京都を舞台にお見合い破談大作戦!! 『ドラキュラやきん!』3巻をレビュー!!
- 文
- 電撃オンライン
- 公開日時
電撃文庫の吸血鬼ファンタジー『ドラキュラやきん!』(著者:和ヶ原聡司、イラスト:有坂あこ)3巻のレビューをお届けします。
本作は、『はたらく魔王さま!』でおなじみの和ヶ原聡司氏による新シリーズです。夜しか外出できない吸血鬼、虎木由良(とらき ゆら)を主人公に、日常と非日常が交錯する、どこか身近なファンタジーストーリーが展開します。
今回は、東京を離れ、京都を舞台に未晴とアイリスの女同士の戦い(!?)が展開する、第3巻のレビューを紹介していきます。
関連記事
『ドラキュラやきん!』3巻概要
第3巻は、京都を舞台に、自分の縁談を破談にしようとする未晴と、巻き込まれて恋人のフリをするハメになった虎木。そして虎木を追いかけてきたアイリスによる、ドタバタ騒動が描かれます。
そこに、縁談を成功させたい未晴の縁談相手、六科七雲(むじな やくも)も関わってきて、この騒動は予想外の急展開をしていくことになります。
ちょっとした幕間劇のようにも思えますが、日本古来のファントムの歴史や、それぞれの思惑など、世界背景の一部が明らかになるほか、作品全体の物語の柱となってくる“虎木を吸血鬼にした相手”も関わってきます。
主要な登場人物たちの過去の一部も明らかになり、今後の展開を予見するうえで見逃せない内容となっています。
ちなみに、今回は虎木たちが東京を離れてしまうので、夜勤の場面はあまりなかったりします。
第3巻の見どころ
京都にある比企家の本家を中心に物語が展開する第3巻では、比企家や六科家など、日本古来の由緒ある家系同士の関係などが見えてきます。
そしてその最大の見どころは、やはり虎木を巡って巻き起こる、ヒロイン同士の熱い駆け引きと断言できるでしょう!
ヒロインの1人、未晴は今回まさに物語の中心にあり、圧倒的な存在感を発揮してくれます。これまでは謎めいた部分も多かったですが、家の事情や家族との関係など、さまざまな背景が明らかになり、グッと距離感も近くなります。
一方のアイリスも、虎木を追いかけて京都まで行くという積極性を見せてくれます。なかなか素直ではない彼女ですが、今回の行動は健気でいじらしく、かわいさも大幅アップ。何より、自分の気持ちを自覚することになるのは大きな進展です。
アイリスと未晴、ヒロイン本命同士の関係が、今後どのように動いていくのか、いろいろな意味で期待感を与えてくれます。
日本古来のファントムたちも注目
ヒロイン2人の活躍だけでなく、個人的には、新たなファントムとして烏天狗やのっぺらぼうなど、日本でも馴染み深い妖怪が続々と登場する点もポイントです。
ドラキュラや狼男など、海外出自のモンスターだけでなく、こうした日本由来の妖怪たちが世界観に違和感なく溶け込んでいるのは、今後を考えるとワクワクします。その設定もとても深くて濃いので、妖怪好きにはたまりません。
また、1巻、2巻で激しいバトルを繰り広げた“虎木を吸血鬼にした相手”が、事件の背後にしっかりと絡んでくるのも見逃せません。彼女の存在感って、やはり普通じゃないですね。
嬉しいファンサービスも……
最後にちょっとしたことですが、アイリスと七雲が京都で朝食をとるためファーストフード店に入るのですが、そのお店がマグロナルドだったりします。
マグロナルドといえば、同じ作者の『はたらく魔王さま!』で、主人公の真奥貞夫が働いていたお店です(正確にはマグロナルド幡ヶ谷店ですが)。
本当にちょっとしたことですが、こうしたことで作品間のつながりを感じさせてくれるのは、ファンにとっては嬉しいポイントです。
PV&朗読劇
PVでは、虎木由良を逢坂良太さんが、アイリスを日笠陽子さんが演じています。また、朗読劇は日笠陽子さんが担当しています。
『ドラキュラやきん!』PV(逢坂良太×日笠陽子)
『ドラキュラやきん!』(朗読/日笠陽子)【電撃文庫朗読してみた】
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
『ドラキュラやきん!』
- 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
- 発売日:2020年9月10日
- ページ数:344ページ
- 定価:630円+税
『ドラキュラやきん!2』
- 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
- 発売日:2021年2月10日
- ページ数:312ページ
- 定価:630円+税
『ドラキュラやきん!3』
- 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
- 発売日:2021年7月9日
- ページ数:344ページ
- 定価:715円(税込)
『ドラキュラやきん!4』
- 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
- 発売日:2021年11月10日
- ページ数:340ページ
- 定価:792円(税込)