生放送でも出番が与えられるようになったのですが、そうなるとアルルとクルークが一緒にしゃべることになり、気が付くと私と私が会話をすることになってしまいました。

 初めはシナリオライターさんも気を遣ってくださって、“キャラがしゃべった次に、同じキャストがしゃべるキャラを置かない”ということをやってくださっていたのですが、生放送で私と菅沼さんが「セリフが続いてもできるよね」と気軽に言ってしまったのが最後。どれだけトライできるのか、チャレンジのような展開になってしまって。でも、見てくださっている方に楽しんでいただけているので我々も本望ですし、いいかなと。楽しくやっています。

菅沼久義さん。すけとうだら、インキュバス、ゴゴット、オトモ、バルトアンデルスを演じる。

ーー演じ分けが難しいキャラなどはいますか?

 私個人としては、難しいという意識はもうありません。

 各キャラは丁寧に役作りさせていただきましたし、何度も収録をしているので、キャラが私の中に存在している感じで。これはタイトルが長く続いていることと、アプリで新規収録を頻繁に行っているからだと思いますが、ふれる機会が多ければ多いほど、役が自分の中に浸透し、絵を出されれば、すぐにその声が出てくるようになっていますね。

 おそらく他の方もそうだと思います。

 ただ、菅沼さんの場合はバルトアンデルスで激しく吠えたあとに、別のキャラをやるのは息がきれるので大変ですよね(笑)。私はまだ人間のキャラしかないので、そこは助かっています。

ーーアルルはコラボを含め、数多くのバリエーションがありますが、特にお気に入りのものは?

 え~~、選ぶのが難しい!(笑)

 コラボのイラストはどれも好きですね。アルルはコラボキャラに選ばれることが比較的多いので、イベントが発表されるたびに「今回、アルルの新イラストはあるのか? それともクルークか!?」と楽しみながら待っています。

 最近だと“しおかぜのアルル”がすごく好きで、頑張って★7にしました。季節っぽさがすごくあるし、スプラッシュ感がカワイらしくて、イラストを見せてもらった瞬間に「これは一番好きかも!」と思いました。アルル単体でのイラストももちろんいいんですが、“カー君と一緒”というのが個人的に好みです。

 あと、水着というのが新鮮でした。いろいろな衣装のアルルがいますが、季節感のあるものはこれまでサンタと冬服だけだったので。

 その前だと“喫茶店のアルル”がお気に入りでした。こちらはお盆のうえのデザートにカー君が入っているんですよ! 「超カワイイ!」と思って。

ーーいろいろなコラボ展開が実施されてきました。園崎さんが特に驚いたものはどのコラボでしょう。

 コラボは毎回驚きっぱなしですが、『エヴァンゲリオン』ですね。TVシリーズをリアルタイムで見ていたので、「あの『エヴァ』の世界観を、『ぷよぷよ』にどうやってもってくるの?」と謎だらけでした。

 しかも蓋を開けてみたら、アルルのコラボはキャラではなくエヴァンゲリオン本体ということで「え! そこなの?」と(笑)。アミティも使徒とのコラボでしたし、パプリスは各キャラになっているし、さらにはゲンドウになるし! なんて言っていいのかわからないくらいに衝撃的でした。

 個人的にうれしかったのは、『Dr.スランプ アラレちゃん』とのコラボです。もちろん好きな作品ですし、『ぷよぷよ』の世界観とのマッチングがすばらしかった。どのイラストも両方のよさを出したテイストでしたね。ニコチャン大王まで出たんですよ? あのコラボならではで秀逸でした。

 コラボといえば、先ほど出たパプリスは外せません。毎回コラボで取り上げられて衣装バリエーションがどのキャラよりも多いので、ちょっと嫉妬します!(笑) コンテストもあって、ユーザーさんからいろいろなアイデアがあったようなので、今後もいろいろなキャラが作られていくので、そこも注目ですね。

『ぷよクエ』、『eスポーツ』と幅広い展開をするシリーズの魅力とは?

ーー『ぷよクエ』は声優としてだけでなく、ご自身もユーザーとしてプレイされていますが、どこが魅力だとお考えですか。

 リリース当初からプレイされている方は、いろいろなことが段々盛り込まれていったことをご存知だと思うのですが、『ぷよクエ』ではいろいろなことを楽しめるんですね。

 農園ができた時は「野菜を育てる? ソーシャルゲームで確かにはやっているけど!」とビックリしましたが、もう定着していますよね。時流を組みつつ、なじませていく土壌の広さはすごいと思います。

 私はもっぱらキャラを育成して、イベントを回して、バトルをして……というプレイをしているのですが、“とことんの塔”を攻めたり、農園のおてつだいをしたり、ギルドタワーを伸ばしたりと、いろいろなスタイルでプレイできる。

 ガッツリやることができますし、短時間でも遊べます。そういう幅の広さが楽しさではないでしょうか。

 あとはキャラの豊富さも外せません。たくさんキャラがいるので、お気に入りが見つかるかと。

ーーコラボキャラも含めると、膨大な量になりますね。

 先日、人気投票がありましたが、ちょっとした変化を感じました。今まではキャラについているファンが多く投票してくださっていると感じたのですが、スキルの性能が高いキャラが上位に上がってきました。それは『ぷよクエ』のファンがしっかりとついてくださっていると感じて、私の中で目新しい気持ちになりました。

 『ぷよクエ』から『ぷよぷよ』ワールドに入ってくる人が増えたと感じます。遊びやすいところに位置するアプリタイトルだからこそ、知ってもらうきっかけになっているのが『ぷよクエ』なんだと思います。

ーー最近では『ぷよぷよeスポーツ』も新たな入口になっていると感じます。

 以前に、『ぷよぷよeスポーツ』の決勝大会にお邪魔して試合を生で拝見しました。昔からあるゲームで、幅広い層の人たちが同じタイトルで競っている雰囲気に改めて感動しました。

 私はあまり連鎖はできないですが、「脳みそで汗をかいているなあ」と感じてまさにスポーツ。あと、負けた選手も試合中の選手を応援して、対戦を一喜一憂しながら見ているという会場全体の温かい空気感も素敵でした。

 そういえば『ぷよぷよeスポーツ』に、『ぷよクエ』からのキャラが出たのは個人的にうれしかったです。これまでの歴代メンバーと一緒に、『ぷよクエ』のキャラも入ることで新たな流れができますし、キャラの行き来があることで、世界がよりつながって広がっていくと思います。

ーー『ぷよぷよ』シリーズとして、30周年を迎えます。長く愛されている秘訣はなんだと思われますか?

 キャラクターのカワイさやゲーム性ももちろんあるのですが、開発側がユーザーをしっかり見ていることだと思います。

 生放送でのコメントや、アンケートを通じて届いた意見をスタッフの方がすべて目を通しています。開発には時間がかかりますし、意見を反映できないこともありますが、皆でコンテンツを楽しみつつ、作っていく雰囲気をいろいろなところで感じられます。

 「こういうことをやったらおもしろいのでは?」というきっかけを、開発内部だけでなく、外部からも入ってきて、『ぷよクエ』やシリーズの世界観が構築されていく……それをキチンと感じられるように、生放送などで公開しているのは、コンテンツが続く秘訣ではないでしょうか。

ーーシリーズの主役を演じられている役者として、ファンにメッセージをいただけますか。

 『ぷよぷよ』シリーズにはたくさんのタイトルがありますが、その中でも『ぷよクエ』は、特にファンと開発が一緒に楽しんで作っていると感じています。今後もいろいろなキャラが出て、いろいろな作品とコラボしていくと思うのですが、私もユーザーとして楽しみにしています。

 『ぷよクエ』は今年で8周年を迎えました。毎年、生放送などでお祝いさせていただいていますが、お祝いできることは作り手である私たちにとってもうれしいこと。これはひとえにユーザーの皆さんのおかげです。ありがとうございます。

 私はユーザーと演者という両方の側面で、末永くかかわっていきたいと思っています。いろいろなプロジェクトがあり、あっと驚くような展開も控えているようなので、一緒に楽しんでいってほしいですし、ぜひ応援をお願いします。

(C)SEGA
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