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『アーマード・コア4』祝15周年。レイヴンからリンクスへ、対戦会からネット対戦へ【周年連載】

キャナ☆メン
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 あの名作の発売日から5年、10年、20年……。そんな名作への感謝の気持ちを込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

 本稿で祝うタイトルは、2006年12月21日にPS3版が発売(Xbox 360版は翌2007年3月22日発売)され、今年で15周年となる3Dメカアクションゲーム『アーマード・コア4』(以下、AC4)です。

 『アーマード・コア』シリーズは、頭、コア、腕、脚、複数の武装、あるいはジェネレータや火器管制システムなど豊富なカテゴリで構成されるメカを、自分が思うようにパーツを組み合わせてカスタマイズし、自らのオリジナル機体でミッションに挑んだり、NPCの強敵と戦ったり、あるいは対人戦を繰り広げたり……とさまざまな楽しみ方ができる作品。

  • ▲アセンブルでは重量などの制限はありますが、それがリアリティとゲーム性を深めています。

 個人的に『AC』シリーズで特筆したいのは手触りで、メカの重量や質感がしっかりとコントローラ越しに伝わり、機体をねじ伏せるような感覚から自分の手足のように動かす感覚まで、メカのリアリティを体感しながら操作を楽しめるゲームだと思います。

 『AC4』は、PS3世代のハードでは1作品目にあたり、モバイル作品や『フォーミュラフロント』を除くナンバリングタイトルとしては11作目となります。

 大きな特徴としてパーツの一新と世界観の変更があり、新ハードに合わせてゲームシステムと対戦環境がリスタートした作品となりました。

 世界観の大きな背景としてあるのが“国家解体戦争”。この戦争は、衰退し統治能力を失った国家に対して6つの巨大企業グループが奇襲を仕掛けたことに始まり、戦場に投入された最新鋭兵器が国家の軍隊を圧倒して、およそ1カ月で戦争終結に至ります。

 この際、特に勝利を決定づけたのが30機足らずの新型AC“ネクスト”の戦果で、ACの中でも特別なこの機体に乗るパイロットは、レイヴンではなくリンクスと呼ばれる――『AC4』はこのような世界観で、企業による管理統治(パックス・エコノミカ)の開始から5年後にゲーム本編のシナリオが始まります。

▲プレイヤーは伝説のレイヴンでありながらも時代遅れの戦士と見なされ、あるコロニーの生き残りを賭けた政治的な思惑で技術研究用のネクストを駆ることに。
▲従来シリーズとの違いとして、『AC4』は各企業に紐付く6機から初期機体を選択可能でした。

 ゲーム面においては、コジマ粒子を用いてバリアを展開する“プライマルアーマー”、緊急回避やトリッキーな立ち回りに適した“クイックブースト”といった新システムが加わり、ロックオンサイトの非表示化によるサイティング感覚の変化などもあって、機体の操作感も含めて多岐にわたる変更・刷新がありました。

 それ以外にも『AC4』の大きな変化の1つに、レギュレーション配信やランキングなど一通りのシステムを備えた、オンライン対戦の導入が挙げられるでしょう。

 もともと『AC』シリーズは、『アーマード・コア2 アナザーエイジ』でPS2用モデムによる通信対戦に対応し、対戦ゲームとして通信機能の利用に積極的なタイトルでした。もっともモデム対戦は、遠くの知り合いと対戦する機能ではありますが……。

  • ▲『AC4』のネットワーク対戦は、最大8人よるチーム戦やバトルロイヤルにも対応していました。

 『ネクサス』以降ではネット対戦を取り巻く状況が少しずつ変わってきたにせよ、一般的にPS2で通信環境を整えるのはハードルが高かったですし、『ラストレイヴン』まではファンサイトなどを介して、週末に家に集うような対戦会のほうが、ユーザー対戦のメインだったのではないかと感じています。

 サイトでは、チャットでアセンブルを熱く語り合ったり、対戦やミッションの話で盛り上がったり、二次創作小説をいろいろな人が書いていたり……。時折開催される大会は雰囲気がアットホームで、ネットとリアルが交わっていたころを思い返すと、SNSよりも遠く、現実より近い距離感で楽しさと熱気を感じていた気もします。

 あれはあれで古きよき時代でしたが、平日でも手軽に遠くの知らない人と遊べる『AC4』で、対戦がより身近になったのは確かでないでしょうか。『AC4』で初めて対戦できたという話も、当時だったり後にだったり、何度か耳にしたことがあります。


 先日行われた恒例の年末行事に倣って『AC4』を漢字1文字……は難しいのでひと言にすると、本作は“節目”の作品だと思います。ハードの世代交代、パーツやシステムの刷新による対戦環境の激変、対戦の舞台のオンライン化、ユーザーにとって大きな変化が1度に幾つも訪れた作品。

 ナンバリングが更新される際、ゲーム性がドラスティックに変わることを我々が受け止める、その土壌を作ったタイトルと言えるかもしれません。

 『アーマード・コア』シリーズは、2013年9月26日にPS3/Xbox 360で『アーマード・コア ヴァーディクトデイ』が発売されてからは新作が途絶えており、何かあると連想ゲーム式に“『アーマード・コア』の新作が発売される”という文言に帰結するネットミームが定着してからも久しいです。

 次の新作があるならば必然的にリブートの役割を負うでしょうし、それだけでも“節目”の作品とならざるを得ないでしょう。気長に新作を待ち続ける気持ちを胸に抱きつつ、『AC4』への祝辞を結びに代えたいと思います。15周年おめでとう!

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